近年、首都圏・関西圏の大手企業で経験を積んだ50代~60代の方々が、名古屋・東海エリアの企業にエグゼクティブクラスのポジションで転職する、あるいは「顧問」「アドバイザー」として週に数日勤務する事例が増えています。
名古屋・東海エリアに縁がなくても、「自身の強みを生かせる」「創業者や企業の考え方・理念に共感できる」「社会貢献性に価値を感じる」といった理由で、名古屋・東海エリアの企業と縁を結んでいるのです。
JAC Recruitment(以下、JAC)では、名古屋に拠点を置き、名古屋・東海エリア全域への転職をサポートしています。
今回は、多くのエグゼクティブの転職を成功に導いてきたコンサルタントが、同エリアにおけるエグゼクティブクラスの転職市場動向、また求められる人材像についてご紹介します。
目次/Index
中小企業が求めるのは、事業承継・事業変革・新規事業開発を担える方
名古屋・東海エリア中小企業については、大きな変革期を迎えている時期です。
自動車EV化に伴う事業変革や新規事業開発に課題を持っていたり、海外の「安い、早い、品質も悪くない」といった”ものづくり”に圧される状況が続いていたりと、これらへの対応は急務となっています。これはつまり、「良い物を造っていれば成長できる」といった時代は終焉を迎えつつあり、「会社を上手く経営しなくては、事業拡大に至らない」といった時代になったからです。
並行して、経営者の高齢化も後継者不足による、事業承継課題も他エリアに違わず深刻化しています。
そういったことを背景に、職種領域としては「工場長」「CFO」「経理部長」などの求人が多く、50代前半~60代半ばの経験者の方々が迎えられているケースが多いです。
また、自動車関連業界では、周辺領域への拡大や新たなマーケットの開拓など、事業変革などに取り組む動きも活発。新たなプロジェクトを推進できる採用ニーズがあります。
たとえば、自社工場の効率化によって生み出した設備を外販するにあたり、設備メーカー出身者を採用した事例もあります。
中小メーカーが求めるのは「体系・仕組み」を整備できる方
自動車関連の中小メーカーでは、1~2階層上位のメーカーで経験を積んだ方をマネジメント職として迎えたいとするニーズがあります。
たとえば、ティア1企業にいた方が役職定年あるいは定年後、「まだまだ第一線で働きたい」と、ティア2~3企業などに転職する事例が多く見られます。
中小メーカーでは、管理部門・生産部門いずれにおいてもベテラン層への依存度が高く、「属人化」しているという課題を抱えています。国際競争が激化するなか、生産効率の向上も急務となっています。
そこで、体系化・仕組み化を、現場で陣頭指揮をとって推進できる方を求めているのです。また、後進の育成にも期待を寄せられています。
よって、そのような体系化・仕組み化を実際に行い、成功した実績がある方が求められています。
近年急増中のエグゼクティブ求人
IPOを目指す企業が求める、CFOや管理部門の経験者
名古屋・東海エリアでは、以前に比べてIPOを目指す企業が増えています。業種は多様で、スタートアップやベンチャー企業に限らず、歴史ある企業が次世代に経営を引き継ぐにあたりIPOを目指すケースもあります。
そのため、IPO準備にあたり、管理部門の整備を担えるマネジャークラス以上の採用ニーズがあります。
名古屋・東海エリアにおいては、首都圏・関東エリアに比べて「IPOのためにCFOが必要」というよりは、オールマイティなスキルを活かしてIPOを実施してくれる方が求められています。経理・財務をはじめ総務・広報・IRなど、幅広くカバーできる方を求める傾向が見られます。
海外市場の開拓/海外子会社管理を担える方
メーカーが多い土地柄であるため、海外市場の開拓、海外事業の拡大を図る企業も多数。
また、海外駐在中の社員が帰国できず任期延長となっているという企業もあります。そろそろ任期終了させたいが、自社には交代で送る駐在要員がいない。そこで、交代で送る駐在要員を外部から募集しているケースがあります。
こういった経緯から、海外子会社の管理経験を持つ採用ニーズがあり、中小メーカーの場合、「管理(経営)」と「生産」の兼務に対応できる方が求められます。
増加する社外取締役のニーズ
近年のコーポレートガバナンス強化の潮流を背景に、社外取締役を求める声も上がっています。
特定の分野での専門性を持つ方を対象とするほか、特に「女性」のニーズが高まっています。これは、ダイバーシティ・SDGs施策の一環といえます。
以前の「社外取締役」といえば、形式的に置いておく企業も多かったのですが、最近では経営会議に入って影響を与えてくれることを期待する傾向が見られます。
名古屋・東海エリアのエグゼクティブ採用で求められる方の傾向と年収
首都圏や関西圏から専門性が高い方を呼び込みたいニーズがある一方、名古屋・東海エリア内で経営者ネットワークを持つ方のニーズも根強くあります。
いずれにしても求められるキーワードは「柔軟性」「自発性」。
「自身のやり方に固執せず、柔軟に自社の文化になじんでほしい」と考えると同時に、「イエスマンではなく、自発的に自身の考えを発信してほしい」という声が多く聞こえてきます。 創業社長ともなると、真っ向から意見を言ってくる社員がほとんどいない環境のなか、しっかりと意見を戦わせられる「攻めの姿勢」を持った経営メンバーを求めているのです。
名古屋・東海エリアの管理職における40代・50代のモデル年収
名古屋・東海エリアの管理職求人の平均的な年収モデルは、次のとおりです。
中小企業の課長~部長クラス/年収600万~800万円
※強く求める専門性を持つ方の場合、年収1000万円を提示するケースもあり
<提示年収一例> | ||
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消費財企業 | 執行役員 | 年収1,000万~1,500万円 |
建設・不動産会社 | 執行役員 | 年収1,000万~1,400万円 |
メーカー | CFOクラス | 年収1,200万~1,800万円 |
デジタル系企業 | CIO | 年収1,200万~2,000万円 |
当然ながら企業や個人によって異なりますので、あくまで目安としてください。
名古屋・東海エリアで働く魅力・メリット
名古屋・東海エリアの魅力は、ものづくりへのこだわりが強く、高度な専門技術を持つメーカーが多いところといえるでしょう。知名度は低くても、グローバルでシェアを獲得しているニッチトップ企業も存在します。
また、製造業以外にも、食品、流通、建設・不動産、各種サービス、メディカルなど、多様な業種で勢いのある企業が多数。幅広い業種の経験を生かすチャンスがあります。
社員同士の「和」を大切にする企業が多く、そうした風土・文化に魅力を感じる方もいらっしゃいます。
一方、「変革」に本気で取り組む企業では、経営に近いポジションで、大きな影響力を与えられることにやりがいを感じられるでしょう。
JACでは名古屋・東海エリアの企業とネットワークを築いており、各社が抱える課題・求める人材像をつかんでいます。 コンサルタントとの対話を通じ、転職ご希望者様ご自身が気付いていない強みや可能性に気付く方も多くいらっしゃいますので、さまざまな選択肢を探るためにもJACが持つ情報をご活用ください。