【2024年】SDGs関連の業界・職種の転職市場動向

  1. SDGs×転職市場動向

公開日:2023/01/30 / 最終更新日: 2024/10/21

近年、多くの方の関心を引いているSDGsは、関連求人も増加しています。 経験者が少ない新領域のため、未経験者の採用も活発です。
どのような経験があればSDGsに関連した職種への転職が可能かなどを、JAC RecruitmentのSDGs Committee委員を務めるプリンシパルアナリストの黒澤敏浩が解説します。

サスティナビリティ・SDGs関連の転職を検討中ですか?

今現在、

  • サステナビリティ経営に携わりたい
  • 社会的に企業価値の高い企業で働きたい
  • SDGs関連の組織を牽引する立場で仕事をしたい

上記のようなお困りごとがございましたら、私たちJACへ相談してみませんか?

登録してプロの転職支援を受ける

サスティナビリティ・SDGs関連の転職を検討中ですか?

今現在、

  • サステナビリティ経営に携わりたい
  • 社会的に企業価値の高い企業で働きたい
  • SDGs関連の組織を牽引する立場で仕事をしたい

上記のようなお困りごとがございましたら、私たちJACへ相談してみませんか?

登録してプロの転職支援を受ける

SDGsとは?


SDGs(持続可能な開発目標)とは、2001年に策定されたMDGs(ミレニアム開発目標)に次ぐより良い世界を実現するための取り組みです。
2030年までにより良い世界を実現するための国際目標が定められ、17のゴールと169のターゲットから構成されています。
SDGsは発展途上国だけではなく、先進国においても取り組むべきことだとして、企業としても具体的な取り組みが活発化しています。

Topへ

ESG投資とは?


ESG投資とは、投資先のESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みを評価したうえで投資対象の選別及び、課題への継続的な配慮を促すことです。
ESG投資は、環境・社会・ガバナンスの課題解決へつなげるための投資だとされていますが、同時にリターンの追求も行います。
投資リターンを求めることが寄付や援助との違いです。
ESGを考えた投資の歴史は長く、1920年代にまで遡ります。当初はアメリカのキリスト教協会などで宗教上の理由からアルコールやタバコなどの産業への投資が禁じられたことが起源とされています。
1960年代からは社会課題、1990年代からは環境への課題へと時代背景に合わせてフォーカスされる点が変化していき、ESGの考え方が知れ渡るようになりました。
また、ESGファンドとは、サステナブル戦略を積極的に活用しているファンドと定義されており、品質管理や情報開示の継続的な取り組みを強化しています。

Topへ

SDGs求人の増加の背景


sdgs

2030年に向けて17の国際目標など具体的なゴールを持つSDGs(サステナブル開発目標)。近年、企業のSDGs関連の業務増加・取り組み増加からSDGs関連の求人も増えています。

2015年9月のSDGs採択時は、「その存在を知る」という段階に留まっていました。しかし現在は、2030年の数値目標に向けて企業各社が取り組み、その成果を報告するという段階に突入しています。

例えば、SDGsを含む、非財務情報を従来の財務情報に併せて発信する「統合報告書」の発行社数。2014年には100社台だったものが、2016年には300社台になり、2021年は700社、2022年には約900社と急増しています。企業経営者が、投資家などのステークホルダーに対して、財務業績以外を報告することが増えているためです。
直近では、東証での2021年のコーポレートガバナンスコード改訂で、上場企業に対するサステナビリティの情報開示や、プライム上場企業に対する気候変動(CO2排出量)の開示を求めたことも増加理由の一因となっています。

また、気候変動や人権問題、自然保護などSDGsへの関心の高まりを背景にESG投資の拡大が続いています。いわゆるESGファンドは、2018年以降、毎年20以上、2021年には年60件以上も新規に設定され、今後ますますESG投資の重要性は高まることが予想されます。

このように、企業のSDGs関連の業務・取り組みが増えていることからSDGs関連の求人も増えています。


SDGs関連の仕事に興味はあるが、具体的に何ができるか分からないという方はぜひ一度JACのコンサルタントにご相談ください。



ご登録済み・サービス利用再開の方はこちら

SDGs関連の求人はどのくらい増えているのか

「SDGs関連の求人」を具体的に定めるのは難しいのですが、例えばJACの扱う求人において、ポジション名に「SDGs」という単語が含まれる新規求人数が2023年は、2021年に比べて約5倍に増えています。

SDGs関連の求人とは


SDGs自体が多様なテーマということもあり、求人のポジションも下記にご紹介するように幅広いです。

SDGsを推進するポジション

サステナビリティ推進室は、持続可能な社会への貢献に向けて、自社の課題を明確化及び、具体的な行動指針を策定する部門です。経営中枢の下部組織に位置付けられており、環境課題への配慮が求められる現在では企業にとって欠かせない存在とされています。
また、CSR推進室は企業価値を高めることを目的とした部門です。社会問題の解決によって企業価値の向上につながる取り組みを推進していることから、サステナビリティに貢献できるような活動を行っている場合も増えています。
SRIとは、社会的責任投資のこととなり、投資基準として財務的側面のみならず企業としての社会的責任を果たしているかについても考慮して、投資対象を選ぶことです。
近年では、環境問題に対して積極的に取り組んでいる企業を選ぶSRIが増えています。

SDGs関連の企業投資ポジション

金融機関と事業会社の双方で企業投資のポジションで求人が発生しています。

まず、近年、ESG(環境・社会・ガバナンス)ファンドなど、企業の社会的責任を重視した投資先選びが大幅に増加しています。これにより金融機関側では、SRIの観点から投資先の選定を行うことが必要になってきており、その業務を対応する求人が増えています。

投資先の選定にあたっては、SDGsが話題になり始めた初期の頃は、企業に簡単な質問票を送付し、その〇×で選別すれば良かったものが、現在では、質問はより専門的なものに変化。さらに、内容に関する定性的な評価、改善取り組みへの評価、併せて、企業をどう動かしていくかといったことまで検討するフェーズにあります。このようにESG投資の動きは進化しているため、それに合わせて求人が増加していく傾向にあります。


ここまでに示したようなポジションで、年収600万円~1,000万円程度の求人が増えています。

環境関連施策を促進するポジション

次に、環境関連の施策をリード・促進するポジションです。

外資系企業などでは「EHS(環境・衛星・安全)」「HSE(環境・衛星・安全)」と呼ばれるポジションがSDGsの促進を行っています。
また、SDGsの特徴では、地球環境問題、特に炭素排出量の抑制関連で、社内の取組の統括、外部からの炭素クレジットの購入を含めた、排出量の計算と純排出量ゼロのカーボンニュートラルの実現といった求人が増えています。
さらに、炭素・CO2の排出が少ない新エネルギーや新型火力などの求人が多くあります。そのほか、環境へ一定の影響を伴う、風力発電、太陽光発電、地熱発電などの新エネルギーの発電・送電施設等の開発に伴う自然保護・アセスメントのニーズも、今後増加することが予想されます。

EHS/HSEのポジションは外資系に多く、年収500万円~ですが、マネージャークラスの求人は800万円~1400万円の求人が多いです。
脱炭素関連では年収500万円~900万円のポジションが多くあります。

その他のポジション

SDGsの取組は、大手企業から、その仕入れ先企業などにも責任範囲が広がっていく傾向にあり、今後、国内外の仕入れ先の労働環境などの監視・管理のポジションなども増えていくでしょう。
また、SDGs関連業務の急速な増加により、外部のコンサルティングを利用する企業も増えています。そのため、コンサルティング企業のSDGs業務を担当するコンサルタントの求人も増加しています。

コンサルタントに関しては、年収600万円~の求人が多いですが、ご本人のキャリアによって1500万円~2000万円の求人も出ています。

採用が活発な業界・企業の特徴

SDGsは幅広い目標であるため、幅広い業界でニーズが増えていますが、下記業種で特にニーズが拡大しています。

  • ・製造業の環境/SDGs関連部門
  • ・ESG投資に絡んだ金融業界
  • ・コンサルティング業界

企業規模は、事業会社では今のところ大手企業が中心ですが、仕入れ先への遡及が進むにつれ、中堅中小にも広がっていくことが予想されています。また、SDGsコンサルを含む、特にSDGs特化度の高い事業であれば、企業規模問わず求人が出ています。

Topへ

SDGs関連の求人に求められるスキル・経験


SDGs

基本的には、経験者が求められますが、SDGsに関わる求人はポジション自体が新しいため、ぴったりのご経験を持つ方はなかなかいらっしゃいません。そのため、募集要件を満たしていなくても採用されることが多い段階にあります。

例えば、事業会社のSDGs推進のポジションなどでは、下記のような方々が採用されているケースが多いです。

  • ・CSR関連の経験者
  • ・投資/IR/広報関連など対外的に企業情報を発信してきた経験者
  • ・SDGsそのものや製造業などにおける環境関連の業務経験者

その他、環境関連、特に気候変動・炭素排出量関連では、新エネルギー関連のビジネスが継続的に活況です。こういった分野では、風力発電のメンテナンスなども含め、旧エネルギー関連での電気関連の経験・有資格者が評価されており、最近では70代の候補者が魅力的な待遇で採用されたケースもあります。

なお、SDGs関連求人の推進役ポジションの場合、前述の何らかの経験に加えて、これまで、社内でSDGsに関係しそうなプロジェクトに自ら参加した経験や意欲、また、短期の売上に直結しない新規プロジェクトに積極的に推進した経験なども評価されることも多いです。

経験を活かしたキャリアチェンジのチャンス

前述の通り、SDGs関連の仕事は新しく、その経験を持つ方が少ないため、様々な業界・職種の専門知識・スキルが活かせるチャンスがあります。

もちろん、転職に限った話ではなく、社内での異動や兼務、あるいは社外での副業等についても同じことです。社内にSDGs関連の部署が新たにできる時に、選ばれるよう、関係しそうな各部署に関心をアピールしておく、また、SDGs関連の業務が通常業務以外のプロジェクトで立ち上がった場合は、自ら手を挙げて参加しておくのも一手です。

SDGs関連の転職はJACに相談


JACには、SDGs関連のポジションに特化したチームがあり、転職をサポートしています。

SDGs関連の求人は業界・職種問わず幅広く、それぞれの企業・部署で取り組む内容が異なるため、ご自身の希望する業務に就けるか事前にコンサルタントにご確認ください。

また、SDGs経験者の方は希少価値が高く、転職のチャンスが広がっています。今後のキャリアプランも含めご提案が可能です。ぜひJACのコンサルタントにご相談ください。

Topへ

この記事を監修した転職コンサルタント

https://www.jac-recruitment.jp/market/wp-content/uploads/2021/08/t-kurosawa.jpg

黒澤 敏浩

プリンシパルアナリスト

ハイクラス・管理職の転職に強い人材紹介会社のジェイエイシーリクルートメント(JAC)でマーケット研究などを担当し、ホワイトカラー転職市場や給与の分析などで20年の経験を持つ。人材サービス産業協議会の「外部労働市場における賃金相場情報提供に関する研究会」委員や日本人材マネジメント協会執行役員「人事(HRM)の投資対効果(ROI)」担当も務める。
日本証券アナリスト協会認定アナリスト。国家資格キャリアコンサルタント。ISO30414(人的資本情報開示ガイドライン)リードコンサルタント。