クリニカルスペシャリストの将来性や転職成功のポイントを解説

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公開日:2024/11/06 / 最終更新日: 2024/11/12

主に医療機器メーカーにおいて、顧客となる医療機関の医療従事者に対し、医療機器に関する使用方法などを臨床的・専門的な見地から説明するクリニカルスペシャリスト。

特に循環器や整形外科の領域で需要が高まっており、医療現場に欠かせない専門職の一つとして知られています。

ここではクリニカルスペシャリストの転職について、転職市場の動向や求められるスキル、他職種の転職事情、そして、実際の転職事例など、ヘルスケア領域の転職に特化したJAC Recruitment(以下、JAC)の専門コンサルタントが解説します。

クリニカルスペシャリストの転職動向と求人の傾向を解説


クリニカルスペシャリストは、循環器・整形外科の2つの領域での求人が多数で、美容医療の領域でもコンスタントに求人がある状況です。新製品のローンチやビジネス拡大にともない、組織強化のために採用が行われています。

転職希望者の動向としては、全体的には増加も減少もしていない状況です。

クリニカルスペシャリスト未経験の方では、看護師からの転職が増加しています。看護師としてのキャリアを限定的に感じる方が企業への転職を検討される流れにあり、複数の選択肢からクリニカルスペシャリストを選ぶ方がいます。

すでにクリニカルスペシャリストとして働いている方の場合は、新しい製品や領域に挑戦してキャリアアップをするために転職を検討される傾向です。社内での成長曲線に鈍化を感じている方や、キャリアの先が見えにくい方が転職希望者に多いです。

クリニカルスペシャリストとアプリケーションスペシャリストの違い

クリニカルスペシャリストと似た職種にアプリケーションスペシャリストがあります。

どちらも医療従事者に対する自社製品のサポートが仕事ですが、クリニカルスペシャリストは循環器系の製品をはじめとした、手術室、カテーテル室など、治療の現場で使用される製品を担当する傾向があります。そのため、臨床現場においてより安全かつ適切に患者様に自社製品を使用いただくためのサポートが重要な役割となっています。

一方で、アプリケーションスペシャリストは検査や診断に関連する製品を中心に、個別に仕様をアレンジしていくことで医療従事者の要望に対して応えていくことが求められています。

クリニカルスペシャリストの転職で求められるスキルや経験・マインドについて


クリニカルスペシャリストの転職で求められるスキルや経験には以下が挙げられます。

・領域に対する専門性や経験

・コミュニケーション能力

・自身で発信する力/推進力

それぞれ解説します。

・領域に対する専門性や経験

クリニカルスペシャリストとして現状採用ニーズが高い領域は、主に循環器、整形外科、美容医療の3つです。

これらの領域における経験や専門性があると転職市場において評価を得られやすくなります。

特に、クリニカルスペシャリストからクリニカルスペシャリストへの転職にでは、専門性の高さや実績として具体的にアピールできるものが重要視されます。

・コミュニケーション能力

社内では、成功事例の共有会など、クリニカルスペシャリスト同士で頻繁に情報共有をします。また、医療機関に同行する際には営業職との打ち合わせや訪問内容の確認など、コミュニケーション能力が必要です。

社外では、医師や看護師などの医療従事者への説明や勉強会の実施などで関わることになります。立場によって主張が異なる相手であっても、意図を理解して、端的かつ明瞭に受け答えをする必要があります。

・自身で発信する力/推進力

医療従事者からクリニカルスペシャリストに転職する場合、主体性や自発的に行動する力が求められます。医療現場では医師からの指示で動くことが多いですが、クリニカルスペシャリストの業務では、指示を待つだけでは進まない場面も多々あるため、自身で考えて行動に移すことや、自らが会社の代表として行動するような意識が重要です。

マインド面に関しては、患者を第一に考える「ペイシェント・ファースト」の意識を持つことが非常に大切です。

クリニカルスペシャリストは、医師や看護師など臨床現場の最前線の方と関わるため、患者を優先する視座にギャップがあると信頼を得ることができません。

また、常に発展を続ける医療の最先端に携わる立場でもあるため、専門職として継続的な学習意欲や、向学心を持っているかどうかも大切になります。

たとえ自身の専門領域であっても、医療現場や社内の方から教えられる場面では、真摯に耳を傾ける姿勢が必要です。

クリニカルスペシャリストの年収相場


クリニカルスペシャリストの年収は、役職や担当分野によって異なります。

JACで転職をされたクリニカルスペシャリストの年収は600~800万円前後。管理職経験者になると、900~1,100万円ほどが平均です。

また、循環器分野ではほかの分野と比べて年収が100万円ほど高くなる傾向があり、内資系企業よりも、外資系企業の方が高年収である場合が多いです。

クリニカルスペシャリストから他職種への転職は可能?キャリアパスを解説


ここからはクリニカルスペシャリストの他職種への転職や、キャリアパスについて説明します。

クリニカルスペシャリストとしてのキャリアパスについて

1つ目は、クリニカルスペシャリストとして、管理職を目指すパターンです。

経験を積むことで、ほかのクリニカルスペシャリストを統括するポジションに就くことが可能です。

2つ目は、担当製品や領域を変えて、クリニカルスペシャリストとしての専門性や幅を増やしていくパターンです。

担当製品や領域を変えるには、規模の大きな企業に所属する場合、社内異動をすることが考えられます。

単一製品を取り扱う企業に所属する方なら、他企業にクリニカルスペシャリストとして転職することで領域を変えることが可能です。

クリニカルスペシャリストから他職種への転職の可能性について

クリニカルスペシャリストから他職種へ転職することは可能です。

JACを通じた転職ではトレーナー、マーケティング担当、医療機器の営業職の3つが多い傾向です。

クリニカルスペシャリストの経験は、このようなコマーシャルに関連する職種に応用が可能です。

トレーナーは、自身がこれまで培ったスキルや経験を、社内の多くの人々の役に立てることができる仕事です。

自身の経験を通じて誰かが活躍することや、次世代につなげることができる点にやりがいを感じることができます。

一方で、社内にいることが多くなり社外の状況やトレンドに触れにくくなることや、自身の伝えたいことがトレーニーにうまく伝わらない場合があるため、それによって社外のお客様に迷惑をかけていることがあるのではと感じることもあります。

マーケティング担当は、仕事の影響範囲が広いことが特徴です。

クリニカルスペシャリストの業務では目の前の医療従事者が対象だったのに対し、マーケティング職ではより高い視座からマーケットに向き合うことが求められます。

ポジティブに捉えると、より広範囲に影響を与えられることが魅力です。一方で、お客さまから直接感謝を伝えられる機会が少なくなるため、そこにやりがいを感じていた方にとっては物足りなく感じるかもしれません。

医療機器の営業職では、数字や売上を意識することがクリニカルスペシャリストとの大きな違いとなります。

自身の仕事の成果が目に見える状態で働ける点は、医療機器営業の魅力の一つです。

ただし、状況によっては自社製品よりも他社製品の方がよいと感じる場合があったり、自身が押し売りをしている感覚に陥ったりなど、売上を意識することがつらさにつながる方もいます。

他職種へ転職する際の注意点

他職種への転職では、それまでに感じていたやりがいが、転職後には得られない可能性がある点に注意が必要です。

職種が変わると果たすべき役割が変わり、それにともなって、顧客とのコミュニケーションの取り方や、やりがいを感じるポイントも変化します。

クリニカルスペシャリストの転職に限った話ではありませんが、自身が仕事に対してなにを大切にしているのかを転職前に明確にすることが大切です。転職を達成できたものの、本当は変えたくなかったことまで変わってしまった、という失敗事例は少なくありません。

未経験からクリニカルスペシャリストへの転職は可能?


未経験からでも、特定の職種からクリニカルスペシャリストへの転職は可能です。

未経験からの転職では、看護師や臨床工学技士の方が多い傾向です。

また、担当領域の経験がある場合、放射線技師の方もクリニカルスペシャリストに転職できる場合があります。

ただ、放射線技士の方はクリニカルスペシャリストよりも、画像診断装置関連の製品を取り扱うアプリケーションスペシャリストに転職される方が多いです。また臨床検査技師の方も領域経験によって、アプリケーションスペシャリストにも適正がある場合があります。


普通自動車免許はクリニカルスペシャリストに必要なものです。

クリニカルスペシャリストとして訪問する先は医療機関であり、その9割近くは車を運転して向かいます。

残りの1割として、美容系のクリニックであれば都心部に集中していることがあるため、電車移動で済む場合があります。

また、担当領域によって必要な資格が異なりますが、美容系であれば看護師免許、ペースメーカーを扱う領域ならCDR(ペースメーカー/ICD関連情報担当者)が必要となるケースが多いです。

そのほか、必須ではありませんが、外資系企業に転職するならば、最低限読み書きができる英語力や英語の学習意欲が必要です。最新の知見や海外の情報を学ぶ際には、どうしても英語力が必要となります。

少ない例ですが、外資系企業内で年齢層が高くなると、事業立ち上げや新製品を販売する際にトレーニングから英語力が求められる場合もあります。その際は、読み書きだけでなく面接や会議参加が可能なレベルの英語力も必要です。


未経験からクリニカルスペシャリストへの転職を成功させるには、以下の4つのポイントをアピールすることが重要になります。

それぞれ解説します。

新しいことを学び続ける職種であるため、探究心が大切です。

今ある知識だけをアピールすることよりも、どのようにしてその知識を習得してきたかなど、プロセスのアピールが評価されます。例えば、周りとのコミュニケーションを通じて情報収集した、継続的に文献に触れてアウトプットを繰り返したなど、具体的な学習シーンがイメージできるエピソードがあればアピールにつながります。

自ら考えて周囲に発信してきた経験があれば評価されやすいです。医師から指示をもらうことが多い看護師の方の場合、自身で課題感や目的意識を持って業務に取り組んでいたかどうか、それらを周囲に発信していたかなどのエピソードをアピールできるとよいです。

クリニカルスペシャリストは、ドクターに対して製品の情報提供をすることが多いため、近い経験として後輩などの育成経験が評価されます。相手の理解度や考え方を理解しつつ相手に合わせたかたちで、自身の考えを伝える力が求められます。

医療機関と事業会社で働くことの違いを理解できているかどうかは、面接においてよく聞かれる内容です。

医療機関で働いていると目の前の患者のために働く感覚が強いですが、企業においては利益を重視するマインドが必要です。企業として社会的な役割や責任を果たすために、利益を得ていくことが必要になります。自分の仕事が間接的に利益につながっているという感覚や、ボランティアではないという感覚を持つことが大切です。

加えて、受け身ではなく能動的に自ら働きかけていくというスタンスの違いも理解しておく必要があります。

以降は、クリニカルスペシャリストから他職種への転職におけるアピールポイントを紹介します。

・トレーナーに転職する場合

大局で物事を考える力や、自身の経験を体系化・標準化する力が必要になります。自身が多くの人を教育する立場になり、教育を受けた人がこれから活躍をして、企業や業界を支えていくことになるためです。クリニカルスペシャリストでは医療従事者に対して伝えるのに対し、トレーナーは一度に教える相手が多くなること、また、社外ではなく社内向けの仕事になるという認識も必要です。

・マーケターに転職する場合

数字で物事を見る力や、データ分析から仮説を立てる力が必要になります。マーケティング職はマクロの視点で戦略を練ることがメインの業務になるためです。また、社外で働く人に状況を聞くことがあるため、コミュニケーション能力が必要になります。外資系企業に転職すると、本国との連携をとるために語学力が必要になることもあります。

・医療機器の営業職に転職する場合

企業の利益に直結する仕事であるため、売上を意識することが大切になります。また精神的なタフさも必要です。クリニカルスペシャリストの業務では、自社製品のユーザーである医療従事者と接することがメインです。ただし、営業職では初対面の方と会うことも多く、提案が否定されることなどもあるため、メンタル面のタフネスさも必要になります。


ここではクリニカルスペシャリストの転職で、転職志望者の方からよく挙がる質問を紹介します。

Q. クリニカルスペシャリストになるとどのくらいの施設数を担当することになりますか?

A. 企業や人員体制によります。施設数ではなく、エリア単位の担当になることが多いです。

Q. クリニカルスペシャリストのキャリアパスはどのようなものですか?

A. 上述と重複しますが、クリニカルスペシャリストとして専門的な経験を積むことや、管理職を目指すことが挙げられます。 他職種に転職する際は、トレーナーやマーケティング職、医療機器の営業職が代表的です。これらに転職した先で積む経験をもとに、さらにキャリアを広げることも可能です。

Q. 転職後に担当する製品や領域の展望、ビジョン、また会社としてのビジョンを聞くことは可能ですか?

A. 領域ごとにどのような時流があるかをお伝えさせていただくことが可能です。企業単位でビジョンをお話しさせていただくこともあります。


ここでは実際にJACを通じて、転職を成功させた方の2つの事例をご紹介します。

JACではクリニカルスペシャリストからクリニカルスペシャリストへの転職が多く、事例はどちらもクリニカルスペシャリストから他社のクリニカルスペシャリストへ転職された方のお話です。

転職成功事例1:将来的な不安から転職へ、中長期的なキャリア形成を一緒に思案

業種職種年収
転職前外資系メーカー企業クリニカルスペシャリスト530万円
転職後外資系メーカー企業クリニカルスペシャリスト610万円

クリニカルスペシャリストとしてキャリアを積んできたBさん(30代前半/女性)は、担当製品の売上が今後どうなっていくのか、将来のキャリアに不安を感じ、別の領域に挑戦したいという思いから転職活動を開始しました。

今すぐに転職というよりも情報収集の気持ちが強かったのですが、JACのコンサルタントが不安をヒアリングし情報提供を進めるうちに、ピンとくる企業を見つけられたご様子でした。クリニカルスペシャリスト以前は看護師としての経験を積まれており、看護師からの転職の際にもキャリアに将来的な不安を感じたことがきっかけだったようです。Bさんも採用企業S社も、長期的な就業が可能なのかを気にしており、BさんにはS社での中長期的なキャリアプラン提示、S社にはこれまでの転職理由などから、S社であれば長期就業いただける点をお伝えすることで、双方の懸念を払しょくするお手伝いをさせていただきました。S社とは親和性があり、臨床にも明るく、ペイシェント・ファーストの気持ちが強い方でもあったため、年収を80万円アップで内定獲得となりました。

転職成功の詳細は下記にてご確認いただけます。

クリニカルスペシャリストの転職事例|中長期的なキャリアを描いて新しいステージへ

転職成功事例2:転職後は海外製品ローンチに伴う日本メンバーに抜擢

業種職種年収
転職前外資系メーカー企業管理職1,100万円
転職後外資系メーカー企業管理職1,300万円

管理職経験のあるMさん(30代後半/男性)は、次の職位が事業部長クラスとなり、成長曲線の鈍化から転職を考えるようになりました。職務内容に対して大きな不満はありませんでしたが、次の昇格がかなり先に感じられたようです。

よりチャレンジングに活動したい思いから転職に関して情報収集をされ、JACのコンサルタントからは、Mさんの強みや転職市場のお話しをさせていただきました。転職先となったのは企業規模などが同等の外資系企業です。職位も同じくマネージャー職でしたが、海外にある本社が新製品を日本でローンチする際の立ち上げメンバーに抜擢され、自身の経験や英語力を生かして、やりがいを感じながら働かれています。年収では200万円ほど上昇されています。

クリニカルスペシャリストの転職ならJAC


JACでは、転職希望者と採用企業の双方を深く理解した「コンサルタント型」のサポートをしていることが大きな特徴です。

クリニカルスペシャリストの転職では、経験者・未経験者ともにご登録いただいています。未経験の転職希望者に対しては、クリニカルスペシャリストのやりがい、またギャップに感じやすいことなどをフラットな目線で伝えすることが可能です。

必ずしも転職前提でのお話しはせず、どのような思いから転職をお考えなのかをお聞きし、現職でご経験を積んだほうがその方のためになると判断したときには、転職をおすすめしない場合もあります。

また、JACではクリニカルスペシャリストだけでなく、トレーナー・マーケティング・医療機器の営業職などコマーシャルに関連する職種に対して専門のチームでコンサルティングをしています。

詳細な情報提供だけでなく、転職後の中長期的なキャリアも踏まえたサポートをさせていただきますので、気になることがある方はお気軽にお問い合わせください。

この記事を監修した転職コンサルタント

飛田 一真

飛田 一真

ヘルスケアコマーシャルディビジョン リーダー

2021年からJAC Recruitmentに入社以降、一貫して医療機器業界を専門に担当し、グローバルトップの外資企業から、ニッチな領域で活躍されている企業まで幅広くご支援しています。単に求人を紹介するだけではなく、中長期的な観点で「これからどのようなキャリアを歩んでいきたいのか」を一緒に見つけていくことを大事にしています。


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