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女性管理職として輝くために~私らしいリーダーシップのあり方とは~

イベントレポート

JAC Recruitment(以下、JAC)では、女性管理職の転職サポート数が右肩上がりで増加。女性活躍推進、ダイバーシティ経営への意識の高まりを背景に、多くの企業で女性を管理職に登用あるいは外部から採用したいとする意向が高まっています。しかしながら、当の女性たちは周囲にロールモデルが少なく、管理職昇進を打診されても「自分に務まるのだろうか」「家庭との両立が難しいのでは」といった不安を抱いているケースが多く見受けられます。

そこで、2024年7月19日、「女性管理職として輝くために」をテーマにウェビナーを開催。管理職を務めるおふたりをゲストに迎え、管理職就任を受け入れたときの思い、実際管理職になってみての手応え、管理職に必要な要素などについてお話しいただきました。本記事では当日語られた内容の前半部分をお届けします。

<登壇者紹介>

  • 栗林 真由美氏
    栗林 真由美氏
    富士通株式会社
    システムプラットフォームビジネスグループ
    サービスインフラ事業本部 
    マネージャー
    栗林 真由美氏
    2005年、ニフティ株式会社に入社し、インターネットプロバイダサービスの商品企画、クラウドサービスの企画を担当。2回の育休を取得後、本社である富士通で、富士通クラウドの社内教育、企画、商品化を行う。2023年4月、マネージャーに昇進。2児の母。「育休を有意義に過ごすプラットフォームを作り、復職後も子どもがいてもキャリアをあきらめない女性を増やしたい」という想いから、育休コミュニティ「MIRAIS」を立ち上げ、代表を務める。
  • 齋藤 文氏
    齋藤 文氏
    川崎重工業株式会社
    水素戦略本部
    規格ライセンス部 規格法規課長
    齋藤 文氏
    2002年、富士総合研究所(現:みずほリサーチ&テクノロジーズ)に入社し、環境資源エネルギー研究部において環境政策評価、企業へのアドバイザリーを行う。入社5年目に育休を取得し、2016年に課長に昇進。2021年、川崎重工に転職し、水素事業のCO2排出量評価、国際標準化を担当。2024年、課長に昇進。

<ファシリテーター>

  • 今井 静香氏
    今井 静香
    JAC Recruitment HRディビジョン
    Talent Development第1チーム マネージャー
    今井 静香
    化粧品・日用品の流通企業を経て2012年、JAC Recruitmentに入社。コンサルタントを経験後、オンボーディング研修を担当。1児の母。

1.キャリアの考え方、管理職を打診されたときの意思決定について

今井:管理職に就く前は、キャリアについてどのように考えていらっしゃったのでしょうか。

齋藤氏:コンサルタントとして、お客様と議論して方向性を決めていく「現場」がすごく楽しかったので、管理職への昇進はまったく望んでいませんでした。一コンサルタントとしてさまざまな案件を手がけ、よりお客様の役に立てることを目指していましたね。

栗林氏:私はどんどん上にいってみたいという思いが強く、出産前は時間があればあるだけ働いていました。でも、当初はまったく評価されなかったです。同期の女性がリーダーに昇進していくのを見て、嫉妬と焦りと自分のふがいなさに葛藤していましたね。

今井:管理職への昇進を打診されたときは、どんなお気持ちでしたか。そして、管理職就任をどう決断されましたか。

齋藤氏:課長昇進を打診されても、正直あまりうれしくありませんでした。「仕事が増えるだけだよね」と。でも、就職氷河期の入社なので同年代が少なく、他にやる人がいない。誰かがやらなければならないのなら私がやろう、新しいことにチャレンジするのも大事かな……と思い、引き受けました。問題が起きたとしても、次長に相談すれば「何とかなるか」と、あまり深く考えませんでしたね。

栗林氏:昇進はもともと望んでいたことですが、私の「決意」のタイミングは管理職就任より前にありました。ふがいなかった時期を乗り越え、本部から声がかかって「これからだ」というときに、想定外の妊娠が発覚。「これでキャリアをあきらめなくちゃいけないのだな」と思いました。でも子どもが生まれた後、すやすや眠るわが子を眺めていて「こんなにかわいい子がこれからずっと近くで私の背中を見て育つのに、私はあきらめたままでいいの?」という思いが芽生えたのです。そこで自分の中で初めて「自分の意思を持ってキャリアを築いていこう」と決意できました。

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2.実際に管理職になってみてどうだった?ぶつかった壁、新たな気付きは?

今井:実際に管理職になってみていかがでしたか?壁にぶつかったことなどあったのでしょうか。

齋藤氏:初めて課長になった組織は、多様な専門性をもつ方々で構成されていました。課長として、担当者に同行して顧客先と話をしなければならない場面もありました。自分の専門領域以外のことについて話せるかどうか、最初は不安でしたね。水素のことなら分かるけれど、バイオマスや電力システムなどのことは分かりませんから。でも、毎週のように会議をしたりお客様と対話したりするうちにだんだん慣れてきました。やっぱり何事もやってみないと慣れないし、「自分はダメだ」とか思わずにやってみることが大事ですね。それでもダメなら変わればいいだけのことなので

栗林氏:壁は毎日、いろいろな形で現れます。特に最初は右も左も分からず、承認作業やら予算やら評価やら、いちいちパニックになっていましたね。どうしようもなくなってパンクした時は子どもを連れて銭湯に行くなど、ちょっとした現実逃避もしていました。でも、失敗しながらも続けていくうちに、バランスが取れていくものです。それは1人目の育休からの復職時も同じような状況だったので、どんなことでも慣れないうちは試行錯誤を繰り返しながら何とかなるものだと気付きました。

今井:私はこれまで転職活動を支援してきたなかで、管理職の方から「このポジションになって初めて見えた景色、気付きがあった」というお話をよくお聞きしました。新たに見えてきたことはありましたか?

齋藤氏:確かに「課長」という一段上がった目線から見ると、違った景色がありました。「この人ならどう思うか」と、さまざまな人の立場になって考えるようになり、「ではこうしたらどうか」という新たな考えが浮かぶきっかけにもなり、それで仕事がやりやすくなることもあります。

また、管理職になって楽になった部分もありましたね。「この会議はこの日に変更」など、自分でスケジュールを調整できるので。

栗林氏:私は不器用なので、やはり自分が管理職になってみないと気付けなかったことはすごく多いと感じています。その中でも私が管理職になって良かったと思えることの一つは、チームメンバーの人生に真剣に向き合えるところです。昨今、人との関わりって希薄にしようと思えばいくらでも希薄にできますよね。人間同士としてお互いのいいところにも悪いところにも向き合い、密に接する機会は、普段の生活ではなかなか得られないと思います。そして、部下であるメンバーが表彰されるのは、自分が表彰されるよりずっとうれしいということに気付きました。メンバーの成長を感じられる喜びもあるのだな、と。

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3.「女性管理職」をポジティブに全うするため、事前に身に付けるべきスキルとは?

今井:多くの女性が、管理職に対して「難しいのでは」という不安を抱いていらっしゃいます。ポジティブに管理職に挑戦し、職務を全うするため、事前に身に付けておくとよいと思うスキルはありますか?

齋藤氏:管理職だからといって、特別に必要なスキルはあまりないように思います。スキルというより、「話をちゃんと聴く」という姿勢が大切だと感じています。面談などでは上司が話すよりも、相手の話をよく聴いて、「こういうことに困っているな」とか「こういうことやりたいのかな」というところを察して、少し手を差し伸べる。私ががっつり導くというより、「少しのサポート」を心がけています。

栗林氏:私も齋藤さんと同じ考えです。どんなに管理職に必要なスキルを身に付けたからといって、そのスキルでは対応できない問題がいろいろ起きてきますよね。それよりも、「人を知る」ということを意識した方がいい。人をよく見て、話をよく聴いて、「こう声がけをすると、こんな反応があるのか」「喜んでもらうにはこうしてあげたらよいのか」などをつかんでいくこと。日々試行錯誤ですが、それを大切にできれば「付いていきたい」と思ってもらえるのではないかと考えています。

今井:スキルというより、心がけや姿勢なのですね。他にも実践されていることはありますか。

齋藤氏:「聴くことが大事」と言いましたが、自分が思っていること・感じていることも伝えるようにしています。今、大河ドラマにハマっているので、その感想を伝えたり、「あれ、本当にムカついたよね!」なんて本音を出したりすることもあります。お互いの考え方を知ったうえで、「それは違うのでは」「もっとこうできないか」と対話できる関係になれば、いい方向に向かうと思います。

栗林氏:私も、自分の考えでチームを運営するというより、お互いに意見を出し合いたいです。コミュニケーションを大事にしたいので、どれだけ忙しくても1on1は毎月入れています。メンバーを「引っ張っていく」のではなく「一緒に走っていく」感じが、私には合っていると思っています。

あと、「自分のふがいなさを知る」ことも必要と感じています。管理職だからといって自分ひとりでは何もできないしできることなんて本当に僅かなことだと思えば、チームのメンバーに尊敬の念を抱くし、一緒にやってくれることに感謝するし、自分が間違えたときに素直に謝ることもできます。そんな「人としての当たり前」を忘れずにいたいですね。

今井:おふたりのお話をまとめると「傾聴力」「気付く力」「支援する力」がマネジメントに生かされるのですね。それらをすでに強みとしてもっている女性はたくさんいらっしゃると思います。その強みをさらに生かすことで、管理職として生き生きと働く未来が広がるのではないでしょうか。

最後に、管理職としてのキャリアを考える女性たちにメッセージをいただけますか。

齋藤氏:皆さん、いいところをたくさん持っているはずなのですが、自分では気付きにくいこともあると思います。周りの人からほめられたことなどを振り返って、自分の強みを認識してみてください。それを武器にチャレンジすれば、意外とできでしまうかもしれません。課題はたくさん出てくるし、毎日奮闘ですが、皆で一緒にがんばっていけば、よりよい社会になっていくと思います。

栗林氏:「管理職になりたいけど不安」という方も多いかと思いますが、皆さんはこれまでも多くの難題を色々な形で乗り越えてきているはずです。ですから、「管理職だから」乗り越えられないことはないはずだと私は思います。「大変だろう」と思いつつも、少しでも「やってみたい」のであれば、その気持ちを大切にしてください。他者の意見に惑わされず、自分の意思をもって自分のキャリアを切り拓いていただきたいと思います。

今井:ありがとうございました。改めて「自分らしいリーダーシップ」という考え方が大切だと実感しました。一つの理想的なロールモデルを目指していくのではなく、さまざまな人のいいところを、自分に合う形で取り入れていくとよいのではないでしょうか。皆様がそれぞれの強みを発揮しながら、生き生きとキャリアを歩んでいけるように、私自身もJAC Recruitmentとしても長く応援し続けたいと思います。

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4.質疑応答

Q. 自分らしいリーダーシップをどう築き上げていけばよいのか?

栗林氏:まず自分を知ることから始めないと“自分らしさ”は出ないと思っています。また、自分らしさを出すのは基礎的なリーダーシップができてからの応用編だと思うので、まずは必要最低限の基礎的な部分を全力で行い、その上で自分らしさを出していくのがよいと思います。順番を間違えないように気を付けています。

Q.管理職としての今後のキャリアについてどう考えている?

齋藤氏:前職、現職ともに管理職を経験していますが、自分がやりたいこと、部下に活躍してもらうためにも、自分がもっと上に行きよりサポートできる立場になりたいと思っています。自分に足りないものは、経営の知識など勉強して身につけるものや、事業を行う中で交渉力などの実践で身につけるものもあります。もう一段上がっていくために自分には何が必要なのかを日々探しています。自分が人の上に立ちたいからではなく、私の場合は気候変動を何とかしないといけないと思っているので、それに貢献するにはどうしたらよいかを考えています。

Q.自分より年上の方が部下になった時のかかわり方は?何に気を付けていますか?

栗林氏:メンバーは13人いて、半分以上が年上の方です。私より人生経験が豊富で尊敬できる方ばかりです。ただ仕事においては、私が変に気を遣いすぎると、メンバーも仕事がやりにくくなってしまいます。なので仕事のときは、敢えて気を遣うことなくマネージャーの立場として物事を伝えています。

  
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この記事の筆者

株式会社JAC Recruitment 編集部

株式会社JAC Recruitment

 編集部 


当サイトを運営する、JACの編集部です。 日々、採用企業とコミュニケーションを取っているJACのコンサルタントや、最新の転職市場を分析しているJACのアナリストなどにインタビューし、皆様がキャリアを描く際に、また転職の際に役立つ情報をお届けしています。

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