IT業界経験者の採用ニーズは、企業の目指すビジョンやフェーズによってもさまざまで、社内SEひとつとっても企業ごとに業務内容が異なり、求められるスキルと経験も異なります。大阪エリアは、製造業をはじめとしたものづくりが中核にあることから、必然的に、製造業の業務改善やDX化を担う経験者の求人が中心となる傾向にあります。
ここでは、大阪エリアに拠点を置く、製造業をはじめとした事業会社(エンタープライズ企業)にフォーカスし、30~40代の社内SEを対象とした最新の転職市場動向を、数多くの転職サポート実績のあるJAC Recruitment(以下、JAC)大阪支店のコンサルタントが解説します。
目次/Index
大阪エリアにおいて、社内SEが求められている市場動向
大阪エリアでは、製造業を中心として電気・機械、化学、ヘルスケア、インフラ・エネルギーといった業界における社内SEの採用ニーズがあります。なかでも、ここ数年でリモートワーク対応などが求められたり、DX推進が急速に進んだりした結果、デジタル投資が積極的に行われ、情報システム部門への期待値が高くなっています。
現在は情報システム部の社内SEという形で求人募集がなされている傾向にありますが、今後の展望として、情シスの垣根を超えた、部門を問わない「デジタル人材」が必要とされていきます。
電気・機械業界(パナソニック、住友電工、ダイキンなどの製造業)
日本は、製造業先進国として世界的な競争力を維持するため、またGDPの上昇には製造業に頼らざるを得ないため、製造業×ITという領域は、ますます重要となります。
電気・機械業界といった製造業界における各社において、基幹システムやERPシステムの刷新や販売管理・生産管理システムなどのプロジェクトが進んでいます。
そのため情シス関連の求人だけでなく、データサイエンスやDXに関連した求人が各社増えており、PLM(製品ライフサイクル管理)やCAD(コンピュータ支援設計)、MES(製造実行システム)、BOM(部品管理)などの知見がある方が求められています。
化学業界(TORAY、SEKISUIなど)
化学業界では海外展開を図っている企業が多いこともあり、ITスキルに加えて語学力が求められます。語学力については、外部とのやりとりより社内のグループ会社との接点を持つことのほうが多く、スピーキング力よりもドキュメントさえ読む力が重要。それ以外は社内でフォローできる体制があるのが一般的です。
採用ニーズとしては、SAP導入経験を持っている方、多くの方を巻き込んだ大規模プロジェクトへの推進力や管理能力などを持つ方が求められています。
ヘルスケア業界(武田薬品工業、大塚製薬など)
現在のヘルスケア業界では「グローバル」と「上流」がキーワードとなっています。
まずは「グローバル」。ヘルスケア業界の消費市場については、日本だけでは頭打ちになっており、グローバルマーケットが前提となっています。よって、海外拠点との連携に必要な英語力を持っている方は、キャリアの選択肢が広がりやすいうえ、年収アップも叶う傾向にあります。転職時は、TOEICでいうと少なくとも600点以上が求められ、700以上あるとアドバンテージとなります。
また、「上流」工程を担える社内SEの求人が増えていることも近年の特徴です。現在、プログラム作成といった作業工程はアウトソーシング化していることが多く、社内SEには経営や企画、戦略といった上流部分を担える方が求められています。そのため、テクニカルなスキルだけでなく、経営企画・経営戦略に則ったプロジェクトをマネジメントした、または積極的に参画したという経験が重視されます。
インフラ業界(関西電力、大阪ガスなど)
インフラ業界では、データサイエンスといった「こと売り」が行われており、情報システム部門の求人よりも大規模プロジェクトの推進者やDX人材の求人が多いです。基幹システムの刷新を行うプロジェクトでは、即戦力として経験豊富な方が求められる傾向にあり、採用年齢は高め。一方で、DX化やIT推進を実行している企業では、固定概念にとらわれにくい若手の方の採用が増えている傾向にあります。
事業会社の社内SEとして求められている経験者とは?
各業界で求められている社内SE経験者は共通しており、「デジタルとビジネス双方に精通している方」や「経営層や事業部門の方と対等に話せる方」「組織の橋渡しができる方」が採用ニーズとしてあります。なかでも、製造業のビジネスフローが理解でき、テクニカルな部分に理解がある大手企業出身者の転職事例が増えています。
一般的に、社内SE経験者は転職市場でも数が少ないうえ、大卒出身者、大企業出身者またはIT企業出身者が前提となります。これには「ITベンダーと折衝する際、知識や経験がないと対等に話せない」という背景があるためで、最近では各事業会社の情報システム部門にいる方の中にもITベンダー出身の方は多いです。
なおIT職種全般に言えることですが、IT関連の資格があれば書類通過率が上がったり、折衝相手に安心感を与えやすかったりすることがあります。具体的には、下記などを保有していれば、どのような事業会社の社内SE求人においても一定の評価を得ることができるでしょう。
・PMP資格
・応用情報技術者試験
・高度情報技術者試験
・SAP認定コンサルタント資格
・AWS認定資格
・オラクル認定資格
ITベンダー・ITコンサルと社内SEとの違い
ITベンダーやITコンサルと、事業会社の社内SEとの大きな違いとして、社内SEは品質担保に加えて、事業部や役員層との折衝や交渉ができることが求められます。よって「これまで社内でどう折衝してきたか」「ベンダー側にいた際には、どういうポジションの方と交渉してきたか」といったスキルや経験が見られることもあります。
また、ピープルマネジメントスキルが問われる場合があります。30代後半ともなればプロマネ等の経験があるという前提で求人募集が行われるのが基本となり、社内人事評価(部下の評価など)を行ってきた経験も重要となります。
大阪の社内SEの年収相場
一般的な社内SEの年収相場は500~700万円といわれています。一方、JACのハイクラス転職を実現した場合、大阪の大手製造業の社内SEモデル年収として部下のいない課長クラスで800~900万円、なかには40歳前後の課長相当の場合で1,000~1,200万円を実現されたケースがあります。またデータサイエンスの関連ポジションには、1,300万円となったケースもあります。
企業側が優秀な経験者を求めていることや、DX推進などを背景に前例を踏襲する必要がないこともあり、以前に比べると年収レンジは上がっています。
事業会社の社内SEに転職する人がJACを利用すべき理由とは?
10年ほど前に、大手人材紹介会社の中ではじめて社内SEチームを作ったのがJACですので、他の人材紹介会社よりも社内SEに対する知見やノウハウを豊富に持っていると自負しています。
現職で社内SEをされている方が、「現職とは異なる立ち位置で仕事ができる別の企業を探している」といったご相談を数多くいただいており、そういった方々の転職成功のサポートを多く行ってまいりました。
また保有する情報のクオリティの高さに自信があることや、中長期で支援が可能であることもJACの強みです。
情報のクオリティの高さについて
JACは、採用企業と転職希望者様のそれぞれに対するサポートを一人のコンサルタントが行う「コンサルタント型」のビジネスモデルを導入しています。つまり、転職希望者様をサポートしているコンサルタントが、採用企業に対しても採用コンサルティングを行っているのです。そのため、企業によって全く異なる組織や体制、DXの中身を、正確に把握しています。これは、求人票からは読み取れない、JACならではの保有情報です。
社内SEの転職では、人の相性や組織のフェーズ、経営者の考え方などによって短期で離職してしまうケースもあります。よって、いかにクオリティの高い情報にたどり着けるかがポイントとなるため、JACは採用企業と転職希望者様の間にしっかりと入り込み、お互いをつないでいくことによって転職活動をサポートしています。
なお、JACのコンサルタントは採用企業の人事部に会いに行くだけでなく、情シスポジションの責任者の方にアプローチしていく方法を取っています。その方と関係性が築けていくと、転職希望者様のレジュメを直接、採用決裁者に紹介できるなど、他社にはないアプローチも可能です。
中長期の支援について
JACでは、期間を定めて転職活動をサポートしているわけではありません。転職活動が終わった後も、転職先でミスマッチなく活躍いただけているか、何かお悩みはないかなどを確認させていただき、コミュニケーションを取らせていただいております。まだ転職を検討している段階の方に対しても、しっかりと対話を繰り返し、今すぐの転職でなくとも、中長期のフォローを行っております。
人生におけるキャリアパートナーとして気軽にご相談いただけます。
事業会社の社内SEを目指す方へ向けて
情報システムは今後ますます社内の立ち位置が上がっていき、経営と切っても切れない関係になります。その結果、情報システム部に求められるものは、より高度化していくことになるでしょう。
そのような中、社内SEには、単なるシステムだけでなく経営と結び付けていく役割を担っていくミッションが課せられます。そういった点に魅力を感じられる方は、JACを活用しぜひ希望のポジションを目指してください。
JACは単なる転職エージェントとして転職希望者様をサポートしているのではなく、キャリアのパートナーとしての価値を発揮できるエージェントです。まずはコンサルタントと話してみませんか?