PMS(製造販売後調査)の転職―将来性や転職成功のポイントを解説―

  1. メディカル(医療)業界
  2. 転職マーケット×メディカル(医療)業界

公開日:2024/11/11 / 最終更新日: 2024/11/12

PMS(製造販売後調査)とは、世に出た医薬品の業務に携わる職種です。

開発段階で国からの承認が出た医薬品であっても、短い期間と限られた被験者から得られたデータだけでは、その医薬品のことを完全に理解できたとはいえません。

そのため、その後も使用に問題がないかの確認を目的に再審査や、適応症追加の業務をすることがあります。それらの担当をするのがPMSです。

ここでは、そのような重要な役割を担うPMSの転職について、PMS専任のJAC Recruitment(以下、JAC)転職コンサルタントが説明します。

PMSの転職動向やアピールすべきポイント、転職事例などについて気になる方は、ぜひご覧ください。

PMS(製造販売後調査)の転職動向と求人の傾向を解説


PMS(製造販売後調査)の転職市場は安定しており、求人数が非常に多いというわけではないものの、常に一定のニーズがある状態です。

製薬企業では社内の方向けのジョブポスティング制度や社内公募により、キャリア支援の一貫で異動を積極的に行うことがあります。そして、PMSから他職種への異動が増えた後にPMSのポストが空くため、PMS人材の欠員補充するために求人が出されることもあります。

また、PMSの業務量は、市場に出た医薬品の再審査や定期報告などの時期に応じて増加するため、それらのタイミングで求人が増える傾向にあります。例えば、再審査は新薬承認後の一定期間後に行う必要があり、その時期が近づくと人員の補充が行われることが多いです。同様に、定期報告の業務が増える時期もキャパシティを補うために求人が出されることがあります。

PMS(製造販売後調査)の転職で求められるスキルや経験・マインドについて


PMSに転職する際には、製造販売後調査の企画立案経験、再審査申請対応やオペレーション管理の経験が求められます。特に、企画立案からオペレーション管理まで一貫して行った経験や、PMDAとの折衝経験があれば、転職市場での評価は高くなります。仮に、企画立案かオペレーション管理、どちらかだけの経験しかない場合、転職の幅は狭まる傾向です。

英語は、最低限の読み書きができることが基本となります。特に、外資系企業では、海外の上司と円滑にコミュニケーションをとる必要があるため、TOEICで730点程度の英語力が望ましいとされています。

また、PMSには、組織全体を巻き込みながらプロジェクトを推進するリーダーシップや、周囲と協力しながら業務を進める協調性が必要です。部門横断的(クロスファンクショナル)な感覚でチームとして働く能力、社内で意見がぶつかっても各部門の状況に配慮して会社全体の最適解をみつけようとするコンフリクトマネジメントのスキルも求められます。

マインド面では、医療に貢献したい気持ちや企業理念に合う価値観を持っていることが大切です。



PMS(製造販売後調査)の年収相場


PMSの年収は、非管理職の場合で700万円〜900万円、管理職では1,000万円〜1,300万円が相場です。

外資系企業の場合は、日系企業よりも100万円〜150万円ほど高くなる傾向があります。

製薬企業の役職定年制度により、50代半ばで管理職の役職を解かれる場合、PMSでは年収1,200万円だったところから900万円〜1,000万円などに減少することがあります。このような場合、ニーズと合うCRO企業があれば、経験が評価されて減少前の年収を維持できる転職事例もあります。

CRO企業に転職後は、経験を期待されてマネジメントポジションを任されたり、条件が合えば60歳以降も就業も可能なケースが見られます。

このような背景から、製薬企業からCRO企業への転職を検討される方もいます。

PMS(製造販売後調査)から他職種への転職は可能?キャリアパスを解説


PMSから他職種への転職は可能です。

具体的には、PV(ファーマコヴィジランス)やMSL(メディカルサイエンスリエゾン)、エビデンスジェネレーションへのキャリアパスがあります。



PMS(製造販売後調査)としてのキャリアパスについて

PMSを続ける場合のキャリアパスは大きく2つあり、1つはスキルを磨いてスペシャリストとなるケースです。もう1つは試験の企画立案やオペレーション管理などの業務経験、部署やチーム内でリーダーシップを発揮しながら経験を積み、マネージャー職など、組織の中でより大きな役割を担うポジションに昇進することもできます。

PMS(製造販売後調査)から他職種への転職の可能性について

・PMSからMSLへの転職

担当領域の専門性に共通するものがある場合、PMSからMSLに転職することが可能です。

メリットとしては、PMSの業務で培った領域の専門性をそのままMSLになってからも応用できる点が挙げられます。

一方で、MSLはPMSよりも出張が多くなる点において注意が必要です。KOL(キーオピニオンリーダー)と面会するために、1ヶ月あたりの訪問回数が指定されている場合があります。

・PMSからエビデンスジェネレーションへの転職

適応症追加のための業務を担うエビデンスジェネレーションでは、PMSで培った計画立案の経験を生かすことが可能です。

一方で、PMSではさまざまな疾患領域に関わる機会があるのに対し、エビデンスジェネレーションでは担当する疾患領域が固定されることが予測されます。

経験を生かすことができる点は魅力の一つですが、領域経験が固定されてしまう点が気になる方は注意が必要です。

・PMSからPVへの転職

PMSとPVは同じ安全性部門にあたるため、自身の経験をより特化させたい方にとってPVは魅力的な職種です。

また、PVの求人数はPMSよりも多い傾向にあるため、転職のしやすさという面で魅力を感じる方もいます。

PVの業務に関心を持つことができれば、PMSの業務と比較して大きなデメリットはないため、気になる点があればJACのコンサルタントにお気軽にご質問してください。

他職種へ転職する際の注意点

PMSに限らず転職全般にいえることですが、職種への理解が浅いまま転職するとミスマッチが起こりやすいことに注意しましょう。

転職活動においては「ただ入社する」や「新しい環境に挑戦する」だけが目的でなく、その職種で長期的に活躍するためのビジョンが必要となります。

入社してから「こんなはずではなかった」と思わないために、その職種で求められるミッション、企業のビジョンや理念などを入念にリサーチし、自身の将来イメージと照らし合わせることが大切です。 そのうえで、PMSの知識や経験がどの程度その職種で生かせるか、自身の強みがどのようにアピールできるのか、明確にすることが必要になります。


ここでは、PMSからPMSに転職する際にアピールできるポイントについて説明します。

計画立案、オペレーション管理など、どのような業務をどのくらいの期間にわたって経験したかアピールしましょう。

英語力や規制当局への対応などもアピールできる経験に該当します。

組織においてどのような課題を感じて動いたか、その課題を解決するために周りを巻き込むような経験をしていれば、アピールポイントとなります。

どのような企業も現状に課題を感じていることが多いため、課題を解決していける力は評価されます。

PMSの業務はDM(データマネジメント職)や解析部門と連携することもあるため、データマネジメント業務への理解もあるとアピールポイントになります。

PMSは他部署や関係者と密接に協力する業務が多いため、協調性を持ちながらも企業の利益を最優先に考え、適切な方向に導く調整力が求められます。特に面接においては、明瞭な受け答えに加えて、周囲の立場を尊重した姿勢や大局的な視点を持った言動が要求されます。

5, 具体的な貢献度合い

面接の場では、職務経歴書で表現しきれない具体的な実績や貢献の度合いについて具体例を用いて伝えましょう。

例えば、課題解決のためにどのような役割を果たしたか、どれくらいの規模で動いたか、また、経験のある業務であってもメインとサブのどちらで担当していたかなどを伝えることで、正確に力量を伝えることが可能です。


ここではPMS(製造販売後調査)の転職で、転職志望者の方からよく挙がる質問を紹介します。

Q. 同じPMSでも企業によって業務範囲が異なると思いますが、詳細に教えてもらうことは可能ですか?

A. JACのコンサルタントからお伝えすることが可能です。 担当する役割や試験数、配属されるチームの規模など、選考中に面接官に確認していただくことも可能です。

Q. 将来的にどのようなキャリアアップが見込めますか?

A. 企業によって異なります。PMSとしてマネージャー職へのキャリアアップ、社内異動の可能性などがあるため、各社の情報を個別でお伝えさせていただきます。

Q. 組織図はどうなっていますか?

A. 企業によって異なるため、個別でお伝えさせていただきます。また確認の意味でも、選考中に面接官に質問していただくことが可能です。

Q. 在宅勤務はどのくらい可能ですか?

A. 週に2~3回、在宅勤務が可能なところが多い印象です。 コアタイムを設けておらず1ヶ月あたりの労働時間で計算される企業様も多く、フレキシブルに働ける環境があります。


Mさん(男性/50代前半)は、長年勤めてきた職場の開発状況と経営状況に不安を抱き、転職を決意。新天地を求めるためJACへ相談されました。50代で初めての転職活動で、当初は応募企業をどのように選定すればよいか悩まれていましたが、Mさんへのヒアリングとコンサルティングを経て、「開発状況に心配がないこと」と「PMSの経験を生かせること」という応募の軸が明確になりました。

その軸をもとに、JACからは20件前後のポジションをご紹介し、結果、2社から内定を獲得されました。入社を決めた製薬メーカーA社からは、これから伸ばしていきたい分野において即戦力として期待できることや、Mさんの人柄に魅力を感じたと聞いています。今回の事例でも書類上では伝わりにくいことや、入社後の展望についてJACのコンサルタントから企業へ個別でお伝えすることもあり、ベネフィットの最大化やミスマッチの防止という観点から、よいご縁をおつなぎできたと考えています。

PMS(製造販売後調査)の転職ならJAC


JACでは、採用企業の採用担当者だけではなく、現場の責任者の方とも日々コミュニケーションをしています。

転職希望者だけでなく、企業のことも深く理解する「コンサルタント型」の体制でサポートをしているため、JACならではの鮮度の高い豊富な情報があると考えています。

また、ヘルスケア領域に対して専門のチームを持っており、東京本社と大阪支社を合わせて150名強のコンサルタントでサポートをしています。だからこそ、全国の製薬メーカー、CRO企業、バイオベンチャー、医療機器メーカーの求人をお預かりできており、また、現在までご縁をおつなぎしてきた方々のフィードバックが社内に蓄積しています。

このように、転職希望者と採用企業の双方に、JACだからこそできる価値提供があると考えています。

PMS転職に関して、気になることがある方やより具体的な質問や求人動向などについて知りたい方は、お気軽にJACまでお問い合わせください。

この記事を監修した転職コンサルタント

松尾 栄治

松尾 栄治

ヘルスケア西日本ディビジョン リーダー

2019年JAC Recruitmentに入社。 入社当初、東京本社にてケミカル領域を担当し、その後2021年より同大阪支店のヘルスケア領域に異動。以来一貫して関西拠点の製薬会社の臨床開発、メディカル部門を支援。日々製薬会社の方々とネットワークを構築し、精度の高いコンサルティングを通して、企業の重要ポジションについて多数の支援実績を持つ。


製薬業界に特化した専任コンサルタントが、あなたの転職をサポートします。
業界における市場価値はもちろん、レジュメの効果的な書き方、面接対策、企業傾向の情報収集など、JACのコンサルタントにご相談ください。

  • Step 1ご登録

    まずはご登録ください。弊社コンサルタントから、ご連絡いたします。

  • Step 2面談・求人紹介

    業界・職種に特化したコンサルタントが、複数人であなたをサポート。
    最適な求人・キャリアプランをご提案いたします。

  • Step 3応募・面接

    ご提案求人の中から、ご興味いただいた企業へ、あなたをご推薦します。
    レジュメ添削、面接対策、スケジュール調整は、コンサルタントにお任せください。

  • Step 4内定・入社

    条件交渉や入社日の調整などをお手伝いいたします。
    ご要望によって、円満退社に向けたアドバイス等も行っております。

  • Step 5アフターフォロー

    ご入社後も、キャリアについてご相談がございましたら、お気軽にご連絡ください。
    人生を共に歩むパートナーとして、あなたのキャリアをサポートし続けます。