大手化学・素材メーカーにおけるSDGs転職市場:トレンドと注目職種を解説

  1. SDGs×転職市場動向
  2. 化学メーカー(化学/素材業界)×転職マーケット

公開日:2023/05/29 / 最終更新日: 2024/11/25

ニュースやメディアで頻繁に取り上げられている「SDGs」「ESG:環境・社会・ガバナンス」「サステナビリティ」。SDGsの目標達成に取組む企業も増加しており、また、それにより、関連する採用が活発化しています。JAC Recruitment(以下、JAC)にご相談いただく方からも、「SDGs にかかわる仕事にはどのようなものがあるのか?そもそも求人はあるのか?」というご質問が増えています。

今回は大手化学・素材メーカーにおけるSDGsへの取組みと採用動向について、化学業界に精通したJACの転職コンサルタントが解説します。

サスティナビリティ・SDGs関連の転職を検討中ですか?

今現在、

  • サステナビリティ経営に携わりたい
  • 社会的に企業価値の高い企業で働きたい
  • SDGs関連の組織を牽引する立場で仕事をしたい

上記のようなお困りごとがございましたら、私たちJACへ相談してみませんか?

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化学業界に関わるSDGsの目標について


SDGsの17の目標と化学産業の関わりについて解説します。

2.飢餓をゼロに

肥料や農薬による農業生産能力の向上に貢献して、食料増産を提供する取り組みが進められています。また、植物工場のような農業困難地での食料生産を可能にする技術の開発が求められています。

3.全ての人に健康と福祉を

医療機器関連素材や医薬原料・原体の提供により、医療への貢献を目指しています。また、新薬の開発やGPSなどの化学品安全活動により、有害化学物質による健康被害の防止にも積極的に取り組んでいます。

6.安全な水とトイレを世界中に

海水淡水化膜等の技術により、砂漠や孤島における水の供給に向けて取り組んでいたり、節水型洗剤の開発による民生分野における節水にも注力しています。さらに、限外ろ過膜や吸着剤等により、水の浄化活動にも積極的に取り組んでいます。

7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに

二次電池、太陽電池、風力発電装置材料など再生可能エネルギーの利用に欠かせない素材を提供しています。また、製造過程で省エネルギープロセス・技術を開発するだけでなく、LED関連素材、軽量素材、断熱材等により民生分野の省エネルギーにも貢献しています。

11.住み続けられるまちづくりを

RCにおける防災活動や大気・廃棄物の管理を通じて、都市の安全の向上や環境改善に取り組んでいます。また、耐震ゴムなど災害対応素材の開発を通じて自然災害に強いまちづくりの実現を目指しています。

12.つくる責任つかう責任

機能性素材や技術により、環境に負荷の少ないプロセスや省資源プロセスの実現を目指しています。また、廃棄物の再利用や資源化技術により、廃棄物の削減にも取り組んでいます。

13.気候変動に具体的な対策を

地球温暖化対策の一環として、低炭素社会実行計画の策定や、長期戦略WGを通じて低炭素社会を実現するためのイノベーションの検討を実施しています。また、石炭火力発電等の問題に取り組んでおり、CO2排出負荷の少ない電力供給の実現を目指しています。

14.海の豊かさを守ろう

マイクロプラスチックス海洋汚染問題への対応に取り組むとともに、機能性素材等の開発を通じて海洋汚染防止に取り組んでいます。また、養殖用素材の供給を通じて、漁業資源確保にも貢献しています。

15.陸の豊かさも守ろう

工場周辺の環境整備などを通じて生物多様性への取り組みを実施しています。また、砂漠化対応素材(吸水性ポリマー)の供給を通じて陸の環境保全にも貢献しています。

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大手化学・素材メーカーにおけるSDGsへの取組み


2021年6月に2度目の改定がなされた「コーポレートガバナンスコード」では、サステナビリティを巡る課題への取組みとして、下記2点が盛り込まれました。

・経営戦略の開示にあたって、自社のサステナビリティについての取組みの開示

・プライム上場企業において、TCFD ※または、それと同等の国際枠組みに基づく気候変動開示の質と量の充実

このような背景から、大手化学・素材メーカーでも各社、「サステナビリティ」や「カーボンニュートラル」などをキーワードに、専門部署や専門プロジェクトを立ち上げ、対応しています。

昨今では、このサステナビリティへの取り組み状況がステークホルダーから選ばれることにつながっている点も注目したいポイントです。

例えば、化学・素材メーカーの製品提供先となるクライアント(自動車・電気・機械といった完成品メーカーなど)は、資材購買の選定基準として従来のQCD(Quality:品質・Cost:価格、Delivery:納期)に加え、「サステナブルな材料であるか」を重視するようになっています。環境負荷が低い材料、あるいは整った労働環境で生産された材料などが求められています。

※TCFD:気候変動に係るリスク及び収益機会が自社の事業活動や収益等に与える影響について、必要なデータの収集と分析を行い、国際的に確立された開示の枠組み

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大手化学・素材メーカーのSDGsの取組みにまつわる採用動向


これらの取組みの強化に伴い、採用も活発化。メンバーからマネジャークラスまで、複数の領域で求人が出てきています。

まだ「経験者」がほとんどいない状況であるため、サステナビリティ・SDGs・カーボンニュートラルなどに関連する実務経験がなくても、職種経験+興味関心・意欲がある方が転職されています。

ここからは、具体的な採用ニーズについてご紹介します。

「サステナビリティ」「カーボンニュートラル」推進部署の企画職

取組みを推進する部署では、企画職を採用。役割やポジションによって求める要件が異なり、「経営企画」「事業企画」「広報」「IR」などの経験者にチャンスがあります。

サステナビリティやカーボンニュートラル関連の企画経験があれば歓迎されますが、新規性があるテーマに取り組んだ経験を持つ方も対象となります。

化学業界出身者に限らず、幅広い分野のメーカー出身者が採用に至っているほか、事業開発ポジションでは異業界の新規事業企画経験者やコンサルティングファーム出身者も採用されています。

環境配慮型製品の研究開発職

生分解性プラスチックやバイオプラスチックほか、リサイクル可能な材料を生み出す研究開発職の採用も行われています。化学系の経験がある方が望ましいですが、自動車・電気・機械などの業界出身のエンジニアが採用されている事例もあります。

生産体制を築くエンジニア(生産技術・製造技術・プロセスエンジニア・プラントエンジニア)

製品を作る過程でCo2を排出しない設備や手法を導入・運用するエンジニアが求められています。

生産技術・製造技術・プロセスエンジニアといった経験者、エンジニアリング会社のプラントエンジニア経験者などが採用対象となっています。

化学物質管理

完成品メーカーサイドでグリーン購買(環境に配慮した部材の調達)への意識が高まるなか、「化学物質管理」などの求人も大幅に増えています。

新規の事業・ビジネスモデルに関わるポジション

全体的な傾向は上記のとおりですが、個社に注目すると多様な採用が行われています。

たとえば、「サーキュラーエコノミー(循環型経済)を推進する事業開発」「独自開発した製造技術モデルの外販にあたっての技術サポート」などです。

今後も各社の事業戦略に応じて、さまざまなポジションでニーズが生まれてくると考えられます。

女性管理職

SDGsの5番目の目標として「ジェンダー平等を実現しよう」が掲げられています。大手企業では「ダイバーシティ&インクルージョン(多様な人材を受け入れ、個々の特性を生かして働けるようにするための取組み)」を推進。施策の一環として、女性管理職比率の向上を目指しています。

そのため、管理職の大半が男性を占めている企業などは、ポジティブアクションとして女性を優先して管理職に採用したいという要望も増えています。実際、管理部門・営業・マーケティング・デジタル系など、多様な職種で女性管理職の採用事例があります。


SDGs関連の仕事に興味はあるが、具体的に何ができるか分からないという方はぜひ一度JACのコンサルタントにご相談ください。



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SDGs関連経験がない方でも転職を実現。その傾向は?


「サステナビリティやSDGsの課題に取組みたいと思うが、自分にはその経験がないので……」

このような声をお聞きすることもあり、SDGs関連求人を見ても前に一歩踏み出せない方もいらっしゃいます。

しかし、実際に転職を実現されている方々を見ると、専任で手がけてきた方だけでなく、未経験でも「やりたい」という強い意志を持った方々がチャンスをつかんでいます。特に、企画系、研究開発、製品開発などでそうしたケースが見られます。

「環境配慮型素材ではないが新製品の開発をしていた」「カーボンニュートラルではないが新たなプロセス開発を手がけてきた」「サーキュラーエコノミーに関する経験はないが新規ビジネスモデル開発を得意としている」――など、職種経験や働き方の親和性を生かし、転職を成功させています。

そして、傾向として「従来の仕組みを回していく」のではなく、「トライアンドエラーを繰り返しながら新しいものを生み出していく」という経験や覚悟を持った方々が迎えられているのです。

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SDGs関連経験者は、「より希望に近いフェーズ」へ


当然ながら、サステナビリティ・SDGs・カーボンニュートラルに関連する仕事に携わったことがある方は企業からの興味も高く、またマーケットに経験者が少ないこともあり、選考では有利となります。経験者が転職するメリットとして、「より本気度が高い企業」や「より希望に近いフェーズ」の企業で経験を積めることが挙げられます。

たとえば「現職では戦略策定のフェーズだが、技術に落とし込むフェーズに入っている企業で技術経験を生かしたい」など、転職によって、より希望に近いポジションに就いている事例もあります。

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大手化学・素材メーカーへのSDGs転職成功事例


大手化学・素材メーカーのサステナビリティ推進ポジションに転職された方の事例をご紹介しましょう。

大手素材メーカーの経営企画部門でマネージャーを務めていたSさん(40代後半/男性)。サステナビリティ推進を手がけていましたが、物足りなさを感じていました。

自社のサステナビリティ推進はまだ施策の検討段階。エンジニアのバックグラウンドを持つSさんとしては、より技術の現場に近いフェーズに取組みたいと考えていたのです。自社がそのフェーズへ進むのは自身の定年間近になると予測。まだ転職の意志は固まっていなかったものの、JACに登録して情報収集を開始されました。

さまざまな企業の検討を続けて、およそ1年。最終的に転職を決めたのが大手化学メーカーA社

実は当初、A社から明確な求人が出ていたわけではありませんでした。JACのコンサルタントがA社を訪問した際、「カーボンニュートラル関連部署で経験者が必要」という話を聞き、Sさんの経験が生かせるのではないかと考え、JACのコンサルタントが両者をつないだのです。

A社が求める要件とSさんの経験・希望を計4回の面談で慎重にすり合わせた結果、年収アップで採用が決定しました。

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大手化学・素材メーカーのSDGs関連ポジションへの転職ならJACへ


JACには、大手化学・素材メーカーを専門で担当するコンサルタントが複数在籍し、事業部長クラスの方々とのコミュニケーションを通じて日々情報をアップデート。転職ご希望者に、各社の新部門・新プロジェクト立ち上げといった取組み状況や採用ニーズをお伝えしています。

サステナビリティ、SDGs、カーボンニュートラルといったテーマは、興味はあるが、転職の方向性については漠然としている方が多い状況です。

私たちコンサルタントは、転職ご希望者の経験・スキル・志向とマーケットのニーズをすり合わせることで、さまざまな選択肢をご提案しています。

これまでの転職事例を踏まえて活躍の可能性を探り、選考を通過するためのアドバイスもいたします。

JACにはSDGs関連の求人に特化したチームがあります。SDGs関連キーワードをもとに、複数の業界の担当コンサルタントが情報共有・連携することで、多様な業界・ポジションを選択肢として提示することが可能です。

まだ具体的に転職を決意していない段階でも、ぜひ一度ご相談ください。

この記事を監修した転職コンサルタント

見浪 悠太

見浪 悠太

ケミカルディビジョン 日系大手領域 マネージャー

【得意分野】

業種 :化学・素材業界全般

職種 :製品開発、新規事業企画、生産技術、DX推進、環境安全                   

企業タイプ :日系大手化学・素材メーカー

一貫して化学・素材業界のキャリアサポートに携わってきました。 ミドル~マネジメントクラスの事業変革を担う人材のご支援を得意としております。 化学・素材業界内での転職は勿論ですが、異業界からのご支援実績も多数ございます。