日本だけでも3兆円の市場規模があるといわれる医療機器業界−−。
景気に左右されにくい業界の代表格といわれ、近年は新興国からの需要拡大もあり、転職市場は活況です。
特に外資系医療機器メーカーにおいては幅広く市場をカバーし、ワークライフバランスも取りやすいという面で、充実したキャリア構築が見込まれます。
そこで今回は、外資系医療機器業界の転職動向について、専任のコンサルタントが解説します。
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登録してプロの転職支援を受ける目次/Index
- 1 医療機器業界の現在
- 2 医療機器メーカー業界の特徴
- 3 医療機器メーカーの主な職種
- 4 医療機器業界は、他業界からの転職は厳しいが、職種によっては可能性も
- 5 医療機器業界は大手とベンチャー、外資で選ぶなら?
- 6 外資系医療機器業界の年収は?
- 7 医療機器業界は女性でも活躍できる環境が整っている
- 8 外資系医療機器業界の離職率は?
- 9 外資系医療機器業界に求められる英語力は?
- 10 医療機器業界の転職ポイント
- 11 外資系医療機器業界への転職はJACリクルートメント
- 12 医療業界の関連コンテンツ
- 13 医療業界(メディカル) 職務経歴書の書き方 サンプルダウンロード付
- 14 あなたの転職をサポートします
- 15 医療業界(メディカル)の求人情報
- 16 外資系企業の最新求人情報
医療機器業界の現在
医療機器メーカーの現在について
医療機器業界における2020年~2021年の主要対象企業30社の売上高は4兆4,739億円となっており、年々増加傾向にあります。
■医療機器業界売上高の推移
・2015年:2兆6,848億円
・2016年:2兆7,277億円
・2017年:2兆8,057億円
・2021年:4兆4,739億円
医療機器業界の売上は外資系が占めていることが多く、外資系の求人が増加傾向にあることも医療機器業界における転職市場の特徴です。
医療機器メーカーの将来について
日本国内における医療機器メーカーは成長傾向にあります。高齢化の加速や福祉向けの医療機器の需要が増加していることが要因です。
一方で、病院や診療所の数は少子化の影響を受けて減少傾向にあります。そのため今後は、国内マーケットだけではなく人口増加が進んでいる東南アジアなどの新興国市場や人口の多い中国・インドなどのマーケットへの進出が予測されます。
日本国内のみならず海外市場への進出が予測される医療機器メーカーは、今後も成長する業界といえるでしょう。
近年の採用は活況
大前提として、医療機器業界全体の特徴に、「景気に左右されにくい」ことが挙げられます。
2020年春の緊急事態宣言下では外科や眼科、消化器科、整形外科など、内科に比べて、緊急性が高くない部門で、手術や診察が延期されました。それに伴い、関連する製品の売上が一時的に減少し、採用も一時的に控える傾向がありました。しかし、現在採用は活況であると言えます。
特にセールスやマーケティングといった売上に貢献するポジションや、営業データを分析、営業やマーケティング戦略を組み立てるコマーシャルエクセレンスに関する求人も活況です。また、医療機器業界固有のポジションとしては薬事や品質保証、臨床開発関連の求人数も伸びています。
医療機器メーカー業界の特徴
医療機器業界は主に4つのクラスに分類されています。
分類 | 具体例 | |
クラス1 | 一般医療機器 | 不具合が生じた場合でも、人体へのリスクが極めて低いと考えられるもの。 メス、ピンセット、医療ガーゼ、脱脂綿など。 |
クラス2 | 管理医療機器 | 不具合が生じた場合でも、人体へのリスクが比較的低いと考えられるもの。 気管支カテーテル、電気メス、電子カルテなど。 |
クラス3 | 高度管理医療機器 | 不具合が生じた場合、人体へのリスクが比較的高いと考えられるもの。 透析器、人工骨、人工呼吸器、コンタクトレンズなど。 |
クラス4 | 高度管理医療機器 | 患者への侵襲性が高く、不具合が生じた場合、生命の危険に直結する恐れがあるもの。 ペースメーカー、人工心臓など 。 |
※医薬品医療機器法を基に作成しています。
製薬と比べて医療機器は新規参入が多く、特に上記クラス1や2といったリスクの低い製品は、アジア圏を中心に新しいメーカーが続々と参入している状況です。日本市場への新規参入も旺盛で、昨今は、中国から日本に進出するメーカーからの求人も増えています。
全体の企業数は、クラスが4から1に向かって多く、転職のハードルも比較的、低くなっています。
日本の医療機器メーカーは特定の分野に強いのに対して、外資系企業は一社でカバーする領域が広いことが特徴です。ご自身がこれまで経験したキャリアと、今後のビジョンを照らし合わせたうえで、日系企業に転職するか、外資系企業に転職するか検討しましょう。
ご自身で方向を見いだせない場合には、医療機器業界に精通したコンサルタントに相談することをおすすめします。
医療機器メーカーの主な職種
医療機器メーカーの主な職種をご紹介します。
・研究・開発職
研究・開発職は、医療の進展をサポートする重要な役割を果たします。この職種では、新しい医療機器の開発や既存製品の改善・改良が主な業務です。製品の安全性と効果の検証に時間がかかることもありますが、医療界への貢献感が大きく、やりがいのある仕事です。
・品質管理
品質管理は、医療機器の製造過程での品質確認を担当します。人体に直接使用されるため、安全性と効果が極めて重要です。国際基準や国内法規に基づく厳格な基準が求められるため、深い知識と専門的なスキルが必要です。
・生産技術職
生産技術職は、製造効率と品質の両立を目指します。製造ラインの設計や最新技術の導入、生産プロセスの最適化などが業務内容です。コスト削減と品質向上のバランスを取る能力と専門知識が重要です。
・サービスエンジニア職
サービスエンジニア職は、医療機器のライフサイクル全体で重要な役割を果たします。機器の設置、メンテナンス、トラブル対応などが主な業務で、技術的な知識と対人スキルが求められます。
・営業職
医療機器メーカーの営業職は、病院やクリニックへの製品の販売が主な業務です。製品の操作説明やアフターサポートなども含まれるため、高いコミュニケーション能力と専門知識が必要です。
・事務職
事務職は、社内の多岐にわたる業務をサポートします。一般的な事務業務に加え、営業サポートや総務、人事労務なども担当します。国際的な取引が多い場合、貿易関連の業務も増え、語学力や国際的なビジネスマナーが求められることもあります。
医療機器業界は、他業界からの転職は厳しいが、職種によっては可能性も
医療機器業界は日系・外資系を問わず、他業界からの転職が難しいとされています。
その背景には、規制や法令が非常に多く、そうした決め事を把握している人材でないと即戦力にならないという事情があります。
医療機器開発に直接関わらない営業やマーケティングにおいても、その傾向は強いのですが、コマーシャルエクセレンスに代表されるようなデータ分析を主軸とした職種では、異業種の経験が歓迎されるケースもあります。
また、医療機器業界全体ではDX(デジタルトランスフォーメーション)に対する対応は遅れており、DX関連の求人も他業界と比べると現時点では多くありません。一部では遠隔診療やICU(集中治療室)の遠隔管理、IoTを活用した遠隔検診などの取組も始まっていますが、こうした流れが大きなうねりに変われば、医療機器業界におけるDX求人も増えていくと思われます。
医療機器業界は大手とベンチャー、外資で選ぶなら?
まず、大手企業とベンチャー企業で外資系医療機器メーカーを比較すると、以下のような傾向が挙げられます。
■大手企業
研究開発に長期に渡る投資を継続し、特許などの知財を包括的に抑えていることから、他業界と比較して、大手企業がシェアの大多数を握る分野が多いのが特徴です。
例えば手術ロボットに関しては、外資系大手メーカー2社で9割以上のシェアを確保し、特許切れの技術は2世代以上前のものになるので、他社が参入するハードルは非常に高いとされています。しかし、直近では複数企業が新規参入を行っています。国内でも手術ロボットの開発が進んでいますが、価格勝負の様相を呈しており、形勢を大きく変えるまでにはいたっていません。
また、トップシェアを握り続けるだけの体制も充実しているのが大手企業の強みです。例えば、薬事申請部門は通常1社につき2〜3人いれば十分ですが、外資系大手企業では製品ごとに担当をアサインするため、100人単位で担当者を抱える企業もあります。
中途採用においては大手企業も即戦力採用が基本ですが、研修制度が充実している傾向にあり、入社研修に4〜6カ月かける企業もあります。20代・30代での転職の場合には、新人教育に力を入れている企業かどうかを、企業選びの判断軸に含めてもいいでしょう。
■ベンチャー企業
ベンチャー企業というくくりでは、外資系企業はあまり多くありません。日本に法人を立て、人件費を賄うためには、ある程度の規模、資本力を要されるからです。
一方、キャリア選択の観点で、医療業界において外資系企業とベンチャー企業を並行して検討される方が増えています。年齢を問わない裁量権や昇格の機会、先進的製品やサービスに関われる可能性の観点から、類似するところが多いようです。 年収面においては、外資系企業が依然として転職市場での優位性を保っていますが、近年では、ベンチャー企業の給与水準も向上しています。多少、年収で見劣りしたとしても、国内のベンチャー企業でのチャレンジを選択される方も、増えています。
職種としてはR&D、薬事、品質管理、マーケティング、セールス、カスタマ―サクセス、事業開発など、多種多様です。
日系か外資系か、大手かベンチャーかといった選択肢に迷われるようであれば、さまざまな転職事例を知る専門のコンサルタントに相談してみましょう。JACリクルートメントでは各社の傾向や向き、不向きなど、総合的に勘案したうえで、キャリアをご提案します。
外資系医療機器業界の年収は?
ポジションによって差はありますが、基本的に日系企業と比べて年収は高水準です。
営業職を例に挙げると、日系企業はベース給与と賞与が一体となって年俸が決まるのに対し、外資系ではベース給与は固定でインセンティブが大きく変動する仕組みです。日系企業では前年比で年収が10万円単位でアップすれば良い方ですが、外資系企業では100万円単位で変わることも珍しくありません。
その年の成績やプロモーション(昇進)によって、年収が大きく変動するのが外資系企業の特徴ですが、転職時の年収は前職での待遇が基準となる点は、日系企業と変わりません。むしろ、入社後に実力を発揮して大きな成果を上げることで年収アップを狙うというのが、外資系企業への転職における基本的な考え方です。
年功序列に対する意識も低く、結果を出している方であれば、正当に評価されるのが外資系企業の長所です。日系企業に勤務していて、結果を出しているにも関わらず、不満が残る待遇や評価を受けている方は、外資系企業に転職することをおすすめします。
医療機器業界は女性でも活躍できる環境が整っている
医療機器業界に限った話ではありませんが、女性の働く環境も整っている点も外資系企業の特徴です。
大手を中心にダイバーシティに取り組んでいる企業も多く、社員の女性比率を3割から5割に、管理職の女性比率を3割にするという具体的な目標を掲げている企業もあり、女性の採用ニーズも非常に高い状況です。
結婚や出産、育児などのライフステージの変化を経て活躍している女性も多く、具体的なロールモデルが社内にいるという点で、安心して働けるのではないでしょうか。
外資系医療機器業界の離職率は?
外資系企業は在籍期間が短いというイメージが強くありますが、医療機器業界については必ずしも全ての職種には当てはまりません。
営業職は人の入れ替わりが比較的多い一方で、専門職は製品の上市までに最低でも2〜3年かかるなど長期的なタームで事業が進むので、一社あたりの在職期間は長い傾向にあります。
日系企業では、上からのアサインで役割やポジションが決まる傾向が根強くあります。しかし外資系企業では、能動的に手を挙げて社内転職や異動ができる傾向があります。複数の社内カンパニーや、幅広い製品・サービス群を持つ大企業においては、カンパニーや事業部を変えて異動する——いわば、社内転職のようなキャリアチェンジも可能です。
外資系医療機器業界に求められる英語力は?
大手企業でレポートラインも日本人であれば、読み書きレベルの英語で十分ですが、ベンチャー企業や日本に進出して間もない外資系企業は、本国からマネージャーが来るケースもあります。その場合には、ビジネスレベルの会話能力も必要になるでしょう。
医療機器は生命に関わるビジネスですので、各国の法令や規制、機器使用に対する効果や副作用などを正しく把握できる読解力は、どの企業・職種においても不可欠です。
医療機器業界の転職ポイント
転職の難易度はクラスで決まる
冒頭で紹介した4つのクラスは、そのまま医療機器業界におけるヒエラルキーとしても機能します。
つまり、不具合が生じた際のリスクが高い製品を扱うクラス3や4に属する企業は、待遇も比較的高水準です。ただし、高い業務遂行能力が要求され、中途採用においては年齢や職務経歴、社数は厳しくチェックされ、クラス1や2からの転職は難しいとされています。
一方で高いクラスから低いクラスへの転職や、大手企業からベンチャー企業への転職は比較的容易です。培った経験を生かして、新しいフィールドで挑戦するという選択肢が得やすいという傾向もあります。
リファラル転職はメリットとデメリットを理解して
業界が狭いといわれる医療機器業界——。転職では、社員からの紹介による「リファラル採用」も珍しくありません。採用側にとっては応募者の職務経歴や性格、前職での実績を把握しやすく、応募者にとってはオープンではないポジションへのエントリーができる、入社しやすい、というメリットがあります。
しかし、紹介という性質上、一度内定が出ると断りにくく、比較検討して入社することが難しいという点や、紹介してくれた人との関係から年収交渉しにくいというデメリットもあります。
人材紹介会社を使った転職では、年収交渉、面接や入社日の日程調整を全てコンサルタントが代行しますので、面倒な調整や交渉は任せることができます。それぞれの特徴を理解しながら、転職活動を検討しましょう。
面接は短期化する傾向
業界の動きは比較的ゆっくりしている医療機器業界ですが、優秀な人材の獲得においては真逆です。基本的には2〜3回の面接を経て内定にいたりますが、条件に合致した人材とみなされると1週間で内定が出る場合もあります。
外資系企業の場合、採用の決裁権が日本にあるか、本国にあるかでスピード感は大きく異なります。大手企業でも決裁権が日本にある場合には、短期間で採用に至るケースもあります。逆に本国に決裁権がある場合には、ベンチャー企業であっても数カ月待たされるケースもあります。
各社によってリードタイムは異なりますので、転職活動は時間に余裕を持って進めるようにしましょう。
外資系医療機器業界への転職はJACリクルートメント
JACリクルートメントでは、外資系の医療機器業界に特化した専門チームが転職を支援します。
私たちが大事にしているのは「その転職は、入社後に活躍できるか」−−。一見、条件の良い転職先であっても、ご自身にとってプラスにならない転職はおすすめしません。 私たちは業界動向や求人のニーズ、各企業の課題や今後にまつわるデータを日々収集しています。転職を希望する皆様にとって、最適な転職先のご提案と、内定に向けたサポートを提供しています。
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