CRC(治験コーディネーター)の転職―他職種へのキャリアチェンジについても解説―

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公開日:2024/11/06 / 最終更新日: 2024/11/12

CRC(治験コーディネーター)は、病院側で医薬品開発を支える重要な存在です。医師や医療従事者と連携し、各試験に適格な被験者を選定しながら、正確なデータ収集を行います。高いコミュニケーション能力や治験に関する専門知識が求められ、その社会貢献度の高さから非常にやりがいのある仕事といえます。

CRCの経験を生かすことで、臨床開発業界でキャリアを積み上げたり、キャリアチェンジの可能性を広げたりすることが可能です。

この記事ではCRCの転職事情について、CRC転職に特化したJAC Recruitment(以下、JAC)のコンサルタントが詳しく解説します。

「医薬品開発に貢献して社会の役に立ちたい」「人々の健康を守るフィールドで自分の力を試したい」とお考えの方は、ぜひご覧ください。

CRCの転職動向と求人の傾向を解説


近年、CRCを対象とした求人数は増加しています。
CRCは臨床開発の業界において現場に即した経験を持っているため、業界内でのニーズが高い職業だからです。

また、コロナ禍で中断していた治験の再開も関係しています。
新型コロナウィルスの流行時は人の移動が難しかったことから、従来よりも治験が進行しにくい状態でした。
最近は規制が緩やかになり、治験業務も活発な状態に戻っています。

CRCを対象にした求人は、主に病院やCRO企業、製薬企業から出されています。
職種はCRCからCRC、そして、CRA(臨床開発モニター)、PV(安全性情報担当)、DM(データマネジメント職)などです。

CRAとは

CRAはCRCと同じく治験業務に大きく関わる職種ですが、医療機関側に立つCRCに対して、CRAは製薬企業側に立つ仕事です。
担当施設を複数持ち、それぞれに適切な治験の進め方を案内し、治験薬の投与を通じて得られたデータの整合性確認や収集、CRO企業であれば依頼主である製薬企業との連携を行います。

PVとは

PVは医薬品の安全性情報を取り扱う職種です。市販後に発見される副作用情報の収集、リスクの早期発見を行い、患者さんの安全を守ることに貢献します。

DMとは

DMは治験によって得られる治験薬のデータを適切に管理、収集する仕事です。システム構築などのITの専門スキルだけでなく、関係する部署とデータマネジメントの計画をすり合わせるなどコミュニケーション能力も必要です。

CRCの経験を生かせば、以上のような臨床開発の業務に携わることが可能です。

CRCの転職で求められるスキルや経験・マインドについて


CRCの方の転職において、求められるポイントには以下のものが挙げられます。
ここで紹介するものは、CRCからCRCへの転職はもちろん、ほかの臨床開発の職種に転職する際にも役立ちます。

・治験の立ち上げからクローズまでの一連の経験
・大学病院や国の基幹病院での経験
・英語力(目安としてTOEIC 600点以上)
・リーダー経験やマネジメント、教育経験
・端的なコミュニケーション能力
・臨床開発に貢献したいという強い意志

まずは、治験の立ち上げ当初の業務量が多い時期、治験開始後の被験者の組み入れ、治験薬の投与開始後の管理、治験期間の中間や最後などのデータロックなど、治験期間の一連の経験があるかどうかがみられます。
治験の流れを一通り経験していると、ほかの臨床開発の業務にもスムーズに取り掛かることができると想定されます。

2つ目以降に挙げたものは、あればより高い評価が得られるものです。
施設の規模が大きいほど、経験として高く評価される傾向にあります。理由は、施設の大きさに比例して、担当する被験者数や試験数が多く、専門的な知識も求められるためです。

また、最近ではグローバル試験であることが多いため、読解の英語スキルは欠かせません。
提供される手順書や資料が日本語版であっても、判断に迷う場面では英語の資料から読み取る必要があるためです。グローバルミーティングに参加するポジションの場合は英会話スキルも必須となります。

リーダー経験や後輩指導の経験があると、マネジメント職に就ける可能性が高くなり、現職において会社から信用を得ているという指標にもなります。

コミュニケーション能力は、医師のように多用な人物と働く環境になるため、適切に意図を読み取りながらも、簡潔な言葉で情報伝達をするスキルが必要です。

マインド面では、どの臨床開発の職種であっても、臨床開発に貢献したいという強い意志が求められます。
多くの人の命に影響を与える仕事であるため、スキルや経験があったとしても、マインドが伴っていなければ選考通過は難しい傾向にあります。

CRCとしてどのような経験をしてなにを考え、経験したことから次はどの職種でどのように関わっていきたいか、明確に言語化していることが大切です。

CRCの年収相場


CRCからCRCへご転職された方の年収相場は、450万円前後が多いです。
CRCのなかでもエリアマネージャーなどの管理職、役職がある方の場合は800万円ほどが相場です。

CRCからCRAやPV、DMなど未経験職種への転職では、年収相場が400万円~550万円の範囲となります。
企業の規模が大きいほど、また、内資系よりも外資系であるほうが、年収は高い傾向にあります。

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CRCのキャリアパスについて、他職種への転職について解説


CRCとしてキャリアを積み上げるか、他職種にキャリアチェンジをするかにより、その後のキャリアパスは異なります。

CRCとしてのキャリアパスについて

CRCを続ける場合、CRCのスペシャリストとなるか、エリアマネージャーになってCRCを統括する立場になるかの大きく2パターンとなります。
エリアマネージャーになった場合、なかには部長や経営層、役員に近づく可能性もあります。

CRCから他職種への転職の可能性について

CRCからの他職種への転職は、CRA、PV、DMが代表的です。

CRAに転職すると、CRA業務のスペシャリスト、治験を進めるリーダー職であるスタディマネージャー、部下の管理がメインとなるラインマネージャー(LM)、プロジェクト全体を統括するプロジェクトマネージャー(PL)などのキャリアが想定されます。役職の呼び方は企業によって多少異なります。

ほかにも、治験の立ち上げ専門で活躍するサイトスタートアップ(SSU)、キャリアチェンジをしてファーマコヴィジランス(PV)、データマネジメント(DM)に転職することも可能であり、キャリアが大きく開けることが予想されます。

CRAへの転職では、CRCのときよりも医薬品開発の上流に携わることができること、キャリアパスの幅が広がること、リモートワークなど拠点を定めた活動ができることがメリットです。
一方で、英語力が求められることや、出張があることは注意が必要なポイントです。

次に、安全性情報を取り扱うPVや治験データを取り扱うDMに転職した場合のキャリアは、CRCのキャリアパスと似ています。
キャリアを重ねてスペシャリストになる方や、PV業務やDM業務の進捗を管理するリーダー職になる方、企業によってはDMからPLになる方もいます。

PVに転職する場合のメリットは、薬剤の知識が深くなること、英語力が身に付くこと、拠点を定めた働き方ができることです。医療従事者でも知らないような安全性情報を取り扱うため、海外の症例や、専門的な医療の英語資料から情報収集をします。

PVへの転職の注意点は、英語に触れることが日常になること、安全性情報の報告には重要度によって3日以内や7日以内といったタイムリミットが設けられていることなどが挙げられます。
英語に自信のない方や、時間的な緊張感が苦手な方はデメリットに感じる可能性があります。

最後に、DMに転職した場合のメリットは、社会人として汎用的なスキルや専門的なITスキルが身に付くこと、PVと同様に拠点を定めた働き方ができることです。

DMの仕事にはデータマネジメントの計画を立てるために各所に連絡を取ることや、調整をしながらも自身の要望を伝えるなど、コミュニケーション力が必要です。折衝能力やプロジェクトの進行管理などもDMの業務に含まれます。

これらを担当したうえで、システム設計などのITの特化した業務があります。DMだからといってIT関連ばかりではなく、汎用的なスキルも求められる点に注意が必要です。

そのため、DMに転職することでシステム関連の業務だけをできると思っている方、反対にITが不得手な方には難しい仕事となります。

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CRCの転職で必要な資格


CRCになる場合やCRCから転職をする場合に必要な資格は特にありません。

英語力はTOEICで600点ほどあれば有利ですが、英語力に関して明確な条件を出している企業は多くはありません。TOEICスコアがなくても、臨床開発の業務において英語の手順書や治験関連の文書を読んでいたこと、英語のメールで問い合わせなどをしていたことなどがアピールできれば大きな問題はないです。

また、薬剤師免許を持っていると高評価を受けやすく、資格手当のある企業であれば薬剤師免許によって給与がアップすることも期待できます。TOEICスコアで資格手当の対象となる場合もあります。

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CRCの転職でポイントとなるのは主に以下の4つです。

1:担当施設の規模
2:担当試験の詳細
3:英語力の程度
4:リーダー経験の有無

担当試験の詳細は、疾患領域や治験業務のどの段階を担当したか、試験のフェーズ、担当期間など、自身の経験を適切に伝えることがポイントです。最近ではオンコロジー領域の治験が増えていることから、抗がん剤のプロジェクト経験があれば採用でプラスに働く場合があります。

グローバル試験が多く、臨床開発業界では英語資料から情報収集することが多いため、英語力は欠かせません。
実務でどのように英語を活用してきたか、TOEICなどのスコアはどのくらいか、伝えられるようにしておくのがおすすめです。

リーダーを任されるほどの業務をしてきたことを採用企業側にアピールできるため、リーダー経験があれば、より高評価を得やすいです。

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CRCの転職で多い質問と回答


ここからはCRCで転職を検討されている方から、よくいただく質問についてご紹介します。

Q. CRCとしてどのようなキャリアパスがありますか?

A. まずはCRCの業務を極める道と、その先のエリアマネージャーなどの管理職を目指す道があります。
そして、CRAやPV、DMなどほかの臨床開発業界の職種に転職すること、それらの職種から新しい職種にキャリアチェンジすることも可能です。

Q. なにをすればCRCとしての市場価値が上がりますか?

A. 英語力を磨くことをおすすめします。年収を上げたいのか、挑戦できる職種を増やしたいのか、個人の進みたい方向にもよりますが、いずれにしても英語力は臨床開発業界で役立ちます。

Q. CRCから転職するとどれくらい年収が上がりますか?

A. 基本的には前職と同じくらいの金額を維持することが多い傾向にあります。
転職先にCRA職や外資系企業、大手企業を選ぶとCRCよりも年収が上がりやすいです。


ここでは、実際にJACを通じて転職されたCRCの方の事例について、2名を紹介します。

研究開発の上流に携わるためにCRCからCRAに転職

業種職種年収
転職前医療機関CRC450万円
転職後CRO企業CRA500万円

もともと医療従事者をしていてCRCに転職された方です。医療従事者としてお勤めのときに、医療現場で新薬を求める声やご親族が病気に苦しむ姿を目の当たりにされ、臨床開発に関わりたい思いが強くなったという背景があり、CRCの業務経験を積まれた時点で転職を検討されました。CRAは、より新薬開発の上流に携われること、また、土日などのプライベートの時間も確保しやすく業務に取り組みやすいライフスタイルになると感じられたようです。

JACでは丁寧なヒアリングと情報提供はもちろんのこと、書類だけでは伝わりにくい点をJACのコンサルタントから採用企業にお伝えしました。ご経験やマインド面での親和性があり、結果的に大手CRO企業2社からCRA職の内定を獲得されました。

転職成功の詳細は下記にてご確認いただけます。

CRCの転職成功事例|臨床開発の深部に携わるため外資系大手企業のCRA職へ転職

自身のライフイベントの関係や専門性を身につけられることからPVに転職

業種職種年収
転職前医療機関CRC500万円
転職後製薬メーカーPV500万円

前職では医療機関に所属する院内CRCとして勤務されていた方です。ご自身に控えているライフイベントを考慮されて、内勤で働きたいと考えて転職活動を開始されました。PV以外の職種も提案しましたが、職種の説明時、医薬品に関する知識や英語力といった専門的なスキルが身につくということから、PVへの転職を選択されました。JACのコンサルタントからは、書類選考でアピールすべきことや、面接ではどのように考えを伝えていくとよいかを整理させていただき、無事に内定を獲得されました。

CRCの転職ならJAC


JACでは、より適切なコンサルティングをするためにヘルスケア業界でチームを細分化しており、臨床開発業界の転職に特化したチームでサポートをしています。

CRCからCRCへの転職はもちろん、CRAをはじめとした別の職種へのキャリアチェンジ、また目先の転職だけでなく、キャリアチェンジで開かれた先の中長期的なキャリアも視野に入れて、ヒアリングや情報提供を行なっています。
親和性がある場合には、転職希望者の選考書類だけでは伝えにくい魅力や、採用企業側にとって有益となる情報を、JACのコンサルタントから個別で企業にお伝えすることもあります。
このようなことができるのも、両者について深く理解をさせていただく「コンサルタント型」の体制でコンサルティングをしているからだと考えています。転職希望者に対して画一的なサポートはせず、採用担当者だけでなく現場や経営層の方とも情報交換をし、常に最新の情報にアップデートしています。
もちろん、転職を迷われている方や現職を続けた方がよい方には、無理に転職を勧めてはおりません。

CRCの方で転職に不安を感じている方や気になることがある方は、お気軽にご連絡ください。

CRC転職職務経歴書の書き方


CRC転職の職務経歴書の書き方は下記記事をご覧ください。

CRC(治験コーディネーター) の職務経歴書サンプルと書き方

CRC(治験コーディネーター)の職務経歴書(Word形式)のサンプルダウンロードはこちらから

この記事を監修した転職コンサルタント

村上 祐香

村上 祐香

ヘルスケアR&Dディビジョン コンサルタント

JAC Recruitmentに入社し、一貫して医薬品業界のR&D領域を担当しています。
人々の生活に欠かせず、コロナ禍後からさらに加熱している医薬品の開発領域。人材の方のニーズも企業によってさまざまなお話をお聞きしています。企業により積むことの出来る経験や求めるスキルもさまざまです。CROから製薬メーカーまで担当している経験を生かし、臨床開発業界での幅広いキャリアの提案をさせていただきます。


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