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パワーエレクトロニクスでトップシェアのデルタ電子
――カーボンニュートラル社会を見据えた新事業戦略と組織文化とは

デルタ電子株式会社

※このインタビューは2023年9月に実施しました。なお、所属・肩書は当時のものとなります。
華健豪氏

台湾資本のデルタグループは産業分野のパワーエレクトロニクスでは世界トップシェアを誇る電子機器メーカーです。近年はEV(電気自動車)市場に参入し、日系大手自動車メーカーのTier1サプライヤーとしても知られています。

1991年にデルタ電子日本法人を設立、好調なODM事業に加えて、自社ブランドによる各種電源製品が業績を牽引。EVやオフィス、工場の自動化ニーズを背景に売上高は右肩上がりで推移しています。

2023年5月に日本法人の代表取締役社長に華健豪氏が就任し、新たな5カ年計画を発表しました。年功序列ではなく実績を評価する、従来のフラットな組織文化は継続する一方で、今後の注力領域としてEVや工場・ビルの自動化、データセンター向けのソリューションを強化する方針が打ち出されています。

カーボンニュートラルのプロフェッショナルカンパニーを目指すデルタ電子日本法人の特徴と強み、そして新しい人材に求める資質について伺いました。

好調なODM事業に加え、ソリューション事業を強化

―デルタグループは台湾資本の電子機器メーカーとして、世界に200カ所以上の生産・販売・研究開発拠点を持つパワーエレクトロニクスの一大サプライヤーです。大手メーカーのOEM・ODM事業が好調とのことですが、今年から新たな方針を打ち出したようですね。

華健豪氏

デルタグループは1971年に台湾で創業し、産業分野のパワーエレクトロニクス市場では、グローバルでトップシェアを維持しています。現在の主力事業はODM事業で売上の約80%を占めています。一方で部品からプロダクト、システム、ソリューションと、当社が手掛ける製品・サービスは時代と共に変化しています。

今後の注力領域としては工場やビルの自動化ソリューション、太陽光発電システムなどの再生可能エネルギー領域やEV関連の製品開発、そしてデータセンターの電源インフラソリューションが挙げられます。いずれも共通しているのはカーボンニュートラルに関連している点です。日本でも製造業の国内回帰が進む中で、省人化やオペレーションの自動化は必須課題となっています。加えて、高速化通信やIoT機器などの需要増加からデータセンターにかかる負荷も高まっており、エネルギーマネジメントの効率化は避けて通れません。

社会全体が脱炭素に向かう中で、当社には必要な技術と製品が揃っています。それらを適切に組み合わせ、ソリューションとして提供することを今後の最重要事業テーマに掲げています。工場・建物のオートメーション化であれば、再生エネルギー用蓄電池だけでなく、照明や空調のマネジメントシステムや入退室のセキュリティ管理に関する製品は全て揃っています。また、工場の製造ラインではクラウドと通信することなく、エッジ側にデータセンターを構築することで、高速処理にも対応できるソリューションを提供できます。

自由闊達な組織文化が大型受注に貢献

―デルタグループにおける日本法人の立ち位置や実績について教えてください

デルタ電子日本法人は、日本市場の営業・事業開発拠点として機能しています。開発は海外に集約されていますが、国内のお客様向けのローカライズやカスタマイズなどの機能は、日本にもあります。

売上の大半はODM事業ですが、ソリューション事業でも国内で建設中の大規模半導体工場の案件を元請として受注するなど、着実に結果が出ています。日本では大規模施設の新規施工案件は国内のゼネコンが主導しているため、外資系や後発企業の参入は難しい傾向にあります。そういった状況下でありながら、若手社員を中心にチームプレイで受注を勝ち取りました。プロジェクト開始後も現地に社員が駐在して、円滑にプロジェクトを進めています。こうした実績を積み重ねていくことで、当社が今後注力するソリューション事業の引き合いも増えていくことを見込んでいます。

―大型案件の受注に成功した要因は、どこにあったのでしょうか。

さまざまな要因がありますが、当社が高い技術力と幅広い製品群を有していた以上に、組織風土が功を奏しました。

当社は年齢やキャリアに関係なく、結果とプロセスを評価する評価制度を設けています。加えて社員のモチベーションを尊重し、誰もが参画したいプロジェクトに手を挙げられるようにしています。こうした制度を通じて、強いモチベーションを持った人材がフェアに評価される体制を整えています。

今回、受注したプロジェクトは当社にとっては最も大規模な案件で当初はわからないことばかりでした。そこで若手社員を中心に専任チームを組織し、現地で一つ一つの課題を解決し、周囲の協力企業ともコミュニケーションを取りながら、集中してプロジェクトに取り組みました。その結果、短期間のうちに経験と知見が積み重なり、社員にも自信がついたことで、現在も大きなトラブルもなく順調に進んでいます。

―社員の方が思い切ったチャレンジをしやすい環境を整えるに当たって、マネジメントの面で工夫されている点はありますか?

私がマネジメントで重視しているのは、社員とのエンゲージメントです。結果が出ない社員がいるとすれば、業務プロセスに問題がある可能性が高く、マネージャーがしっかりとサポートできているかがポイントになります。

事業によっては結果を出すまでに2〜3年かかるとしても、経営とコンセンサスを取りながら、個々の社員の業務プロセスを丁寧にマネジメントできているかが重要です。そのためにも、経営層やマネージャーは常に自分の考えていることを発信することを心がけています。同時に、その内容に社員から見て間違いがあれば、遠慮なく指摘して双方向でコミュニケーションを取りながら、事業を成長させていく組織風土を今後も継続したいと思います。

時代のニーズを見据えた中期経営計画

―2023年に華社長が日本法人の代表取締役に就任し、新たな5カ年計画を発表しています。計画の概要や背景について教えてください。

現在の主力であるODM事業と共に、ソリューション事業により注力することで2028年には売上高を現在の2倍にする計画です。

多くの製品・商材を扱っている一方で、単品でのセールスに偏りやすい課題があります。パワーエレクトロニクス市場ではトップシェアとはいえ、個々の製品では競合他社との性能差は大きくありません。国内外の競合との競争に勝つためには、単体の製品売りではなく、お客様の課題に沿ったソリューションを提供することで、付加価値の高いサービスにシフトする必要があります。

そのためにもお客様の市場に精通したマーケティングのスペシャリストや、ソリューションセールスに強い営業人材を求めています。

―具体的にどういった経験を持った方を募集しているのでしょうか

当社の取引先業界出身である必要はありませんが、お客様及び市場のペインポイントについて理解のある方が望ましいですね。とりわけ、当社のソリューション事業はカーボンニュートラルという、比較的新しい社会課題に向けたビジネスです。

製品単体の営業であればスペックシートと価格表さえあれば商談は成立しますが、複数の製品・サービスが関わるソリューション事業は単純な「モノ売り」では成立しません。前例のない状況からお客様の課題をもとにスペックを抽出し、ソリューションとしての価格に落とし込める経験を持った方を求めています。そのためにも0から1を生み出せる、ビジネスプロデューサーのような資質は必要です。

―主力のODM事業と今後の成長株であるソリューション事業は、それぞれ専任の組織として運営していくのでしょうか。

はい、それぞれ別々の組織で構成しています。ODM事業とソリューション事業では売上高や生産性にも大きな差があります。同じ組織の中でODMとソリューションを扱ってしまうと、数字の大きなODM事業に集中してしまう傾向がありますので、別々の組織に分けています。ODM事業はこれまでの組織と戦略の延長線上で業績を伸ばせる一方で、これからの注力事業であるソリューション事業は計画の達成までに時間も必要ですし、マーケティングにも集中して取り組む環境が欠かせません。また社員のパフォーマンス評価についても、中長期に渡って高いモチベーションを維持するため、ODM事業とは異なるKPIを設けています。

―長期的なスパンでソリューション事業を確実に大きくしたいという強い意志を感じますね。中期経営計画では、企業文化についても大きな変化があったと伺いました。

それまでのデルタグループの企業文化は革新、品質、スピード、チームワークの4つの要素を通じて顧客満足度を高めるという考え方でした。これはODM事業を前提とした考えであり、お客様に対して自分たちはどうあるべきなのかというスタンスに立った企業文化でした。

一方で新たに策定した企業文化では革新、誠実性、包摂性、権限委譲、コラボレーションという5つの要素を定めました。デルタグループがソリューション事業にシフトするにあたって、自分たちの考え方を変えていく必要があるという決意が込められています。

企業文化

一つ一つの売上規模が大きく、トップダウンで決めやすいODM事業とは異なり、ソリューション事業は1件あたりの成約金額がODMよりも小さいので、取引件数を増やす必要があります。

そうなると決裁事項が増えるため、トップダウンやマネージャーに決裁権限を集中させるのではなく、現場に権限委譲していかなければ機能しません。加えて、新しいアイデアを柔軟に引き出すためには、これまで以上に多種多様な知見や経験、考え方を持った人材をそろえる必要があります。多様性のある組織を構築し、社外パートナーやお客様との連携を深めることで、あらゆるニーズに即した体制を構築したいという思いがあります。

新たな文化と共に、カーボンニュートラルのプロ集団を目指す

―最後に、カーボンニュートラル事業を日本で進める上での抱負をお聞かせください。

華健豪氏

現実的には日本政府が掲げる2050年のカーボンニュートラル達成は、今のままでは非常に難しいと思います。デルタグループは台湾市場で上場していることもあり、ESG経営に意識的に取り組んでいます。2030年にはデルタグループ単体でRE100※は達成できる見込みですが、最終的には自社だけでなく、商品の輸送やサプライチェーンも同じ目標を達成させる必要があります。

大企業であれば、社内に専門の組織を設けることができますが、中小企業にはESGに関する知見も人材も揃っていません。「取引先の大手企業からESGに対するプレッシャーが来ている」という悩みを抱えたお客様からの相談も増えています。そこで当社でもカーボンニュートラルに向けたコンサルティングと、ソリューションサービスの提供を日本国内で始めたばかりです。すでに国内大手自動車メーカーのサプライヤーからの案件を受注しており、当社の技術が日本のESGに貢献できる手応えを感じています。

当社にはお客様の課題に即した製品や技術は揃っています。「カーボンニュートラルという新しい領域でチャレンジしたい」というパッションを持った社員が力を合わせることで、複雑化する社会課題への貢献と、事業成長が両立できると確信しています。

※RE100…企業活動に必要な電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目標に掲げる企業連合。2023年現在、400社以上の企業がグローバルで参加している。

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