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追求するのはブランドではなく、価値の提供――江崎グリコの存在意義(パーパス)に込められた思いと、求める人物像に迫る

江崎グリコ株式会社

※このインタビューは2024年8月に実施しました。なお、所属・肩書は当時のものとなります。
江崎グリコ株式会社 髙橋 潤 氏
  • 江崎グリコ株式会社 グループ人事部長 髙橋 潤 氏


    江崎グリコは2022年に創立100周年を迎え、「すこやかな毎⽇、ゆたかな人生」という存在意義(パーパス) を策定しました。ブランドの価値向上や市場シェアではなく、お客さまにとって真に意味のある価値を提供したいという思いから、組織体制を一新し、DXを取り入れた経営にシフトしようとしています。

    「消費者の健康に寄与したい」という創業時の精神に立ち返り、DXを生かそうとする同社の取り組みと採用で求める人物像について、グループ人事部長である髙橋 潤 氏に伺いました。YouTubeの動画と併せてご覧ください。

商品が提供する価値を起点に組織を再編

――貴社は2022年に創立100周年を迎えたのを機に「すこやかな毎日、ゆたかな人生」という存在意義(パーパス)を策定しました。その意図についてお聞かせください。

創立者の江崎利一は「食品による国民の体位向上」を目指して当社を創業し、栄養菓子「グリコ」を生み出しました。その原点に立ち返り、生活者に向き合いながら価値を提供していくという思いを投影したのがパーパスの意図です。

このパーパスに基づいて、組織も大きく刷新しました。それまでは「ポッキー」「ビスコ」「BifiXヨーグルト」といったブランドごとに組織を編成し、それらを起点として行動していました。それを、「お客さまにどういった価値を提供できるか」という視点で考えて「健康イノベーション事業本部」を新設し、「乳業事業部」「グローバルブランド事業部」を配置するなど価値を起点に組織を再編しています。

―長い歴史を経て培ったブランドがある中での事業部再編は、大きなチャレンジだと思います。2年経った今、どのような変化が起きているのでしょうか。

現在も過渡期にありますが、社員の意識も変わり、行動にも変化が起きつつある状況です。ビジネスの意思決定や人事制度もパーパスに合致する形で変革を進めてきていますので、今後は「新しい商品を出す」のではなく「新しい価値を提供する」という視点で成果を出していくことを期待しています。

私はキャリア採用で当社に入社したのですが、一番驚いたのは、市場シェアを追求せず「お客さまにとって新しい価値を提供できているか」を判断軸にしていることでした。各事業部とも新商品の開発を担う中で、ブランド価値の最大化ではなく「お客さまにとっての価値は何か」を本気に追求しています

パーパスに込めた人的資本経営方針

―そうしたパーパス経営の一環として、人的資本経営方針も発表されました。

新たなパーパスを実現するにあたって、組織・人財のあるべき姿、社員に求められるマインドセットやスキルセットを、5つ定めています。

江崎グリコ株式会社 「人的資本に関する取り組みの全体像」(江崎グリコのWebサイトより)

パーパスを実現したいという思いを実現するには、個々の社員が「オーナーシップマインド」を持って、日々の仕事に取り組むことが欠かせません。その過程で自分1人では解決できない課題に挑戦する際には、自分自身の成長にコミットする「グロースマインドセット」や、多様性のある組織の中で周囲を巻き込みながら解決策を導き出す「グローバルマインドセット」が必要になります。

一方でパーパスを実現するためには、社会環境の変化にも対応しながら、お客さまにとって本当に価値のあるものを提供しなくてはなりません。このことから「顧客志向」「変化対応力」が重要な要素となっています。

こうした5つの要素はパーパス策定以前から江崎グリコのDNAとして存在し、さまざまな人事施策の中に取り込まれていた要素ではありました。パーパスと併せて組織や人財のあるべき姿を明文化することで、私たちが向かう方向を示し、行動にも反映していく狙いがあります。

とはいえ、個々の社員の思いや内発的動機は人それぞれにあります。さまざまな考えや思いがあることを前提に、各事業部のマネジメントや人事施策などを通じて、パーパスにのっとった経営を推し進めていく必要性を感じています。とりわけ、パーパスの策定以前から注力していたミドルマネジメント層の育成については、新たな事業戦略のもとで育成方針を見直しつつ、強いミドルマネージャー層が形成できるよう取り組んでいます。

―この5つの要素の中にある「顧客志向」はあらゆる企業が重視していることでもありますが、貴社ならではの取り組みがあれば教えてください。

多くの企業が顧客志向を掲げていますが、江崎グリコはお客さまにとって何が価値となるかを徹底して突き詰めて掘り下げる文化が根付いています。例えば、当社には「SUNAO」という糖質を控えた商品ラインナップがあります。糖質を気にされているお客さまがSUNAOを喫食することで、毎日がすこやかでゆたかな人生を実現できると考えた商品です。 このようにお客さまに対して提供できる価値を掘り下げて、江崎グリコが提供する意味を議論しながら、今後も新しい商品を提供できるよう研究開発の段階から努力を積み重ねています。

―髙橋 様は江崎グリコのパーパスに関心を持たれて、製薬業界から転職されたと伺いました。入社に至った経緯について、詳しくお聞かせください。

私は20年ほど製薬業界に従事し、営業や人事などの経験を積みました。今後のキャリアを考えた際に、これまでの集大成となるような環境で働きたいという思いが強くなりました。その頃に江崎グリコがパーパスを策定するという情報を知り、生活者に価値を提供するという強い思いに感銘を受けたのです。というのも私自身、生活者の健康に貢献するというミッションに強いこだわりを持って、製薬業界で働いてきました。その中で「未病」や「予防」と言った病気を未然に防ぐことの重要性や食と健康の関係には関心があり、「すこやかな毎⽇、ゆたかな人生」というパーパスに込められたメッセージに強く共感して入社を決めた経緯があります。

江崎グリコが推し進めるDX

―さまざまな企業がDXに取り組む中で、貴社もデジタル人財の採用に注力されています。パーパス策定以降、どのようなDXが進んでいるのでしょうか。

当社では、お客さまへの価値提供を目的としたDXに取り組んでいます。例えば、当社が提供している食品を摂取することによる変化をデジタルやAIを通じて可視化する取り組みが進んでいます。

具体例を1つ挙げると、「SUNAO」では喫食後の血糖値の変化をデータ化するなど、お客さまにとって、より価値の高い製品になるよう開発に反映しています。

一方で、当社は小売店だけでなく、直営ECサイトやネット通販、自動販売機、「オフィスグリコ」のような無人販売など多様な販売チャネルを持っています。それぞれの販売データを可視化し、AIによるデータ解析を行うことで、ビジネスの効率化に取り組んでいます

また、社内のデジタル人財育成にも注力しています。主な取り組みとしては2つあります。1つめは、リスキリングです。全社員を対象にリスキリングを実施し、デジタルリテラシーの底上げを図っています。2つめは、デジタル人財が活躍できる環境の構築です。先に述べたような施策に加え、デジタルマーケティングやデータサイエンスなど幅広い領域でDXを推進することで、お客さまに対する価値の提供につなげていきたいと考えています。また、こうした背景からキャリア採用においてもデジタル関連のバックグラウンドを持った方々を積極的に募集しています。

―貴社ではキャリア採用で入社する方も多いと伺っています。髙橋様もキャリア入社とのことですが、社内の風土をどのように感じていますか?

当社は以前からキャリア採用で入社する社員が多く、新卒入社の社員との間に垣根や壁のようなものはありません。キャリア入社の方の割合が多い影響もあってD&I(Diversity and Inclusion)が進んでおり、誰が入社しても働きやすい環境だと思います。

道なき道を開拓するマインドを持った人財が活躍できる企業

髙橋 潤 氏

―最後にキャリア採用について伺います。どのようなマインドやスキルを持った方を貴社は求めているのでしょうか。

創業から100年を超えていますが、新たな経営方針とパーパスの実現に向かって挑戦している最中です。「すでにいろいろなものが整っているだろう」と思っていると、入社後にギャップを感じる場合があるかもしれません。一方で、お客さまに対する価値提供の実現やパーパスに対して強い共感を持てる方にとっては働きがいのある環境だと思います。舗装された道を走るのではなく、砂利道をがむしゃらに突き進めるような方を当社では歓迎しています。

スキル面では、先ほどお話ししたとおり、最も重視するケイパビリティとしてはデジタル領域の知見になるかと思います。

―パーパスの実現に沿って人的資本経営方針も策定し、次の100年に向けて新しいチャレンジに挑むフェーズにあると感じました。

当社は、さまざまな面で最先端を突き進んでいる大手企業というよりは、新しいものを生み出していこうとしている組織です。そして、そういったチャレンジができる環境を制度面なども含めて意欲的に取り組んでいる状況でもあります。

高い目標に向かって暗中模索をしながらも、新しいチャレンジをしていこうという風土が社内にはありますし、新しい取り組みも推奨しています。一方で会社としては高度な次元にあるものを求めていますので、「本当にお客さまにとって一番良いものは何か」を妥協せず、とことん突き詰めて考えることは必要だと思います。決められたことをこなすのではなく、何も決まってないことを「面白い」と受け止めて「自分の手で生み出す」という意欲を持てる方であれば、ぜひ当社にご応募いただきたいと思います。

※インタビューは動画でもご覧いただけます。

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