採用企業インタビュー
AIで在庫問題を解決するSaaS「FULL KAITEN」の開発ストーリー。
大量生産・大量廃棄の小売業を変革――同社で働く魅力とは
フルカイテン株式会社
撮影場所: WeWork 日比谷FORT TOWER
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- フルカイテン株式会社 代表取締役CEO 瀬川 直寛氏
- 在庫分析SaaS「FULL KAITEN」を開発し、小売業が抱える在庫問題をデジタルの力で解決する企業がフルカイテンです。
創業者で代表取締役の瀬川直寛氏は、夫婦で起業したベビー服のECサイト運営で経験した不良在庫問題をきっかけに現在のサービスを考案。独自開発のAIを活用したSaaSは大手企業の導入実績も多く、これまでに累計で20億円の資金調達を果たしています。
急成長の要因とフルカイテンが求める人材像について、瀬川氏にお話を伺いました。
現実的なAIで、疲弊する小売の現場を救うSaaS
―2023年に8億円の資金調達が完了し、社員を45人から70人まで増員することを発表されています。業績も右肩上がりで成長していますが、どのような業界で売り上げを伸ばしているのでしょうか。
弊社は小売業やSPA(製造小売業)に特化していますが、契約企業の約6割がアパレル業界のお客様です。残り4割は雑貨・食品・眼鏡・家電などのお客様で、最近ではGMS(総合スーパー)のような複数の商材を扱う小売業との取引も始まっています。
GMSは定番商品中心の品揃えである一方で、在庫を多く抱えすぎる傾向があります。そういった定番品で死に筋が生まれないようにしつつ、小さな値引率で効率的に在庫消化する目的でFULL KAITENを採用いただいています。
―売り上げを最大化しつつ在庫消化できる値引率の提案も可能でしょうか。
商品ごとに売り上げ・粗利が最大化される売価や、販売数量が最大化できる売価をAIで予測する新サービスを2023年9月にリリースする予定です。定価での販売が難しい商品のデータをFULL KAITENで解析すれば、適正な売価を提案して在庫消化することが可能になります。
―AIの活用方法は企業によって異なり、企業の特色がうかがえるポイントです。貴社ではどのようにAIを活用しているのでしょうか。
弊社はAIで完璧な予測はできないというスタンスです。
アカデミックな世界でフォーマットが整った「きれいなデータ」が大量にあればAIでの需給予測は可能かもしれませんが、実社会のデータは量も少なければ、欠損しているものもあり、異なるフォーマットが混在している状態です。
そんなデータを使って完璧に予測することは不可能です。
ですから、弊社では参考指標として使えるデータを出し、最終判断はお客様に委ねるというスタンスでAIを活用しています。「なんでもできます」と言って、お客様を裏切るのではなく、できること・できないことを明確化したほうが、お客様にとって誠意があると感じています。
ですから、今後のトレンド予測のようなAIでは対応が難しい機能は盛り込んでいません。当社はAIよりも、人の力を信じている組織です。
在庫分析SaaS「FULL KAITEN」
FULL KAITEN使用イメージ
事業成長に正比例して、経営の視座が高まる
―貴社は「世界の大量廃棄問題を解決する」というミッションを掲げています。瀬川社長がベビー服のECサイト経営で経験した在庫問題が原点とうかがっていますが、どのような経緯で現在のミッションに行き着いたのでしょうか。
私自身、不良在庫の問題で3度倒産の危機を経験しています。だからフルカイテン創業当初は経営者を在庫の悩みから解放したいという、私個人の野望に近い動機から始まりました。
実際に事業を始めると、大企業からの問い合わせが多く寄せられました。エンタープライズ市場になると、在庫の規模も大きくなるので、運用方法を少しでも間違うと一気に経営危機に直面するケースもあります。
少ない在庫で事業が回るようになれば大量生産する必要もなくなり、大量廃棄問題もなくなり、地球の資源も守られるということを大企業のお客様から学び、現在のミッションに行き着きました。
自分自身の悩みから始めた事業が成長するにしたがって、経営者としての視座が上がっていきました。
同時に経営方針にも大きな影響がありました。エンタープライズ市場に注力して、お客様から預かった大量のデータを統合して、市場全体のデータから高精度な予測を提供することで、社会全体に貢献できるという戦略にも行き着き、現在の事業成長につながっています。
同じ痛みが理解できるからこそ、顧客に貢献できる
―先ほど「AIよりも、人の力を信じている」と仰っていましたが、カスタマーサクセスには小売業界出身の方が多いそうですね。
営業やカスタマーサクセスには小売業界の知見が欠かせませんので、業界出身者の方が活躍しやすい傾向はあると思います。小売業界でマーチャンダイザーやディストリビューター、店舗運営に関わった人であれば「自分が希望するデータがあれば、もっと成果が出せるのに」と悔しい思いをされている方がたくさんいます。
システム部門を抱える大手の小売企業でも、現場のスタッフの方がシステム部門にデータをリクエストすると、ローデータの状態で来るので、自分で必死にマクロを書いて加工するというケースがあります。
一方でフルカイテンに入ると、小売業界にいたら欲しかったデータがあり、できなかった事が実現する環境があります。自分がお客様側の業界にいたときに苦労したことや困った経験も自ら経験しているので、お客様の言葉を聞いただけで課題を理解できます。
深い共感が根底にある上で効果的な支援ができるので、結果として高いパフォーマンスを発揮できるのだと思います。
―店間移動(店舗間やECモール間での在庫移動)に関する機能もリリースされていますが、こうした機能も業界への深い知見があるからこそリリースできたわけですね。
店間移動の機能は非常に好評です。実情として全店舗・全商品で適切に在庫移動ができている企業はほとんどありません。というのも、扱う商品が1000点あって、店舗が100店あったら、10万通りの在庫の移動パターンが存在するので、人の力だけでは適切に判断できないわけです。
売れ行きが好調な週末が明けて売り上げのデータ集計だけで月曜までかかり、水曜日には次の週末に向けて店間移動の指示をしなければいけないので、店間移動は火曜日しか考える時間がありません。
FULL KAITENを導入することで、クリック数回でレポートと予測データが直ちに出ます。しかも、できるだけ近い店舗間での移動を優先するといった、実務に必要なロジックも考慮したパターンを提案します。
―お客様にダイレクトに貢献でき、わかりやすく成果が出る機能ですね。アップセルやクロスセルを生みやすいサービスだと思います。
弊社では最初の契約段階ではフルパッケージでの導入ではなく、一つの機能をいくつかの店舗で試験的に導入するようにしています。そこで成果をしっかりと体感していただいた上で、お客様の課題に応じて契約範囲を拡大していく戦略をとっています。
こうしたカスタマーサクセスのシナリオは再現性を重視していますが、それが有効なのは7割程度。残りの3割はカスタマーサクセスのスタッフ自身の能力や努力で実るものだと思います。
ミッション達成と働きやすさの両立を目指す柔軟な組織
―貴社は大阪が本社ですが東京と長野にもオフィスを構え、リモートワーク勤務制度も導入されています。社員の5割が育児中ということで柔軟なワーキングスタイルを採用されています。
会社が目指している成長スピードに事業の進捗が追いつかず、採用を強化している段階ですので、決して楽ができるわけではありません。しかし、入社した社員が年齢を重ねると共に、ライフステージが変わっていった先でも働きやすい環境を変わらず提供したいという思いから、さまざまな仕組みを取り入れています。
現時点では仕組み化・制度化できていない部分が多いので、各管掌役員の裁量で社員が快く働ける環境を構築できるようにしています。
私自身も子どもを育てる環境を考慮して、長野に移住した経緯があります。社長が自らライフステージに応じた柔軟な働き方を実行しつつ、会社の成長にもフルコミットする姿を見せることで、社員にも同じように働いて欲しいという思いがあります。
―ハードワークが欠かせないフェーズである一方で、個々の社員が無理なく生活とのバランスを維持できるよう考慮されているわけですね。
3カ月に一度は全社員が集まる会議を実施して、全社員同士で話し合える時間を作るようにしています。チームビルディングの機会を定期的に設けることで、拠点が離れていても互いに尊重し合い、絆を深められるように心がけています。
そういった取り組みもあって、他者に対する敬意を持った社員が多いと感じています。誰かの成果を素直に「すごい」と言える一方で、お互いに対する要求もリスペクトを持って言い合えるフラットな環境が自然とできていますね。
―現在、さまざまなポジションで中途採用を進めていますが、フルカイテンで働く魅力はどんなところにあると思いますか?
お客様の経営課題や定量的な成果に向き合える点にあると思います。私自身、ITベンダーで営業職の経験があるのですが、自分の売ったものがどのように価値を創出できているかわからない点に不満を感じていました。
フルカイテンの営業職はお客様に提供できる価値が明確なので非常に売りやすいサービスですし、他社との差別化に苦しむこともありません。営業活動を進めながら、事業課題の改善に取り組み、その結果は直ちに数字に現れます。
プロジェクトの規模も大きくなり、カスタマーサクセスに引き継いだ後も効果が可視化されるので、営業として貢献できている実感が沸きます。こんな面白い仕事があるだろうかと、私自身も手応えを感じながら営業活動をしています。
日本の小売サプライチェーン全体をカバーするSaaSへ
撮影場所: WeWork 日比谷FORT TOWER
―最後に今後の事業展開について、お聞かせください。
現状は小売・SPAの本社側向けの機能が中心ですが、今後は店舗向けの機能を積極的にリリースする予定です。
具体例を挙げると、これまでの売り上げデータをもとに適切な発注タイミングを店長に伝える「店舗発注機能」、自分の店舗の売れ筋上位商品や合わせ買いされている「商品の組み合わせリスト」、そしてベンチマークしている「店舗の売り上げが把握できる機能」を盛り込む計画です。
これらの機能は店長だけでなく、地域の店舗を統括するスーパーバイザーも活用できるように準備を進めています。
欲しい情報が見やすい形で手に入ることによって、より効率的な現場主導の店舗運営が実現します。
一方で、サプライチェーンの川下にいる小売だけでなく、川中にいる卸や商社向けのサービスも2024年を目標に投入予定です。ゆくゆくはサプライチェーン全体をカバーするソリューションの提供を目指しています。
当社は年商30億円以上のお客様が中心で、現時点で各社の全チャネルの売り上げデータや在庫データをお預かりしています。金額ベースでは8,000億円相当のデータですが、おそらく来年には1兆円規模に到達する見込みです。
そこに来年から商社や卸のデータも合流すると、フルカイテンの予測結果を使わないとビジネスが成り立たないという状況になるでしょう。
こうしたプロセスでSaaSを充実させ、在庫問題を日本全体で解決できれば、大量消費・大量廃棄という社会課題の解決にも貢献できると思います。
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