採用企業インタビュー
自由闊達なオムロン―最先端の研究施設で技術者としての価値を高める
オムロン株式会社
1933年、創業者であり技術者の立石一真氏が独自開発したレントゲン写真撮影用タイマーを初めて市場投入した、立石電機製作所。
現在は、オムロン株式会社として、制御機器、電子部品、社会システム、ヘルスケアといった幅広い事業領域を、世界120カ国でグローバルにビジネスを展開している。
オムロンにおける制御機器事業の要であるのが、「オートメーションセンタ(ATC)」である。今回は、世界各国に37カ所あるATCの1つであり、東京都品川区にある「オートメーションセンタ TOKYO(ATC-TOKYO)」でセンタ長を務める、小澤 一徳氏に、オムロンで働く面白さや、求められる人材像などについて話を聞いた。
全世界で製造の自動化を研究・開発するオムロン
――オムロンの「オートメーションセンタ TOKYO(ATC-TOKYO)」について教えてください。
インダストリアルオートメーション
ビジネスカンパニー
営業本部
オートメーション
センタ長
小澤 一徳 氏
小澤氏:ATC-TOKYO は、オートメーション化された製造現場を再現している施設であり、訪れた人たちがAI、IoT、ロボティクスなどの先端技術を高度に融合させた最新のファクトリーオートメーション技術を体感および実証できるようになっています。
ATC-TOKYO は、オートメーションセンタ(ATC)としては37カ所目で、既に欧米や、中国や韓国、シンガポールなどでも開設し、グローバルに展開しています。
日本では、2011年に滋賀県草津市で開設した「ATC-KUSATSU」が最初です。各国のATC拠点は横ぐしでつながっていて、日々、一緒に切磋琢磨しています。
社内組織におけるATCの立ち位置としては、「国内顧客向けに機器や設備を販売する当社営業本部直下の技術部隊」ということになります。オムロンは、機器や設備を販売することを生業とする、いわゆるコンポビジネスが中心で、かつての技術者は裏方となって技術的サポートを担当していました。
そこからオムロンが大きく体制変更して、われわれ技術者が表に立って、まず顧客が悩む課題についてお伺いして、その解決策(ソリューション)となる技術を顧客の元に届けようと活動しているのがATCです。
全世界のATCの運営には、オムロンのアプリケショーン技術開発を担う、オムロン草津事業所内の技術開発本部もかかわっています。
技術開発本部で新たに開発した技術を必要に応じてATCに移管しつつ、ATC側からも顧客要望に基づいて開発した技術を技術開発本部に渡すといった相互連携をしています。
しかも、それをグローバルで行っているということですね。
――オムロンが、従来の営業や開発の戦略を大きく変えた理由は?
小澤氏:2014年にオムロンは「グローバル業界戦略」を掲げていたのですが、ちょうどその頃です。
コンポーネント単体が各分野や機能に特化して、製品性能の高さをアピールするのみでは、顧客に選んでいただけることはなくなったと考えたのです。
オムロンは昔から、顧客の懐に深く入り込みながら技術サポートすることを強みとしてきた企業でした。
そこで、オムロンの営業と技術、開発の部隊が一丸となり、さらに国内だけではなくグローバルで、そういう動きをしながら課題やニーズを掘り出していこうとなったのです。
日本の製造業は、開発や生産を進めながら、あるいは保全活動をしながら、すり合わせで課題解決をして品質を高めていくカイゼンのものづくりが得意でした。
特に自動車業界では、保全担当者をたくさん抱えているのも特徴です。
オムロン自身も、以前から顧客の現場にいる生産技術者や保全担当者と深くかかわりながらビジネスをしてきていました。
海外企業では、SIer(システムインテグレーター)が中心となって新しい設備を導入するのが一般的ですが、日本企業で中心となるのは生産技術部です。
日本独特の進め方ではありますが、シェアリング、ファクトリーオートメーション(FA)や電気自動車の開発などが加速している今、日本もSI(システムインテグレート)中心の文化に変わっていくのではないかと感じます。
一方で国内製造業の現場で何が起こっているかといえば、積み重ねてきたクローズ技術を用いて自力で、イノベーティブな課題解決やカイゼンができなくなってきているのです。その市場環境に先ほど述べた2014年のグローバル業界戦略がちょうどはまって、以来、売り上げを伸ばしていけたのだと思います。
さらにIoT(モノのインターネット)技術の進化と、コロナ禍を背景としたデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速が掛け合わさる形で、オムロンの課題解決型ソリューションの需要がさらに高まっています。
――国内製造業が抱える人材不足問題と、オムロンのATCとしての役割は?
小澤氏:私自身、オムロンに入社する以前に食品メーカーの生産現場にいたことがあったのですが、三品産業、そのうち特に、最終品メーカーの一次受け、二次受けとなり、かつ地方に拠点を置くような生産現場は、人件費の高騰とコストダウンや短納期化への強い要求、慢性的な人手不足、外国人労働者の流入や管理などの課題を抱えています。
それらの課題から、生産設備を自動化したいものの、生産技術者の手が足りず、かつ保全担当も配置できないような状況が広がっています。
オムロンは、そうした人手不足に置かれる製造業の生産現場に設備を納品する装置メーカーと併せ、装置を使う生産現場のエンドユーザーとも付き合いがあります。
そのため、エンドユーザーの現場に深く入り込む形の課題解決型のソリューションの需要が非常に高まっているというわけなのです。
製造業の人手不足は、1994年ごろのバブル経済崩壊後から始まっていました。
工場の海外移転にともない生産採用人材の絞り込み、就職氷河期といわれた10年くらい新卒採用が滞っている間に、国内の若手人材はオフィスや研究室での業務を希望し、「3K(きつい、汚い、危険)」ともいわれてしまう製造業の生産現場を好まなくなってしまいました。
加えて、2010年以降から問題となっているのが、経済成長を支えてきたベテラン技術者の引退ラッシュです。
国内の少子高齢化と働き手不足は、今後も加速していくことが予想され、国内産業が縮小する傾向になることは否定できません。
そのため、先ほど申し上げたように、製造業も、従来の生産現場と保全が強かった文化から、SI文化へシフトする動きが必至であるといえます。
その一方、日本が過去から得意としてきた繊細で高品質なものづくりは、今後も引き続き、かけがえのない強みになっていくと考えています。
人手不足に悩む製造業での自動化のニーズの中で、ロボットの活用も重要です。オムロンも2015年の米国Adept Technologyの買収を皮切りに、ロボット事業へ本格参入し、中でも搬送分野に注力しています。
さらに人と一緒になって、しかも安全に協働できる「協調ロボット」は、単なる人の代替ではないロボットということで、オムロンならではの強みだと考えています。
オムロンがSIerになることはあり得ません。
そうではなく、オムロンにおける従来の“コンポ屋”としての役割に、SIの要素も加えつつ、なおかつ日本のものづくりの良いところを生かせる付加価値を、顧客と共創しながら、具体的にどのように創出していくのかが、ATCとしての勝負どころだと考えています。
何かを成し遂げたいと強く思うエンジニアに来てほしい
――ATCとして、キャリア採用で求められる経験は?
小澤氏:生産現場でSI文化へのシフトを経験した人、その知見を持つ人にはぜひ来ていただきたいです。
例えば、制御、ロボット、画像処理など様々な業界・業態の生産現場の自動化に必要な技術を経験できる、あるいは扱えるようになりたいと考えている人です。
今、そうしたことができる人材は「引く手あまた」でしょうけれども、オムロンに来ればそういう人材になれるということですね。
社内には、制御やソフトウェアが得意な人材は豊富にいるので、その知見に加えてメカや電機も詳しい技術者がATCに来てくださると、とても頼りになると思っています。
さらに、装置単体にとどまらず生産ラインを設計したり、生産管理ソフトウェア、MES(製造実行システム)とかかわったりした経験がある人は、さらにありがたいですね。
私自身も、食品関係の生産技術者としての現場経験とシステムエンジニアとしての経験を評価してもらってオムロンに入社しています。
――ATCのキャリア採用で、求められる人物像は?
小澤氏:やはり一番は、「自分で何か、成し遂げたい」と思っている人です。
オムロンは全社的に、他社と比較すると自由な雰囲気を有し、社員に思い切ったチャレンジをさせてくれる社風です。社員がチャレンジしてみたいといったことに対して、皆、基本「ノー」と言わない文化なのですよ。
われわれマネージャー陣は、部下からのチャレンジの申し出があれば、「やりたいんだろう? やってみればいいよ」という具合に、許してしまう。
「会社の未来のためにチャレンジすべきこと」であれば、たとえそれが失敗に終わるかもしれなくてもいいのです。
ただし、「未来の絵を描いた以上は、やる」。もちろん私も、他のマネージャー陣も、そのために力を尽くします。
若手の忌憚ない意見も、先輩たちはそれをしっかり受け止めます。
誰かが「聞きたいことがある」「相談したいことがある」と言ってきたら、忙しかろうが、何が何でも時間を取るのですよ。
――過去、オムロンに入社した人が、オムロンを選んだ理由は、どういったことがありましたか?
小澤氏:かつての自分自身もそうだったのですが、「自社のことだけではなく、さまざまな企業のことが知れること」ですかね。
ATCの顧客は、自動車や電機、食品、医療など幅広い業界にいて、技術者は、そのどこにでもかかわれるわけですから。
例えば、自分のキャリアパスが定年まではっきり見えてしまい、「刺激がない」と憂いているような人には、とても魅力的だと思います。
――最後に、ATCへの応募を検討される方へ、メッセージをお願いします。
小澤氏:私がオムロンに入社した時、非常にびっくりしたことの1つが、庶務の若い担当者が、年上の部長クラスの人に手厳しくお説教している現場を目撃したことでした(笑)。
上位下達を旨として学生・社会人人生を過ごしてきた私には、あまりにも衝撃的な出来事であり、人間関係の垣根の低さを感じました。
大企業のはずなのに、まるでベンチャー企業みたいというか―、オムロンのそんな自由闊達な社風こそ、ATCの強みの源泉でもあると私は考えています。
もちろん、ATCの仕事は、苦しいこと、大変なこともたくさんあるけれども、達成できた時の喜びは、お客様からの感謝と相まって、非常に大きいものです。
そうした状況を面白がれる人にとっては、ATCは最高な職場ではないかと思います。
ATCの技術者のおよそ半分は、私のようなキャリア採用です。学歴も問われることがない、完全な実力主義です。
腕に覚えのある人にとって、本当に面白く仕事ができると思います。ぜひ「自己成長に向け貪欲な人」「自らの業務が社会課題解決に繋がることを喜べる人」などが応募してくださることを願っています。
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