1. クライアントに伴走しながら変革と変革の「間」をつなぐ
――OEが新設された背景を教えていただけますか。
OEは「次世代のアウトソーシングサービスはどのようなものか」という問いから生まれた組織です。従来システムの「運用保守」を行ってきたチームがベースになっていますが、そこに上流の「IT戦略・企画」、それからIT以外の「業務・組織の変革・最適化」の要素が加わり、ビジネスユニットとして組成しました。
昨今では、ESG経営や人的資本経営、DXといったあらゆるインダストリーの経営に「変革」を迫る大きなテーマが次々と現れ、多くの企業がそれらに挑んでいます。
例えば、DXを成し遂げるための1つの「変革」として「RPA導入による業務の自動化」があるとしましょう。RPAを導入することで「変革」が成し遂げられたわけではなく、本当にそれが「変革」になるかどうかは、その後のアクションにかかってきます。
アクションというのは、例えば社内で広くロボットが使われるように働きかけたり、ユーザーからのフィードバックを集めてシステム面、あるいは運用の仕方を改善したりする動きのことです。そのような最適化と利用促進をする人がいなければ、先行導入プロジェクトを終えてその後は展開や利用が進まず、本当の意味での「変革」もDXも成し遂げられないままになってしまいます。
長期的に企業の価値を高め続けるためには、単発的な“点”の「変革」を繰り返すだけでなく、「変革」を定着させ、小さな改善を重ねていくことが必要です。そうすることで、次の「変革」へつながり、“線”としての大きな「変革」を成し遂げることに繋がります。
「変革」と一口に言ってしまいましたが、これを成し遂げるためには、クライアントの「何を変えていかなければいけないのか」というアジェンダをつくり、構想、デザイン、計画、実行、オペレーションというプロセスを踏みます。そして、その過程の中から次なる「変革」のアジェンダを見つけていく一連の流れを、我々は「価値創出サイクル」と呼んでいます。
クライアントと伴走しながら変革と変革の「間」をつなぎ、価値創出サイクルを回していく原動力になることがOEの役割であり、新設した意図です。
2. どのコンサルタントよりもクライアントの近くで仕事ができる
――OEにはどのような方たちがいて、どのような仕事をするのでしょうか。
現在はOE全体で100名ほどの組織です。ワンプール制を敷いておりチーム分けはしていませんが、メンバーのこれまでの経験によって3つの役割に分かれています。
1つは、システムの運用保守の役割です。これまでクライアントのシステムの保守をしてきたOEの前身ともいえる組織からのメンバーが80名ほどいます。
それに加えてIT戦略・IT企画といった上流の部分を担う役割と、ビジネス・業務を最適化する役割のメンバーが20名ほどで構成しています。
それぞれのメンバーが現状持っているスキルはそれぞれ異なりますが、ワンプール制の中で全員が幅広く、同程度のスキルを獲得していってほしいと考えています。
――OEの皆さんが共通してお持ちのマインド、考え方はありますか。
現場でクライアントと直接話すことに喜びを感じる人が多いと思います。
運用保守のコンサルタントは、プロジェクトごとにアサインされるシステム導入のコンサルタントとよく対比されます。一般的には企画・構想から開発までを一通り経験でき、プロジェクトが終わったら別のプロジェクトに移れるシステム導入の方が、いろいろな経験ができそうという理由で選ばれがちです。実は私も新卒で入社した時、システム導入をやりたかったのですが、最初にアサインされたのは保守のプロジェクトでした。
でも、保守のプロジェクトに入れて良かったと思いました。それは、クライアントの一番近くで、対話をしながら仕事ができる環境だったからです。
保守プロジェクトの場合、入った次の日から直接クライアントと話しますし、話さないまでもクライアントの社内の打ち合わせに同席することもあります。そしてだんだんとクライアントから直接依頼されるようになり、最初は持ち帰るだけだったものが、やがて自分で対応できるようになり、サイクルが回っていく。そういう仕事の仕方は、保守プロジェクトでしかできません。これが導入プロジェクトだと、クライアントと話すのはチームリーダーやPM以上に限られる点で大きく違います。
コロナ以降はリモートでできることが増えましたが、以前は毎日クライアントの隣に座り、クライアントの会社のメールアドレスをいただいて、クライアントの会社の一員として働いていました。そういう立ち位置や働き方に喜びを感じるということが、OEのメンバーに共通している部分だと思います。
コンサルタントとして成長するアプローチの仕方として、導入プロジェクトで最初から最後まで深く経験するという方法もありますが、クライアントの声を聞いて、クライアントの懐に入り込んで、コンサルティングスキルを高めていきたい方には、OEが向いていると思います。
3. コンサルティングの本質である「提案」を自分の裁量で行う
――アウトソーシングビジネスを総合系ファームが行う意義はどういうところにあると思いますか。
保守のアウトソーシングサービスを提供している企業は数多くあり、クライアントが業務をアウトソースする理由もいくつかのパターンがあると思いますが、基本的にサービスを提供する側の思い、つまりクライアントの業務を改善していきたい、提案したいという本質の部分に大きな差異はないと思います。
分かりやすく「運用保守」と言っていますが、コンサルティングファームとしての我々にクライアントが期待するのは、単に保守要員が欲しいということではありません。クライアントの中に入り込んで改善すべき点を見つけ、コンサルタントの裁量で提案していける、そういう動きこそが期待されているのだと思います。
――その中で、アビームだからこそできることは何だと思われますか。
運用保守という枠の中でも、提案型に動けることだと思います。クライアントの変革を“線”としてつないでいくことを目指す中で、クライアントの一番近くにいて、クライアントの一員として仕事をしていると、改善の種はいくらでも見つけられるはずです。クライアントのどの部門がどのようなことに困っているのか、システムのどこに不満を持っているのか、そういったことは我々からすると全て提案につなげられる営業の種なのです。
アビームでは通常、営業活動、つまりクライアントへ「提案」をするのはマネージャーかそれに近い職位になってから求められます。しかし、保守のコンサルタントは、規模は小さいながらも職位に関係なくどんどん「提案」ができる立場なのです。私は「提案」こそがコンサルティングの最も根本的な仕事だと考えており、クライアントの近くにいられることにより、自分の裁量で「提案」の打席に数多く立てることが、コンサルタントとしての成長できる1つのメリットになると思います。
4. OEがグローバル化推進の牽引役に
――運用保守と聞くと、勤務時間が不規則だったり、緊急対応などで休日・夜間の対応を求められたりするのではないかと気にされる方もいらっしゃいます。ワークライフバランスの観点で、OEはどのような働き方になっているのでしょうか。
やはり業務の性格上、インシデントの緊急度や重要度に応じて融通をきかせて対応しなければならないケースはあります。ただ、基本的に勤務時間は定時(9時〜18時)であり、シフト制のようなものもありません。クライアントには、このワークスタイルを認めていただけるよう提案しています。
また、我々はグローバル企業ですから、例えば日本の定時外の時間帯は別の国・地域のコンサルタントが対応する体制を構築することは可能です。現状ではそうした体制をとって対応しているケースはあまりありませんが、私は海外リソースの利用促進をリードする立場でもありますので、今後はよりグローバルでの対応をしやすくしていきたいと考えています。
アビームの特徴は、日本に本社があり、日本が中心となってムーブメントを起こし、海外にそれを展開していく流れをつくれることです。世界中にある拠点と連携して、人や案件を融通するなど、密接に関わりながら動いています。この点は、外資系のファームと違いますし、グローバルに拠点があっても国ごとに独立性の高い日系ファームとも異なる、アビームのユニークなところだと思っています。
そういうことも含めて、海外とのタッチポイントが非常に大きく、海外の人と一緒に仕事をする可能性はとても高いです。OEがアビームのグローバル化を進める牽引役になっていけるのではないかと考えています。
――導入プロジェクトのPMやエキスパートのキャリアパスは比較的イメージしやすいのですが、OEのコンサルタントはどのようなキャリアパスが描けるのでしょうか。
システム導入プロジェクトにおけるPMに相当するポジションを、保守プロジェクトでは「サービスデリバリーマネージャー」とアビームでは呼んでいます。
通常、PMになるのはマネージャー以上か、大規模案件だとシニアマネージャー以上のケースが多いですが、サービスデリバリーマネージャーは、シニアコンサルタントからなるケースも少なくありません。そしてマネージャーになると、複数クライアントの担当を兼任するようになります。
一つ一つの案件規模が小さい分、シニアコンサルタントの責任範囲内で対応可能だという言い方もできますが、より早い段階でプロジェクトやチームの管理を経験できるのは、保守系コンサルタントの特徴だと思います。クライアントの課題を見つけ、自分の裁量で提案し、自分で案件化していくサイクルを回していくことで、幅広い経験を積むことが可能です。
また、1つのクライアントを長く見ていくと、働き次第ではクライアントから大きな信頼をいただくことにもつながりやすいです。次にシステム導入プロジェクトが発足した時には、一連の変革を遂げる上でのキーパーソンとして導入プロジェクトに入り込んでいく場合もあります。
自身のキークライアントを早い段階から持てるようになると、そこでの実績を礎にキャリアを伸ばしていける可能性も広がるでしょう。そういうキャリアパスを描けるのはOEならではのことですし、このようなキャリアの積み方を面白いと思う方、魅力に感じる方にはぜひOEにジョインしていただきたいと思います。
5. 組織としてステージを一段上げる「チャレンジャー」に期待
――OEの組織としてのビジョンをどのように描いていますか。
変革と変革の「間」をつなげていくことがミッションですので、OEという組織がそれを遂行できるケイパビリティを身につけることが1つの短期的なゴールです。その結果として、我々OEだけでなくいろいろな部門を含めてアビーム全体で、クライアントの業務最適化や「線」としての長期的な変革を、構想・戦略策定から実現までEnd-to-Endでサポートしていきたいと考えています。
そのためには、システムの保守だけではなく、業務周りやクライアントの組織、プロセスも変えていけるよう提案を積み重ねることが必要です。クライアントにとってなくてはならない「リアルパートナー」になっていく上で、OEに課された役割を果たしてピースを埋めることが組織としてのビジョンです。
また個人的には、海外リソースの利用促進をリードする立場でもあるので、率先して海外と一緒に働くようなプロジェクトをつくり、社内で「グローバル化はOEが一番進んでいる」といわれるようにしていきたいですね。
――転職先としてOEに興味をお持ちの方へのメッセージをお願いします。
OEをビジネスユニットとして新設した意図は、これまでの保守ビジネスで築いたケイパビリティやノウハウをベースに、ステージを一段上げたビジネスに変革していくことです。
その実現には、組織や業務、運用の改善など多様な経験と、顧客視点でビジネスを改新し続けるパッションを持つことが必要不可欠です。
そういったチャレンジを熱望されている方は是非一緒に働きましょう。
※このインタビューは2023年10月に実施しました。なお、所属・肩書等は当時のものとなります。