採用企業インタビュー
オリンピック後のゼネコンの未来像を見据えて
株式会社フジタ
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執行役員
- 管理本部副本部長
- 川口 雅史 氏
1910年創業の株式会社フジタと、1869年創業の大和小田急建設株式会社が2015年に合併。大和ハウスグループの一員としてさらに事業を拡大しているゼネコンのフジタ。建設業を基盤に豊富な海外事業で中国・メキシコでの実績は業界トップクラス。都市開発やインフラ、不動産など国内外問わず活躍の場を広げている。そんなフジタの今後の展開や必要な人材などを、執行役員・管理本部副本部長である川口氏に伺った。
2020年のオリンピック・パラリンピックを前に、建設業界と御社の状況をお聞かせください。
ご存知の通り、オリンピック関連で建設業界は活況を呈し、我々も流れに乗っています。オリンピックの施設としては選手の練習施設であるナショナルトレーニングセンターを手がけました。ただ、フジタの場合、むしろオリンピック自体というより、それを契機に盛り上がっている国内のインバウンド関連事業や海外での受注拡大が大きいと思います。
2018年度までの中期経営計画では、初年度に3年目迄の計画を達成するような勢いがありました。インバウンド関連事業では北海道のニセコで、分譲マンションとホテルを建設。先日G20の観光担当大臣会議がそこで行われました。沖縄でもホテルを建設しています。
ただ最近は建設コストの上昇や労働力不足、米中貿易摩擦などの社会情勢の影響が出ているのも確かです。例えば当社は中国に昔から進出していますが、中国に工場や物流拠点を作り事業を拡大したいと考えていたお客様が、米中関係や中国の景況感を見て一時控えられるということもあります。国内の工場建設においても海外向けの大規模工場の計画が先送りになるなど、影響は出てきています。
一時期の急成長から一旦落ちついた格好ですね。ただオリンピックよりむしろ海外やインバウンドでの収益でしたら、また今後も成長が望めますね。御社の強みはどんなところでしょう。
海外についていえば、まず中国。日系ゼネコンではトップクラスと自負しています。そしてメキシコにも強みがあります。メキシコにおいては自動車産業の進出を察知し、現地の法令や工場建設に関連する許認可や手続き、協力業者の選定などをいち早く調査、対応し、主要自動車メーカーの一貫工事を3件立て続けに受注しました。自動車関連業界は裾野が広く、部品メーカーも一緒に進出するので関連する会社の施設も施工しています。現在はアメリカとメキシコの関係が微妙なのでトーンダウンしていますが、長期的には引き続き期待ができます。
一方国内では、ニセコのほか沖縄、石垣島の大規模なリゾートホテルの建設など、大規模な案件に携わっています。また戦略として物流施設の建設にも注力しています。大手EC企業さんなど、大規模な物流施設が国内でもまだまだ必要とされているので、当社の強みを活かせると思います。
御社は2013年には大和ハウスグループの一員になり、2015年には大和小田急建設との合併もあり、シナジー効果も出ているのでは?
はい。グループ間の協力は大きなメリットです。例えば土地区画整備事業などでは、土地の整備は造成工事が得意な当社がやり、そこに分譲住宅を作って販売するのは大和ハウス工業が担うという事ができます。当社、大和ハウス工業両社の営業力を使う事で企業や施設の誘致もスムーズに出来ます。海外のサービスアパートメントも、工事をするのは当社、運営・管理は大和ハウスグループ会社が担当する等の取り組みが行われています。西新宿のホテルでも当社が建設し、運営はやはり大和ハウスグループ会社にお願いするなど、グループのシナジーを最大限活かしています。
また、旧大和小田急建設の強みである鉄道事業のノウハウを生かして、東南アジアの国々で軌道工事を受注するなど、鉄道も強みになっています。
グループの力を得てさらに受注の幅を広げているということですね。2019年度から始まった新しい3カ年計画について教えてください。
我々は2025年度に1兆円の売上高を目標に掲げており、今回の3カ年中期経営計画は中間地点の位置付けです。来る時代の変化に適合しつつ、持続成長を推し進めるべく、重点方針を3つ掲げました。
1つ目は「持続成長を支える柱」。収益源の拡大と多様化、海外事業のさらなる拡大、新規事業の育成・創出に取り組みます。
2つ目は「建設業を極め、新たな領域へ」。顧客基盤強化、IoTやロボット技術を活用した生産性の向上に努めます。
また3つ目は「ESGを意識した経営の推進」。国内外の事業における環境対策、働き方改革などを通じて社会的課題にも積極的に取り組み、ガバナンスも強化していきます。
重点方針「持続成長を支える柱」にもある今後の海外展開はいかがでしょう。
今後はアフリカへの展開も進めたいと考えています。政府主導の海外インフラ輸出やODAなどで、アフリカでは日本企業受注への機運が高まっています。例えばケニアのモンバサにおいて、橋やトンネルなども含めたかなり大規模な道路工事があります。
海外の新幹線にも挑戦したいと考えています。また、大規模な開発事業も進んでいて、ミャンマーのヤンゴンでの複合施設は日本企業や政府系の機関と一緒に、オフィスビル、ホテル、商業施設といった複合施設を建設しています。
ベトナム、ミャンマーなどは今後も需要が期待できます。我々はさらにアフリカ、他のアジアの国々など新たな地域に先手を打っていきたいと考えています。海外でも工場建設だけでなく、地域やニーズに合わせてインフラや総合施設など多様な事業を進めます。
2つ目の「建設業を極め、新たな領域へ」建設事業以外の展開もお考えでしょうか。
はい。数年前社長直轄の経営改革統括部が発足し、建設業はもちろん新規事業や業務提携、M&Aなどを推進しています。これまでの延長線上ではなく、失敗を恐れずチャレンジしています。新規事業にも積極的に取り組んでいます。例えばメキシコの自動車工場の、工場用水に関する水処理を請け負った経験を生かした水処理関連ビジネス、また当社の技術研究所が行なっていた放射熱の研究から生まれた空調機を「眠リッチ」という商品にして売り出しています。放射熱を使い、風が出ない空調なのでお年寄りや病院の入院患者などに優しい次世代型の空調です。病院建設に合わせて提案したり、大和ハウス工業の施設や個人住宅にも提案したりと販路を広げています。こういった新規事業をどんどん、世に送り出していきたいと思っています。社内でも定期的に社員からアイディアを募集して、可能性がありそうなものは技術センターで研究テーマとして取り上げています。
社内の才能や社外ネットワークの有効活用で新しい展開が生まれていますね。AI、IoT分野はいかがでしょう。
もちろん力を入れています。例えばロボット開発。建設業界では、職人がだんだん少なくなる中でロボットを使いたいというニーズは多く、現場でボード貼りをするロボットや、人を追尾して荷物を運ぶロボットもあります。また災害時に遠隔操作できるロボット「ロボQ」を、AIと合体させて機能を高める研究を、東大のAI研究の権威、松尾先生の研究室と共同で始めています。
建設業の人手不足や、働き方改革が叫ばれていますが、ゆくゆくはその一助にもなりそうですね。それは3つ目の重点方針「ESGを意識した経営の推進」にもつながりますか。
Eは環境対策、Sは働き方改革などの社会的課題、Gはガバナンスの強化です。これを重要視しています。我々はバブル時には手痛い代償を払いました。ですから不動産や投資については、ガバナンスは効かせながら攻守しっかりやっていこうと思います。
また働き方改革は、建設業界全体で遅れていて大きな課題でもあり、我々も生産性を高めるために取り組んでいます。先のロボット開発のほか、例えば社員が毎回現場に行かなくても状況が把握できるように現場と事務所をカメラでつなぐなどソフトやハードを活用しています。また現在相当の投資をして社員の叡智や技術が特定の社員だけのもので終わらず、会社として利用、伝承が可能になるよう基幹システムの再構築をしています。例えば過去にどこかで作成した書類を、他の必要とされる現場でタイムリーにリコメンドされるような機能を持つものです。生産性を上げられる環境にどんどんしていきたいと考えています。
先を見据えて、働く環境づくりにも取り組んでいらっしゃる。
先を見越して仕事をする、という姿勢は当社代表の奥村がよく口にしている「目の前の仕事を追いかけるな」という言葉にも表れています。今年は海外の政局や経済状況の不調があり、数字的には苦戦していますが、そうなると目先の仕事を追いかけ、コスト競争になってしまいます。だから2年後3年後に芽が出る仕事に取り組むことが大事だということです。実際に営業や管理職の評価には、近々の売上高目標もありますが、将来のことに対して、どれくらい種まきできているか等に大きなウエイトが置かれています。
先を見越して動くという会社方針が、評価制度にもしっかり反映されていますね。これは御社のカルチャーでもありますか?
昔からフジタは「進取の気性」と称されることが多く、失敗を恐れず未来を見据えてチャレンジをするカルチャーです。それからゼネコンには協調性も重要です。1つのプロジェクトで多くの関係者が協働するからです。中途社員の人はまだ10%弱ですが、キャリアパスが特別違うということはありません。例えば中堅ゼネコンや地場ゼネコンでエース級だった人が、プレッシャーを力にしてより多くの部下を動かして活躍しています。また別業界のシニア層、50〜60代の人材も招聘しており、異業種で働いていた人が、以前の職場で蓄えた叡智を遺憾無く発揮しています。
いま必要としている人材はどんな方でしょう。
自分の頭で考えて自ら行動できる人を求めています。自己の裁量でできる部分が他社よりも多いと思うので、思い切りやってみたい人には向いている会社だと思います。残念ながらバブル崩壊の後、新入社員を全く取らなかった時期があり、その年齢層の社員が不足しています。今後は海外展開も広がっていくので、特に海外事業を経験したい人は活躍の場が沢山あると思います。また売上高が増加しており、5年ほど前は3000億円ほどだったのが、一気に5000億円ほどになり、さらに上の目標を掲げているので、様々な部署で人が必要になっています。新規事業にも力を入れていきますので異業種の人にも来ていただきたいと考えています。
転職を考えている方にメッセージをお願いします。
当社は、中間層の人数が少ない事もあり、若い人にも活躍するチャンスがまわってきます。大変だったり、苦労があるとは思いますが、やる気のある人、自分が中心になって、チームでやってやるぞという気概のある人には、非常にやりがいがあると思います。特に海外で活躍したい人にとってはチャンスはたくさんあります。建設事業に留まらず、フジタは、新規事業の種を蒔いています。数年後には今とはかなり違う会社になっているはずです。そんな会社の成長にぜひ力を貸してください。
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