電気工事施工管理の転職事情|仕事内容や年収、動向を解説

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公開日:2025/03/10 / 最終更新日: 2025/03/10

電気工事施工管理は、建設プロジェクトにおいて不可欠な役割を果たす重要な職種です。電気設備の設計から施工、メンテナンスまでを統括し、安全性と品質を確保しつつ、効率的な工程管理とコスト管理を行います。近年、技術革新や再生可能エネルギーの普及にともない、電気工事施工管理の需要は増加傾向にあります。

しかし、高齢化やスタッフ不足という課題も抱えており、若手スタッフの確保と育成が急務となっています。このような状況の中で、電気工事施工管理者は高い専門性と責任を持つ職種として、企業から重要視されています。

ここでは、JAC Recruitment(以下、JAC)のコンサルタントが、電気工事施工管理とはどのような職種なのか、仕事内容や年収、最新の転職・求人情報などをご紹介します。

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電気工事施工管理とは?


電気工事施工管理は、電気工事プロジェクトにおいて、企画・設計から施工・メンテナンスまでを一貫して管理し、安全かつ高品質な電気設備の提供を担う専門職です。ここでは、電気工事士とも比較しながら解説します。

電気工事施工管理とは、安全で高品質な電気設備を提供する専門職

電気工事施工管理者は、電気工事現場における作業の監督、工程管理、品質管理、安全管理、コスト管理を行い、プロジェクトを成功に導きます。電気工事施工管理技士には1級と2級があり、それぞれの特徴は以下のとおりです。

1級電気工事施工管理技士2級電気工事施工管理技士
特定建設業の営業所に配置が義務づけられている。一般建設業の事業所に配置が義務づけられている。
専任技術者・主任技術者・監理技術者として業務に携われる。専任技術者・主任技術者として業務に携われる。
大規模な公共工事やJV(共同企業体)案件に従事できる。比較的小規模な案件や下請け業務に従事できる。

両者は電気工事を行う上で重要な役割を果たし、建設業許可を受けるために必要不可欠な存在です。

電気工事施工管理と電気工事の違い

電気工事施工管理と電気工事は、どちらも重要な職種ですが、その役割と責任は異なります。主な違いは以下のとおりです。

電気工事施工管理電気工事
主な役割電気工事全般の管理現場での実務作業
業務内容工程管理、品質管理、原価管理、安全管理コンセント・照明器具設置、空調設備工事など
主な仕事場所各現場、社内各現場
できること施工計画作成、工事監理、各種管理業務電気工事の実作業(電圧制限あり)

電気工事施工管理は、電気工事プロジェクト全体を統括し、管理・計画・コミュニケーション能力が求められる職種です。一方、電気工事は具体的な実務を行い、直接的な技術力を発揮します。

電気工事施工管理の仕事内容


電気工事施工管理の主な仕事内容は、以下の5つに分類されます。

  • 工程管理
  • 品質管理
  • 原価管理
  • 安全管理
  • コミュニケーション・調整

ここから、それぞれの内容を確認しておきましょう。

工程管理

工程管理は、プロジェクトのスケジュールを適切に管理し、納期までに作業を完了させることが目的です。電気工事施工管理技士は、各作業の進捗状況を常に把握し、遅延が生じた場合には迅速に対応策を講じます。また、作業間の依存関係を考慮しながら効率的な作業順序を計画し、人員や資材の配置を最適化します。プロジェクト全体の円滑な進行を確保し、クライアントの期待に応える完成を目指します。

品質管理

品質管理は、電気工事が定められた基準を満たし、顧客の要求する品質水準をクリアすることが目的です。電気工事施工管理技士は、使用する資材の品質チェック、作業手順の適切性の確認、完成後の検査など、工事の各段階で品質を確保するための取り組みを行います。品質に関する問題が発生した場合には、迅速に原因を特定し、改善策を実施します。

原価管理

原価管理は、プロジェクトの予算内で求められる品質の工事を完了させることを目的としています。電気工事施工管理技士は、資材の発注や人件費などの費用を適切に管理し、コストの無駄を削減します。予算超過のリスクを早期に特定し、必要に応じて代替案を提案することで、効率的な資源配分を行います。

安全管理

安全管理は、現場で働く作業員が事故なく安全に仕事を遂行できるようにすることが目的です。電気工事施工管理技士は、安全基準の遵守状況を確認し、定期的な安全教育や訓練を実施します。潜在的な危険要因を特定し、予防措置を講じるとともに、緊急時の対応計画を策定します。

コミュニケーション・調整

電気工事施工管理技士は、プロジェクトに関わるさまざまな関係者との効果的なコミュニケーションと調整を行います。発注者、作業員、パートナー企業、設計者など、多岐にわたる関係者との打ち合わせや情報共有を通じて、プロジェクトの円滑な進行を支援します。また、工事書類の作成や報告書の提出など、必要な文書作業も担当します。

電気工事施工管理の平均年収


JACがご支援した電気工事施工管理の平均年収は660万円前後で、ボリュームゾーンは年収500万円~750万円です。以下は、年代別の年収の目安です。

年代平均年収
30代500~750万円前後
40代750~800万円前後
50代750~950万円前後

※当社実績(2024年1月~2024年12月)より

このように、年齢や資格による年収の違いを理解することで、キャリアプランを考える際の参考にすることができます。また、転職活動を行う際にも、これらの情報を踏まえて自身の市場価値を把握することが重要です。

一般的な市場においては、電気工事施工管理の平均年収は約540万円とされています。ただし、この数値も年齢や資格レベルによって変動します。

<年齢による年収の違い>

年代平均年収
20代360~440万円前後
30代470~520万円前後
40代550~590万円前後
50代580万円前後

<資格レベルによる年収の違い>

資格平均年収
1級電気工事施工管理技士500~700万円前後
2級電気工事施工管理技士400万円前後

1級電気工事施工管理技士の資格を保有する人は、より大規模な工事や責任の重い業務に携わることができるため、年収も高くなる傾向があります。

電気工事施工管理の最新転職・求人情報


ここでは、電気工事施工管理技士の最新求人情報をご紹介します。求められる経験やスキル、年収条件などを確認してみましょう。

  • ●アイリスオーヤマ株式会社: 【施工管理・工事】電気工事施工管理技士(1級/2級)「照明・サイネージ等の電気工事」(アイリス電工・アイリスオーヤマBtoB事業)【勤務地:愛知・千葉・福岡・福島・群馬・広島・茨城・石川・神奈川・熊本・宮城・新潟・大阪・東京】
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  • 大手SIerグループ: データセンター電気設備設計技術者(栃木案件担当)【勤務地:栃木・東京】
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  • 非公開企業: 【景観・ランドスケープ】業界トップクラスの建設コンサルタント ~東証上場 主要事業会社~【勤務地:愛知・福岡・広島・北海道・香川・宮城・新潟・沖縄・大阪・東京】
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  • 非公開企業: 【環境】業界トップクラスの建設コンサルタント【勤務地:愛知・福岡・広島・北海道・香川・宮城・新潟・沖縄・大阪・東京】
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  • ●三菱電機株式会社: 【東京/WEB面接可】電力用変圧器のエンジニアリング・技術取りまとめ【系統変電システム製作所】【勤務地:東京】
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  • 古河電気工業株式会社: 【羽田】地中線技術 工事技術課_2024113【勤務地:東京】
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  • ●TDK株式会社: 【東証プライム上場】生産技術(新規工程設計/生産性改善等)~ロボット制御、AIなど最新技術を活用~ C010【勤務地:秋田】
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  • ●株式会社本田技術研究所: 【埼玉勤務】カーボンニュートラル達成を目指した研究開発環境の構築・維持管理業務(空調衛生・環境設備)【勤務地:埼玉】
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  • 総合エンジニアリング企業: 機械/電気設計エンジニア【勤務地:東京】
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  • ●非公開企業: 【業界海外売上No1企業】大手建設コンサルタント 港湾機械設備 ※カンボジア案件※【勤務地:東京】
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  • 非公開企業: ■国際協力■ 大手建設コンサルタント 建築開発コンサルティング【勤務地:東京】
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※求人の募集が終了している場合もございます。ご了承ください。(2025年3月最新)

電気工事施工管理に求められるスキルや経験


電気工事施工管理に求められる主要なスキルや経験は以下のとおりです。

  • 専門知識と技術力
  • プロジェクト管理能力
  • コミュニケーション能力
  • ITツールの活用能力

以下では、それぞれの内容を解説します。

専門知識と技術力

電気工事施工管理には、電気や通信に関する深い専門知識が不可欠です。通信ケーブルの敷設方法、電気回路の設計、施工技術などの基本的な知識に加え、最新の技術動向にも精通している必要があります。また、これらの知識を実際の現場で応用する技術力も求められます。

プロジェクト管理能力

工事現場では、計画どおりに作業を進めるための管理能力が必須です。電気工事施工管理技士は、工程管理や品質管理、安全管理、コスト管理など、多岐にわたる業務をバランスよく遂行する能力が求められます。

コミュニケーション能力

電気工事施工管理技士には、優れたコミュニケーション能力が求められます。現場では多数のスタッフと協力して作業を進めるため、スムーズなコミュニケーションが欠かせません。作業指示を的確に伝え、トラブル発生時に冷静に対処する能力も重要です。

ITツールの活用能力

最新のITツールを活用する能力も、電気工事施工管理技士には欠かせません。施工管理ソフトやCADツールを使いこなすことで、設計や進捗管理の効率化が図れます。

これらのツールを活用することで、業務の透明性が向上し、プロジェクト全体の品質向上にもつながるでしょう。電気工事施工管理技士は、デジタル技術の進歩に合わせて、常に新しいツールの習得に努めることが重要です。

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電気工事施工管理への転職に生かせる資格


電気工事施工管理への転職を行う場合、電気工事管理技士の資格が必須です。また、そのほかにも転職に生かせる資格があります。ここでは、4つの資格をご紹介します。

電気工事士

電気工事士とは、電気工事を行うために必要な国家資格です。第一種と第二種があり、取り扱える電圧の範囲が異なります。第二種は一般住宅レベルの電気工事、第一種はより高度な電気工事に対応します。難易度は第二種が比較的易しく、第一種はやや難しい傾向です。

第二種は3〜6カ月、第一種は6カ月〜1年程度の学習期間が求められます。電気工事施工管理技士と組み合わせることで、実務と管理の両面でスキルアップが可能です。

参考:一般財団法人 電気技術者試験センター「第二種電気工事士試験」

参考:一般財団法人 電気技術者試験センター「第一種電気工事士試験」

電気主任技術者

電気主任技術者(通称:電験)とは、電気設備の保安監督を行うための国家資格です。第三種、第二種、第一種の3つの区分があり、取り扱える電圧や設備の規模が異なります。

難易度は高く、特に第二種と第一種は難関です。第三種でも合格率は10〜15%程度で、1〜2年の学習期間が必要です。電気工事施工管理技士と併せて取得することで、電気設備の設計から施工、保安管理まで幅広く対応できる高度な専門家として評価されます。

参考:一般財団法人 電気技術者試験センター「第三種電気主任技術者試験」

参考:一般財団法人 電気技術者試験センター「第二種電気主任技術者試験」

参考:一般財団法人 電気技術者試験センター「第一種電気主任技術者試験」

エネルギー管理士

エネルギー管理士とは、工場や事業場の省エネルギー化を推進するための国家資格で、熱分野と電気分野の2種類があります。一定規模以上の事業場では、この資格の有資格者を選任することが義務付けられています。

難易度は中程度で、6カ月〜1年程度の学習期間が必要です。電気設備の施工管理だけでなく、省エネ対策にも携われるようになり、製造業や電気供給業などの業界での転職に有利になります。

参考:ECCJ省エネルギーセンター「令和6年度エネルギー管理士試験」

消防設備士

消防設備士とは、消防用設備などの工事や点検を行うための国家資格です。甲種と乙種があり、さらに専門分野ごとに細分化されています。電気工事に関連する分野としては、自動火災報知設備や非常警報設備などが挙げられます。

難易度は中程度で、3〜6カ月程度の学習期間が必要です。電気工事施工管理技士と組み合わせることで、電気設備と消防設備の両面から建築物の安全性を確保できる専門家として、幅広い分野での活躍が期待できます。

参考:一般社団法人 消防試験研究センター「消防設備士試験」

電気工事施工管理になるには


電気工事施工管理への転職においては、書類選考と面接で具体的な経験やスキルをしっかりとアピールすることが重要です。職務経歴書では、過去のプロジェクト実績や技術的な専門知識を明確に記載し、保有する資格も強調しましょう。志望動機では、キャリアアップや新たな挑戦への意欲を示すことが効果的です。

面接では、自己PRや志望理由を具体的に説明し、問題解決能力やコミュニケーション能力をアピールすることが求められます。さらに、業界動向や企業研究を怠らず、自身のキャリアプランと企業の方針との一致を示すことも大切です。

転職活動を効果的に進めるためには、JACのような専門的な転職エージェントの活用が有効です。エージェントは市場動向に精通し、個々の状況に合わせた求人紹介や面接対策、書類添削などのサポートを提供してくれます。これにより、効率的かつ戦略的な転職活動が可能となり、希望する電気工事施工管理職への転職成功率が高まるでしょう。

電気工事施工管理のキャリアパス


電気工事施工管理に特化したキャリアパスには、以下のような方向性が考えられます。

  • 現場スペシャリスト
  • プロジェクトマネージャー(PM)
  • 技術開発・研究職
  • 設計・コンサルティング
  • マネジメント職

いずれのキャリアパスにおいても、電気工事施工管理技士の資格取得は重要なステップです。特に1級電気工事施工管理技士の資格は、大規模な電気工事の現場で4,000万円以上の工事を施工する際に必要であり、キャリアアップの大きな転機となります。また、継続的な学習と最新技術への適応力が求められ、ICT技術との融合など新しい分野への挑戦も重要です。

現場スペシャリスト

電気工事の現場技術を極めることは、電気工事施工管理の一般的なキャリアパスです。入社後数年間は基礎的な電気工事の技術を習得し、第二種電気工事士の資格を取得します。その後、より複雑な電気設備工事や高圧電気設備工事などの専門分野に特化していきます。

5年程度で第一種電気工事士の資格を取得し、7〜8年後には1級電気工事施工管理技士の資格取得を目指すことが一般的です。現場スペシャリストのキャリアパスは、技術的な挑戦を好み、現場での問題解決能力に長けた人に適しています。

プロジェクトマネージャー(PM)

PMは、プロジェクト全体を統括する立場を目指すキャリアパスです。初めは小規模な電気工事プロジェクトの管理から始め、経験を積むにつれて大規模な工場や商業施設の電気設備工事のプロジェクト管理を担当するようになります。

PMのキャリアパスでは、技術力に加え、工程管理、品質管理、予算管理、安全管理の4大管理スキルの習得が重要です。リーダーシップやコミュニケーション能力が求められ、複数の専門分野を統括できる方に適しています。

技術開発・研究職

電気工事の新技術開発や研究に携わることも、電気工事施工管理のキャリアパスの一つです。現場での実務経験を積んだ後、企業の技術開発部門や研究機関へ移ります。最新の電気工事技術や省エネ技術、再生可能エネルギー関連の技術開発に携われるキャリアパスです。

設計・コンサルティング

電気設備の設計やコンサルティングに特化することも、電気工事施工管理のキャリアパスです。CADの操作スキルを磨き、電気設備の設計図作成から始め、徐々に大規模プロジェクトの電気設備設計全体を担当するようになります。

クライアントのニーズを理解し、最適な電気設備を提案する能力が不可欠です。設計・コンサルティングのキャリアパスは、論理的思考力と創造性を兼ね備えた人に適しています。

マネジメント職

マネジメント職として、組織全体の管理や戦略立案を担うキャリアパスも考えられます。現場経験を積んだ後、工事部長や支店の工事統括責任者などの管理職へ昇進することが一般的です。

技術的知識に加え、経営的視点やスタッフ育成スキルが重視されるキャリアパスです。複数のプロジェクトを同時に管理する能力や、部下の育成、組織全体の効率化に取り組む姿勢が求められます。

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電気工事施工管理の転職事例


ここでは、JAC経由で電気工事施工管理職へ転職した事例をご紹介します。

Kさん(男性/40代後半)

業種職種年収
転職前プラント設計電気設備設計・施工管理800万円
転職後プラント設計電気施工管理800万円

Kさんは、プラントや工場の電気設備設計・施工管理に長年従事しており、詳細設計や機器選定に精通していました。建築工事にも対応できる知見を持ち、クライアントの工場設備管理を含む多様な業務を経験しました。

転職活動では、メーカーの工場設備管理やゼネコン・サブコンの施工管理職を視野に入れていました。JACのコンサルタントは、Kさんの経験と資格を生かせる企業を提案し、その結果、工場・ビル・送電線などの電気施工管理を手掛ける企業への転職に成功しました。現在は、工事工程管理や安全衛生管理、協力会社との連携を行いながら、即戦力として活躍しています。

電気工事施工管理の転職なら、JAC Recruitmentへ


JACでは、建設業界に関連する多くの求人を取り扱っています。電気工事施工管理に関する知識を豊富にもつコンサルタントも在籍しており、1人ひとりの希望や悩みに寄り添いながら、適切なアドバイスと求人の紹介を行います。ビルマネジメントへの転職をお考えの際には、ぜひJACにご相談ください。

この記事の筆者

株式会社JAC Recruitment

 編集部 


当サイトを運営する、JACの編集部です。 日々、採用企業とコミュニケーションを取っているJACのコンサルタントや、最新の転職市場を分析しているJACのアナリストなどにインタビューし、皆様がキャリアを描く際に、また転職の際に役立つ情報をお届けしています。




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