システムやロボット、AIなどの活用によりデジタル化が進む製造業。その一方、製造業に特化したデジタル人材の不足が課題となっており、特にデジタル化の遅れが見られる東北エリアでは顕著になってきています。
こうした背景から、東北エリアの製造業の企業では、もともと東北地方に住んでいる転職ご希望者だけでなく、UIJターンの転職ご希望者も、募集の対象としている傾向にあります。
そこで本記事では、東北エリアにおける転職のサポートを行っているJAC Recruitment(以下、JAC)東北支店のコンサルタントが、東北エリアの製造業、特にデジタル人材の転職市場動向に関して解説します。
目次/Index
東北エリアの製造業について
デジタル化・DX化が進む製造業ですが、東北6県では、どのような動向なのでしょうか。詳しく解説します。
デジタル化の傾向
東北エリアにおける製造業のデジタル化に関しては、主に3つの傾向が見られます。
1つ目が、業務に関わるシステムやプラットフォームの一元化、つまり社内DXです。基幹システム購買管理、在庫管理や調達管理などを別々のシステムで行っている企業が多いなか、これらを一つのシステムにまとめて一元管理したいというニーズが高まっています。こちらに関しては、東北の事業会社の社内DXだけでなく、事業会社が委託するコンサルティング会社やITベンダーなどでも、需要が高まっています。
2つ目が、製造現場である工場での業務効率化を目的としたスマートファクトリーの実現です。たとえば、今までは目視で行っていた製品のクオリティチェックを、AIによる画像診断に移行するという動きが見られます。また、作業員が工程間の仕掛かり在庫を確認したい場合にも、部署間を横断して管理していると可視化ができていないため、部署をまたいで情報共有できるプラットフォームが必要になっています。もちろん、作業を自動化するためのロボットも然りです。
3つ目が、製品の拡販を行うためのマーケティングやPRの強化です。今まではホームセンターなどの量販店で拡販していたものを、今後は自社のECサイトでも拡販していこうという動きが強まっています。インターネットの利用率が高い現代では、ECサイトだけでなくSNSやYouTubeなどさまざまなコンテンツを活用したデジタルマーケティングの重要性が高まっている傾向です。
求人トレンド
前述のような流れを受け、東北エリアの製造業における求人情報にも変化が見られています。今までは製造現場で働ける経験者の募集がメインでしたが、デジタル人材に関しても募集の増加が見受けられます。
しかしながら東北エリアはデジタル化の進みが遅いため、企業が求めている経験者が東北エリアにはいないことも珍しくありません。したがって、企業はUIJターンにも視野を広げている傾向です。
また、社内DXやスマートファクトリーを推進する責任者に関しては、リモートワークを許可するという求人情報も多く見られます。ただし、現場を知らなければ適切な施策を立案できないため、リモートワークは週2~3日としている企業が多いようです。
デジタルマーケティングに関しては、現状ではあまり求人数は多くありませんが、東北エリアではそもそもECの専任部署を設けていない企業も少なくないため、今後、増加する見込みです。
東北エリアの製造業で求められるデジタル人材の要件
東北エリアの製造業で求められているデジタル人材の要件は、前章で解説した「社内DX」「スマートファクトリー」「デジタルマーケティング」といった製造業の傾向と密接に関わっています。
社内DX 推進
社内DX を推進する責任者のポジションにおいては、ITコンサルティング会社出身者が、スムーズな転職を叶えている傾向にあります。製造業や大手企業に対してSAPやERPなどの導入実績があると、なお良いとされています。
また、ITベンダーなどで大型プロジェクトに携わった経験を持つ方も採用ニーズは高いです。もちろん製造業の事業会社内でDXを推進した経験がある人であれば、さらに市場価値が高くなります。
コンサルティング会社やITベンダーでは、要件定義から行える経験者が強く求められています。クライアントの要望を聞きながら要件を定義できる折衝力をもつ経験者は、高い採用ニーズがあるでしょう。
スマートファクトリー推進
製造業の大手事業会社で生産技術職として従事し、外観検査や自動化などを経験してきた方は有利になります。また、開発言語のC言語(C#やC++)やデータ分析・解析のための言語Pythonなどを扱ってきたエンジニアで、製造業に関心がある人であれば、将来的な育成を見越して採用される可能性があります。
デジタルマーケティング
業界を問わず、デジタルマーケティングの実務経験がある方が求められています。特に、自社のWebサイトやECサイトを立ち上げた経験があると良いでしょう。
さらにSNSやYouTubeなどのコンテンツにも知見があると、より求人要件を満たしていると見なされます。
UIJターンによって得られるキャリアパス
東北エリアの製造業では、もともと東北に住んでいる方だけでなく、UIJターンを希望している方も積極的に採用する動きが見られます。
UIJターンを重視する東北エリアの企業
UIJターンとは、いずれも出身地から都市部へ移り、さらに地方へ移住することです。生まれ育った地元に戻ってくる「Uターン」、出身地とは別の地方に移住する「Iターン」、出身地に近い場所に移住する「Jターン」をかけあわせた造語で、近年は求人票に「UIJターン歓迎」などの言葉が記載されていることもあります。
東北エリアはデジタル化の進み具合が遅いため、都市部でデジタル領域において活躍してきた人材をUIJターンで採用するケースが増えているのです。
UIJターンのメリット
UIJターンをすることで、転職希望者の方のキャリア面でも、さまざまなメリットがあります。
例えば、自身の業務範囲や裁量。都市部の事業会社の場合、デジタル人材を多く雇用しているため、自身の業務範囲は決められており、狭まってしまいます。しかし東北エリアはこれからデジタルを推進していくフェーズにあるため、自分自身の手で道を切り拓いていくことができます。知見があると任される仕事も増えますし、ある程度の裁量も与えられます。
また、キャリアアップが叶うまでの時間を短縮できるというメリットもあります。製造業におけるデジタル人材が少ないため、率先してビジネスを牽引していくことで、早い段階でマネジメントを経験できるようになるでしょう。
さらに、地域に貢献できる点も魅力です。デジタル化を推進することで東北エリアの製造業が活性化し、地域全体が盛り上がっていきます。地域活性化の一端を担うことができ、モチベーションアップにもつながると期待できます。
東北エリアの製造業におけるデジタル人材のモデル年収
東北エリアはそもそも平均年収が低い傾向にあるため、デジタルの専門的な仕事でも、年収がそれほど高くないのでは、と気になっている方が多いです。実際は、どうなのでしょうか。
社内DXを推進する人材
事業会社の社内DX担当者の場合は600~800万円程度がモデル年収となります。一方、事業会社からの社内DXの受託をうけるITコンサルタントの場合は年収が600~1,500万円ほどになり、企業やポジションなどによって大きな差が見られます。 年収1,000~1,500万円を狙うのであれば、SIer経験5年以上、製造業で導入経験があるといった実績が必要です。
スマートファクトリーを推進する生産技術職
600~800万円程度のレンジとなっています。企業やポジションなどによって大きな差は、あまりありません。
デジタルマーケティング職
400~600万円程度の求人が多く見られます。都市部と比較すると低めの水準ではありますが、家賃などの生活費が都市部よりも低いことを考慮すると、充分にバランスが取れる年収です。
東北エリアの製造業への転職ならJACへ
最後に、東北エリアの製造業において、デジタル人材として転職を成功させるポイントを紹介します。
長い目で見てキャリアパスを描く
「東北エリアに転職したい」「Uターンしたい」と転職活動をしている方々のうち、勤務地をベースにして転職先を探している方が少なからずいらっしゃいます。しかし勤務地が軸となってしまうと、求人の選択肢が狭まってしまう場合があります。実際、Uターン転職をしたものの、思っていた仕事と違ったということで、再び転職活動を始める方もいらっしゃいます。
こうしたミスマッチをなくすために、5年後・10年後のキャリア像を描いたうえで、ご自身のキャリアプランにマッチした転職先を探すことが重要です。
リモート・対面どちらの面接にも対策しておく
UIJターンの場合、リモートで選考が進んでいくことも多々あります。そのため東北エリア以外に住んでいても、スムーズに転職活動が進みます。しかし、最終面接では対面を希望する企業は少なくありません。そのため、面接対策はリモート・対面どちらも必要となります。
ぜひ、JACのコンサルタントを面接官と見立てて、面接の練習や対策検討を、実施ください。
JAC東北支店には経験豊富なコンサルタントが在籍しており、転職希望者様と二人三脚で転職活動を進めてまいります。コンサルタントは東北エリアの企業の工場見学を行い、実際に働いている方のお話を伺うなど、現場に関する豊富な情報を持っているため、転職希望者様の条件に合った企業をご紹介できます。
リモートでの面談やキャリア相談も可能なので、UIJターンを検討している方もお気軽にご相談いただけます。東北エリアの製造業におけるデジタル業務への転職は、ぜひJAC東北支店をご活用ください。