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40代の戦略的キャリア構築
経験×スキルで希少価値を高める

株式会社ベネッセコーポレーション

イベントレポート

40代以降の転職市場が活性化し、副業や独立などキャリアの選択肢が多様化する中、自分らしい働き方を模索する方が増えています。
本セミナーでは、株式会社ベネッセコーポレーション(以下、ベネッセ)のリスキリング事業責任者であり、『何から始めればいいかがわかる 最高の学び方』著者の飯田智紀氏をお迎えし、JAC Digitalアドバイザーの澤円氏との対談を通じ、自律的なキャリア開発の重要性や40代としてのご自身のキャリア観を伺いました。

*本記事は2024年10月1日にJAC Digitalが開催したオンラインイベントを一部抜粋、再構成したものです。また、文章表現を統一するため言い回しも変更しておりますのでご留意ください。

<登壇者・登壇企業紹介>

  • 飯田 智紀氏
    飯田 智紀氏
    株式会社ベネッセコーポレーション
    執行役員 社会人教育事業領域担当(Udemy日本事業責任者)
    飯田 智紀氏
    ソフトバンクグループ株式会社にて経営企画・グループ会社管理、事業再生・国内外投資業務などに従事したのち、2015年9月にベネッセコーポレーション入社。2018年4月よりUdemy(ユーデミー)事業を中心とした社会人向け教育および組織開発関連事業の責任者となり、2024年4月より現職。
  • 澤 円氏
    澤 円氏
    JAC Digitalアドバイザー
    株式会社圓窓
    澤 円氏
    元日本マイクロソフト株式会社業務執行役員。立教大学経済学部卒。生命保険のIT子会社勤務を経て、1997年、日本マイクロソフト株式会社へ。
    ITコンサルタントやプリセールスエンジニアとしてキャリアを積んだのち、2006年にマネジメントに職掌転換。
    幅広いテクノロジー領域の啓蒙活動を行うのと並行して、サイバー犯罪対応チームの日本サテライト責任者を兼任。
    2020年8月末に退社。2019年10月10日より、(株)圓窓 代表取締役就任。2021年4月22日よりJAC Digital アドバイザー就任。
    現在は、数多くの企業の顧問やアドバイザーを兼任し、テクノロジー啓蒙や人材育成に注力している。
    美容業界やファッション業界、自動車業界の第一人者たちとのコラボも、業界の枠を超えて積極的に行っている。テレビ・ラジオ等の出演多数。Voicyパーソナリティ。武蔵野大学専任教員。

1.40代を迎えたUdemy日本事業責任者・飯田氏のキャリア

飯田氏:ベネッセコーポレーションで社会人領域の事業責任者を務めています。現在は、さまざまな社会人や組織の皆さまが、自分らしい生き方やキャリア開発に挑戦している姿を、事業を通じて数多く見させていただいています。

私のキャリアについてお話しすると、前職はソフトバンクに勤めていました。当時、経営に携わりたいと口にしていたこともあり、ブロードバンド事業の経営企画に配属されることになりました。しかし、実際に入ってみると、周りは経営や財務のプロフェッショナルばかり。私はExcelも使えず、簿記の知識もありませんでした。唯一自信があったのは体力くらいで、まさに周囲に圧倒されながらのスタートでした。無事サバイブした1年後、今度はモバイル事業の経営企画に異動し、携帯端末・契約回線数の需要予測や事業予実管理・計画策定などに取り組みました。

その後、ソフトバンクの持株会社に異動することになりました。そこではグループ会社の経営管理を任されていましたが、急に「作業的な業務」が減ったことでゆとりを感じる時間が増えたことから、プロボノ(専門知識を活かした社会貢献)活動を開始し、本業とNPOの支援という二足の草鞋を履くようになったのです。

しかし、上司から「何か一つのことに集中することが大切だ」と指摘を受け、事業再生局面にあったサイバー大学に約3年半出向。そこで初めて教育ビジネスに触れました。

教育事業に深く関わる中で、学習者が学びを通じて人生を切り開く姿に感銘を受けた私は、教育業界においてさらなるイノベーションを起こしたいと感じるようになりました。ちょうどそのタイミングでベネッセからM&Aに関連するポジションのオファーを受け、2015年に入社。その後、2018年から新規事業に携わることになりました。そして当初13個あったプロジェクトの中で、1年間で最も伸びたサービスが「Udemy」でした。数名でスタートしたプロジェクトが、今では数十倍以上にまで拡大し、私にとってもキャリアの中で最大の挑戦となっています。

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2.「複数の強みをもつ」澤氏に聞くキャリア論

飯田氏:ではここからは澤さんのお話を伺います。今回は40代のキャリアがテーマとなっていますが、澤さんの20代からこれまでのキャリアについて教えてください。

澤氏:大学時代、内定をもらった会社を辞退し、4年生の12月に就職活動をやり直したことが、今のキャリアの原点となっています。そのとき、直感的に「なりたい」と思った職業はエンジニアでした。1993年当時、「ITエンジニア」は一般的ではない時代です。しかし私は、本能的に「これからの時代、テクノロジーが重要になる」と感じ、エンジニアの道に進むことにしました。

生命保険会社のIT子会社に入社し、COBOLのプログラマーとして働き始めました。最初は何もできず本当に困りましたが、苦労しながらも先輩の助けでどうにか乗り切りました。そして1995年、インターネットが本格的に登場したことが、私にとって大きなチャンスとなりました。それまでのエンジニアたちもインターネットについては初心者で、私も同じスタートラインに立てたのです。この機会を逃すまいと、すぐにパソコンを買い、インターネットの世界に没頭し、自然と知見を蓄積していきました。

そのような中、マイクロソフトからヘッドハンティングの話が舞い込みました。当時の私は競合製品の「ロータスノーツ」を扱っていた経験があり、それが思いもよらない強みになったのです。マイクロソフト内では、相対的に見てその製品に詳しい人が少なく、私がその分野の専門家として頼られるようになっていきました。そしてその経験を生かしてユーザーと直接会話し、彼らの視点を理解していることが最大の武器となっていったのです。

飯田氏:澤さんがもつ知識や経験が周囲に認知されることで、チャンスが与えられたのですね。当時から澤さんは、学びというものを大切にしていたのでしょうか?

澤氏:「社内において、自分の知識が相対的に優れている」という認識を得たことで、小さなことでも大きなチャンスにつながる可能性があります。周囲をよく観察し、「これが隙間だ」と気付けることは、さまざまな場面で応用が利くと感じています。その上で、今ある知識に更なる上乗せをするために学ぼうとは思っていました。

飯田氏:自分を俯瞰したり客観的に見たりする視点はどのように養っていきましたか?

澤氏:学んで得たというより意識することで身についていきました。私の場合、大人数を前にしてのプレゼンテーションや顧客対応のフロントに立つ立場になったことで、人の目にはどのように自分が映るかを考え、深掘りをしていきました。すると、自ずと自分の強みが分かります。自分の強みをタグとしてもち、そのタグがどう役立つかを常に考えることが大切だと思います。

飯田氏:自分の強みが分かったとしても、その「強みのタグ(スキルや専門性)」がどの分野でどの程度勝負できるのか悩むこともあると思います。また強みを強化することも大事かと思いますが、そこについてはどうお考えですか?

澤氏:まずは、特定のタグだけをもとうと考えるのではなく、複数のタグをもつことが重要だと思います。異なる分野のタグをもつことで、他者との差別化が図れ、よりユニークな存在になれるのです。私自身も、法人営業の場面では長髪というビジュアル的な要素すらも、周囲との違いを際立たせる一つの要素として活用してきました。こうしたセルフプロデュースする思考もキャリアには必要です。

そのほかに私がもっているタグを挙げると英語です。はっきり言って私の英語力はまったく大したことはありません。ただコミュニケーションの場で積極的に英語を使うことで、周囲に「英語ができる人」というタグをつけられ、その結果、外資系企業でのチャンスが増えました。

飯田氏:点在していた強みをつなげて、結果的に一つの線になり、それがキャリア構築につながっていったのですね。

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3.好奇心を起点に自分のタグを見つける

飯田氏:今回のセミナーのテーマである「戦略的キャリア構築」について、澤さんはどうお考えですか?

澤氏:「戦略」とは本来軍事用語であり、戦場は決して予定調和で動くものではありません。それはビジネスも同様で、自分たちのプランどおりに動くことは考えにくく、予定どおりにはなかなか進まないことの方が多いです。だからこそ、広い範囲で戦略的に点を打っておく必要があります。

私が点となるような強みを作るもしくは選ぶ際には、常に好奇心を大切にしています。「これ、面白そうだな」と感じることが出発点です。興味をもたないことに対しては無理に続ける必要がないと考えているため、そうしたものは手放す勇気も必要です。面白いと思えることを見つけて、それを深掘りすることが、継続性を生みます。

飯田氏:そうした強みを生かすタイミングを見極めるときに意識していたことはありますか?

澤氏:タイミングは自分だけでどうにかなるものではありません。むしろ面倒に思える仕事にこそ、チャンスが隠れているときがあるものです。でも、それに気付くには、日々の忙しさに流されずに、自分の仕事を客観的に見直す時間や余裕が必要です。だからこそ、自分の仕事を棚卸しし、何が本当に重要で、何を排除できるのかを考えることが大切です。

飯田氏:社会人が学べない理由の一つに、「時間のなさ」があると思っています。時間の使い方を可視化して、自分で認知することは大事ですね。

澤氏:特に「仕事の優先順位」を見極めることは鍵です。例えば、「自分以外でもできる仕事」や「誰かに怒られるからやることにしている仕事」は、本当に重要かどうか再考する必要があります。このような理由でやっている仕事は、自分の価値観やビジョンに合致していない可能性も十分あると思います。逆に、社会貢献に直結する仕事は、トッププライオリティとして取り組む価値があります。

余裕をもつためには、自分の判断を下す時間帯を見つけることが重要です。朝の時間帯は特に集中しやすく、クリエイティブな思考ができる時間でもあります。自分の身体リズムを理解し、最適な時間を見つけることで、より質の高い判断が可能となるでしょう。

飯田氏:ありがとうございます。これまで社会ではインターネットの登場やコロナ禍などグレートリセットされるタイミングが幾度も訪れました。澤さんは、次のグレートリセットは何だとお考えですか?

澤氏:生成AIの登場です。これはまさに第4次産業革命です。これからの時代においては、AIを活用することで新しいチャンスが広がります。この変革をどのように受け止め、どう行動するかが、今後のキャリアに大きな影響を与えることを忘れないでほしいです。

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4.マネジメントポジションに就いたからこそ、自分のWillと向き合う

澤氏:飯田さんのお話も伺いたいと思います。新規事業を立ち上げるにあたって、意識していたことはありますか?

飯田氏:新規事業を任された時、自身の言動を「Must(やらなければならない)起点」から「Will(自ら実現したい)起点」に変えることには最初苦労しました。私自身、Willの強い経営者の近くで多くの意欲的なビジネス展開を見ていたはずなのに、いざ自分が意志をもって行動するとなると、足がすくむような感覚がありました。

しかし、試行錯誤を繰り返しながら進むことで、初めて見えてくるものがあります。新規事業を任された当初は、多くのことを手当たり次第にやってみましたが、その経験がアライアンスなど現在のビジネス展開に大いに役立っています。何をするにしても、それが無駄になることはない、ということを学びました。

澤氏:飯田さんがされている事業は、社会貢献性も高いと感じます。教育というのは無形の資産ではありますが、学ぶことはプラスにしかならないので、そうした事業をされているのは素晴らしいことですよね。

飯田氏:以前NPO活動にも参加していましたが、当時はビジネスと少し切り離して考えていました。しかし今、こうしてビジネスと社会貢献を密接につなげて展開することで、売り上げが社会に還元される重要性を実感しています。教育事業においては、適切な収益性を確保しながら、持続可能な形で進め、さらに広げていくことで、学びの場を社会に還元できるのだと思います。

澤氏:今後のビジョンはどうお考えですか?

飯田氏:この4月から執行役員という立場になりました。もちろん組織のマネジメントもするのですが、こうした立場だからこそ、自分自身が何を大切にするかを常に意識する必要があると思います。「守りに入る」ことは、時によい判断を妨げてしまいます。過去の経験から自ら求めるキャリアをデザインできるようになりましたが、一方でWillが枯渇してしまうのが怖いとも思っています。常に刺激を求め続けないといけないと痛感しています。
また40代になりインプットをしていないことへの引け目も感じるようになりました。果たして、自分が求める成長に対して、このスピードや量の学びで足りるのだろうか、そのように思います。

立場が上がることで、責任が増し、家族との時間のバランスや、自分自身の成長のために何が必要かを見極める難しさが増してきました。定期的に立ち止まり、何が本当に大切なのかを見つめ直すことが、健全なキャリアデザインにつながると考えています。

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5.質疑応答

Q. 自分の強みを一番発揮できるような職種を1つに絞って、それに集中するというのがキャリア構築の方法の1つかと思いますが、本日のテーマである戦略的なキャリア構築をするために、この後どのように進めるべきかアドバイスをお願いします。

A.飯田氏:これまでの経験やスキルを組み合わせることで、独自性や希少性を高めることが重要です。例えば、事業の局面やニーズによってスキルの価値は変わることがあります。その変化を見極め、適切に自分をポジショニングすることで、成長の機会が広がります。スキルセットや職種に縛られず、自分のもつ強みを抽象化して捉えることが、戦略的なキャリア構築につながるのではないでしょうか。

澤氏:必ずしも1つの職種に絞り込むことが有効だとは限りません。職種を縛ると固定観念にとらわれる可能性もあるので、職種はあまり気にしなくてもいいかと思います。

Q.ミドルエイジクライシス(中年の危機)の乗り越え方をアドバイスください。40歳過ぎて、何が好きか・何がやりたいか、わからなくなってしまいました。

A.飯田氏:40歳を過ぎて自分のやりたいことや好きなことがわからなくなるのは、多くの方が経験する課題だと思います。40代となり、周りから必要とされなくなり始めたと感じることがきっかけのようです。この先必要とされ続けるためには何が重要か意識し、行動に起こしてもらいたいです。誰でも、過去のキャリアや経験が生きない場所はないと思いますし、希少性を見つける努力をして、足りないものを学ぶことが大切だと思います。

澤氏:学ぶことで確実にバージョンアップできますからね。柔軟な姿勢で自分の強みを生かし、継続的に学び続けることは重要だと思います。

Q..ライフスタイルも変わり、30~40代のキャリアの考え方が個人的に変わりました。年代・性別でやっておいた方がよいことや、マインド等あればお伺いしたいです。

A.飯田氏:正直、年齢は関係ないと思います。実年齢よりメンタル年齢を大事にしてもらいたいです。ただ、確かに社会的に30~40代ではライフステージや価値観が変わると見られることは自然なことで、制約も増えるかもしれません。そうした制約の中で、自分らしさを維持するために、豊かな人生のためには何が必要で、どのようなスキルを高めていけばいいか考えていくことができれば、キャリア構築にもつながると思います。

Q.再就職に苦戦中の40代後半です。長めに経験した業務もあるものの、その業務をやったのが10年近く前のため、他候補者との比較の結果書類が通らないことが多いです。このような状態でキャリア構築をどう考えていったらいいのかアドバイスいただけないでしょうか。

A.澤氏:ご自身のことをマイナスに捉え過ぎている印象です。過去の経験が10年以上前であっても、それが無駄になることはありません。質問者の方は、まず人と会話し、自信を取り戻すことが必要だと思います。

飯田氏:必ず自分の中に輝く何かがあるはずですし、少なくとも好奇心を原動力にして動いていた時期があったはずです。また、インプットとアウトプットがうまく循環していた時期もあったはずです。そこにもう一度立ち返ることが大切なように思います。そうすることで自己肯定感も高まり、就職活動にも良い影響をもたらすのではないでしょうか。

Q.キャリアにブランク(例えば、私個人の場合は病気に伴う休職)があるときの中途採用選考への臨み方について、アドバイスをください。

A.澤氏:まずはJAC Recruitmentのような、キャリアのプロからアドバイスを受けてみてください。

飯田氏:同感です。自分の見せ方は、どうしても自分だけで考えていても分かりにくいと思います。キャリアにブランクがある場合でも、そうなった背景を言語化できているかどうかも、審査する側も見ることなので、それを訓練することが大事です。

この記事の筆者

株式会社JAC Recruitment 編集部

株式会社JAC Recruitment

 編集部 


当サイトを運営する、JACの編集部です。 日々、採用企業とコミュニケーションを取っているJACのコンサルタントや、最新の転職市場を分析しているJACのアナリストなどにインタビューし、皆様がキャリアを描く際に、また転職の際に役立つ情報をお届けしています。

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