半導体プロセスエンジニアの転職事情|難易度や成功のポイントとは

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公開日:2022/03/18 / 最終更新日: 2024/10/21

近年、製造業が直面している半導体不足が、グローバルに深刻な課題となっています。渦中にある半導体業界では、既存プロセスの見直しによる効率化、さらなる高性能を目指して新製品開発など、設備や人員に対する投資が活発化しています。

では、半導体プロセスエンジニアは引く手あまたの今、どのようなキャリアプランを考えていけばよいのでしょうか。
半導体専門チームを持つJAC Recruitmentのなかでも、製造業出身の転職コンサルタントが半導体プロセスエンジニアの転職動向について解説します。

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半導体業界のトレンドは大きく二分


初めに半導体業界のトレンドですが、大きく2つに分かれています。ひとつは最先端技術の追求で、これは微細化と3次元化に関する技術構築になります。もう一つは既存の半導体、例えばCMOS イメージセンサーや電力制御に使われるIGBTといった半導体素子について、材料やプロセスを見直してデバイスの性能向上を目指す技術です。

半導体プロセスエンジニアが取り組む業務は、その半導体の用途によって、この両軸で変わっていくことになります。

半導体プロセスエンジニアに求められるスキル


半導体業界では、チップの集積密度が18~24カ月で2倍となるというムーアの法則も、ここ数年はそろそろ限界に近付いているという見方があります。つまり微細化はそうとう難しくなっているという状況の中で、さらに微細化するというオーダーに対応している状況にあり、いずれ終わりがくると言われています。したがって今後5年10年というスパンで考えるならば、トレンドとしては3次元実装に向かっている流れでしょう。

3次元実装のこれからと求人の傾向

3次元実装は一部のメモリ製品で実用化されていますが、業界的にはまだまだこれからの技術です。その量産対応を経験しているエンジニアは韓国や台湾が中心で、国内にはほとんどいないのが実情です。そのため3次元化に携わったという経験はとても貴重であり、多くの企業で即戦力として求められています。求人市場としては、それに近い業務や経験を積んだポテンシャルがある方、量産プロセスに対応できる素養がある方まで広げている状況にあります。

ほとんどの半導体メーカーでは、微細化と3次元実装への対応は異なるセクションで進められていて、プロセスエンジニアもどちらかの専任となるでしょう。3次元化は先端技術の開発に取り組んでいる企業が中心になりますが、量産化の経験者が少ないという現状では、例えば大学院で物性を専門的に学ばれている方、半導体の研究を行っている方など、アカデミックでも比較的採用されやすい傾向がみられます。半導体プロセスに直結していなくても、電子顕微鏡など半導体プロセスの評価に必要な機器の取り扱いに精通しているという経験を生かし、プロセスエンジニアへ転職される方もいらっしゃいます。

また、3次元実装を導入するために、いろいろな種類の薬液やガスが関与しますから、半導体関係の知見がある材料メーカーの方や、化学メーカーで製造プロセスに携わっているという方が、半導体メーカーに移ることでプロセスの研究開発に携わることもできます。キャリアチェンジに近い形にはなりますが、ご自身の志向に合わせた転職がしやすい状況にあると思います。

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半導体プロセスエンジニア年収相場と世代別転職事情


半導体プロセスエンジニアといって、他の職種と年収に大きな違いがあるわけではありません。年収の相場としては、30歳代前半で500~600万円、40歳代では職位にもよりますが700~1000万円くらいを提示している案件が多いようです。半導体業界は活況にありますから、他の製造業よりも高い業績給を支給する企業が多いというのも事実です。業界全体で人材不足となっており、転職は売り手市場だといえるでしょう。

半導体プロセスエンジニアのキャリアプラン

半導体のプロセスエンジニアは、かなり専門色の濃い業種ということもあり、半導体メーカー間、あるいは半導体の製造装置メーカーなど、関連業界内での転職が主流になります。さまざまな半導体のユニットプロセス、例えばエッチングを極めたいとか、データ解析を追求したいとか、ご自身が今後何を極めたいのか、明確になっているのであれば、転職も決まりやすい環境にあります。30代半ばまでであれば、例えば大学院で化学関係の勉強をしたというバックグラウンドがあれば、異業種からのキャリアチェンジでも十分なチャンスがあるでしょう。

半導体デバイスメーカーのプロセスエンジニアには、40代になると技術を極めている方が多いこともあり、そこに向けた製造装置メーカーからの求人需要が高いようです。半導体の製造プロセスに関して、その全体を把握し、最終的なレシピや条件を決めているのは、半導体メーカーです。製造装置メーカーが自社のシェアを伸ばすために、半導体メーカーのノウハウを知り、今後の動向を知る必要があります。そうした理由から、半導体デバイスメーカーの人を採用し、企画やマーケティングで活躍してほしいと考える製造装置メーカーは多いようです。

半導体プロセスエンジニアにおける50代のキャリア

転職事例の中心は30代や40代になりますが、非常にとがった技術をお持ちの方であれば、50代でもチャンスは十分にあります。例えば半導体プロセスエンジニアでありながら、自分で装置を作り上げるような技術をお持ちの方であれば、製造装置メーカーでも第一線で活躍したり、より高い立場でマネジメントに携わったりすることもできるでしょう。また、プロセスエンジニアとしての長年のキャリアを生かし、他の半導体メーカーで品質保証業務に携わるという方向性もあります。

半導体プロセスエンジニアのキャリアプラン


転職を希望される方に転職の動機についてお話を伺うと、ご自身の持つ技術レベルと社内での評価がアンマッチだったり、どこで何を極めるのかという志向と合わなかったりという方が多いようです。

一般的に半導体プロセスエンジニアは、一連の製造プロセスの中で、自分の担当するユニットごとに技術を高めていき、さらにその両サイドへと守備範囲を広げていきます。最終的には、全体を横串でみられるインテグレーションを経験することで、さらに将来、工場長など全体を把握する職種へ繋がるキャリアが築きやすくなります。これは、より上流を目指したいが、社内ではなかなかたどり着けないと感じておられる方の転職パターンです。もう一つのパターンに、より先端の技術に携わりたいとか、今まで自分がやっていないプロセスにチャレンジしたいという、プロセスエンジニアとしての知識向上を求めるもので、この2つの傾向が多いように見受けられます。

半導体業界全体が活況で、研究開発や設備に対する投資も旺盛ですから、今後5年10年に向けて各社が目指すところの色合いが出てきているように思われます。転職に際しては、そうした状況を踏まえ、ご自身の経験がよりマッチする、生かせるところを検討されるのが良いと思います。

JACならではの半導体プロセスエンジニアの転職サポート


半導体業界各社が掲げる方向性は、例えば中期経営計画としてIR情報に発表されていますが、その中でプロセスエンジニアとして具体的に何ができるのかという情報までは、世の中に向けて発信されているわけではありません。

私たちは、担当する企業の工場長クラスの方、製造プロセスの部門責任者といった立場の方から実務担当のエンジニアまで、実際にお会いしたうえで、今の取り組み状況や、各部署が抱えている課題など、具体的なお話を伺う機会を多く持っています。

一言でプロセスエンジニアといっても、会社が違えばやることもできることも違います。私たちのチームの中に、各社での面接を通して明らかになった課題や情報を蓄積していますので、こうした情報をきちんと横串でお伝えした上でマッチングできるのが私たちの強みです。実際に具体的な取り組みを聞いたうえで、チャレンジしてみたいと感じられて、転職活動を開始される方もいらっしゃいます。

JACだからこそ、業界全体の動向をみながら、ご自身の経験を生かせる転職を実現するお手伝いができると考えています。半導体プロセスエンジニアの転職を検討されている方はぜひご相談ください。


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この記事を監修した転職コンサルタント

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吉田

半導体チーム マネージャー

2013年JAC Recruitmentに入社。前職では、半導体メーカーの営業職や硝子基板メーカーの人事職・営業職を経験。担当領域は、一貫して製造業マーケットを担当。大手日系製造業の半導体・半導体装置メーカー、電機、電子部品の領域においてミドルクラスエンジニアを中心に転職をサポート。2019年には、製造業のDX領域に特化したチームの立上げを経験。現在、マネージャーとして、半導体、電子部品の領域を中心にハード設計、DX領域など幅広く即戦力人材の転職をサポート。