採用企業インタビュー
製造業のあらゆる領域の変革を「時代の先を読む力」と「変化への適応力醸成」で支援
――クニエ「MFG」のコンサルタントの根底にある思い
株式会社クニエ
日本にはグローバルに展開する製造業の企業が多数ある。そうした大手製造業のエンジニアリングチェーン、サプライチェーン変革を中心に支援するのが、クニエの「製造インダストリーであるMFG(Manufacturing)」部門です。
変化が速く激しい時代に向けて、ここ数年でコンサルタントを大幅に増員しているMFGでは、どのようなプロジェクトに取り組んでいるのでしょうか。MFGでチームを管掌するコンサルタントに、最近のプロジェクトの傾向と特色、MFGでコンサルタントとして働くことで得られる成長について伺いました。
- シニアパートナー 須藤 淳一 氏
- メーカーにて製品設計/量産立上業務に従事、その後外資系PLMベンダー、製造業向コンサルティング会社を経てNTTデータビジネスコンサルティング(現QUNIE)入社。
自動車、自動車部品、重工業、工作機械、産業機械等の製造業に精通し、設計/開発領域の業務改革/システム導入、および、生産管理、新事業企画(業界特化B2B事業等)など多岐にわたるプロジェクトをリードする。
- 写真中央:マネージングディレクター 陽 俊彦 氏
- 国内SIerにてSEとして設計領域の改革/システム構築・導入に従事、その後NTTデータシステムデザイン(現QUNIE)に入社。
電子・電機業界を中心に、重工、機械、自動車、化学とさまざまなものづくりプロセスに精通し、設計・サプライチェーン・生産の改革に対して、現状分析・構想策定からシステム企画/導入支援、改革実行・効果創出まで多様なプロジェクトをリードする。
- 写真左:ディレクター 渡邉 康平 氏
- 外資監査法人コンサルティングファームを経て、NTTデータビジネスコンサルティング(現QUNIE)に入社。
自動車部品、自動車などの組み立て系製造業、化学、粒体製造などのプロセス系製造業等の業務に精通し、製造業におけるSCM全体の現状分析・業務改革構想・システム企画/導入支援などの業務改革プロジェクトや、製造業を取り巻くサービス業に対する業務改革支援プロジェクトも多数リードする。
- 写真右:ディレクター 武井 晋介 氏
- 完成車メーカーにて新製品開発PMOに従事。その後、外資系マーケティングリサーチ会社に転身し、自動車業界を中心としたリサーチ企画・データ分析を担当する。外資系小売業においてプライシング戦略の立案と実行、デジタルトランスフォーメーションを推進。
QUNIEでは、加工・組立系製造業において、バリューチェーンのデータ改革/業務改革/システム導入や事業統合、新事業企画、生産現場改善などに携わる。
3年後を目途に『製造インダストリー(MFG)』だけで、100名の専門家組織を目指す。
- シニアパートナー
- 須藤 淳一 氏
――製造インダストリー(以降、MFG)という組織について教えてください。
須藤氏:
MFGは、一般的にメーカーと呼ばれる製造業のお客様を対象にコンサルティングサービスを提供する部門です。製造業に関連する戦略立案、政策提言、業界標準作成などを支援する案件もありますが、売上の中心はBPRと呼ばれる業務改革、サプライチェーンやエンジニアリングチェーンを主軸とした業務プロセス改革、データ活用、システム構築などとDX施策やAI活用が関連した案件が多いのが特徴です。
10年前はMFG全体で十数名でしたが、現在は70名以上のコンサルタントが在籍しています。現在は5つのチームに分かれて活動をしており、各チームの特色が少しずつ出てきているところです。3年後を目途に100名を超える体制にしようと考えています。新卒メンバーは今後も大きく増加はしないため、中途採用に力を入れています。
中途のメンバーの多くは製造業出身でコンサルタント未経験の方がほとんどのため、集合教育、OJT含めメンバー指導や育成には会社・組織を挙げて力を入れています。
AI・DXの前提として必要なこと「会社をデータで表現する」
――最近のプロジェクトの傾向について教えていただけますか。
武井氏:
私のチームは、コンセプチャルデータモデリング(MFG CDM)という名前のチームです。傾向として3つほど挙げられます。
1つは、チーム名にもある通りデータモデルをつくる仕事です。製造業では今、製品にAIを取り入れる、DXを推進するという気運が高まっていますが、それを実現する上での前提として、「会社や事業のバリューチェーンの構造をデータで表現したい」というニーズがあります。
従来は、会社の構造は、業務プロセスやそれに紐づくシステムを中心に表現されてきましたが、会社のあらゆる領域にITが浸透した今、「データで会社をスケルトン的に表現する」案件が増えてきました。
2つ目はPMI(Post Merger Integration/合併・買収後の統合プロセス)の案件です。どのように組織やシステムを統合すれば最もシナジーが発揮されるのかを考えていきます。
今は、業界の中で圧倒的な立場を築いていたとしても、突如それが変わりうる時代になりました。グローバルで戦っていくためには、いろいろな業界の垣根をまたいで、場合によっては競合とも連携してシナジーを発揮させていく必要があります。
特に最近はM&Aのスピード感が増しており、これまではM&Aが成立してから相談いただくのが通常でしたが、今はプレPMIと言われる統合計画を立てるような案件も増えつつあります。
3つ目は、エンジニアリングチェーンの改革です。SAP S/4HANAの切り替えに目処がつきつつある中で、データ活用の土台となるERPの上で、「どのようにBOM(部品表)のマスターを持つべきか」といったデータ観点での改革を進めたいお客様が増えてきた形です。
――そうしたプロジェクトの中で、MFGとしてクライアントをどのように変革していきたいとお考えですか。
武井氏:
マインドセットとして、「お客さまを指導する」とか「方法論ありきで提案する」という意識は持っていません。お客さま自身が「このように変わっていきたい」という想いと、クニエがそれぞれのお客さまの状況に対して「こういう改革したい」という想いのそれぞれに両者が「共感」することが重要だと思っています。
もちろん、それを実現するためにお客さま自身で気づかない将来像や、その実現方法を私たちから提案することはあります。でもまずは「お互いが描く将来像や想いを共有や共感できるか」を大切に考えています。お客さまと私たちが一体となったプロジェクトチームの中で、私たちこそがその将来像が良いものだと信じる。誰よりもその推進や変化を楽しみ、お客さまの将来像へ向かう気持ちを掻き立てていく、そういう存在でありたいと思っています。
「データで会社を表現する」と言葉で言うのは簡単ですが、実際にデータモデルをつくるのは容易ではありません。エンジニアリングチェーンからサプライチェーンまで全部分かっていなければできませんし、お客さまの中にそのスキルや経験をお持ちの方はそれほど多くないからです。
その点MFGは特定のソリューションを持たないチームのため、過去のプロジェクト経験から、エンジニアリングチェーンからサプライチェーンについて見渡せる知見があります。すると、「他社ではこのようなデータの持ち方をしていることが多いので、M&Aを見据えるならこのようにデータを作っておいたほうがよい」といった提案ができます。そこがMFGの強みであり、価値を発揮できる部分だと思います。
製造業内外の企業とのデータ共有・交換の領域にフォーカス
――渡邉様のチームが関わっているプロジェクトの傾向をお教えください。
渡邉氏:
私のチームは、インターインダストリーフィールド(MFG IIF)という名前で、いわゆる「業際」の領域を扱っています。武井から企業の中のデータの話がありましたが、私が所属するチームは、企業と企業の間のデータ・情報連携を扱っているのが特徴です。製造業の中だけでなく、物流業や販売業などいろいろな業態の企業をつないでいく、業際領域でビジネスをつくっていくことに取り組んでいます。
これまで、例えばメーカーとサプライヤーの間では、EDI(電子データ交換)を組んで生産計画の情報を連携したりしてきました。
しかし、新たにEV(電気自動車)をつくるとなったときに、従来の内燃機関の自動車とは部品構成や工程がガラっと変わります。すると、これまでお付き合いのなかったメーカーやサプライヤーともデータを交換・共有しなければなりません。そうなったときに、社外秘・機密情報が外部に流出してしまっては問題ですから、いかに安全を担保しつつ、情報交換を活発化させるかが、今、世界的なテーマの1つとなっています。
これまでのものづくりは「製品を作って売る」ところまでが主なスコープでした。でもこれからは、製品を買ったユーザーがどのようにそれを使うかといったデータを元に、改善点を見つけたり次の商品を企画したりします。
さらに、サーキュラエコノミーといわれる考え方で、製品がリサイクルされ素材に戻るところまでのデータを把握する必要があります。
例えば今、ヨーロッパではEVのバッテリーを作る時にカーボンフットプリント(CO2、グリーンハウスガス等をどれだけ出したか)を公表しなければいけなくなりました。ある完成車メーカーがそれを公表しようにも、いろいろなサプライヤーから購入した部品で組み立てられていますから、情報をサプライヤーから全て集約しなければなりません。
世界情勢の変化によって製品を作るための材料が供給・調達ができなくなることへの危機感が高まる中、こうした取り組みが今後ますます増えてくると考えています。
――企業間のデータ連携に対して、MFGはどのような価値を提供できるのでしょうか。
渡邉氏:
親会社がNTTデータであるという点は、クニエの大きな特徴だと思っています。NTTデータはこれまで、日本の社会を動かすような大規模なシステムを数多く作ってきました。そのような経験の、官公庁、一般の事業会社など、いろいろなプレーヤーとの接点を培ってきたことが強みの1つだと思っています。
企業間で情報を連携しようとする際、基本的には当事者の会社同士でやり取りすることになりますが、日本全体、あるいはグローバルで連携するとなると、一定のルールや標準的な枠組みが必要になってきます。
そこに対して、1つのファームができることには限りがありますが、NTTデータとタッグを組むことで対応できるようになる。そういう立場にあることを、最近のプロジェクトを通じて強く実感しているところです。
武井がお話ししたM&A、PMIとも関連しますが、今まで“ライバル”といわれてきた企業同士でも手を結んで、新しい価値を創出していかなければならないという危機感があります。その実現に当たって問題となる情報連携の仕組みづくりの部分で、国レベル、あるいはグローバルで俯瞰的な視点を持ちながら取り組めることが、MFGの提供する価値だと思います。
設計開発の前の研究開発フェーズの改革を行う
――陽様のチームが携わるプロジェクトにはどのようなトレンドがありますか。
陽氏:
私はインダストリーコラボレーション(MFG IC)というチームを持っています。
クニエに在籍して20年近くになりますが、入った当初は業務効率化やコスト削減を目的としたプロジェクトが中心でした。ただ、そうした取り組みは一巡し、現在の製造業では主に2つが主要なテーマになっていると考えています。
1つは、変化への対応を前提とした仕組み・組織をつくる取り組みです。以前は、プロジェクトの構想段階で検討した将来像にあわせて要件定義・設計を固めて業務やシステムを作っていました。しかし今は、いろいろなものが変化するスピードが速くなってきています。製品を開発するサイクルも速いですし、製造方法や販売方法も変わってきています。
そのため、何は変わらなくて、何が変わる可能性があるのかを見極めながら変化することを前提とした仕組みをつくったり、業務を整理していったりするようになったことが、近年変わったポイントだと思います。
2つめは、労働者人口不足への対応です。以前から懸念されていたことではありますが、製造業の現場でもいよいよ労働者人口不足が実感として感じられるようになってきました。
この問題への対処として、工場での取り組みとしては「自動化」が挙げられます。自動化は以前から進んでいますが、10年後、どう頑張っても工場のスタッフを確保できないかもしれない危機感が高まっている今、極力人に頼らない異次元レベルの自動化が求められています。
また開発・設計部門でも、ナレッジや経験を持つ人の定年退職が進みます。そんな中、属人的に蓄積された知見をどのように次の世代に継承していくかが大きな課題となっており、この対応を考えるプロジェクトが増えています。
私たちはこういったテーマに、進化するデジタル技術を組み合わせながら、いかに応えていくのかという動きになっています。
――挙げられた課題に対して、MFGとしてどのような価値を提供できるのでしょうか。
陽氏:
基本的には、製造業の環境が変化しデジタル技術も急速に進化していますので、それらをタイムリーに組み合わせてソリューションをつくっていくということだと思います。
製造業の業務に精通し、現場の感覚を持っているということは強みだと思っていますが、企業からお金をもらってサービスを提供しているという点はどのコンサルティングファームでも同じなのではないかと思います。
ただ、この会社に長くいて、「他人を差し置いて」という発想は少ないように感じます。
当然、お客さまである企業の利益が出て成長することは、私たちにとっても目標の1つであり、そこに貢献することがミッションです。でも、他企業は知らず、私たちが向き合っているお客さまだけが繁栄すればいいかというと、そうではないと思っています。
“日本の”製造業とか、“日本の”社会を良くしようという思いの部分が、少し他社と違うのではないかと感じる時があります。日本の10年後、あるいはもっと先を見据えて、思いを持って仕事ができているところが、結果的にお客さまから評価されている理由の1つなのではと思っています。
クニエで得られる成長は「未知の領域への適応力」「スピード」
――プロジェクトを通じて、コンサルタントとしてどのような点で成長できると思いますか。
武井氏:
MFGは特定の業務領域に対するソリューションを持つのではなく、製造業というインダストリー全体に対してのサービスを提供しています。そのため、お客さまの悩みごとは特定の領域に限定されず多岐にわたります。
ですから、幅広い領域に対して提案できるジェネラリスト的なスキルが必要になりますし、加えてスピード感も求められます。「どのようなプロジェクトにも貢献できる適応力」と「スピード」が身につくのが、MFGのプロジェクトの特徴だと思います。
渡邉氏:いろいろな領域のプロジェクトがあるので、その都度その領域の専門家になろうとしても到底追いつきません。その中で私たちが大事にしているのは、自分が得た情報や知識を「抽象化」することです。
例えば、「設計」領域のプロジェクトで得た情報が、「調達」領域では全然関係なくて役に立たないかというと、そういうわけではありません。問題を抽象化することで、他の領域へ応用できるようにする「汎用力」が磨かれると考えています。それが、武井が話した「適応力」だと思います。
また、私が経験してきたプロジェクトの多くは、人数規模でいうとそれほど大きくありません。「数十人規模でお客様とやりとりするのはPMだけ」というようなプロジェクトではなく少数精鋭で取り組むため、若手のコンサルタントにもお客様と直接向き合って仕事をする機会が多くあります。
そうすると、若いうちから自然と「お客さまのために」という意識が身につくようになります。クニエのプロジェクトでは職位が上の方と直接お話しする機会も少なくないので、お客さまの考え方に触れて、自分の考え方をブラッシュアップする経験も積めると思います。
陽氏:
MFGは製造業を対象にしているので、その意味では領域特化しているといえます。ただ、製造業と一口に言ってもいろいろな製品がありますし、業務領域も設計、製造からアフターサービスまでさまざま。売り方も含めて、時代とともにそれらが変化していく中で、あらかじめ全ての知識を身につけておくことは不可能です。
自分にとって未知の領域に対して、「対応しなければならない」とネガティブに捉えるではなく、知的好奇心とチャレンジ精神を持って、楽しみながら能動的に対応していけるマインドが、MFGで仕事をする上では必要だと思います。
最初にもお話ししたように、コンサルタント未経験の方に対するベーススキルの教育に力を入れていますし、成長できるプロジェクトが多数あるので、ビジョンを同じくして、「一緒にやりたい」と思っていただける方にご入社いただいて、ぜひ一緒に仕事をしたいと思います。
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