※このインタビューは2024年1月に実施しました。なお、所属・肩書は当時のものとなります。
求人・採用インタビュー
「真のDXとはSX」エネルギー業界のサステナビリティ経営を、高い熱量で支えるEYSC
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社
写真左から
不確実性が高まる環境下において、収益だけでなく社会のサステナビリティ(持続可能性)を重視した経営を目指す――いわゆるSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)は、今後の企業経営の根幹をなす要素となりつつあります。
企業における環境や社会、ガバナンスといった非財務情報に対する関心がグローバルで高まる中、日本でも2023年6月提出の有価証券報告書から非財務情報の開示が義務づけられました。
EYストラテジー・アンド・コンサルティング(以下EYSC)において、ITを駆使して企業のSXを支援するテクノロジーコンサルティングユニットTechnology Strategy & Transformationチーム(以下TS&T)では業界・業務に深い知見と、技術力を兼ねそろえたコンサルタントが集結しています。
本記事ではEYSCパートナーの忽那桂三氏と、同社ではTCチームのなかでエネルギー業界をリードし、同業界のSXを担うディレクターの田島良一氏にインタビューを実施。エネルギー業界で25年以上のキャリアを積んだ田島氏がEYSCに転職した理由や、同社が描くサステナビリティ経営の在り方や、最前線で活躍する人材像についてうかがいました。
どのファームとも異なる視点を持っていたEYSC
――田島様はエネルギー業界に27年ほど在籍された後に、EYSCに転職されたとうかがいました。どのようなキャリアを歩まれて、EYSCへの転職を決意されたのでしょうか。
田島氏:私は1991年に電力情報子会社に入社しました。これまでに経理、資材調達、営業、人事などの業務変革、システム構築を多数経験しています。特に経理では4世代にわたって基幹システムの更新・刷新に携わり、最新のプロジェクトではプロジェクトマネージャー(PM)として大規模なプロジェクトをQCD全般でトラブルなくリリースしました。2013年以降には、親会社の業務変革・システム構築にとどまらず、今までの知見や経験を生かし、一般企業に対するコンサルティング支援を開始しました。エネルギー事業というのはインフラ事業で半官半民の組織文化を有していることから「問題なく進んで当然」という考え方が強い傾向があります。多くの業務変革や大規模プロジェクトを成功裏に導いてもそれを褒められる機会は少なかったと思います。半面、コンサルティングでご支援したお客さまからは、プロジェクトを終えるたびに現場の方々から感謝され、経営層の方からは「本当に助かりました」と言葉をかけていただき、同じ仕事でもこんなに違うものかという驚きがありました。
転職に至る事由はいくつかありましたが、感謝されてモチベーションが上がる仕事の素晴らしさを考えるようになりました。より良い会の構築、人のためになるコンサルティングの世界に魅力を感じて、2018年に転職をいたしました。
転職の際に複数のコンサルティングファームの面接機会がありましたが、最も印象的だったのがEYSCでした。他ファームは私の経歴に合致するプロジェクト案件の紹介や提示とともに、自社がいかに働きやすい職場環境かのアピールに多くの時間を割いて説明いただきました。一方、EYSCでの面接では、私がやりたいこと、ありたい姿を第一に聞き入れていただき、パートナーの忽那が「一緒にやりましょう」と、声をかけてくれたのです。このやりとりだけでも、他社とは全く違うファームであることを強く印象づけられました。
――面接で感じた他社との違いを、入社後にも感じることはありましたか?
田島氏:社会・将来の捉えかたの広さの違いを感じます。ロングタームバリューを重視して、「将来を見越してから、今を考えよう」というスタンスが根付いていると思いました。それは社会との向き合い方だけでなく、現在携わっているサステナビリティ関連のプロジェクトにも通じるものがあります。
コンサルティング業界が目の前の課題に意識を向けがちな中で、EYSCは広い視野で世界を見て、どのように社会に貢献するかという考え方が根付いています。パーパス※にも、そういった意思が表れています。
※EYが掲げるパーパスは「Building a better working world ~より良い社会の構築を目指して」
――忽那様は田島様を採用した際に、なぜ一緒にやりましょうと伝えたのでしょうか。
忽那氏:田島を面接して、すぐに「どういったスキルをお持ちで、どんな案件に向いているか」という質疑の進め方がナンセンスであることに気づきました。過去の実績は言うまでもなく十分なことに加えて、「ビジネスがやりたくて、ここに来ている」という意思が明確に伝わったからです。
何をやりたいのかという「WILL」の確認は、過去から一貫して面接時に重視しています。
これは私のみではなく、現場をリードする田島のようなディレクターやシニアマネージャーやマネージャーにも浸透していて、「一緒に働きたい仲間を採用しよう」という共通理解をユニット全体で共有しています。こうした方針が功を奏し、TS&Tには現在約200人のコンサルタントが在籍しています。多様なスキルや知見を持った仲間が集まった結果、現在では大規模なプロジェクトや、希少価値の高いスキルや知見が欠かせないプロジェクトにも対応し、さまざまな産業(インダストリー)を支援しています。
エネルギー産業の変革が、日本全体の変革を牽引する
――田島様は前職のご経験を生かし、EYSCではTCチームのなかでエネルギー業界をリードされています。現在の国内におけるエネルギー業界の課題と、貴社が貢献できる領域についてお聞かせください。
田島氏:国内のエネルギー業界は5つの変化を迫られて、これらがマテリアリティ(重要課題)に結びついています。1点目は商材・サービスの変化です。これまで電力だけを販売していた電力会社がガスや新たなサービス(モノからコトへ)の事業を拡大しています。電力においても、再生可能エネルギーの重要性が高まっています。この変化に付随して、顧客の変化が2点目に挙げられます。これまでは管轄エリアだけが商圏だったところから、日本全国が対象になったばかりでなく、海外にも広がっています。
扱う商材と商圏が複雑化したこと、また電力システム改革の対応を経て、経営体制とマネジメントの変化が3点目として挙げられます。電力会社は機能ごとに分社化してグループ経営にシフトしています。
4点目は社会意識の変化です。業界・地域を問わずサステナビリティが重要視されるようになり、ESG経営に取り組まない企業に対する厳格な投資判断や取引縮小のケースも出始めるなど、環境経営に対する社会意識の変化も顕在化しています。
最後に5点目として、技術の変化が挙げられます。IT技術とともに、エネルギー関連技術、水素やアンモニアによる発電の実用化の高まりに加え、蓄電池の性能も飛躍的に進化しています。こうしたエネルギー電源・活用技術の進歩は、DER(分散型エネルギー源)へのシフト・拡大を後押しし、従来の集中的な電源・売電型から、地域で発電した電気を、地域の中で消費する「エネルギーの地産地消」の取り組みが増加しています。
こうした5つの変化を捉えた上で、われわれが取り組むべきフィールドを7つ定義しています。
1点目は戦略的経理です。経理はどの企業にも存在しますが、経理がデジタル化を進めることで、企業全体のDX化等の変革の起爆剤になります。多くの企業では、経理部門人材の平均年齢が高く、オペレーショナルな業務領域にフォーカスしている傾向があります。経理データを分析して経営層に上申するといったような、戦略的な機能を有する経理組織への変革を目指す支援をしています。
2点目がグループ経営における適切な原価管理です。分社化が進み、グループ経営の効率化を迫られた際に、一番問題になるのが原価管理とそれに基づく可視化です。例えば電力会社では電気事業会計規則を基に総括原価方式を採用していますが、会社の事業特性上、原価管理が人件費やプロジェクト原価であったり、販売会社では商材の在庫管理が加わるなど、グループ全体では、異なる原価管理を束ねる必要があります。多様な原価管理をサポートし、それらを束ねて、適切なKPI・KGIに結びつけていくことが、グループ経営には欠かせません。
3点目はかなり収束してきていますが、インボイス対応や電帳法に関連した経理業務のデジタル化。
4点目は既存事業の拡大と新事業の創出です。電力会社がガス会社を買収する際に、買収先企業が持つITシステムのデューデリジェンスや、買収先のシステムの最適化(PMI)等を検討するプロジェクトを支援いたしました。その際に最も大切にしていたのは、顧客に対してどのような魅力的なサービス・メニューを提供できるかという点です。
5点目は、最も注力しているテーマですが、顧客データの管理・利活用です。例えば顧客のAさんは電力会社を通じて、電気やガス、暮らしに関するサービスなど複数のサービスを利用しているとしましょう。電力会社は電気を利用いただいているAさんは把握できますが、Aさんが、自グループのどのようなサービスを利用いただいているのか俯瞰して把握できないという状況がいまだにあります。そのため、現在はCRM・統合的CISなどを導入して顧客情報を一元化し、最適なサービスを提案するための支援をしています。
6点目は私が最も興味を持っているテーマでもありますが、エネルギーの地産地消です。地域で発電したエネルギーを蓄電池に溜めて、地域で利用するというDER(分散エネルギー型電源)の取り組みです。小さな自治体でも補助金を活用しながら、太陽光パネルで発電したエネルギーを利用することで、地域で発電・蓄電し、地域で電気を使うことが可能になります。
最後の7点目がSXです。エネルギー業界はESG対応やデジタル化が欧米に比べて遅れています。これは非財務情報の開示基準がまだ公式化されていないことにも起因しますが、非財務情報を開示するために手作業で情報の収集や作成をしているケースも少なくありません。ESG関連の情報を捉えてデジタル化をしていくというプロセスも大事ですが、究極的には、SXを進める上で、サスティナブルな事業への変革・創出を基盤とした経営改革が欠かせません。環境に優しい事業への変革や、環境に優しいエネルギー提供といったマテリアリティを解決するためにも、組織全体の変革が必要だと考えています。
――今、お話しされた7点を取り組むにあたって、どういった課題を感じていますか?
田島氏:多くの企業では、少なからず縦割り組織の弊害があります。先ほどお話ししたDER(分散エネルギー型電源)へのシフト・拡大についても、将来的な事業構想・方針を基に事業展開・拡大を経営層は考えているものの、現場にまで方針や目的が浸透していないように感じます。その結果、「蓄電池を売る」というアクションだけが先行してしまい、その意図や目的を現場が理解していないケースが見受けられます。さらに組織が縦割りなので、調達部門やサービス開発部門、お客さまと接する営業部門との連携も取りにくいという課題もあります。そういった課題を乗り越えるためにも、組織に横串を通しながらお客さま企業と伴走しながらコミュニケーションを重ねることを最優先にしています。
――電力会社ともなると組織も大規模なので、コミュニケーションだけでなくテクノロジーを活用する場面も多いと思います。SXを促すにあたって、どのような場面でテクノロジーを生かすのでしょうか。
田島氏:まず、前提としてお伝えしておきたいのですが、私たちはテクノロジーの活用を目的とはしていません。お客さまにとっての、より良い業務変革(トランスフォーメーション)が第一であって、その手段としてテクノロジーを活用するという考え方です。例を挙げますと、統合報告書を作成する際、必要な情報が1000項目程度あるのですが、その8割程度は手入力で集計しているケースがあります。必要なデータを人力で集めて、補正して、手入力する作業を10人程度のチームが毎日徹夜して作成するような状況です。将来的にはサスティナビリティ基準委員会(SSBJ)による非財務情報の開示基準に基づき、財務報告書と同じタイミングで非財務情報の基準に沿った開示の義務化が想定されます。情報のデジタル化が急務であることに加え、グローバル企業では各国間の基準ギャップの統一・明確化等、現場の負担はさらに増すことが予想されます。非財務情報の開示内容や精度は、機関投資家からの評価にも直結するため、財務的なリスクにもつながりかねません。
こうした現状を解決するため、全ての情報をフラットなデジタルデータとして管理することで現場の負担も減らしながら、さまざまなリスクにも対応できる組織に変革する必要があります。ですから、SXとは経営の変革でもあると同時に、DX化することでもあるのです。
EYSCではESGデジタルプラットフォームの提供を2023年10月から開始しています。ソリューションを活用しながら、エネルギー業界のSXを包括的に支援していきたいと思います。
忽那氏:本日はSXに関する取り組みについてお話ししてきましたが、田島はEYSCの視点ではなく、常に社会やお客さま企業の視点で語っています。ソリューションドリブンな考えではなく、常にイシュードリブンで行動できるリーダーが現場を牽引している――これが、当社の特徴とも言えます。
エネルギー業界への思いが詰まったチームメンバー
――キャリア採用では、田島様はどういった方に入社してほしいと思われますか?
田島氏:エネルギー業界に対する興味をお持ちの方、また色々なことにチャレンジしてみたいとの思いがある方には、さまざまな機会を提供したいと思います。チームの定例会議を毎週1時間実施しているのですが、後半の30分に勉強会の時間を昨年から設けるようになりました。エネルギー業界における大小さまざまな課題を整理して、1人につき15分程度で発表してもらうのですが、若い社員からシニアの社員まで各々興味のあるテーマを熱心に深掘りして発表しています。勉強会を通じて、改めてエネルギー業界に対する各々の思いの強さを私自身が再確認できましたし、メンバー間でも新しい気づきを得るきっかけになっています。こうした取り組みは継続していきたいですね。忽那氏:一方でテクノロジーのみに強い関心を持たれて応募くださる方々も一定数いらっしゃいます。テクノロジーはあくまでも手段であり、われわれの目的は業界や顧客の課題と向き合い、解決していくことです。テクノロジーよりも先にイシューやビジネスドメインに意識を向け、「何のためにテクノロジーを使うのか」という視点を持った方に来ていただきたいですね。
――今後の組織像についても教えてください。
忽那氏:グローバルファームであるEYSCは海外の拠点とも連携することがありますが、海外のお客さま企業から日本拠点がダイレクトにお声がけいただける状況を目指したいと思っています。そのためには英語力だけでなく、真にグローバルで戦える力を身につける必要があります。田島のようにエネルギー業界に精通した方が集まれば、それを実現する日は遠くないでしょう。
田島氏:私のチームが目指す将来像についてお話しすると、チャレンジャー精神を常に持ち続けたいと思います。義務としてこなすのでなく、みんなで協力して乗り越えていこうというスタンスで向き合え、一緒に仕事ができる方が入社することを望んでいます。ここ最近特に大事だと思っているのは、チームで協力して、チャレンジしていくことです。個の力だけでは何もできないので。パーソナルチャレンジャーからチームチャレンジャーへのシフトが、私のチームが掲げる今後のテーマです。
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