ここ数年、耳にすることが多くなってきた「SDGs」や「ESG:環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)」。SDGsの目標達成に取り組む企業も増加しており、関連する採用が活発化しています。
転職活動中の方からもSDGs関連の業務に就きたいと、JAC Recruitment(以下、JAC)にご相談いただくことが増えています。
JACにはSDGs関連のポジションに特化したチームがあり、転職をサポート。業界の垣根を超えた多様なキャリアをご提案可能です。
今回は製造業のなかでも「大手企業」を中心に、SDGsへの取組みがどう進められ、どのような採用ニーズがあるのかを、JACの転職コンサルタントが解説します。
サスティナビリティ・SDGs関連の転職を検討中ですか?
今現在、
- サステナビリティ経営に携わりたい
- 社会的に企業価値の高い企業で働きたい
- SDGs関連の組織を牽引する立場で仕事をしたい
上記のようなお困りごとがございましたら、私たちJACへ相談してみませんか?
登録してプロの転職支援を受けるサスティナビリティ・SDGs関連の転職を検討中ですか?
今現在、
- サステナビリティ経営に携わりたい
- 社会的に企業価値の高い企業で働きたい
- SDGs関連の組織を牽引する立場で仕事をしたい
上記のようなお困りごとがございましたら、私たちJACへ相談してみませんか?
登録してプロの転職支援を受ける目次/Index
製造業に関わりが深いSDGsの目標
製造業と関わりが深いSDGsの目標として、以下の5つが挙げられます。
・目標7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに
・目標8:働きがいも経済成長も
・目標9:産業と技術革新の基盤を作ろう
・目標12:つくる責任・つかう責任
・目標13:気候変動に具体的な対策を
それぞれについて詳しくみていきましょう。
目標7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに
目標7では、すべての人々が安価かつ信頼性の高い、持続可能なエネルギーを利用できることが求められています。化石燃料の使用による二酸化炭素排出は地球温暖化の主な原因であり、またこれらの資源は将来的に枯渇するリスクを抱えています。
そのため、太陽光や風力といったクリーンエネルギーへの転換は、これらの課題解決において不可欠です。製造業界では、化石燃料を使用しない製品の開発や、生産工程でのクリーンエネルギーへの切り替えが有効な対策として欠かせません。
目標8:働きがいも経済成長も
目標8では、すべての人々にとって働きがいのある雇用環境と持続可能な経済成長を目指しています。世界には未だに厳しい労働環境に置かれたり、貧困から脱出できない人々が多く存在しており、日本では長時間労働や正規職員と非正規職員の収入格差などが課題です。
この目標に対する製造業界での主な貢献方法としては、フェアトレード原料の調達や、ワークライフバランスの改善などが挙げられます。
目標9:産業と技術革新の基盤を作ろう
目標9では、多様なインフラ整備と産業革新を促進する基礎構築を目指しています。特に発展途上国では、基本的な生活インフラが整っていない地域も多く、インターネットや携帯電話が利用できない地域も少なくありません。
製造業界は、災害時の自家発電システムの開発や、発展途上国のインフラ整備への支援などでこの目標の実現に貢献できます。
目標12:つくる責任・つかう責任
目標12は、資源を賢く利用し、持続可能な消費と生産の構築を目標としています。これまで先進国では、大量消費・大量生産が標準となっており、未だに人間が消費する資源の量が課題となっています。
製造業界は、耐久性の高い製品の設計や生産過程での廃棄物のリサイクルに取り組むことで、この目標への貢献が可能です。
目標13:気候変動に具体的な対策を
目標13は、気候変動の発生とその影響を最小限に抑えるための具体的な行動を求めています。近年は、地球温暖化により、世界各地でさまざまな気候変動が起き、多くの災害が発生しています。そのため、これらの課題に対する対策が急務です。
製造業界は、カーボンフットプリントを減らす取り組みや、熱中症など気候変動に関連する健康リスクへの対策を通じて、この目標の実現に貢献できます。
大手製造業におけるSDGsの取組み/2024年の傾向
多くの企業で「サステナビリティ」「SDGs」への意識が高まっています。
2021年6月に、東京証券取引所(東証)が金融庁と共同で定めている企業統治に関するガイドライン「コーポレートガバナンス・コード」を改訂。その中でも「サステナビリティ」が主要項目に取り上げられています。
また、2022年には東証の市場区分が再編され、一部上場企業が「プライム市場」へ移行。プライム市場の上場企業には、地球温暖化による経営リスクや環境対策などの開示が求められているのです。
こうした背景から、大手製造業では「サステナビリティ推進室」などの専門部署や、社内横断でサステナビリティの課題に取り組むプロジェクトを立ち上げ、対応しています。中途採用市場にこの分野の専門家や経験者が少ないため、既存社員をSDGs推進担当者にアサインし、専門知識をインプットする方向で動いている大手企業が多いです。
たとえば、通常業務で「環境安全」「労働安全」などを手がける社員がサステナビリティ推進担当にアサインされて部門異動する、あるいはプロジェクト単位で活動する、などです。
しかし、社内での人員手配が難しい場合は、中途採用も行われています。ここでは、大手製造業での求人例をテーマ別にご紹介します。
カーボンニュートラル
2021年には、「カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させること)」を目指す取組みで、人員を強化する動きが見られました。
ある設備・装置メーカーを例にとると、技術系バックグラウンドを持つ方々が、カーボンニュートラルの施策を検討・推進する企画職のポジションで採用されています。
「カーボンニュートラル」をキーワードとした採用は、2024年以降も続くと予測しています。
グローバル
日本におけるサステナビリティへの意識や取組みは、欧米諸国と比較して遅れています。海外企業との温度差が生まれているため、グローバルでの事業活動に際して、そのギャップを埋める必要があります。
そこで、経営企画部門などでは、サステナビリティの観点で海外企業と目線を合わせて対話し、連携を図れる方のニーズが出てきています。
一例を挙げると、ある機器メーカーではサステナビリティ推進組織を設置し、中期計画を策定。いざ実施する段階に入ったところで、海外と連携できる方が社内にいなかったため、採用を行いました。
このように、グローバル企業においては、サステナビリティの観点と知識を持って海外との折衝ができる方が、今後、求められると予測しています。
実際の採用事例として、Kさん(30代/女性)のケースをご紹介しましょう。
Kさんは日本の電機メーカーの欧州拠点に勤務し、営業企画を担当していましたが、日本への帰国をきっかけに転職活動を開始。Kさんは当初、英語力を生かしグローバルな環境で働くことができる「海外営業」のポジションを検討されていました。
しかし、「欧州」というSDGs先進国における現地企業との折衝経験や、SDGsへの理解度がグローバル水準であると期待され、大手機器メーカーのSDGs関連開発プロジェクトにおける企画職で採用されました。
大手での経験者は、準大手・中堅への転職チャンスが広がる
前述のとおり、大手企業では、サステナビリティ関連のプロジェクト推進は社内で対応するため、求人としては多くありません。しかし、今後は準大手~中堅企業でも取組みに着手するため、中途採用のニーズも高まると予測しています。その際に求められるのが、「大手企業でのサステナビリティ施策推進経験者」です。
これまでも、準大手~中堅メーカーが大手メーカー出身者を採用し、大手企業の先進的な仕組みや組織作りのノウハウを取り入れてきたケースは数多くあります。それと同様に、大手企業でサステナビリティ関連の施策推進に携わった方が準大手~中堅企業に転職し、プロジェクト推進リーダーとして経験を生かすチャンスが増えると予測しています。
サステナビリティやSDGs推進の部門に所属できる方は数名かもしれませんが、その部門からの依頼で原材料の素材を再検討する、取引先企業へ要望を伝える、新たな購入先を検討するなど、サステナビリティに関連する業務は非常に多いと考えます。
ミドル期以降のキャリアの選択肢を広げるためにも、今の会社でサステナビリティ関連のプロジェクトに携わる機会があれば積極的に参加し、以下のことへ取り組むことをお勧めします。
- ●サステナビリティ関連のテーマに興味を持ち、知識をインプットする
- ●サステナビリティ関連施策を実践し、一定の成果を挙げる
- ●成果を挙げたプロジェクトについて、そのプロセスや成功のポイントを記録。職務経歴書や面接で語れるように整理する
どのような部門・職種においても、サステナビリティ関連の知識・経験を持つ方は、今後いっそう求められます。
ご自身の強みをサステナビリティとどのようにつなげられるか、所属する部署や担当業務で何ができるかを意識的に取り組むことで、キャリアの幅が広がります。
ダイバーシティ推進を背景に、「女性管理職」のニーズが高まる
SDGsの5番目の目標に「ジェンダー平等を実現しよう」があります。
大手企業の多くは「ダイバーシティ(多様性)」に対する意識を高め、政府が主導する「女性活躍推進」の方針に則り、女性管理職比率の向上に努めています。
そのため、男性管理職が大半を占めている大手企業などから、ポジティブアクションとして「女性の管理職経験者(または候補者)を紹介してほしい」という要望も多く寄せられています。「管理職経験を持つ40代女性」は、中途採用市場での価値が非常に高まっているといえます。
そういったことを背景に、「管理職経験」×「サステナビリティの知識・経験」を掛け合わせることで、思いもよらなかった転職を実現した女性もいます。
Rさん(40代/女性)は、大手機器メーカーでカスタマーサクセス部門のマネジャーを務めるかたわら、自社のサステナビリティへの取組みについて考える社内コミュニティに参加していました。そのコミュニティでは、リーダーのポジションではなく「参加者の一人」という立ち位置でしたが、サステナビリティについての意識が高く、基礎知識があると評価され、大手企業のサステナビリティ推進部門に迎えられたのです。
サステナビリティに関して専門家レベルの知識を持っていないR さん自身にとって、まったく予想しなかったキャリア展開でした。「管理職経験を持つ女性」という条件との掛け合わせによって実現した転職です。
サステナビリティへの取組みに関しては、まだ世の中に「経験豊富なプロフェッショナル」が少ない状況です。NPOなどでの社外活動も含め、業務以外であっても「関わった経験」と「強い意識」がある管理職であれば、サステナビリティ担当者のポジションで迎えられるチャンスがあります。
製造業におけるSDGs転職ならJACへ
JACには、製造業を専門で担当するコンサルタントが複数在籍し、採用企業の事業部長クラスの方々とのコミュニケーションを通じて最新情報を収集。転職を検討している皆様に、最新の採用傾向をお伝えしています。
そして、候補者の職務経歴と求人の要件をデジタルでマッチングすることはなく、電話やオンライン面談も含め、人と人とのアナログなコミュニケーションを大切にしています。丁寧なヒアリングによって、履歴書・職務経歴書には表れない強み・志向・価値観を理解し、それに沿ったご提案をしています。
ときには、ご本人が想定していなかった求人をご紹介し、キャリアチェンジにつながることもあります。
またJACには、SDGs関連のポジションに特化したチームがあり、SDGsに関連した仕事をしたいという方々に向けて、業界・職種を問わず幅広く転職をサポートしています。
もちろん、「SDGs関連の仕事に興味はあるが、具体的に何ができるか分からない」という方も、ぜひ一度ご相談ください。