静岡エリアにおけるものづくり・製造業のハイクラス転職

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公開日:2022/05/13 / 最終更新日: 2024/09/27

静岡県は、1969年の東名高速道路の開通をきっかけに首都圏や関西都市圏にある大手企業の生産拠点の進出が増加したことで、国内有数の産業集積地となりました。2019年度の製造品出荷額等は全国シェア5.3%を占め、「加工・組立型のものづくり県」と言わしめる特色があります。

なお静岡県は、東西で約150kmにも及ぶ横長で広大な土地であり、産業の特色も東西で少し異なっています。そのことから、JAC 静岡支店においても、駿河湾から焼津市と吉田町の間から注ぎ込む一級河川・大井川を境とし、「西部」および「中・東部」にエリアを分けて担当分担しています。この記事でも、それに基づいてJAC 静岡支店のコンサルタントが解説していきます。

静岡の製造業動向


静岡県内全域において、自動車最終品メーカーや、それを下支えするサプライヤー企業や中小製造業などが数多く拠点を構えます。自動車業界全般としては、2020年に入ってしばらくは、生産中止や延期などの影響がありました。しかし、国内外の自動車受注増を受けてか、当初想定していたよりも早く経済は回復しています。また首都圏の都市部ほどの勢いはないものの、静岡県内の企業においても、デジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みが見られるようになってきています。

静岡西部の動向

愛知県に隣接する西部産業の中核を担う浜松市は、二輪が強い本田技研工業(ホンダ)、スズキ、ヤマハ発動機(ヤマハ)といった最終品メーカーが開業した地「輸送機器のふるさと」として知られています。自動車業界全般で電動化が加速するなか、従来のようにエンジン単体だけではなく、電子制御システムを実装しモジュール化された製品なども増えています。

また西部では、自動車最終品メーカーやサプライヤーに対し、産業機械や金属加工品、プラスチック成形品などを納品する中小製造業も数多く操業しています。家族経営の企業も目立ちます。浜松市内では、市で取り組む事業補助金制度を受けて、ベンチャーやスタートアップ企業も出てきています。

静岡中・東部の動向

中部エリアも西部と同様に、自動車メーカーや関連サプライヤーの生産拠点が目立ちます。そこでは自動車工場の生産ライン向け機械を納入するメーカーが多くあり、ファクトリーオートメーション(FA)関連が非常に好調です。受注増に備えるための生産効率向上や、少子高齢化に伴う人手不足に対応するため、生産の自動化に投資する企業が増加していることがその背景として考えられます。

その一方、今も半導体を中心とした部品不足の問題がいまだに解消されていないことから、自動車自体が受注数は増加傾向です。しかし、部品の調達に苦戦し生産がままならないというジレンマに陥っている企業が少なくありません。

さらに東部へ行くと、富士山麓の水資源が育んだ製紙業や食品業、医薬品、およびそれら分野に関連した機械工業が盛んです。製紙業については、従来のようなトイレットペーパーや段ボールも堅調です。

最近は、電子商取引(EC)通販の人気が高まっていることから、特に段ボールの生産が増加しています。また、介護向けのウェットティッシュや汗拭きシート、除菌シートなど特定の目的に応じた機能性を持たせた製品の取り扱いが増えています。また製紙業で培われた薄物を加工する高度な機械技術が、燃費向上や省エネの観点から軽量化が求められる自動車分野で応用されています。

製紙業はペーパレス化による紙の需要減の影響を受けてはいますが、特に求人が活発な企業においては、現在やこれからの時代に合わせたビジネスシフトに意欲的に取り組む動きがよく見られています。

また富士市を中心として、セルロースナノファイバー(CNF)の産学連携プロジェクトが進められており、将来の製紙業における新たな産業創出にも地域で取り組んでいます。


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静岡の製造業求人の動向


以降では、上記の動向を踏まえて、静岡県製造業の転職市場動向について、地域別に解説します。

静岡西部の転職市場動向

西部の企業においては、新規事業の立ち上げ、DX推進関連、また経営者や幹部候補の3つの傾向でご紹介します。

新規事業の立ち上げに関する求人

大手企業や上場企業を中心に増えています。例えば自動車に関する特定の部品を作り続けてきた企業が、異業種・分野も積極的に視野にいれ、これまでとは全く異なる新たな製品やサービスに取り組むといった動きです。その中で、何もないところから立ち上げる、いわゆる“ゼロイチ”の事業計画に取り組める人材や、新規業界での新たなコネクションを開拓して交渉もできるような人材が求められています。

DX推進関連の求人

社内SE関連でも、従来の内製システム屋帳票システムベースの管理から変革し、統合管理システムの導入を進める旗振り役を求める案件などです。このエリアは中小製造業の比率が非常に多いことから、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)など先端のITを取り入れる動きよりは、紙や帳票ベースの情報管理をひとまずデジタルデータ化したいという、初歩的なDXへの取り組みがまだ多い印象です。

そのため、データサイエンスなどハイレベルなITに関わった経験までは求められず、社内SEとしてITシステムの導入や刷新にかかわった実績のあるような人が求められます。

経営者や幹部候補の求人

家族経営系の中小企業で、経営の後継者がいない、もしくは家族が若すぎるあるいは経験不足であるなどを背景として、外部から経営者や幹部候補を募る求人もあります。

中小企業は年功序列的な企業文化は濃いものの、大手企業と比較すれば経営にかかわるチャンスが格段に多く、やりがいも大きいでしょう。

静岡中・東部の転職市場動向

中・東部の企業においては、経営陣、IT担当、また半導体関連の3つの傾向でご紹介します。

経営陣の採用動向

近年、投資ファンド企業が中小製造業を買収した後、その経営トップ、もしくはその右腕を担う人材の求人がよく見られます。

大手企業から、または首都圏からの経験者が採用される傾向にあります。

 IT担当の採用動向

巣ごもり需要の影響もあり、一部の食品業は売り上げが比較的好調であり、ITシステムに投資し、より生産効率を高めるべくDXに取り組もうとする動きが見られるため、西部と同様に社内SEなどのIT担当の求人が増えています。

購買・SCM関連の採用動向

業種に関わらず、半導体など供給部品のサプライチェーン混乱や、引き合い増による調達業務の増加などを受け、SCM(サプライチェーンマネジメント、調達管理)の見直しを図るための求人も目立ちます。


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モデル年収


静岡西部

中堅製造業(機械設備)40代半ば~後半主任・係長級500万~700万円台
中堅製造業(食品メーカー)、生産管理・製造管理40代半ば~後半主任・係長級500万~700万円台

業界や年代に関係なく、課長級で600万~900万円、部長級で800万円から1000万円です。

また中小企業の年収平均は、中堅・大手企業と比較して50万円程度下がるでしょう。

静岡中・東部

中堅製造業課長・次長級600~800万円
中堅製造業部長級800~1,000万円
中堅企業役員級1,000~1,400万円

西部と同様に、中小企業の年収平均は、中堅・大手企業と比較して50万円程度下がるでしょう。

当然ながら企業や個人によって異なりますので、あくまで目安としてください。


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静岡エリアの製造業のハイクラス転職では、どのような方が求められるのか


生産技術や設備保全の経験者は、製造業ではどこの現場でも非常に求められています。

また、中小企業で、特に生産管理においては、局所的な専門性よりは、さまざまな経験をして部品加工から組み立て、出荷まで、ものおくりの流れを一通り理解しているような人もよく求められます。そうであれば、大量生産か小ロット生産化にかかわらず、業務に柔軟に対応できる可能性が高いからです。

新規事業関連の求人では、市場分析も含めて、新事業立ち上げにかかわった経験、それで結果を出した経験などは、やはり高く評価される傾向です。また、企業内に蔓延った変化や改革を好まない風土を変えるために、そこに力強い新しい風を吹かせるといったことも求められるでしょう。


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静岡へのUターン・Iターン・Jターン転職の実態


JACにご相談いただく転職ご希望者様で、Uターン・Iターン・Jターンなど、県外からの転職を希望されている方の背景については、配偶者などの家族や親せきが静岡に居住していることからのプライベートな事情が多いようです。また、お子様がある程度成長した、あるいは独り立ちしたという、40代後半~50代が目立つ傾向です。年収の高さにこだわらず、静岡という土地や街に魅力を感じている、あるいは私生活の質の向上を求める方がよくいる印象です。

首都圏から静岡県内に転職されてきた場合、年収としては50万~100万円近くダウンすることが多い一方、物価や地代が安く、生活費が安価に抑えられるため、生活水準としては、それほど大きく変わらずに済むでしょう。例えば家賃は、都内相場と比較してかなり抑えることができるというメリットもあります。

静岡県内は、都市部でも首都圏のような通勤ラッシュがなく、かつ自動車通勤が多くなります。自動車通勤では、カーオーディオを使って音楽や学習教材を聴いたり、声を出して歌ったり英語の発音を練習したりなど、悠々自適に過ごすことができます。

また、60代以降のシニア世代の転職が決まりやすいため、新天地で生涯にわたり働き甲斐や新たなチャレンジを求める方にもよいでしょう。

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JAC静岡支店を利用するメリット


JACは、採用企業と転職ご希望者様の両方担当する「コンサルタント型」の支援が特色。そのため、求人企業からお預かりするリアルな声を転職ご希望者様に届けることが可能です。

静岡支店では、採用企業の経営者や役員の方々、人事の決定権がある方などと、親密なコミュニケ―ションを常に取っております。そのため、転職ご希望者様にぴったりの求人があれば、直接売り込みにいく、あるいは新たにポジションを提案するということまで行っています。これは、地元に密着した営業スタイルならではと考えています。

転職を考えている方、キャリアを見直したい方、いつでも気軽にJAC静岡支店にご相談ください。

この記事を監修した転職コンサルタント

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牧村

静岡支店・浜松支店 支店長

2017年JAC Recruitment入社。前職は総合人材サービス業の法人営業管理職。JAC入社後は、一貫して東海地方の製造業領域を担当。静岡エリア全域における自動車部品メーカー・機械メーカーのマネジメントポジションを得意分野とする。マネジメント層やエグゼクティブ層の紹介実績は、管理部門、営業部門、設計開発、品質部門、マーケティングなど多岐に渡る。名古屋支店のチームマネージャーを経て、2022年より静岡支店支店長に、また、2023年より静岡支店および浜松支店の支店長を兼務するかたちで就任。



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