製薬会社セールスマネージャーの転職事情|年収相場、成功のポイントを解説 

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公開日:2025/04/18 / 最終更新日: 2025/04/21

現在、MRの採用が活発であり、それにともないMR組織を束ねるセールスマネージャーのニーズも高まっています。製薬会社のセールスマネージャーの求人動向、求められる経験・スキル、年収相場、キャリアパス、よくある質問、転職成功のポイント、転職成功事例などについて、JAC Recruitment(以下、JAC)のヘルスケア業界専任のコンサルタントが解説します。

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セールスマネージャーの転職動向・求人の傾向とは?


昨今、「新薬のローンチ」「オンコロジー領域を中心とした新組織立ち上げ」「外資系製薬メーカーの日本法人立ち上げ・拡充」などを背景にMRの採用が活発化していますが、セールスマネージャーについてもニーズが高まっています。

セールスマネージャーの求人は2024年から増加傾向。それ以前と比較し、1.5倍以上に伸びています。求人企業のほとんどが外資系企業であり、採用背景は「新しく事業部を立ち上げる」と「日本法人はすでにあるが、これから営業組織を立ち上げる」というパターンに分かれます。いずれの場合も、上層部から順に採用を進めています。

大手外資系製薬メーカーでは2010年代、継続して人員削減へ動いていました。それもある程度底を打ち、筋肉質な組織体制となった現在、「攻め」に転じる気運が高まっています。一方、外資系スペシャリティファーマは、日本のマーケットの可能性を探り続けていましたが、「薬価制度の影響を受けづらく、一定の利益が見込める」と判断。日本での営業組織立ち上げに乗り出す企業が増えています。

40代後半、女性経験者も積極的に採用

これまでには30代後半~40代半ばのセールスマネージャー経験者が多く採用されており、一部では40代後半の方の採用事例もあります。

なお、「ダイバーシティ&インクルージョン」の施策の一環として女性管理職を増やしたい意向が強く、女性のセールスマネージャー経験者は歓迎されます。

なお、女性管理職登用については、外資系に限らず日系メーカーでも積極化しています。元エーザイ株式会社CFOの柳良平氏が提唱する「柳モデル」では、「女性登用が企業価値を左右する」「女性管理職を増やすと長期的に株価が上がる」と示されました。厚生労働省では、2026年4月より「女性管理職比率」について従業員101人以上の企業に公表を義務付ける方針を示しており、女性セールスマネージャーへのニーズはいっそう高まると見込まれます。

>MR職全体の転職市場動向はこちら

セールスマネージャーの転職で求められるスキルや経験・マインド、アピールすべきポイント


セールスマネージャーの採用に際し、企業が期待する役割は大きく2つ。「エリア全体を俯瞰した、ロジカルな戦略策定」と「部下のパフォーマンスを最大化する育成」です。

メンバー育成に関しては、多様なバックグラウンドをもつメンバーに対し、それぞれの強みを引き出して生かせる力が求められます。提示した戦略に対し、メンバーが納得して遂行できるようなコミュニケーション力も欠かせません。

さらには、セールスの現場だけでなく、本社のマーケティングやMSLなど、異なるファンクションの人々を巻き込んで戦略を推進する力も期待されています。

なお、以前は先頭に立って組織を引っ張っていくリーダーシップが求められていましたが、最近では傾向が変わっています。現在は、「サーバント型」と呼ばれるような、「部下を信じて任せ、上司はその活動を支援する」というタイプのリーダーを求める傾向が強くなっています。

また、組織に貢献するために自身に何ができるかを、主体的に考えて実行するマインドも求められています。

セールスマネージャーの転職でアピールすべきポイント

上記のとおり、セールスマネージャーには「戦略策定」と「メンバー育成」が求められます。選考でアピールするにあたっては、「何でもできます」とアピールするより、自身の強みがどちらにあるのかを明確化したうえでアピールすることをおすすめします。企業によって、どちらの要素を強く求めているかが異なります。

自身の強みをより生かせる企業を選ぶこと、そして「自分が入社したら」と仮定し、自分なりの戦略やプランニング、チームビルティングの方針をプレゼンすることで、転職実現につながりやすくなるでしょう。

プラスアルファでは、「デジタルリテラシー」のアピールも有効です。MR活動にデジタルツールを導入・活用した経験や、志望企業に合うデジタル活用法を提案できる知見があれば、伝えるといいでしょう。

セールスマネージャーの年収相場は1400万~2000万円、年収アップを目指すには


外資系製薬メーカーのセールスマネージャーの年収相場は「1400万~2000万円」です。

大手メーカーでは1400万~1700万円、日本での組織立ち上げのフェーズにあるグローバルメーカーでは1600万~2000万円が相場。バイオベンチャーの場合、それに加えてストックオプションが付与されるケースが多く見られます。

年収アップを目指すには

セールスマネージャーとして年収アップを目指すなら、年収水準が高いバイオベンチャーで少数精鋭組織をマネジメントするポジションを狙うといいでしょう。

そこで求められるのは、先に挙げた「戦略策定」「メンバー育成」のスキルに加え、組織基盤が整っていない環境下で「自ら仕組みを作っていく」というマインドです。

セールスマネージャーの転職理由とキャリアパス


製薬会社のセールスマネージャーの方々はどのような理由で転職に向き合っているか、今後どのようなキャリアパスを描けるかをお伝えします。

セールスマネージャーはどのような転職理由が多いのか?

製薬会社のセールスマネージャーの方々が転職を図る理由としては、「マネジメント経験の幅を広げる」という志向が多く見られます。例えば「組織立ち上げフェーズの企業で、1から組織作りをする経験を積みたい」などです。

また、現職で「やり切った」感覚を抱いており、「残りのキャリア10年、新たなチャレンジがしたい」という声も聞かれます。

一部には「単身赴任を解消したい」という声もありますが、それだけが理由ではなく、何かしらキャリアを発展させる目標を持って転職に臨む方が多いのです。

セールスマネージャーのキャリアパス

セールスマネージャーのキャリアパスの一つとして、現場の最前線でマネジメントを行う「ファーストラインマネージャー」や、組織全体のマネジメントを行う「セカンドラインマネージャー」と呼ばれる、営業部長クラスのポジションを目指す道があります。

また、組織の立ち上げフェーズの企業で新たな組織作りを経験した場合、「ほかの事業部に異動し、新たな組織作りを担う」、あるいは「これから新組織を立ち上げる企業に転職する」といった選択肢が考えられるでしょう。

組織が拡大していくと、本社機能の強化も必要となるため、本社業務でのキャリア構築の可能性もあります。例えば、「エリアマーケティング」「セールストレーニング」「ホールセラー」などのマネージャーです。一部には、セールスに関するコンプライアンス部門のヘッドに就くケースも見られます。

セールスマネージャー転職で有利となる資格


セールスマネージャーが転職するにあたり、特に必要とされる資格はありません。しかしながら、保有しているとプラスの評価を受ける資格もあります。

例えば、米国発のリーダーシップモデル「SLII®」、人材アセスメントを使って人や組織の課題を解決するファシリテーターを養成する「DiSC®」などは、管理職であれば研修を受けたことがある方もいるでしょう。これらを深く学んで資格まで取得していれば、「理論を体系的に理解し、マネジメントに落とし込んでいる」と、期待を寄せられる可能性があります。

なお「英語力」に関しては、マネージャークラスといえど、入社段階から求められることはほぼありません。

しかしながら、英語力を磨いておけば、セールスマネージャー以上のポジションへの昇格のチャンスが生まれます。TOEICのスコアアップを目指すというより、「スピーキング力」を高めて、本社とのディスカッションで使えるようにしておくことが大切です。

セールスマネージャーの転職を成功させる3つのポイント


セールスマネージャーの方々が転職を成功させるために意識しておきたいポイントをご紹介します。

取り組みや実績を「言語化」しておく

セールスマネージャーとして優れた実績を持っていても、整理・言語化されていなければ、企業に伝わりません。マネジメントしていた営業所や組織で挙げた実績を示すとともに、その実績を挙げられたプロセスを言語化し、具体的なストーリーとして語れるようにしておきましょう。

志望企業でやりたいこと・目指すことを伝える

「このような実績があります」「これまで培ったマネージャー経験を生かせます」というアピールだけでは不足です。面接では、「当社で何をやりたいのか」「何を目指すのか」という質問を投げかけられることが多いものです。組織作りやキャリア構築について、「将来ビジョン」を語れるようにしておくことが大切です。

「壁や障害を乗り越えた経験」を語れるようにしておく

選考に臨む際、「成功体験」をアピールする準備をする方は多いのですが、面接では「大変だったこと」「ぶつかった壁」などを聞かれることもあります。成功体験より、むしろその回答からマネージャーとしての手腕を判断している企業もあるのです。厳しい状況、壁や障害といったものをどう乗り越えたのか、具体的なエピソードを語れるようにしておくといいでしょう。

セールスマネージャーの転職で多い質問と回答


セールスマネージャーの方々からよくお受けする質問についてお答えします。

Q.年齢が高くても、セールスマネージャーとしての転職は可能ですか?

A. 40代後半の方の採用事例は多数あります。当然ながら、マネージャーとして年齢相応の経験が求められます。転職活動を開始した段階で、自身にマッチするポジションが見つからなくても、しばらく待てば求人が出てくることもあります。中長期視点で、転職エージェントと密なコミュニケーションを取りながら情報収集を続けることをおすすめします。そして、求人が出るのを待つ間、より高い実績を挙げる努力や工夫をしておくことで、選考でのアピール材料が増え、選考通過率が高まるでしょう。

Q. 現在はファーストラインマネージャーです。セカンドラインマネージャーとして転職できる可能性はありますか?

A. 現在がファーストラインであれば、セカンドラインでの入社は難しいといえます。「全体最適」を目指して広いエリアを統括するためには、経験不足と見なされるでしょう。しかしながら、位置付けはファーストラインマネージャーであっても、セカンドラインマネージャー同様の活動をしている企業もあります。通常のファーストラインマネージャーより広いテリトリーを統括するケースもあります。そうしたポジションで経験を積めば、実質的に「セカンドマネージャーの役割を経験している」と見なされ、セカンドマネージャーとして次の転職につながる可能性もあるでしょう。

製薬会社セールスマネージャーの転職成功事例


希望の転職を叶えたセールスマネージャーの事例をご紹介します。

新たなチャレンジを求め、立ち上げ・組織作りができる企業へ

Sさん(男性/30代後半)

業種職種年収
転職前大手外資系製薬メーカーセールスマネージャー1,300万円
転職後外資系製薬メーカーセールスマネージャー2,000万円
(RSU含め)

Sさん(男性/30代後半)は大手外資系製薬メーカーで、セールスマネージャーとして順調にキャリアを築いていました。特に不満はなかったものの、「本当にこのままでいいのだろうか」という漠然とした思いがあり、JAC のコンサルタントに相談。対話のなかで「新しい組織作りにチャレンジしてみたい」という志向に気づかれ、「現職ではチャンスがない」と、転職活動を開始されました。

情報収集開始から約半年後、外資系メーカーから新規事業部の立ち上げを担うセールスマネージャーの求人が出てきました。組織作りができるほか、扱う製品の貢献度の高さ、日本市場での拡大の可能性、自身のキャリアの幅の広がりに魅力を感じたSさん。応募したところ、これまでの経験と人柄が高く評価され、セールスマネージャーとして採用されました。基本年収は200万円以上アップ、RSU(譲渡制限付株式ユニット)を合わせると700万円以上のアップとなりました。

大手組織からの環境変化に不安も抱いていたSさんですが、入社後は生き生きと活躍されており、「勇気を持って飛び出してよかった」とのことです。

転職事例の詳細は下記をご覧ください。

プライマリー領域からスペシャリティ領域へ

Mさん(男性/40代前半)

業種職種年収
転職前外資系製薬メーカーセールスマネージャー1,700万円
転職後外資系製薬メーカーセールスマネージャー2,800万円(RSU含め)

Mさん(男性/40代前半)は外資系製薬メーカーでプライマリー領域のMR組織を統括するとともに、本社で営業推進にも携わっていました。「難易度が高い専門領域でキャリアを積みたい」「現場でのマネジメントに集中したい」という思いから転職活動を開始されました。

応募したのは、外資系スペシャリティファーマのセールスマネージャーポジション。「入社後、どのような戦略を展開していくか」を語れるように準備して面接に臨んだ結果、Mさんの強みが伝わり「自社で生かしてほしい」と採用に至りました。年収は約400万円アップ、RSUを含めると1,000万円近くアップとなりました。

製薬会社のセールスマネージャーの転職ならJAC


JACには、MRを含めヘルスケア領域を専門に担当するコンサルタントが210名近く在籍。大手からスタートアップまで多様な企業・職種・ポジションの求人を網羅し、日々情報をアップデートしています。企業と深くつながっているため、グローバルの動きや今後予定されているパイプライン、組織展開など、企業サイトでは公表されていない水面下の情報も、開示可能な範囲でお伝えすることができます。

セールスマネージャーの方々は、1社でキャリアを積み上げてきた方も多数。JACのコンサルタントとの対話を通じ、外の世界にどのような可能性をあるかに気付くきっかけをご提供できると考えています。最初の面談だから3年、4年と情報交換を続け、最適なタイミングで転職を実現されるケースも多くあります。

今すぐには転職を考えていなくても、中長期的視点でキャリアを考えるためにも、私たちコンサルタントのサポートをご活用ください。

>MR職全体の転職市場動向はこちら

この記事を監修した転職コンサルタント

安部写真

安部 裕

ヘルスケアコマーシャルディビジョン 
シニアプリンシパル

2016年の入社以降、一貫して製薬業界のセールス職のご採用・ご転職サポートに従事しており、近年はセールスマネージャーやディレクターなどのマネジメントポジションにおいて、数多くのサポート実績を残しております。常に変化していく治療現場で求められる、専門性とキャリア構築をご支援いたします。お気軽にご連絡ください。


尾上写真

尾上 大地

ヘルスケア西日本第2ディビジョン
プレイングマネージャー

新卒から一貫してヘルスケア領域にてキャリアを形成。直近では製薬業界に身を置き、2021年にJAC Recruitmentに入社。入社後は一貫して外資系製薬メーカーを担当し、オンコロジー領域をはじめとするスペシャリティ領域や日本法人立ち上げメーカーなどへ、管理職やMRの皆さまのご支援をしております。情報交換からでも構いませんので、大切なキャリアを真剣に考えるために、お気軽にご相談ください。



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