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【イベントレポート】組織に依存しない「スペシャリスト」としてのキャリアの歩み方――副業でスキルに磨きをかける方法とは?

イベントレポート

終身雇用の時代においてはマネジメントに進むことがキャリアアップと同義でしたが、VUCA(※1)とも呼ばれる不確実性の高い現代では、自分のことを知り、主体的にキャリアを創っていくことが求められます。しかし、マネジメントとは異なる、スペシャリストとしてのキャリアアップを目指そうとすると、具体的なイメージが持てないと感じる方も多いのではないでしょうか。
※1 ブーカ。Volatility、Uncertainty、Complexity、Ambiguityの頭文字を取った言葉。社会環境の将来予測が困難な状況のこと

そこで今回のイベントでは、UXデザイナーとして「スペシャリスト」のキャリアを築いた助松裕一氏をお招きし、副業や兼業を中心にキャリアの支援を行うJAC Recruitment IMS事業部の三浦功嗣、大手外資系IT企業の業務執行役員として活躍されたJAC Digitalアドバイザー澤円氏を交え、「スペシャリスト」というキャリアについて深掘りしていきます。

※ 本記事は2023年2月22日にJAC Digitalが開催したオンラインイベントを一部抜粋・再構成したものです。

<講師紹介>

助松 裕一氏
助松 裕一氏
  • 助松 裕一氏
    UXデザイナー
    大手日系Sier企業、ベンチャー企業、大手外資IT企業での在籍経験を持つ。 大手自動車メーカーを始め、大手製造工作機メーカーなど、製造業DXを中心に経験。製造業以外では大手航空企業、大規模スマートシティ参画企業に対して、UXを基軸としたクライアントの新規ビジネスに、ビジネスデザイン、サービスデザイン観点から開発に従事。新規事業での副業、起業も経験。
澤 円氏
澤 円氏
  • 澤 円氏
    株式会社圓窓
    株式会社圓窓 代表取締役。元日本マイクロソフト業務執行役員。現在は、数多くの企業の顧問やアドバイザーを兼任し、テクノロジー啓蒙や人材育成に注力している。
    2021年4月より株式会社JAC Recruitment デジタル領域アドバイザーに就任。

―1. スペシャリストとして新しい環境に適応するマインドセット

助松氏:私は自動車ディーラーの営業からキャリアを始めましたが、自分のやりたいことを求めて転職を繰り返しています。趣味のバンド活動でグッズを作るためにAdobe PhotoshopやIllustratorなどのソフトを使っていたこともあり、まずはデザイン関係の仕事に移りました。あるとき「UXが来る」と予感してからはそのスキルを磨き、大手自動車メーカーの開発やマーケティングに関わるなど、UXを起点にしてサービスやビジネスデザインの領域で業務支援をしています。
私にとって、仕事は自分を最大化させる手段です。スキルを貪欲に身につけることで、スペシャリストとしての価値が上がり、仕事のアウトプットにもつながってきました。これらのすべてのモチベーションは「お客様の課題を解決すること」にあり、スペシャリストとして活動することの指針にもなっています。

澤氏:助松さんは8回の転職を経験していますが、未経験の業界やポジションに転職した際、そこでうまく適応していくためには、どのようなマインドセットが必要だったのでしょうか。

助松氏:最初のころはあまりにも自分本位な働き方で、それが原因で30歳ごろに大きな失敗をして、お客様からお叱りを受けました。そこから顧客課題の解決をトッププライオリティに置くマインドセットへと変化しました。また、私はゼロからの事業立ち上げや新しいことに興味があるため、自分だけでは力が及ばないこともよく経験します。その際には、自分一人でなんとかしようとするのではなく、すぐに周りのメンバーに頼ることを心がけています。

―2. できないことを伝えると、チームのパフォーマンスが上がる

三浦:私が所属するJAC RecruitmentのIMS(Interim Management Solutions)事業部では、副業や兼業といった、転職に限らない新たなキャリアや働く機会を紹介しています。助松さんのようなデジタル領域でのスペシャリストは、まさに今のマーケットに不足しており、多くの企業が求めている人材だと感じました。

澤氏:副業という働き方では、本業の仕事に取り組みながら、それと同時にキャリアの幅を広げていく姿勢が求められます。これから副業を始めようとする方に対して、何かアドバイスをいただけますか?

三浦:スペシャリストとして自分のスキルやタグを磨くことも大事ですが、助松さんのお話にもあった「仲間を大切にすること」は、副業で生かせるマインドセットです。なぜなら、3カ月や半年という短期間のプロジェクトの中では、自分とチームのパフォーマンスを最大化させるためのコミュニケーションが、いつも以上に求められるからです。自分のできることだけでなく、「できないこと」を理解して明確に伝えるスキルは、副業の現場で大いに役立つでしょう。

澤氏:自分のバリューが下がることを恐れて、「できないこと」をカミングアウトすることに抵抗を持つ方は多いですよね。そうならないためには、心理的安全性が守られる人間関係が前提になります。そのうえで、自分に「ついていない」タグを理解して周りに伝えることができれば、必然的に自分の強みにフォーカスした活動ができるようになるでしょう。

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―3. 副業は自分の強みを生かせる分野から

澤氏:会場から質問をいただいています。「自分の好きなことや得意なことには気付けても、そこからキャリアを広げていく方法がよくわかりません。自分のキャリアの枝葉を広げるために必要なことや、アドバイスがあれば教えてください」とのことですが、いかがでしょうか。

三浦:ご自身の一番の強みをしっかり理解して、それを軸にピボットしていく方法がおすすめです。まずは数カ月や半年の間、自分の強みを生かせるプロジェクトに関わってみると、そのなかでキャリアの枝葉のイメージが具体的になっていくと思います。弊社のIMSサービスをご利用いただく際も、初めて副業や独立をするときには、その方の一番大きなタグが生かせる働き方を推奨しています。

澤氏:自分の強みを理解して、それを軸足にして行動できれば、トラブルが起きても立ち戻れるという安心感もありますよね。よく耳にする「転職や起業は不退転の覚悟で取り組まなければいけない」といった言葉を真に受ける必要はまったくありません。必ず保険をかけて、命綱がある状態で踏み出した方がいいです。「いろいろな制約があっても、月にこれぐらいは稼げる」という確証があれば、より大きなチャレンジができるようになります。

―4. スペシャリストとマネジメントは行き来できる

三浦:とあるメーカーのIT部門長を務めている方にIMSサービスをご利用いただく機会がありました。その方は現在、別業界でのERPシステム開発のプロジェクトマネジメントに、副業の立場として関わっています。もともとERPに特化したスキルをお持ちでしたので、定常の業務が副業にも生かされている好例だと思います。

澤氏:その方はERPのスキルという強みを生かしながら、本業ではチームをマネジメントし、副業ではプロジェクトをマネジメントしているのですね。マネジメントの経験は、こうした幅広い場面での活躍にもつながっていきます。
かつて僕がマネジメントしていたチームには、本部長経験者が二人もいました。マネジメントの立場からチーム内のスペシャリストへと転身した形ですが、マネージャーの働き方を理解している方たちだったので、一緒にいてとても働きやすかったです。

助松氏:私も一時期20名ほどのメンバーをマネジメントしていました。今はもうすこしわがままに自分の好きなことに取り組んでいますが、マネージャーの経験は楽しかったですし、やってよかったと感じています。

澤氏:助松さんはマネジメントを経て、今はスペシャリストとしてのキャリアを楽しんでいるのですね。個が重視されるWeb3.0の文脈では、ある程度わがままであることは重要ですし、スペシャリストとマネジメントがお互いに尊重しあえると、チームの中でのバランスが取れるのではないでしょうか。

―5. 副業に年齢制限はない

澤氏:三浦さんは副業に年齢制限があると思いますか?

三浦:結論から言うと「ない」ですね。むしろ、スペシャリティが尖れば尖るほど、シニア層の付加価値は上がる傾向にあります。その方のスキルや人脈、人柄といったソフトスキルがスペシャリティと組み合わさることで、市場でも希少な存在になっていきます。

澤氏:何も考えずに同じ会社に居続けて、その会社のスペシャリストになってしまうのではなく、さまざまな場所で活躍できる汎用的なスペシャリストを目指すことが大事ですよね。会社にとらわれないスペシャリティは、その人自身で磨いていくことが求められるので、いわゆるお手本のような事例は多くありません。そんな中でも、助松さんはやりたいことに正直に取り組んだ結果、汎用的なスキルが身につき、クリエイティビティを発揮できているように感じました。

助松氏:自分で手を動かして作ったものが完成したときには、やはりうれしかったですね。ある意味、究極の自己満足を楽しんでいるのかもしれません。

三浦:副業は自分から手を挙げて取り組むものですから、ご自身で楽しさや愛着を感じるものでなければ、モチベーションを得られません。スペシャリストとしてのキャリアアップにつながる副業に取り組むためには、自分が快適に感じ、活躍できる領域を見つけることがとても重要なのだと思います。

―6.質疑応答

Q.副業から業務委託(個人)での活動に至るまでには、どのくらいのスパンやステップがあるのでしょうか。

澤氏:バイネーム(名指し)で仕事を依頼される場合は、頼まれたその日から個人での仕事が始まるととらえていいでしょう。スペシャリストとしてのタグと、ニーズが一致している状態を周囲に認知させられれば、個人宛の仕事がもらえるようになると思います。

Q.副業や独立をした際、どのように自分の提供するものの価値(価格)を決めましたか?何となく認識している相場に合わせれば無難かなと思いつつ、自分の提供するものがそれに相当するのか悩んでいます。

助松氏:言い方は乱暴かもしれませんが、まずはふっかけるような感覚で金額を提示します。自分がどこまで買ってもらえるのかを試すように提案して、そこから仕事の内容や自分の感覚に合わせてバランスをとるようにしています。

澤氏:僕は、物事は安請け合いしますが、安値では受けないように決めています。助松さんのように独自性の高いスキルやコンテンツを持つ場合、いっそう安売りしてはいけません。バリューがあると思うのであれば、自分が適正だと信じる価格で相手に提示するのが鉄則です。安くすることが善であるという価値観や、お友達価格で安くするようなカルチャーとは距離を置きましょう。

Q.マネジメントを経験したことがない普通の会社員(営業)です。自分の得意なもののタグが上手く作れません。タグをつけるコツを一つお教えいただけるとうれしいです。

澤氏:タグを意識的につけるのであれば、徹底的に没頭するしかありません。時間と熱量を注ぐという意味では、紐で結ぶのではなく、溶接するようなイメージが近いでしょう。得意なものに没頭する期間を作って、そのことをひたすら発信したり、タグをつけてツイートしたりするのはいかがでしょうか。

この記事の筆者

株式会社JAC Recruitment 編集部

株式会社JAC Recruitment

 編集部 


当サイトを運営する、JACの編集部です。 日々、採用企業とコミュニケーションを取っているJACのコンサルタントや、最新の転職市場を分析しているJACのアナリストなどにインタビューし、皆様がキャリアを描く際に、また転職の際に役立つ情報をお届けしています。

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