MSL(メディカル・サイエンス・リエゾン)とは?仕事内容や転職動向を解説

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  2. メディカル(医療)業界
  3. 転職マーケット×MSL(メディカルアフェアーズ)
  4. 転職マーケット×メディカル(医療)業界

メディカルアフェアーズ(MA)に所属するMSL(メディカル・サイエンス・リエゾン)の領域では採用ニーズが高まり、求人数が増加しています。
その背景には何があるのでしょうか?MSLの仕事内容や他職種との違いや、最新の転職動向や求められるスキル・経験などについて、MSLに精通しているJAC Recruitment(以下、JAC)のコンサルタントが解説します。

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MSLとは?MRとの違いも解説


1960年代に米国で誕生したメディカルアフェアーズ(以下、MA)の目的は、メディカル戦略の策定・実行を通じて製品価値の最大化に貢献することです。医学専門家への情報提供・情報収集に始まり、適正使用を促進する医学教育活動や、アンメットメディカルニーズの充足のための臨床研究を企画・推進するなど、幅広い活躍の場があります。販売促進活動とは異なり、治療法の価値向上のために中立的かつ透明性の高い行動が求められるとともに、サイエンスの企業内専門家として、他の機能(研究、開発、営業、等)と連携することも重要です。


日本では、本格的には15年ほど前にMAが各製薬会社に導入されました。2010年代後半、各社がMA組織の拡充を図り、急速にレベルアップ。大手企業においては欧米との組織的格差がすでに解消されています。

MAにおける重要なポジションの一つがMSLであり、MSLは上記役割において主に「医学薬学専門家との意見交換」や「アンメットメディカルニーズ(まだ確立されていない治療方法や医療ニーズ)を発掘する」部分を担います。
具体的には、医学専門家へ情報提供を行うとともに、実臨床現場で起こっている事象を理解し、情報交換を通じてインサイトを収集します。このインサイトを分析することでアンメットメディカルニーズを同定し、メディカル戦略に繋げていきます。

MSLとMRの違い

MSLもMRも医学専門家を訪問することから似たような役割と捉えられることも多いですが、下記に上げた点で大きく異なります。

1) 所属部署
MSLはMAに所属し、MRは営業部門に所属することが多いです。MAは中立的立場で製品価値の向上を目指し、営業部門は製品の売り上げの向上を目指します。そのため、活動目的が異なります。より具体的には、訪問するキーオピニオンリーダー(KOL)と呼ばれる医師についても、MAにとってのKOLと営業部門にとってのKOLが異なることもあります。


2) 情報提供活動
いずれも医療用医薬品プロモーションコードに従って情報提供を行う必要がありますが、例えば適応外使用に関する情報や進行中の臨床研究に関する質問など、MSLであればリアクティブな対応において情報提供を行う事例もあります。ノンプロモーショナルな立場として活動しているためにできること、逆にプロモーションの立場としてできることもありますので、詳しくは製薬協などの資料をご確認いただくことをおすすめします。

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MSLが注目されている背景


2024年を振り返ると、2023年同様にメディカルアドバイザーなど戦略ポジションとMSLの募集がおおむね6-7割ほどを占めており、この背景として各社で新規パイプラインへの対応、新規疾患領域への拡大などが引き続き活発であったことを反映するものと思います。

疾患領域としては引き続きオンコロジーが多く、MSLの新規募集の3-4割がオンコロジー領域での募集となっております。2024年は循環器領域や代謝性疾患、肝臓領域など、新規創薬が盛んな領域でも増加傾向がみられており、MSLの募集数は医薬品開発市場のトレンドをある程度反映しているものともいえるでしょう。

2020年以前と比較するとMSLの人数も多くなり、MSLからMSLへの転職も増加。その中でMSLの役割についても再度注目が集まっており、今年2024年6月には日本製薬医学会から「Competencies for Expert MSLチェックリスト」も公表されるなど、求められる専門性も高まっています。

MSLの転職動向・求人傾向


2024年を振り返ると数多くのMSLの募集がありましたが、おおむね6割がMSL経験者のみを対象とした求人、残り4割がMSL経験者・未経験者双方を対象とした求人でした。
これまでは未経験者向けにもMSL募集の枠が多かったのですが、年々、経験者採用の割合が高まっており、MSL未経験者においては引き続き「学位」、「疾患領域経験」、「英語力」、「コミュニケーションスキル」が求められています。

MSLに求められるスキルや経験


MSLの採用選考においては下記4つの要素が重視されます。

MSLの転職で重視される4つのポイント

以下、それぞれ詳しく解説します。

Point1. サイエンスへの造詣の深さ/専門医と対話できるレベルの知識

日常業務において頻繁にコンタクトをとる相手は、専門医です。医師への情報提供や、医師からの質問への回答ができるレベルの薬学・医学の専門知識、疾患領域についての知識を有している必要があります。

以前から求められる要素の一つでしたが、近年は重要視するケースが増えています。
未経験からの転職ですと特に疾患領域経験が重要であり、抗腫瘍効果に関する薬理研究者であれば、固形癌治療薬のMSLへの親和性が高くなり、皮膚に関する免疫応答の基礎研究者は、皮膚疾患治療薬のMSLへの親和性が高くなります。
MSL経験者がMSLとして転職する場合には、疾患経験を強くは求めないケースもありますので、ご転職で疾患領域を変える方も一定数おられます。

Point2. 理系の修士・博士号

医師のなかでも、コミュニケーションをとる相手は主にKOL(キーオピニオンリーダー)です。高度なサイエンスのバックグラウンドの証である「Ph.D.」「医師」などの称号をもつ人物であればより信頼を獲得しやすいという点で、国内でも名門の理系学部の修士を修了しているなど、ある一定レベル以上の学歴が求められます。

また、これまで「修士」も受け入れていた求人が「博士」「医師」を対象にするようになるなど、求めるレベルが年々上がってきています。

なお、近年は働きながら公衆衛生学や疫学を学び、学位を取得する方も増えています。公衆衛生学修士(MPH)を採用で重視している企業はまだ少ないのですが、今後は増えていくと見込まれます。

Point3. 論文読解・グローバル本国とのコミュニケーションに必要な英語力

活動にあたり英字論文を読む機会も多いため、英文読解力が欠かせません。

MSLの場合、採用段階では高い英語力がなくても論文読解が可能であれば応募可能な求人は大手製薬会社を中心にまだまだあります。

しかし、外資系企業である以上、入社後にポジションアップしていけば、本国とのやりとりやレポーティングなども担うことになるため、英語力を高める意欲が求められます。

また、スペシャリティファーマ、バイオベンチャーにおいては本国との距離が近いことで英語でのやり取りがMSLでも必須となるケースや、上司が外国人であり、英語面接が発生するケースもございます。

Point4. 社内外のさまざまなステークホルダーと協業するコミュニケーション力

MSLの場合、まず社外の医師とコミュニケーションをとるスキルが必要です。さらに社内では、医師との対話内容を報告したり、戦略の改善や臨床研究の進め方についてディスカッションをしたりする場面もあります。

そのため、MAの枠を越え、MRやマーケターなどのコマーシャルサイド・臨床開発・グローバルなど多様な人々と協業できる高い調整力、さらに、ほかの職種の方を巻き込んで業務を円滑に進められる高いコミュニケーション能力が求められます。

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MSLの年収相場


MSLの年収相場は以下のとおりです。

未経験からMA(MSL)へ転職する場合600万~900万円
※ご経験に応じて若干上昇傾向
プレイヤー700万~1100万円
プレイングマネジャー(部下なし)900万~1400万円
※チーム立上げの一人目の場合には1500万円以上となることもございます
マネジャー(部下あり)1300万~1700万円


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MSLへの転職は未経験で可能か?


MSL未経験であっても、MSLに転職することは可能です。

上記の「MSLの転職で重視される4つのポイント」の要素を備えていれば、採用されるチャンスがあります。

MAでのキャリアを将来にわたって考える際にも、MAにおいては「医師はどのような課題を抱えているのか」を理解することが非常に重要です。そこで、入り口としてはMSLとして、フィールドワークからスタートすることをおすすめします。

未経験の応募者に対しては、「MSLという職種を正しく理解しているか」が見られています。

「サイエンスの知識とコミュニケーション力があれば務まるだろう」と考える方も多いのですが、実はそれをアピールするだけでは、選考を通過することは難しいといえるでしょう。

製薬会社におけるMA組織の役割・ミッションや、各ポジションの役割・ミッションを理解したうえで「どのようなやりがいを期待して志望するのか」「自身がどのように貢献できると考えているか」をご自身の言葉で語れることが重要です。

MSLのキャリアパスについて


MSLを経験後、MAとして多彩なキャリアパスの選択肢があります。
MSL経験者のうち、6~7割くらいの方はオフィスサイドに移り、戦略やオペレーションに特化したポジションを目指す傾向が見られます。

たとえば、以下のような選択肢が考えられます。

メディカルアフェアーズキャリアパス例
▶ 戦略立案:メディカルアドバイザー・メディカルエキスパート・メディカルリード
▶ 研究成果の論文化:メディカルパブリケーション
▶ 臨床開発との協働:パイプライン・アーリーフェーズMA
▶ 臨床研究:エビデンスジェネレーション
▶ 製品情報提供:メディカルエデュケーション・メディカルインフォメーション
▶ 組織基盤構築・人材育成:メディカルエクセレンス

このように、大手製薬会社においては自身の興味や志向に応じて多様なポジションを選びやすくなっています。

社内兼業を活用する方も年々増加しており、キャリア開発もしやすくなりつつあることを感じています。

一方、スタートアップに移り、スペシャリティファーマで希少疾患など新たな領域へのチャレンジや組織の立ち上げに携わることを志す方もいらっしゃいます。小規模組織のMSLでは戦略立案や臨床開発との共同、臨床研究にMSLの立場で携わっていける機会が得られることもあり、業務範囲を広げながらメディカルアドバイザーなど戦略ポジションを目指すキャリアもあります。

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MSLの転職を成功させる3つのポイント


MSLへの転職を成功させる3つのポイントを紹介いたします。

1) 医師とのコミュニケーション経験を職務経歴書の自己PRで記載する
2) MSLの志望動機を職務経歴書に記載し、MSLへの理解とMSLとしてやりたいことをご自身の言葉でまとめる
3) 未経験者でも応募できるMSL求人が出てきた際にはなるべくタイムリーに一つでも多く応募する

MSL未経験者にとって、初めてお会いするMSLが実は最初の面接でお会いする面接官/MSLグループマネジャーということがよくあります。MSLとしてどのような考え方をもっているか、MSLの役割はそもそも何か、どのようなキャリアパスが考えられるか、最初にMSL教育をどこで誰から学ぶかという点は一つ会社選びにおいて重要な要素ですので、未経験者においては、最初はなるべく多く、応募できるMSL求人へは応募していくことをお勧めします。

MSL経験者がMSLとして転職する際には、経験者としてキャリアにおいて叶えたい点があるかと思いますので、その点をぜひJACのコンサルタントへご相談ください。

MSLの転職事例


転職成功事例.海外から帰国後の再就職。年収は2倍以上アップ

Sさん(30代後半/男性)は海外の研究所に勤務していましたが、1年後の契約満了・帰国を見据え、一時帰国中に日本での再就職先を探していました。

希望は研究職でしたが、求人の絶対数が少なく、専門領域に合う求人がなかなか出てきません。

そこでJACから大手製薬メーカーの「MSL」をご提案。MSLをご存じなかったSさんですが、コンサルタントからの情報提供を受け、ご自身でも調べて「自身の専門性が生かせる」と判断し、前向きな気持ちで転職を決められました。

年収は2倍以上にアップしています。

Sさんは内定承諾後、約3カ月を経て帰国・入社されました。内定を得たらすぐに入社しなければならないと考えている方が多いのですが、企業が求める人材像であれば、事情を考慮して待ってもらえることもあるのです。

MSLの転職ならJAC


数ある転職エージェントのなかでも、メディカルアフェアーズに特化した専門コンサルタントがいるのがJACの強みです。
日本でのMA導入初期から専門チームを立ち上げ、MSL職の発展とともに専門知識と転職支援実績を積み上げているので、MSL転職におけるマーケットリーダーの役割を務めていると自負しています。

先述のとおり、MAの機能・役割はどんどん進化・多様化しています。

未経験からMAを目指す方にはMSLからのスタートをおすすめしていますが、MSL採用において未経験者を選考する際には、多くの企業が「プレゼン面接」を行います。

MSLの日常業務は、論文を読んで必要な情報を抽出し、10~15分程度の時間内で医師に伝えつつ、ニーズにつながりそうな話を引き出します。この一連の流れに近いプレゼンを面接で行い、未経験でも活躍できる素養をもっているかどうかを確認するのです。

事前練習が欠かせないため、私たちJACのコンサルタントのサポートを、ぜひご活用ください。

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この記事を監修した転職コンサルタント

日笠山 聡

日笠山 聡

ヘルスケアR&Dディビジョン


この令和の時代に製薬会社において著しく進化し続けるファンクションがメディカルアフェアーズだと感じています。だからこそ中長期的な視点をもちつつ、メディカルアフェアーズ専門のエージェントとしてご登録者の皆さまに納得いただけるキャリアのご提案ができるように努めますので、どうぞお気軽にご用命くださいませ。「メディカルといえばJAC」そのように感じていただけるようなコンサルテーションを提供させていただきます。