外資系企業の年収情報|日系企業との比較や年収アップのポイント

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公開日:2021/12/16 / 最終更新日: 2024/10/17

外資系企業といえば「高年収」「実力主義」「激務」というイメージを抱く方が多いかもしれません。しかし、業界や年代によって、その実態は大きく異なります。
外資系企業の年収が高い理由や主な業界の年収傾向、年代ごとの平均年収などを見ながら、外資系企業の実態について紹介します。

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外資系企業の年収が高い理由


一般的に日系企業よりも年収が高いと言われる外資系企業ですが、なぜ待遇に差が出るのでしょうか?

理由1:成果主義を採用している

外資系企業は年令や性別に関係なく、成果に応じて報酬を支払います。
特に営業職やエグゼクティブ系の職種は業績に連動して待遇も大幅に変わるので、実力のある方がフェアに評価される環境だといえます。企業側としても業績と連動して成果を出した人材のみに報酬を分配するので、リスクはほとんどありません。
一方でバックオフィス系の職種は業績に直接関係しないポジションであることから、この点では転職しても年収が大きく上がるということはありません。

理由2:給与体系の違い

外資系企業はベース(基本給)とインセンティブ(業績連動給)によって年収が決まります。日系企業でもインセンティブを採用する企業は増えていますが、その割合や額は外資系企業のほうが圧倒的に高い傾向にあります。このことから外資系企業のほうが高待遇である理由になっています。

外資系企業の場合、職種によってはインセンティブがベースと同額〜倍以上に設定されることも珍しくありません。業績に貢献する人材であれば、いくらでも支払うという文化が徹底されているのです。日系企業はどれだけ成果を上げても公平性を重視したり、上司よりも年収が上がらないようにインセンティブを低く抑えたりしがちです。しかし、外資系ではそういった配慮は小さいですので、数字で見えやすい成果を上げている方にはフェアであるといえます。

理由3:退職金や福利厚生がほとんどない

外資系企業はキャリアアップのために転職することが珍しくありません。また、長期的に同じ会社で働き、ジョブローテーションを経て昇進していくといった日系企業では一般的な考え方もそこまで一般的ではありません。

そのため、退職金制度や社宅、スポーツジムや旅行を補助するといった福利厚生などに費用を回さずに、全て給与で還元するというのが一般的です。

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【業界別】外資系企業の年収傾向


一口に外資系企業といっても待遇や働き方は業界によって異なります。ここでは転職者に人気の業界を中心に、それぞれの平均年収や業界動向について紹介します。

外資系金融の年収傾向

 平均年収 700〜2000万円程度
※JACリクルートメントの実績より(変動ボーナス除く)

インセンティブで高収入を得たい方にとっては、最適な業界といえます。
運用金額の規模が大きく、与えられた裁量によっては巨額の資金を運用できるので、実績が出ればインセンティブも大きく跳ね上がります。平均年収は700〜2000万円程度のレンジが中心です。

一方で同じ金融業界内の似たポジションでも、役割のわずかな違いでインセンティブに大きく差が出る場合があります。例えば、M&Aに関する実務を担うM&Aアドバイザリーの場合、ベースは600~1500万円程度ですが、M&A案件そのものを開拓する仲介ポジションの場合にはベースは500万円~とM&Aアドバイザリーと同額あるいは少額でもインセンティブで大きく跳ね上がるケースがあります。例えば10億円規模の案件を開拓した場合にはインセンティブで2億円得られることもあります。

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外資系コンサルの年収傾向

 -平均年収-
 ITコンサルティングの戦略系、業務系
 若手(アソシエイト、ジュニアコンサルタントなど)600万円程度
 マネージャークラス 1000〜2000万円程度
 上位役職であるパートナー・マネジングディレクター 3000〜4000万円程度

※JACリクルートメントの実績より(変動ボーナス除く)

かつて、コンサルティング業界では戦略系コンサルティングが上流で、業務系コンサルティングは下流とみなされる時代もありました。しかし、現在はITコンサルティングが主流であり、戦略系、業務系のいずれにおいてもITに関する案件が中心であり、上流・下流といった考え方も変わりつつあります。
そのため、専門分野の知識もさることながらITに対する感度や理解力も求められる傾向にあります。

年収は若手(アソシエイト、ジュニアコンサルタントなど)でも600万円からスタートし、マネージャークラスになると1000〜2000万円程度、上位役職であるパートナーやマネジングディレクターになると3000〜4000万円程度が目安になります。

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外資系ITの年収傾向

 -平均年収-
 IT業界(特にソフト)
 PM(プロジェクトマネージャー)800〜2000万円程度
 部長クラス 1000〜2500万円程度
 役員クラス 1700〜5000万円程度

※JACリクルートメントの実績より(変動ボーナス除く)

外資系IT企業で注意すべき点は開発部門が日本国内に無いことが大半であり、日本法人の役割は本国で開発した製品やソリューションを日本の顧客に売り込み、サポートすることです。

そのため、エンジニアとして日系IT企業から外資系IT企業の日本法人に転職する場合は、プリセールスやカスタマーサクセスなど、技術的な側面から顧客をフォローする立場のポジションしか無いケースが多いことをあらかじめ理解しておきましょう。

IT業界(特にソフト)はメーカーのように現物調達やハードウェアの原価がかからないため利益率が高く、インセンティブも比較的高額です。システムベンダーでもPM(プロジェクトマネージャー)であれば800〜2000万円、部長クラスで1000〜2500万円、役員クラスでは1700〜5000万円程度の年収が見込めます。

どのポジションも積極的に採用している企業が多いなか、近年はクラウド関連の製品を扱うインサイドセールスやカスタマーサクセスのポジションが活況です。これまでは顧客にトラブルが起きてから動くカスタマーサポートが既存顧客の満足度を維持する役割を担っていましたが、トラブルが顕在化する前に適切なソリューションを提案するリテンション(既存顧客維持)施策に多くのIT企業がシフトしています。
IT業界は製品のライフサイクルが短い傾向にありますが、どの製品であれ顧客とのコミュニケーションスキルは必要不可欠であり、扱う製品がレガシー化しても成長企業に転職すれば安定したキャリアアップが見込めます。

特に新たに日本法人を立ち上げるタイミングで外資系企業に入社すると、製品がヒットしたタイミングで一気に役員クラスに昇進できる可能性もあります。外資系IT企業に転職する際には企業の規模だけでなく、技術トレンドを見据えた上で新興企業にあえて転職することも一つの選択肢として考えておきましょう。

なお、営業キャッシュフローが赤字で、資金調達により拡大しているタイプの企業は、アメリカの金融引き締めと景気後退の進み具合次第で、採用ストップ・人員削減の展開となる可能性があります。

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外資系メーカーの年収傾向

 -平均年収-
 営業職・アプリケーションエンジニア・サービスエンジニア
 スタッフクラス 600〜1200万円
 マネージャークラス 800~1500万円

※JACリクルートメントの実績より(変動ボーナス除く)

これまで紹介した業界と比べて、年収の上がり幅が比較的穏やかであり、中小メーカーでも安定性が見込めるのが外資系メーカー企業です。

IT業界同様に開発部門は本国にあるため、日本市場へのセールスや契約した製品を本国から調達し、顧客に届けることが主なミッションになります。したがって、主な中途採用のポジションは営業職やアプリケーションエンジニアやサービスエンジニアが中心で、スタッフクラスであれば年収は600〜1200万円、マネージャーでは800~1500万円程度が目安となります。

IT業界やコンサルティング業界と比較すると地味な印象を持たれがちですが、BtoB市場では、大手日系企業との取引が豊富であったり、世界規模でトップシェアを誇る中小メーカーも多数あったりします。洋上プラントや発電所など、何十年も稼働する設備で採用される製品を扱うメーカーは製品のサイクルも長いため、IT業界ほどトレンドの変化も早くない傾向があり、経営面でも安定感があります。
中途採用においても、転職回数が多くても気にしない企業が多く、華々しい実績がなくても、知識やヒューマンスキルを見て採用する傾向にあります。

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【年代別】外資系企業の年収傾向


外資系企業は年代によっても、平均年収と、その背景は異なります。

20代の外資系企業の年収傾向

 平均年収 590万円程度
※JACリクルートメントの実績より(変動ボーナス除く)

外資系企業は20代の時点で日系企業の平均年収より高い傾向にあり、男女差もほとんどありません。

日系企業では入社後研修を経て、1〜2年ほどかけて、さまざまな現場や部署を回りながら本人の適性を見極める傾向にありますが、外資系企業では入社後研修が終われば、即戦力として結果を出すことが期待されます。

男女差が無いのも将来の結婚や妊娠による休職や退職を配慮せず、現時点のパフォーマンスで評価するためです。特に新卒・第2新卒で採用することが多い20代の場合、スタートラインは男女ともにフラットなので、性別による差はほぼありません。

外資系企業への転職と年齢の関係とは?

30代の外資系企業の年収傾向

 平均年収 730万円程度
※JACリクルートメントの実績より(変動ボーナス除く)

30代になるとマネージャーやディレクタークラスの求人も増え、経験や実績で年収に開きが生まれます。また、昇進・昇給のスピードの差に変化がつきやすくなり、優秀な方であれば30代前半でも1000万円を超える年収になりますが、実績が十分ではない方やバックオフィスなどインセンティブが低い職種の方は年収の上がり幅は限定的です。

また、20代では差がつかなかった男女間の年収も徐々に開き始めます。日系企業から外資系企業に転職する際に、前職の年収を考慮するため日系企業でついた差を外資系でも受け継いでしまう傾向にあるからです。しかし、入社後に高い実績を出せば、前職から引き継いだ年収のギャップはすぐに埋まる傾向があります。

30代、外資系企業への転職|転職成功のポイントとは

40代・50代の外資系企業年収傾向

 平均年収
 40代:910万円程度
 50代:1040万円程度

※JACリクルートメントの実績より(変動ボーナス除く)

40代以降になるとマネージャーやディレクターやもちろんのこと、日本法人社長が視野に入るキャリアが現実的なものになります。年収の上限も一気に上がる一方で、年収を上げていく層と日系企業に勤める同年代よりは高年収だが横ばいの層、そして日系企業に勤める同年代とほぼ同水準で横ばいの層などに別れます。

日系企業では年功序列がある程度考慮されますが、外資系企業は成果主義なので、若く優秀な人材に追い抜かれる人も珍しくありません。一方で、外資系企業では年齢が採用時に懸念点になることは少なくなります。

これまでの実績やマネージメント経験に加え、生きた人脈を生かしてビジネスをリードできる方であれば、転職も優位に進めることができるでしょう。

40代の外資系企業転職は難しい?
求められるスキル・経験とは


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外資系企業で年収を上げる方法


外資系企業で年収を上げ、キャリアアップしていくためにはどうすれば良いのでしょうか?

方法1:入社時に年収交渉を行う

これは外資系に限ったことではありませんが、年収アップまたは年収維持のポイントとして、次の会社の内定通知書(オファーレター)を受け取ってから、今の会社に退職の意思を伝えることが重要となります。

年収交渉にはいろいろな形がありますが、基本的には「この条件を受けていただかなければ、別の企業に行きますよ」といった前提条件があってから、「これ以上は出してくださいね」という話がなされるわけです。皆様が現職にとどまったまま新しいオファーをいただくことができれば、「現職よりも給与が低いから、転職する理由がない」といった交渉ができます。

一度、会社を辞めてしまうと、今の年収はゼロになってしまいますので、「前はこれだけいただいていたので、それと同じぐらい欲しい」と言っても交渉の前提にならず、話を有利に進められなくなってしまいます。そのため、今の仕事があるうちに、新しい企業の内定通知書をいただいた状態で、退職を切り出すようにするのがおすすめです。

ただし例外が一つあります。今の仕事を続けていると心身の健康を損なってしまう、また倫理的に大きなダメージを受けてしまうようなら、退職を優先しましょう。

方法2:成果を上げる

成果主義の外資系企業において成果を上げることこそが、年収アップの近道であることは言うまでもありません。
インセンティブとベースの比率や上限額は入社前に交渉することもできます。実績を出せる自信があり、転職時の年収から更に待遇をアップさせたい場合には必ず入社前に交渉しましょう。

方法3:昇給・報酬の交渉をする

入社時の交渉だけでなく、入社後も上司との面談で昇給や報酬アップの交渉をすることが外資系企業では一般的です。日系企業の場合には本人が黙っていても昇進できたり年収がアップしたりしますが、外資系企業では給与を上げないと他社へ引き抜かれてしまうと思われる結果を出し、交渉時に更に良い待遇を引き出す必要があります。

交渉を良い結果で終わらせるには自分の市場価値を客観的に把握し、物別れに終わっても最終的には有利な条件に着地できる落とし所を決めておくことが重要です。その際に人材エージェントと定期的に情報交換し、業界他社の動向や転職市場から見た自分の価値を把握しておきましょう。

方法4:英語のスキルを高める

方法5:転職や社内異動をする

現職で実績を積み、さらに年収の高いポジションへ転職するのも選択肢の一つです。
外資系企業でキャリアを積む方の多くは常に競合他社や自分が関連する業界の年収や待遇に関する情報を収集し、人材エージェントとも定期的にやりとりをしています。そこで得た情報を基に社内で待遇アップを図ったり、より良い条件を提示する企業に転職したりするのです。

外資系企業への転職をお考えの方へ


外資系企業でキャリアを積むと、他社への転職がしやすくなり、自身の人生設計にも有利なオプションが得られます。労働者不足の日本で転職すること自体は何も難しくありませんが、高い年収を維持したまま転職することは相応の困難が伴います。日本企業では高年収のポジションはあっても外部に出てくることは少なく、他方で外資系では高年収のポジションが外部に多数出てきます。つまり、外資系での高給は、日系でのそれと違って、他社に持ち運びしやすいのです。これは、同じ年収でも、会社を替えられないか、替えられるかの大きな働き方・生き方の違いになるというわけでます。
もし、あなたが外資系企業への転職を考えるのであれば、さまざまな企業とのコネクションを持ち、業界動向や転職市場について精通した人材エージェントをパートナーに持つことが必要不可欠です。

本格的に転職活動を始める前から人材エージェントに登録し、最も信頼できるコンサルタントを見つけておきましょう。いざ転職活動を始める際には、あなたにふさわしい求人をいち早く紹介してくれるでしょう。

※本稿は執筆者の個人的見解であり、ジェイエイシーリクルートメントの公式見解を示すものではありません。

この記事を監修した転職コンサルタント

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黒澤 敏浩

プリンシパルアナリスト

ハイクラス・管理職の転職に強い人材紹介会社のジェイエイシーリクルートメント(JAC)でマーケット研究などを担当し、ホワイトカラー転職市場や給与の分析などで20年の経験を持つ。人材サービス産業協議会の「外部労働市場における賃金相場情報提供に関する研究会」委員や日本人材マネジメント協会執行役員「人事(HRM)の投資対効果(ROI)」担当も務める。
日本証券アナリスト協会認定アナリスト。国家資格キャリアコンサルタント。ISO30414(人的資本情報開示ガイドライン)リードコンサルタント。