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ミドルからシニアエンジニアのキャリア選択のリアル ~
マネーフォワードが語るグローバル組織戦略とチャレンジ~

※本記事は2021年12月16日にJACデジタルが開催したオンラインイベントを一部抜粋・再構成したものです。
イベントフォト

新型コロナウイルスの影響で企業の在り方が変わり続ける昨今。終身雇用も当たり前ではなくなり、市場から求められるスキルや経験も変化し、エンジニアの働き方も多様化しています。

「VUCA」とも呼ばれる不確実なこの世界で、理想のキャリアを形成するためには、どのように意思決定をしていけば良いのでしょうか。急成長を続けるマネーフォワードを転職先に選び、今ではマネジメント側としてエンジニアの採用にも携わるお2人に、キャリア選択の「リアル」を伺いました。

中出 匠哉氏
講師
株式会社マネーフォワード 取締役執行役員 D&I担当 CTO

中出 匠哉氏

ジュピターショップチャンネル株式会社でのITマネージャー業務、シンプレクス株式会社でのFXディーリングシステムの開発統括を歴任。2015年にマネーフォワードに入社し、Financialシステムの開発に従事し、2016年にCTOに就任。
丸山 嘉伸氏
講師
株式会社マネーフォワード CTO室兼マネーフォワードXカンパニーVPoE

丸山 嘉伸氏

SIer、不動産管理システム企業にてエンジニアとして活躍後、ワークフローシステム企業のエイトレッドにて開発本部長、CTOを経験。2019年にマネーフォワードに入社し、金融機関とのアライアンス事業を行うマネーフォワードXにてVPoEとして活躍。
澤 円氏
講師
株式会社圓窓  澤 円氏
元日本マイクロソフト業務執行役員。
現在は、数多くの企業の顧問やアドバイザーを兼任し、テクノロジー啓蒙や人材育成に注力している。
2021年4月より株式会社JAC Recruitment デジタル領域アドバイザーに就任。

1.スピードを重視し、エンジニア中心で成長するマネーフォワード

中出氏:マネーフォワードは2012年5月に設立されました。2017年9月に東証マザーズに上場、2021年6月に東証一部に市場変更し、SaaS×Fintech領域で国内最大級のユーザー基盤を抱えています。バックオフィス向けのSaaSが売上シェアの多くを占めていますが、BtoCの家計簿サービスや金融機関向けのOEMサービスなども扱っています。

澤氏:設立10年目の企業としては知名度が高いと感じます。事業の種類もバランスが良い印象を持ちましたが、どのように成長してきたのでしょうか。

中出氏

中出氏:創業時はBtoCの家計簿サービスだけを扱っていましたが、それがまだ成長段階のうちに、ユーザーからの声をもとにBtoBのサービスを始めました。社内から「小さいベンチャーでなぜ2つの事業をやるのか」と反対を受けながらも、社長の辻が押し切って始めたと聞いています。それ以降も新事業やサービスの立ち上げは続いており、「お金を前へ。人生をもっと前へ。」というミッションを実現すべく、すべての人のお金の課題を解決するサービスを開発・提供しています。

2017年11月時点で241名だった従業員数も、2021年11月には1259名へと急成長しており、そのうち約40%がエンジニアやデザイナーといった開発人材です。今では分業が進みましたが、昔はプロダクトの意思決定者(プロダクトオーナー)をエンジニアが担当することも多く、かなりエンジニアが中心になってモノづくりをしている会社です。

澤氏:ITエンジニアが働くモチベーションとして、クリエイティビティが発揮できることは非常に重要だと思います。

2.転職の決め手は「一緒に働きたいと思える人」

澤氏:お2人がマネーフォワードに転職した理由を教えてください。

丸山氏:前職では取締役CTOを務め、上場というミッションを達成した後に退任を決めました。 これまでの人脈やバックグラウンドとは関係のない場所として、エージェントに紹介してもらったのがマネーフォワードでした。最初に中出と1時間ほど話をしたのですが、面談というより現状の悩みを打ち明けられて。私も同じようなポジションにいたので、中出の気持ちはよく分かりました。

中出氏:課題を抱えていることをお伝えして、それでも一緒に課題解決に取り組んでくれる方と仕事をしたいので、採用の際には自己開示モードになっています。

澤氏:CXOクラスの方が求職者相手に自己開示できることは素晴らしいと思います。目の前にいる人が未来の仲間だと思って話をするのは、スタートアップマインドが根付いている証拠かもしれません。

丸山氏:中出と話をした後、当時のVPoE(※)全員とも話をして、優秀なのに現状に満足せず、ものすごく成長に飢えている人たちだと感じました。
「自分がもっと成長しなくては」という危機感で前職を離れたこともあり、成長意欲の強い彼らと仕事をしたいと思い入社を決めました。

※Vice President of Engineeringの略称。

丸山氏

中出氏:私は事業会社からSIerに転職して働いていましたが、自分の会社の成長のために働く方が楽しいことに気づきました。再び事業会社に移ろうと考えていたタイミングで、たまたま前職で取引をしていたマネーフォワードの創業メンバーのひとりに誘っていただきました。

当時は創業して何年もたっていないマネーフォワードへの転職には不安もあり、今思えばリスクもある判断だったかもしれませんが、一緒に仕事をしたいといってくれる人や信頼できる仲間と働きたいと思い、転職先に決めました。最後の一押しは「人」でしたね。

澤氏:資料や記事に書かれたことと違い、実際に会った「中の人」は入社するモチベーションを高める決定打になり得ますよね。キャリアを人で決めるケースは多いし、結果的にはその方が頑張りがいを持てるように思います。

3.テック系マネジメント層の時間の使い方

澤氏:過去の職歴と今の立場で、気の持ちようや時間の使い方はどう変わりましたか?

丸山氏:取締役はかなり孤独な立場だと感じていました。

部下に話すことは難しいし、別会社の似た立場の人には相談できるけれど、機密情報もあるので本当に全ては打ち明けられません。ですが、今は中出や複数のVPoEがいるので悩みを共有できます。社内に同じような立場の人がいることは心強いですね。

時間の使い方に関して、前職より今の方が忙しいのは間違いありませんが、コロナの影響もあり夜の会食が減ったのは私にとってポジティブな出来事でした。ものづくりをしたいという気持ちが常にあるので、自分自身ではコーディングをしないマネジメントという立場でも関われる方がうれしいです。

中出氏:昔ほど技術そのものに時間を割けなくなってきたので、ある程度の取捨選択が必要になりました。今は新しい技術を試している人に話を聞いて、自分自身で触るべきだと判断したら手を動かしてキャッチアップしています。

澤氏:自分で試すことは重要ですよね。デバイスやクラウドサービスも自分でお金を払わないと、いまいちヒリヒリ感が出ない。僕もマイクロソフトのソフトウェアをわざわざ自分で買って、購買プロセスも含めてユーザーの立場を体験していました。

丸山氏:私は中出よりもマネジメント寄りなので、自分ではあまり技術に触れず、興味がある人のために機会と環境を整えています。技術へのキャッチアップ力は現場のエンジニアの方が間違いなく高いので、そこへのリスペクトは持ち続けています。

4.リモートワークでの生産性管理

澤氏:CTOやVPoEとしてエンジニアをマネジメントする際、リモートワークでの生産性管理にはどのように取り組んでいますか?

中出氏:githubへのコミット数やプルリクエスト数などを、全てのプロダクトで計測・可視化し、マクロな視点で変化をチェックしています。

また、エンジニアの時間の使い方を知るために、「プロダクトの価値向上」「トラブル対応やメンテナンス」「それ以外」の3項目の割合を、毎月1分程度で記入してもらっています。生産性の定義は様々ですが、努力しても計測しようがない部分があるので、簡単な指標をいくつか持つくらいがよいと思います。

丸山氏:基本的には、リモートワークかどうかで生産性は変わらないと考えています。結局は1人1人のエンジニアが働きやすい状況を考えながらマネジメントしていくしかありません。それぞれの能力や状況や希望に応じて、環境を提供することが大事かなと思います。

澤氏:技術のキャッチアップにせよ生産性管理にせよ、中出さんや丸山さんのようにエンジニアとマネージャーの視点を併せ持つ方が複数いて、しかも経営に携わっていることは非常に重要ですね。

テクノロジーに明るい役員が1人しかいない企業では、なかなかほかの役員の同意が得られず、新技術導入の際に値段だけ見て判断したり、本質的でない議論が起きたりしています。エンジニア自身がマネジメント能力を身につけて働きやすい環境を作っていくことは、ひとつの理想形だと思います。

5.英語との向き合い方

澤氏: 丸山さんは現在ベトナムで働いていらっしゃいますが、赴任が決まった際にはどのように思いましたか?

丸山氏:業務で使う英語を学ぶため、日本でスクールに3ヶ月ほど通いましたが、過去にもベトナムのスタッフと働いていたので抵抗はなく、むしろ一緒に働きたいという思いがありました。 ベトナム人にとっても英語は公用語でないのでネイティブよりは聞きやすいし、相手の英語も100%正しいものではないと理解してからは、よりコミュニケーションが取りやすくなりました。

澤氏:マネーフォワードのグローバル展開において、英語の使われ方はどのような影響を持つのでしょうか。

中出氏:海外も含むグループ全体では約31%のエンジニアが外国籍で、日本ではアジア圏を中心とした外国籍エンジニアが15-20%を占めています。私のブログにも記載しましたが、2024年にはエンジニア組織の公用語を英語化しようと考えております。

現在国内では日本語を共通言語にしていますが、日本語オンリーという制約を外せば外国籍の優秀な方が多く仲間になってくれるだろうという感触は持っています。

澤氏:ファーストリテイリングは社内の標準言語を英語にしていますが、これは競合のH&MやZARAにならったものだと聞いたことがあります。この2社は薄利多売というファストファッションの特性を踏まえ、会社設立時から全てのドキュメントを英語にして、最初からグローバルを狙っていました。

エンジニアとしても、英語が使えるとgithubやコンピュータサイエンスの論文から得られる情報が爆発的に増えるので、英語をある程度でも使えるようにしておくことは、自身のキャリアを伸ばすことにつながるのではないでしょうか。

6.ベンチャーと大企業の差をどう捉えるか

澤氏

澤氏:ベンチャーで働くことをどう思われますか?

丸山氏:ベンチャーか大企業かという観点で会社を選んだことはありません。

あくまで会社は箱のようなもので、結局は一緒に働く人がその会社の印象になります。たとえベンチャーで働いていたとしても、協業相手が大きな会社で働いていれば、そちらのカルチャーが持ち込まれることもありますよね。

個人のキャリアとして考えると、必ずしも会社に成長を求める必要はなく、自分が成長できる環境に身を置くことが結果的な安定につながります。私もマネジメント側の人間として、エンジニアの成長スピードに置いていかれた何もできない「老害」にならないよう、成長を止めてはいけないという危機感は常に持っていました。

中出氏:私が経験した3社はすべて入社時にはベンチャーと呼ばれるような会社でした。幸いどこも成長していきましたが、会社が大きくなる中でもっとスピード感を求めるようになり、それが転職のきっかけになりました。エンジニアとして、自分が作ったものを1日でも早く世の中に出したかったという思いがあります。

澤氏:経営層や現場のエンジニアに悪意がなくても、ビジネス上のつながりがある人たちに恥をかかせないために、さまざまなプロセスに極端に時間をかけてしまう事例をよく見てきました。中出さんから見て、スピードが遅くなる原因はどこにありますか?

中出氏:意思決定者の増加や企業の社会的責任もありますが、何よりスピードの維持よりもクオリティを意識しすぎることでしょうか。もちろん2つは相関関係にありますし、両方同時に上げるべきだとは思いますが、会社が大きくなると「スピードを落としてでも必要以上に品質を向上させる」という判断をしがちになります。

丸山氏:品質には「プロダクトとして優れていること」と「バグや不具合が少なく思い通りに動くこと」の2種類があり、私にとって後者は優先すべきことです。どれだけスピードを速くしても、それがお客様にデメリットのあるプロダクトになってはいけないと考えています。

7.マネーフォワードで働きたい人へ

澤氏:最後に、マネーフォワードの選考で見ているポイントを教えてください。

丸山氏:私個人としては、自分が一緒に働きたいと思える人を採用しています。それがどういう人かというと、中途であれ新卒であれ、将来性や成長意欲が強く、リスペクトや謙虚さを持っている方々です。
会社としての視点では、マネーフォワードのカルチャーとの相性を見ています。人と環境は掛け算なので、カルチャーが合わなければ実力が発揮できません。新しく入る方が、すでに働いている人たちとうまく一緒にやっていけるかを気にしています。

中出氏:目の前にある課題を誰かが解決するとは思わず、自分自身で解決してくれる人とは一緒に働いていても楽しいです。マネーフォワードには個人をリスペクトするカルチャーが根付いていると思います。

澤氏:マネーフォワードという大きい主語も重要だと思いますが、丸山さんや中出さんをはじめとする個人との関係のうえで、一緒に働きたいと思えるかどうかが重要なのですね。


この記事の筆者

株式会社JAC Recruitment 編集部

株式会社JAC Recruitment

 編集部 


当サイトを運営する、JACの編集部です。 日々、採用企業とコミュニケーションを取っているJACのコンサルタントや、最新の転職市場を分析しているJACのアナリストなどにインタビューし、皆様がキャリアを描く際に、また転職の際に役立つ情報をお届けしています。

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