ウェビナー開催レポート
スタートアップ「カケハシ」の現役エンジニアに聞く。自身のキャリアパスと組織の在り方
株式会社カケハシ
今回、株式会社カケハシで活躍するエンジニアおよびエンジニアリングマネージャーをゲストに迎え、組織やキャリアに関するウェビナーを開催。スタートアップで働くエンジニアは、どのようなきっかけで転職し、どのようにキャリアを形成してきたのか。カケハシ社の現役エンジニアである新田 智啓氏、松山 哲也氏、種岡 篤志氏を招き、その本音をうかがいました。
スクラムマスターを配置した開発体制で、医療体験に変革を
―まずカケハシについて教えてください。
- 株式会社カケハシ
- 技術広報(新規事業開発 元EM)
- 新田 智啓氏
新田氏:カケハシは、「日本の医療体験をしなやかに」というミッションのもと、患者さんはもちろん、医療従事者に良い体験を提供するサービスを展開しています。創業から7年が経ち、社員数は350人ほど(2023年10月現在)と着実に成長を遂げてきたスタートアップです。
日本医療の課題でもある医療費の高騰や少子高齢化に対し、ITの力を活用して、サステナブルで高品質なシステムや仕組みの構築に取り組んでいます。現在主力事業としているのが、薬剤師が行う服薬指導のサポートや患者さんの薬歴管理の効率化を図る、調剤薬局向けのプロダクト「Musubi(ムスビ)」です。
その他、薬局と患者さんをつなぐアプリ「ポケットMusubi」や薬の在庫管理のデジタル化や発注業務を最適化する「MusubiAI在庫管理」など、計5つのプロダクトを提供しています。
これまで薬局と患者さんの体験を向上させるサービス開発に軸足を置いてきましたが、最近は当社が蓄積してきた、医薬品卸の企業や薬局、患者さんとのデータなどを活用し、医療全般をより良くサポートする新規事業の立ち上げを検討しています。
―開発体制についてもお聞かせください。
新田氏:カケハシでは、アジャイル開発のスクラムを採用しています。
最近はスクラムによる開発が増加傾向にありますが、当社のように専任のスクラムマスターを配置する組織はまだ多くありません。そのくらい開発組織を重視している会社でもあります。
既存顧客、薬局、薬剤師など、ステークホルダーと直接コミュニケーションを図り、顧客解像度を高めながら開発に臨んでいます。最新の技術や尖ったスキルに頼るのではなく、使う人のプロダクトを利用する価値にフォーカスした上で、モダンな技術を駆使しながら開発する方法も当社の特徴の一つです。
私たちは、プロダクトのリリースをゴールではなくスタート地点だと捉えています。どのプロダクトもまだ成長期の段階ですので、新たなプロダクトの開発やブラッシュアップに取り組んでくれるエンジニアを今後も大勢迎えたいと思っています。
―松山さんが2016年、種岡さんが2019年、新田さんが2020年に入社されていますが、カケハシに転職した理由やきっかけを教えてください。
- 株式会社カケハシ
- Pocket Musubi テックリード
- 種岡 篤志氏
種岡氏:私は、将来性のある医療サービスを扱っていることと、前職で面白さを実感した新規事業に携われることに魅力を感じました。日本の人口減少と高齢化に伴い、医療業界には変革が求められていると漠然と感じていました。DXを通してその課題解決へと励むカケハシに貢献したいと思い、転職を決意しました。
新田氏:転職の理由の一つは、前職とは異なる開発経験を積めると思えたことです。
前職では、大規模なアプリケーションの一部機能の開発を担当していましたが、自分の領域が限られている感覚がありました。そのため、新しいアイデアをプロダクトに反映したり、組織を構築したりするキャリアを模索していました。
カケハシを知ったきっかけは、スカウトを通して声をかけられたこと。比較的小規模な会社でありながら、スクラムなどのアジャイル開発手法を高いレベルで実行している点に魅力を感じ、転職しました。
松山氏:私は、現在カケハシでCTOを務める海老原からの誘いがきっかけです。
以前は大手電機機器メーカーで働いていましたが、30代後半になり、ITベンチャーで経験を積みたいと考え、転職を決断。その時に出会ったのが海老原で、確固たる信念や思想を持つ人柄に惹かれ、一緒に働きたいと思ったのです。
自分のキャリアを考えた時、次世代に何か価値を提供できる分野として、医療、農業、教育などに興味を持っていたため、医療領域に特化した事業を展開するカケハシに縁を感じ、転職を決めました。
スタートアップでも、成長フェーズによって求められる役割や責務が変わる
―スタートアップへの転職に、不安はありませんでしたか? 特に創業期に入られた松山さんはいかがでしたか?
- 株式会社カケハシ
- Musubi テックリード
- 松山 哲也氏
松山氏:カケハシへの転職に関しては、不安はあまり感じませんでした。
ただ、もともと大手メーカーで10年以上開発に従事してきた私にとって、ITベンチャーやスタートアップという世界は、まるで新世界。自分のスキルが通用するか、不安を抱えていた時期はありました。
しかし転職を経て、プロダクトをイチから作り上げた経験などを通して、エンジニアとしての自信もついていきました。カケハシに入社する時も、万が一、会社が倒産しても、次があるだろうと構えていられましたし、むしろ期待感の方が大きかったです。
経営陣の2人もとても情熱的で、目を輝かせながら事業について語っていました。さらに海老原の存在も後押しし、ここでなら何か成し遂げられるかもしれないと、ワクワクしたのを覚えています。
新田氏:私も不安はありませんでしたね。転職前はスタートアップに対して、組織規模も小さく 、雑居ビルのような場所で働いているというイメージを持っていました。しかしカケハシは、私が入社した時点で既に100 人以上の社員が在籍していて、評価制度なども整備されており、一般的な企業とそれほど変わらない印象でした。もちろん、転職に対する不安は多少あったと思いますが、「カケハシだから」「スタートアップだから」という不安はありませんでした。
種岡氏:私は少なからず不安はありました。まず、スタートアップにいるエンジニアはスキルが尖っているというイメージがあり、彼らと同じ目線でコミュニケーションを図れるくらい自分に技術力があるのか心配でしたね。
タイトな納期や過剰労働に対する懸念もありました。しかし面接の際に松山さんと話す中で、カケハシに入社することで養える技術や考え方があるという想いが強くなり、転職に対するリスクは気にならなくなっていきました。
結局入社してみると、不安に感じていた点も杞憂に終わりました。確かにスキルの高いエンジニアは多いですが、彼らとのコミュニケーションに困ることはなく、むしろフォローやサポートを積極的にしてくれます。過剰労働とは程遠く、むしろ自由度が高い働き方にも驚きました。子どもの体調不良などの場合にも、休んだり中抜けしたりしても問題ありません。フレキシブルに働ける環境があります。
―お子さんをお持ちの社員の方も多いでしょうか?
新田氏:はい、子どもがいる社員は多いです。カケハシでは、開発体制の特性も踏まえ、セルフマネジメントができることを期待されています。
自分の力を発揮しつつ周りの状況を見ながら判断できる社員は、家庭と仕事のバランスを取ることもできる。一定レベルの仕事を遂行し、自分自身の技術的な強みを活かし、タスクをコントロールすれば、家庭とも両立できる会社だと思います。
―転職後、印象に残っているエピソードはありますか?
新田氏:苦労したことは、開発体制の整備です。私はAI在庫管理というプロダクトの立ち上げフェーズで入社したのですが、まだ開発組織が整っておらず、いわゆるカオスな状態。私は開発ディレクターという役割を担っていたので、カオスな状況を整えるために必要となるタスクのリストアップや開発プロセスのアプローチを考える過程は大変でした。
また社員が急増しているタイミングでもあったため、採用や組織構築をする中で、手が回らない業務もあったことは、少し悔やまれる部分でもあります。
しかしありがたいことに、入社してくれたのは優秀で協力的な人材ばかり。私がチームに深くかかわれない時でも、チームメンバーが自主的に、メンバー同士で協力して開発を推進する姿勢に助けられました。
カケハシは自由度が高いがゆえに、自分たちの力で問題を解決する文化があります。特にチーム全体で取り組むことに重きを置いている。そうした経験を積めたことは、自己成長にもつながっていると感じています。
種岡氏:私も新田さんと同じように、サービスの立ち上げのタイミングで入ったので同じような課題は感じていました。
ゼロイチを作るプロセスでは、メンバー間で意見がぶつかることもありましたし、開発が停滞することもありました。それは社員が強い責任感を持ち、自分の意志を持って行動していることの裏返しでもありますが、もう少しうまく対応できる方法があったのではないかと今では思います。
一方楽しかったことは、ゼロベースから開発に参加し、事業の成長とともに自分自身も成長できたことです。特に、自分が担当した機能の追加や改善がサービスに反映され、患者さんの生活や体験にダイレクトに影響を与えられる点は、大きなやりがいとなっています。その中で得られたスキルも経験も、かけがえのないものですね。
またカケハシで働く魅力の一つは、失敗を恐れずに挑戦できる環境があることです。
経営陣からも「失敗から学ぼう」というメッセージが発信されており、それが私たちの行動を後押ししています。私自身もさまざまな失敗を経験しましたが、その経験を次のステップへと繋げようとする文化があることは、とても心強いです。
松山氏:カケハシには7年程在籍していますが、組織の変化に応じて大変な時も楽しい時もありました。スタートアップは創業期が一番大変と考えている方もいるかと思いますが、初期はコードも書けていましたし、私はそこまで大変ではありませんでした。
その状況が大きく変わったのが二年前、それまでは小規模な薬局を顧客としていたのですが、みなさんも名前を聞くような大手薬局チェーンへの導入が始まったのです。採用や体制構築にリソースが取られ、コードを書く時間が一切無くなってしまったのです。やはりその時は苦しい部分もありました。
成長期は大変ではありましたが、組織が拡大していく過程を間近で感じられましたし、会社が置かれている環境や状況によって、社員に期待される責務や求められる力も変わるのだということを痛感しました。
不安を力に変えて、自己成長を果たせるカケハシへの転職
―スタートアップならではのやりがいもあるかと思いますが、いかがですか?
種岡氏:自分自身が事業やサービスを育てているという実感は、どの会社にいた時よりも強く感じられます。
カケハシでは、エンジニア職や企画職といった職種に関係なく誰もがアイデアを発信できますし、そのアイデアをもとにチーム全体で練り上げてゴールを見つけていきます。そのプロセスはとても面白いですし、サービスを作る上での大きなやりがいになっています。
新田氏:事業の成長とともにエンジニアとしてだけでなく、ビジネスパーソンとしても大きく成長できることです。 サービス開発をする上で目的やミッションはあるものの、そこに向かうための方法に対する正解はありません。変化するスピードも速いため、方向転換しなければならないタイミングも多い。そうした状況の中で重要となってくるのは、自分たちの強みを活かしながら意思決定すること。 もちろん意思決定した結果、失敗することもあると思いますが、それら全てが経験値となり、自身のレベルアップに繋がる。さらに自分の仕事を自分で管理し、どの案が良いかを自分で決めるセルフマネジメントの能力も培われます。こうした経験を積めることこそ、カケハシで働くやりがいだと思います。
松山氏:私は、自分の仕事が社会貢献につながると感じられることです。
日本の社会課題の一つでもある医療の分野に、微力ながら貢献できるカケハシのビジネスは、とても価値あるもの。私が作ったプロダクトが薬剤師さんの仕事効率化や患者さんのQOL向上につながっていると思うと、大きな幸せとやりがいを感じます。
50代に差しかかる年齢となった今、残りの人生について考えることが増え、何か一つでも「これをやり遂げた」と思って人生を終えたいと思うようになりました。その目標に向かって日々努力し、少しずつでも前進していると感じられることも、カケハシで働く喜びですね。
―ワークスタイルについてもお聞きします。現在フルリモート体制とのことですが、メリット・デメリットはありますか?
新田氏:私はコロナ禍の入社だったので、カケハシではフルリモートしか経験していませんが、正直業務を進める上で困ることはありません。
もちろんオフラインでのコミュニケーションと比べて、距離は感じますし、その違いは確かに存在します。しかし、カケハシでは数カ月に1回程度、オフサイトという形で全員が集まり話す機会を設けているため、フルリモートでのコミュニケーションでの課題などは解消できていると思います。
松山氏:私もそんなに困っていないですね。というのも、やはり自主的に動くメンバーが揃っているという前提があるからこそ、フルリモートでの体制が成り立っているのだと思います。強いて欠点を挙げるとすれば、パッションや情熱といったものは、同じ空間にいる方が伝わりやすいかもしれませんね。
種岡氏:フルリモートのメリットとしては、地理的な制約がないことが挙げられます。
私のチームには、北海道や沖縄、イギリスのロンドンから仕事しているメンバーもいます。もちろんリモートでも円滑に業務を進められていますし、デメリットには感じていません。
松山さんもパッションの話を挙げていましたが、やはりリモートでの業務は密なコミュニケーションを取ることが肝心です。できるだけ雑談の機会を増やしたり、意図的にでも5分話す時間を設けたりと、意図的にコミュニケーションを図る時間を作るよう心がけています。
―最後に、初めての転職に不安を感じている方やスタートアップへの転職を検討している方に、メッセージをお願いします。
新田氏:不安もあると思いますが、どの選択をすれば成長できるかという視点を大事にして転職をしてほしいです。成長意欲が強ければ、例え失敗したと感じても学びはあり、プラスに転換できるはず。
カケハシについて分からないことや聞きたいことがあれば、いつでもカジュアル面談に来ていただいて構いません。応援しています。
種岡氏:私自身、入社当初は技術力に不安を抱いていましたが、周囲の人々から学び、自分が貢献できる分野を見つけてインプットを続けていくことで、技術的な成長を遂げることができました。
何か一つでもコアな強みを見つけて伸ばしていった方が、事業や会社への貢献にも役立つはずです。もし不安を感じている方がいたとしても、カケハシには、自分の強みを見出して周辺知識を深めながらエンジニアとして成長していける環境があることを知ってもらいたいですね。
松山氏:私も初めて転職した時は不安しかありませんでした。
でも、例え不安があったとしても、チャレンジする価値はあります。実際私も、不安に押しつぶされそうになりながらも、今日まで楽しく働くことができました
皆さん不安をお持ちだと思いますし、私も今でも不安があります。
子育てをしていると勉強や自己研鑽がおろそかになり、このまま10年間もエンジニアをやっていられるのだろうか、と心配になるのです。しかし、そうした不安が時に成長への糧にもなり得ますし、不安を持つことは決して悪いことではありません。不安をエネルギーに変えて、新たな挑戦に踏み出してほしいと思います。
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