不動産業界の転職事情|年収相場や必要な経験を解説

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公開日:2025/04/14 / 最終更新日: 2025/04/14

近年の不動産業界の売上高は堅調に推移しているものの、業界内の人材不足や資材の高騰から着工数の減少にともない、従来業務以外にも新規事業の開拓といった新たな展開に直面しています。各社が今まで雇用促進していなかった職務の増加により、採用が多様化。転職市場も活況を呈しており、多くの成功事例が生まれています。

業界の現状、求人動向、求められる経験・スキル、年収相場、キャリアパスなど、直近の転職だけではなく、将来的に不動産業界でキャリア形成したい方にとって役立つ情報を、JAC Recruitment(以下、JAC)の不動産業界専任コンサルタントが解説します。

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不動産業界の現状


近年の不動産業界は、大都市一極への購買層の集中、総人口の減少などから開発における費用対効果に適した予算での用地取得の難易度が上昇しております。そのため新規開発のペースは将来的な鈍化も予測されており、新たな局面を迎えています。

こうした状況を反映し、業界全体のトレンドとして、既存の施設や住宅をリノベーション・コンバージョンし、新たな価値を付加する「既存物件の有効活用」が活発化しています。この動きは、単に古い建物を改修するだけでなく、時代や利用者のニーズに合わせて用途を変更するなど、より戦略的な取り組みへと進化しています。

そして、これらの事業を推進する上で不可欠となる、営業、管理、仲介といった分野での経験者の採用ニーズが急速に高まっています。ただし、この採用機会の増加は、主に東京、大阪、福岡といった大都市圏に集中しているのが現状です。大規模な物件自体は地方にも存在しますが、それらを扱うのは大都市圏に拠点を置く企業や住民であることが多く、採用活動もこれらの地域に集中する傾向が見られます。

また特筆すべきは、不動産業界におけるベンチャー企業の急速な増加や発展が挙げられます。これらの新興企業も、その多くが大都市圏に拠点を置き、採用活動を展開しているため、大都市圏における採用は活発化しています。

採用動向としては、特定の領域における深い専門知識と経験をもつ「スペシャリスト」を求める動きが強まる一方で、大手企業を中心に、未経験者や経験豊富な定年退職者の採用を積極的に行う動きも見られます。これは、業界全体の人材不足を背景に、多様な人々を迎え入れようとする企業の戦略の表れといえるでしょう。

不動産業界に多い求人と、求められる経験・スキル


現在、不動産業界における採用が活発な職種と、求められる経験やスキルをお伝えします。

不動産開発(用地仕入・商品企画・事業推進)

不動産開発においては、開発する土地の情報を取得することからスタートします。
昨今は開発用地が限定的であること、建築コストの高騰などから資産価値を最大化するために、市場の動向を分析し適切な投資戦略や開発計画を立案する市場分析と戦略立案能力が不可欠です。

また、建築基準法や都市計画法など、不動産に関連する法規制の理解と対応能力、財務リスク、市場リスク、施工リスクなど、プロジェクトにおけるさまざまなリスクを評価し、適切な対策を講じるリスク管理能力も求められます。

プロパティマネジメント・ビルマネジメント(オフィス・商業・レジデンス)

プロパティマネジメント・ビルマネジメントの主な役割は不動産の管理・運営業務です。物件の運営管理と建物の保全を行うことです。入居者やテナントと物件オーナー双方との良好な関係を構築・維持しながら、テナント側との契約および金銭面の管理、オーナー側へのレポーティングなどを行います。

建築・設備エンジニア・プロジェクトマネジメント

建築、設備を問わず、建設不動産業界のエンジニアは各領域における専門的な知識と経験が求められます。プロジェクトマネジメントにおいては、新築・改修などの計画を関係各社との推進を行い、第三者視点で事業遂行に導く業務です。プロジェクトを成功に導くためには、技術的な知識だけでなく、課題を見出し解決する能力も重要です。

営業(賃貸・売買仲介、販売)

営業は顧客のニーズを的確に把握し、信頼関係を構築する能力が最も重要です。物件の提案や契約交渉を円滑に進めるためのコミュニケーション能力はもちろんのこと、不動産に関する専門知識だけでなく、金融や法律に関する知識も必要とされます。

不動産業界の年収相場


不動産業界におけるおおよその年収目安は以下のとおりです。

デベロッパー800~1,500万円
プロパティマネジメント・大手グループ会社600~1,000万円
マンションデベロッパー600~1,200万円
不動産投資(収益系)700~2,000万円

これらの年収は、経験、スキル、役職によって大きく変動します。また、一部の不動産企業ではインセンティブ制度が導入されており、成果に応じて高収入を得ることも可能です。異業種からの転職であっても、前職での経験やスキル次第では、年収アップを実現できるケースも少なくありません。

不動産業界未経験の転職の可能性


不動産業界は、多様な働き方を求める社会的な潮流を背景に、多くの企業が未経験者や異業種からの転職者に対して門戸を開いています。特に、営業職や接客業などの人と接する業務の経験がある方は、そのコミュニケーション能力や顧客対応スキルを高く評価される可能性があります。例えば飲食店での接客経験、異業種での法人営業経験などは、不動産営業や仲介、プロパティマネジメントなどの業務において、十分に生かすことが期待できるでしょう。

近年では大手を中心に、従業員が働きやすい環境作りが推し進められています。かつては火曜・水曜休みがスタンダードでしたが、土日のいずれか、または土日連休を採用する企業が増えており、不動産業界全体の傾向です。

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不動産業界の転職で有利となる資格


不動産業界はさまざまな法規制や経済情勢の上に成り立っている業界です。そのため専門的な知識が求められる場面は多く、業界に関する専門知識を証明する資格は、高く評価される傾向があります。特に以下の資格は、転職市場において有利になりやすい資格といえます。

宅地建物取引士(宅建)

宅地建物取引士は、不動産取引に関する専門知識をもつ国家資格です。不動産業界での基本的な資格とされており、物件の売買や賃貸の仲介業務において重要な役割を果たします。

参考:宅地建物取引士(宅建)について

一級建築士

一級建築士は、建築物の設計や工事監理を行うための国家資格です。設計できる建築物の規模や構造に制限がないため、大規模な建築プロジェクトに関わることができます。

参考:一級建築士について

建築施工管理技士

建築施工管理技士は、建築工事の施工管理を行うための国家資格です。現場管理・品質管理・予算管理・安全管理を担当する資格です。法規制における請負金額以上の建設現場への配置義務がある重要な資格であり、取得には建設に関する深い知識と一定の経験が求められます。

参考:建築施工管理技士について

不動産コンサルティングマスター

不動産コンサルティングマスターは、不動産に関するコンサルティング業務を行うための資格です。宅地建物取引士、不動産鑑定士、一級建築士のいずれかの資格登録者で、かつ5年以上の実務経験者に受験資格が限られる難関資格です。高度な専門知識が求められますが、それゆえに不動産の専門家として企業からも高く評価されます。

参考:不動産コンサルティングマスターについて

賃貸不動産経営管理士

賃貸不動産経営管理士は、賃貸不動産の管理業務を行うための資格です。賃貸不動産に関する網羅的な知識が求められるため、賃貸物件の運営や管理、トラブル対応などの実務を担当するための知識や経験を有すると評価されます。

参考:賃貸不動産経営管理士について

不動産業界でのキャリアパス


不動産業界のキャリアパスは、業界内における横展開の選択肢が豊富な点が特徴的です。
例えば、不動産の開発経験者の方であれば、マンション・オフィス・商業施設・都市開発など経験用途の幅を広げるために転職される方もいらっしゃいます。また、各職種(不動産開発、販売・売買/賃貸仲介、不動産管理など)はつながっているため、仲介から開発へ、販売から管理へと職種転換を希望することも可能です。

業界内の就業人口の減少を背景に、シニア層の活躍の場が広がっているのも近年の傾向です。大手企業で定年を迎える前に、中小企業へ好待遇で迎え入れられる転職事例も見られるなど、幅広い年齢層でキャリアチェンジが可能な環境が整いつつあります。

不動産業界の転職を成功させるポイント


不動産業界における転職を成功させるカギのひとつが「個社理解」です。

不動産業界では、企業ごとに事業内容が大きく異なります。ご自身がどのような事業に携わりたいのか。希望するキャリアを歩むためには、対象企業を研究し、事業内容を深く理解しておくことが重要です。近年は、土日休みの導入といった特徴をもつ企業が増えていますので、働き方の観点からも個社理解を進めることが重要です。

また、ご自身の強みに具体性をもたせることも、転職を成功させる重要なポイントです。

一口に営業といっても、扱う不動産が異なれば求められるスキルも変わります。企業側は、どのような強みが実績に結びついたのかを知りたいと考えています。日ごろから自身の強みを意識し、具体的に言語化できるようにしておくとよいでしょう。

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不動産業界の転職で多い質問と回答


不動産業界への転職を検討する方からよくいただく質問をご紹介します。

Q:不動産業界にはどのような文化の企業がありますか?

A:不動産業界は、長時間労働が常態化しているというイメージを持たれがちですが、近年は各社で労働環境の見直しが進み、働きやすさを重視する企業が増えています。

とはいえ、企業ごとに風土が異なるため、一言で業界全体の文化をお伝えすることはできません。ご希望の職種や働き方によって、適した企業は異なります。気になる企業がございましたら、お気軽にJACのコンサルタントにご相談ください。企業とのコミュニケーションから得た情報をもとに、求人票にはない文化や風土の情報をお伝えします。

Q:在宅勤務制度は整っていますか?

A:在宅勤務制度を導入する不動産企業が増えているのは事実です。各社とも時短勤務や土日休みの導入など、従業員の労働環境改善に向けた制度整備を推進しています。しかしながら、企業ごとに在宅勤務の可否は異なりますので、気になる企業の制度はJACのコンサルタントまでご相談ください。

不動産業界の転職事例


Sさん(男性/30代前半)

業種職種年収
転職前個人向け不動産売買仲介仲介営業600万円
転職後オフィスビル管理プロパティマネジメント750万円

Sさん(男性/30代前半)は、長らく不動産売買における仲介営業に従事されていました。結婚を機にワークライフバランスの見直しを決意。火・水休みから土日休みへの勤務形態変更と、不動産のキャリアを生かせる企業への転職を希望されました。

JACのコンサルタントからは、Sさんが希望する土日休みが可能な不動産企業として、オフィスビルのプロパティマネジメント企業を提案。Sさんが希望されるワークライフバランスの改善と、短期的な成果を求められるビジネスから、中長期的に顧客と関わる不動産領域へのキャリアチェンジが実現しました。同時に年収アップにも成功しており、600万から150万円アップの750万で採用されています

Sさんの転職成功の詳細は下記にてご確認いただけます。

Mさん(男性/40代半ば)

業種職種年収
転職前設計事務所施工管理600万円
転職後大手デベロッパー企画設計1,000万円

Mさん(男性/40代半ば)は新卒で入社した企業で新築マンションの施工管理を経験後、マンションデベロッパーの設計へ転職。建築物の仕様選定や着工時の打ち合わせ、大規模修繕の監理といった幅広い業務を担当していました。

しかし近年の新規着工数減少から、会社が資産管理事業へと舵を切り、大規模改修工事への対応が中心となったため、将来に不安を覚えて転職を決意。より大きな規模の会社でマンションデベロッパーとして働き続けたいという意思をもつてJACにご相談いただきました。

JACのコンサルタントは、コミュニケーション能力に長けたMさんの特性を生かせる企業として、主要都市エリアを中心に新築マンション開発を手掛ける大手マンションデベロッパーを紹介。上質な物件を手掛けたい企業が求める人物像と、多様な業務に対応可能な知見をもつMさんのスキルが合致し、年収250万円アップの1,000万での入社に至りました。

不動産業界の転職ならJAC


不動産業界は、各社が専門とする事業領域が多岐にわたり、業界構造も複雑です。企業側が求める人物像と、転職希望者の方が希望する職種がそれぞれ異なるため、採用のミスマッチが起きやすい傾向があります。

JACの不動産業界専任コンサルタントは、8割以上を不動産業界出身者が占めています。業界の機微を熟知したコンサルタントが、独自のルートで各社の責任者クラスと密接な関係を築き、常に最新情報を収集できるのがJACの強みです。企業から求められる人物を正しく把握し、転職希望者へお伝えすることができるため、双方の理想を実現する転職支援を行います。

不動産業界への転職をご検討される方は、ぜひJACまでお気軽にご相談ください。

この記事を監修した転職コンサルタント

柵山写真

柵山 和輝

建設・不動産ディビジョン デベロッパーチーム シニアコンサルタント



大学卒業後、大手不動産会社で不動産売買仲介営業に従事。 その後、JAC Recruitmentに転職し、前職の経験を生かしながら建設・不動産業界専任のコンサルタントとして、現在は大手総合デベロッパーを中心に担当しています。自らも不動産業界での転職経験がある私だからこそ、リアルな情報をお伝えできると自負しています。情報収集だけでも問題ございませんので、まずはお気軽にご相談ください。


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