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コネクタで世界No.1シェア
徹底的なローカライズが自動車業界での成功を呼ぶ

タイコ エレクトロニクス ジャパン合同会社

※このインタビューは2016年10月に実施しました。なお、所属・肩書は当時のものとなります。
  • JAC Recruitment

    代表取締役社長
    松園 健
  • タイコ エレクトロニクス ジャパン合同会社

    代表取締役社長
    上野 康之 氏

世界約50カ国にオフィスや工場を持つTE Connectivity (NYSE:TEL)は、航空宇宙から自動車、ヘルスケアまで、さまざまな分野においてコネクタ、センサなどコネクティビティにおける電子部品のリーディングカンパニー。その日本法人であるタイコ エレクトロニクス ジャパンは1957 年に設立。2013 年には静岡県掛川市に自動車向け製品の開発工場を建設し、次世代の電気自動車(EV)、ハイブリッド車(HV)、燃料電池車(FCV) に搭載される最先端の製品を生産するなど、日本発の製品開発、モノ作りを推進。グローバルの中でも確固たる存在感を放っています。
日本での自動車向け事業を統括し、ジャパン売上高の6割を占める主力事業へと育て上げた上野康之氏が2015年に社長に就任。コネクタ分野での圧倒的なシェアを誇る秘訣や、今後の戦略に必要な人材などについて、JAC Recruitment 代表取締役社長の松園健がお聞きしました。

自動車向けコネクタ飛躍への道のり

写真:上野 康之 氏
タイコ エレクトロニクス ジャパン
合同会社
代表取締役社長  上野 康之 氏

松 園: 上野さんは、タイコ エレクトロニクス ジャパン(以下、TE)の前身の頃からいらっしゃると伺いました。まずは、これまでの歩みをお聞かせください。

上野氏: 27歳の時に、当社の前身である日本エー・エム・ピーに入社したのですが、その前は不動産の販売会社で営業をしていました。今とは畑違いですが、人生で一番高い買い物であろう不動産を20代の若輩者が売るというのは、いい経験になりました。ただ1年に10日ほどしか休みが取れず、仕事環境を変えようと転職を考えたときに紹介されたのが日本エー・エム・ピーでした。電気や電子の知識は特になかったのですが、営業なので覚えれば何とかなるだろうと(笑)。また当時面接してくれた部長が、外資系らしく個性的な人だったので、「面白そうだな」と思い入社を決めました。

松 園: きっとご縁だったんでしょうね。上野さんは営業部門を経て自動車関連で実績を上げ、ジャパン売上高の60%を占める主力事業に育てるという偉業を成し遂げられたそうですが、当時はまだ今のような圧倒的なシェアを占める状況ではなかったと思います。どのようにして、今の状況を作り上げられたのですか。

写真:松園 健
JAC Recruitment
代表取締役社長  松園 健

上野氏: 我々は日本発のグローバルコンサルティングファームとして、多くの企業様とお付き合いがあります。業種や業界、ステージがそれぞれ異なるので一概には言えませんが、当社の場合、お客様の8~9割は日系企業。日系企業は日本のマーケットだけでは成長しきれず、海外に活路を求めるという面があり、グローバル化は大きなトレンドになっています。もちろん、これまでも海外進出はしていましたが、最近ではグローバル全体で経営する方向に大きく舵を切っています。それを支えるインフラや経営基盤を整えようと注力しているのが現状のトレンドです。
当社はアメリカの会社ですが、各国で事業を起こして、しっかり腰をすえるという形を取っています。イタリア、ドイツ、中国でも同様に、「現地のやり方があるでしょう」、「競合との関係もあるでしょう」と、現地の事情を考慮し、尊重しています。もちろんグローバル共通のポリシーやストラテジーはありますし、アメリカ本社はアカデミックな話もしてきますが、実際のビジネスではサポートにまわる。そういう形で、現地をリスペクトする企業であることも、日本のマーケットでうまくいっている要因だと思います。

私の入社当時、外国人が現場にはほとんどいませんでした。でもグローバルの上層部に日本の考えを理解してもらう必要はある。営業時代を含めて、私はグローバルスタンダードとローカルのニーズの中間のところで調整をしていました。他の外資系企業に比べて、理解度の高い会社だとは思いますが、今でも日本人であれば説明する必要がないところも説明するようにしています。マネジメント層も変わりますし、それを怠ると日本でのビジネスにとって良いことはひとつもありません。

上野 康之 氏

松 園: さまざまなご苦労もあったと思いますが、日系企業とは異なるビジネスモデルをローカライズして、日本に根付かせる。これは圧倒的な強みですね。

外資系企業でありながら、日本に工場を作った理由とは

松 園: 2013年に、「次世代ファクトリー」として掛川工場を設立されましたが、どのような思いがあったのでしょうか。

松園 健

上野氏: 上野氏:私たちは、次世代に日本ならではのモノ作りを残していきたい。これが日本の特長だとずっと思っています。私も現場が好きですし、先々に通用するモノ作りのために、どうしたら良いか色々と考えて、外資系企業ではありますが、トヨタ プロダクションシステム(トヨタ生産方式)を教わろうと、当時の副社長に交渉しました。外資系企業のチャレンジが面白いと思っていただいたようで、トヨタ社から直接、8年間も指導を受けることができました。工場が立ち上がった後も、昨年末まで面倒を見ていただいたことは、大きな収穫です。

工場の立ち上げについては、前社長と一緒に大変苦労しました。当時、自動車関連では一番大きな顧客でもあったカーメーカーと弊社CEOのコミットからセッティング。リーマンショックによる中断もありましたが、CEOも、「カーメーカーとコミットメントして始めたことだから、絶対にやめない」と理解を示してくれました。当初の予算は約70億円でしたが、最終的には建築費のアップなどでさらにオーバー。実は従業員が憩うためのウッドデッキなども最初は計画していたのですが、それは諦めました(笑)。試作ルームと実験室、これだけは一歩も譲らずに守りました。
工場のコンセプトは「開発工場」。今まではエンジニアセンターと、工場と購買がバラバラでしたが、4カ月かけて金型を立ち上げて、1年かけて開発するのでは遅い。失敗も成功も工場内でトライして、生産、開発のリードタイムを縮めることがひとつの目標です。新製品をそこで立ち上げて、2、3年後に海外へ展開し、現地でローカライズするという考えです。だから工場自体の拡張は考えていません。R&Dに近いですが、生産はしないでR&Dだけに特化して成功した例は少ないと思います。

松 園: 掛川工場は、スピード感のある開発、そして品質管理、生産までいきつかないと、本当の「開発」とは言えないという御社の姿勢が体現されていますね。ユーザーと一緒にやっていくという御社のスタンスが、カーメーカーとのトップ同士のコミットにも表れていますね。加えて御社の製品面での優位性と技術力、その2つがあったからこそ、カーメーカーも動かれたのでは?

写真:掛川工場

上野氏: もちろん技術的な優位性も必要ですが、やはり一番のベースは品質です。今は品質過剰とも言われ、コスト重視の時代。以前は、とにかく品質重視でしたが、海外では競合も増えて日本ほどのこだわりがない。例えば新興国では極端な話、車が止まらずに動けばいいという感覚です。そういう場所に過剰な品質を持って行っても、ユーザーにはアピールできません。日本では「交換」というとイメージが落ちますが、新興国では部品が壊れたら交換すればいいという考えが今でも多くあります。

とはいえ、波はいずれ「品質」に来ると思っているので、最終的には品質を重視しています。管理体制として、品質管理部門だけがチェックするのではダメだというのが、我々日本の考えです。現場の人が一番良く知っているので、新しいシステムのチェックやフィードバックをしてもらい、改善することができるのだと思います。ただ社内でも、「品質部門がしっかりすれば、どうにかなる」という考え方がまだあるので、その意識は変えたい。TEグローバルの中でも、日本の品質が一番良いと自負していますが、他で作ったものが良くないということではなく、現地に合わせて、システム工程内不良をいかに減らせるか、ということも考えています。

松 園: ユーザーのニーズを読み捉えて対応する部分と、それを担保する高品質という2つに、徹底的にこだわっていることも御社の強みですね。

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