構造設計の転職事情|仕事内容や年収、動向を解説

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公開日:2025/03/10 / 最終更新日: 2025/03/10

構造設計は、意匠設計、設備設計と並び、建築設計に欠かせない役割の1つです。近年、建築技術の向上により、意匠を凝らした複雑な設計の建物が増加しており、建物の安全性を高めるために構造設計の担当者に求められる役割はますます重要になっています。構造設計に関わりたいと考える方も多いでしょう。

そこで今回は、構造設計の仕事内容や年収、転職時に必要な資格、最新の求人情報についてご説明します。

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構造設計とは?


構造設計の概要を、類似した業務と比較しながらご説明します。

構造設計とは

構造設計とは、意匠設計が設計した建物のデザインをもとに、建物を支える土台と骨組みを設計する仕事です。強い力が加わったときにも耐えうる安全性能を満たすため、構造力学に基づいた計算が求められます。

どんなに洗練されたデザインの建物でも、利用者が安全に利用できるものでなければなりません。特に日本は地震や台風、大雪などの自然災害のリスクがあるため、高い強度をもつ建築物の設計が求められます。構造設計を担当する人は、構造設計者や構造デザイナー、構造技術者とも呼ばれます。

構造設計と意匠設計の違い

意匠設計は建物の外観や機能をデザインすることで、美しさや機能性を実現します。一方、構造設計は建物の安全性や耐久性を確保するための設計です。

構造設計と設備設計の違い

設備設計は、建物を利用する人が快適に過ごすために必要な空調設備や照明、配管に関する設計を行う仕事です。構造設計は、これらの設備と安全性の両方を考慮しながら設計を進めます。

構造設計の仕事内容


構造設計の主な仕事内容は次のとおりです。

意匠設計者・設備設計者との打ち合わせ

構造設計者は、意匠設計が行われた後に構造設計を行うのが一般的ですが、最近では早い段階で構造設計者が打ち合わせに参加することが増えています。また、設備設計の担当者との調整も必要です。

安全性を考慮した構造設計図の作成

構造設計では、意匠設計のデザインをもとに、建物の用途や建築予定地の状態、周辺の環境などを考慮し、適切な部材と構造システムを選択します。具体的には、基礎や土台、柱、梁、床、屋根の構造設計図を作成します。この過程では、耐震性や耐風性、加重計算、構造的な強度の評価が行われます。

構造設計の立場から意匠設計の設計内容で安全性を確保するのが難しい場合は、意匠設計者にフィードバックをし、設計の見直しを依頼します。反対に、意匠設計から設計変更の提案を受けた際には、安全性の再確認を行います。

構造設計の平均年収


JACが転職をサポートした事例では、構造設計者の平均年収は830万円前後です。また、年収600万円から1,000万円程度で転職されるケースが多くなっています。
※当社実績(2024年1月~2024年12月)より

一般的には、構造設計者の平均年収は約600万円前後とされていますが、以下のように年代により年収が異なります。

構造設計の年代別の平均年収

年代平均年収
20代400~500万円
30代500~600万円
40代以上600~800万円

このように、年齢とともに年収が増加する傾向があります。さらに、構造設計の分野は高い専門性が求められるため、スキルを磨くことでより高い年収を得ることが可能です。

近年の求人市場の動向

現在、構造設計の求人市場は活発で、多くの企業が優秀なスタッフを求めています。特に大手のゼネコンや設計事務所では、専門性を生かした高給与の求人が増加しています。転職を検討している方は、最新の求人情報をチェックし、スキルアップを目指すことが重要です。

構造設計の最新転職・求人情報


JACでは、多数の構造設計の求人を取り扱っています。以下は、JACの求人の一部です。

  • 東証プライム/準大手ゼネコン:構造設計職【勤務地:東京
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  • ・非公開企業:技術系総合職:建築構造設計【勤務地:東京
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  • ・旭化成グループにおける研究開発職(建築):構造・構法、耐震技術等の開発職【勤務地:静岡・東京】
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  • ・非公開企業:構造設計・構造設計監理【勤務地:東京】
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  • ・株式会社プランテック:<構造設計>幅広い用途の設計に携われる/年休126日・フレックス・テレワーク可【勤務地:福岡・大阪・東京】
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  • 準大手ゼネコン:【東京】構造設計(管理職候補) 【勤務地:東京】
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  • 大末建設株式会社:構造設計職(東証プライム上場の総合ゼネコン)【勤務地:大阪・東京】
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  • 株式会社関・空間設計:【在宅可×時差出勤利用可】構造設計◆メディア掲載・受賞歴多数◆地域に根差した建築◆【勤務地:宮城】
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  • エアバス・ヘリコプターズ・ジャパン株式会社:Structural Engineer / 構造設計エンジニア【勤務地:兵庫】
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  • ・プライム上場/日本を代表する総合設備企業:構造設計(在宅制度有/福利厚生充実)【勤務地:東京】
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※求人の募集が終了している場合もございますので、ご了承ください。(2025年2月最新)

構造設計に求められるスキルや経験

構造設計の仕事では、次のようなスキルや経験が求められます。

数学・物理についての知識

構造設計においては、重力や地震、強風、積雪などで加わる荷重が構造に与える影響を計算し、構造物に生じる応力や変形などを計算し、安全性を確認しなければなりません。この計算を構造計算といいます。一定以上の建物を建築する場合には、建築確認申請や構造計算適合性判定申請の際に構造計算を行う必要があります。構造計算をする際には、力学的な解析が必要になり、物理や数学の知識が欠かせません。

強い責任感と緻密な業務遂行能力

構造設計は、建物の安全性に関わる重要な業務であり、構造設計者は責任をもって安全な設計を行わなければなりません。また、安全性を確保するためには精密な計算と緻密な設計を行う能力も必要です。従って、構造設計者は、建築物の安全を担っているという強い責任感をもち、正確に業務を進められる能力が必要になるといえるでしょう。

コミュニケーション能力

意匠設計者は施主の要望を採り入れた外観や間取りなどのデザインを行い、構造設計者は意匠設計者のイメージを共有しながら、理想的な建物を実現するための構造設計を行わなければなりません。近年では、プロジェクトの早い段階から意匠設計者と打ち合わせをするケースも増えており、どのような方法であれば安全性を確保できるのか、意匠設計者とコミュニケーションを重ねる必要があります。円滑に業務を進めるうえで、コミュニケーション能力は欠かせないものです。

課題解決能力

構造設計を進めるうえで、状況によっては、安全性の確保のために意匠設計の変更を求めなければならない場合も出てきます。そのような場合、どのような方法であれば対応ができるのか、技術的な課題を解決する方法を提案する必要もあり、構造設計者には課題解決能力も求められます。

構造設計経験または資格保有者

構造設計職への転職を希望する場合、実務経験が優遇されるケースがほとんどです。そのため、構造設計としての実務経験をもつ方は、転職を有利に進められるでしょう。また、後述する一級建築士や構造設計一級建築士の資格を保有している人は、構造設計の実務経験がない場合であっても、知識が評価される可能性があります。

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構造設計への転職に生かせる資格


一定規模以上の構造設計を行うにあたっては、構造計算などについての知識が必要です。そのため、構造設計者として働く人の多くは次のような資格を取得しています。

一級建築士

一級建築士は、全ての構造・規模・用途の建築物の設計、工事監理が認められている国家資格です。ただし、国家試験に合格しただけでは一級建築士としての免許は交付されません。一級建築士の免許証明書の交付を受けるためには、公益社団法人日本建築士連合会の審査を受ける必要があるのです。審査では実務経験の確認が行われます。

一級建築士の免許を取得するために必要な実務経験は、大学卒業者は2年以上、3年制の短期大学卒業者は3年以上、2年制の短期大学・高等専門学校の卒業者は4年以上、二級建築士・建築整備士の場合は4年以上となります。

公益財団法人建築技術教育普及センター「一級建築士試験」
https://www.jaeic.or.jp/shiken/1k/index.html

構造設計一級建築士

2006年に建築士法が改正され、構造設計一級建築士制度が創設されました。この法改正により、一定規模以上の建築物の構造設計については、構造設計一級建築士が自ら設計を行う、または構造設計一級建築士が適合性の確認を行うことが義務受けられました。つまり、一定以上の規模の建築物を建設するにあたっては、構造設計一級建築士が関与しなければ、構造設計が認められず、建築確認申請が受理されないのです。
構造設計建築士の資格を取得できるのは、一級建築士として5年以上構造設計の業務に従事した経験がある人に限定されています。5年以上の構造設計の実務経験をもつ一級建築士は、国土交通大臣の登録を受けた登録講習機関が行う講習を終了すると、構造設計一級建築士の資格を取得できます。

公益財団法人建築技術教育普及センター「構造一級建築士試験」
https://www.jaeic.or.jp/smph/koshuannai/koshu/s1k/index.html

JSCA建築構造士

一般社団法人日本建築構造技術者協会(JSCA)が認定する資格です。JSCA建築構造士の資格を取得できるのは、構造設計一級建築士の資格取得者であり、2年以上責任のある立場で工事監理業務を含めた構造設計業務の実務経験を有している人に限定されます。

そのため、非常に取得が難しい資格でもありますが、JSCA建築構造士の資格があれば構造設計師の中でも特に優れた技術力と豊富な専門知識をもっていることの証明になるでしょう。

一般社団法人日本建築構造技術者協会「JSCA建築構造士」
https://jsca.or.jp/howtobe/

構造設計になるには


構造設計になるためには、一級建築士の資格取得が必要です。ただし、一級建築士の資格を取得していても、構造設計に関する実務経験がなければ、即戦力としての活躍は難しいでしょう。そのため、欠員による募集ではなく、将来に向けた増員を目指す企業を見つけることが重要です。

また、構造設計としての実務経験がある方がキャリアアップや年収アップを目指す場合、これまでの経験を十分に生かせる職場を見極めることが必要です。

求人サイトに掲載されている求人情報だけでは、構造設計としての業務内容や必要な経験の判断が難しいことがあります。仕事の進め方や企業文化が分からない場合、転職後に後悔する可能性も考えられます。

そのため、構造設計の仕事に就きたい場合は、建設業界に詳しい転職エージェントへの相談をおすすめします。転職エージェントは、求人票だけでは分からない職場の雰囲気や部署の人員構成、得意な分野、求人募集の背景などを把握しています。そのため、自分の理想に近い求人に出会える可能性が高くなります。

JACでは、建設業界出身のコンサルタントが多数在籍しており、構造設計としての目指すビジョンをお伺いしながら、希望に合った求人をご紹介します。

構造設計のキャリアパス


構造設計のキャリアパスには、次のような選択肢があります。

スペシャリストを目指す

構造設計は建物の安全性を支える仕事であり、大型の台風による被害や巨大地震への備えが必要な今、構造設計に求められる役割はますます大きくなると考えられます。耐震設計のスペシャリストとしてより地震に強い耐震構造の設計を追求したり、大規模な建築物の構造設計の専門家を目指す方法などがあるでしょう。より深く技術や知識を突き詰めたいという方におすすめのキャリアパスです。

オールラウンダーを目指す

さまざまなプロジェクトに関わり、幅広い建築物の構造設計に関わりたいという方は、どの分野でも活躍できるオールラウンダーを目指すことも可能です。1つの専門性を突き詰めるのではなく、多様な建築物に関わりたいという強い好奇心をもつ方は、さまざまな構造や設計手法の習得を目指すとよいでしょう。

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構造設計の転職事例


JACが転職をサポートした40代男性の事例をご紹介します。

Eさん(男性/40代後半)

業種職種年収
転職前請負企業技術営業1,000万円
転職後大手建設会社施工計画策定1,300万円

大学卒業後、建設請負企業で山留に関わる構造設計に従事していたEさん。しかし、部署異動により技術営業職へ転換され、営業として活躍しつつも技術職への復帰を希望するようになり、転職を決意しました。1級土木施工管理技士、1級建築施工管理技士の資格をもって活躍していたことが決め手となり、JACが紹介したマンションや大規模施設の建設を行う大手建設会社への転職が決定。土木分野での構造設計の経験や技術営業としての折衝経験も評価され、入社後は施工計画の策定を担っています。

Eさんは前職での異動や単身赴任が多く、転勤の少ない企業を希望していました。転職先では転勤の可能性が低く、技術職への復帰だけでなく、プライベートの希望も叶えられたため、非常に満足されています。

構造設計の転職なら、JAC Recruitmentへ


構造設計は建築物の安全性を担保する重要な役割を果たします。複雑かつ大規模な建物の建設が増える中で、構造設計のニーズは年々高まっています。

JACでは、建設業界出身のコンサルタントが多数在籍しており、希望に合った求人の紹介はもちろん、キャリアに関するお悩みにもじっくり耳を傾け、的確なアドバイスを行います。構造設計職への転職をお考えの場合は、ぜひお気軽にJACにご相談ください。

この記事の筆者

株式会社JAC Recruitment

 編集部 


当サイトを運営する、JACの編集部です。 日々、採用企業とコミュニケーションを取っているJACのコンサルタントや、最新の転職市場を分析しているJACのアナリストなどにインタビューし、皆様がキャリアを描く際に、また転職の際に役立つ情報をお届けしています。




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