本来製造業においては、「保守的」な印象を受ける生産技術職。しかし現代においては、スマートファクトリーやデジタルツインといった最新のDXへの対応を求められるようになり、即戦力となる人材を多くの企業が求めるようになっています。
ここでは、変わりゆく製造業における、生産技術関連の転職市場動向について、コンサルタントが解説します。
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生産技術職とは。DXで大きく変わりつつある現状
一言で生産技術といいますが、求められる職種としては、電気系エンジニア、メカ系エンジニア、ソフトウェア系エンジニアに加え、工程を改善していく工程管理という4つの軸があると捉えられます。
各領域におけるトレンドとしては、電気系が昔からあるPLC(Programmable Logic Controller:生産設備を制御する装置)という技術を究めるといったところから、工程に設置したセンサーからのデータを収集してスマートファクトリーにつなげ、プロセスの見える化に取り組むという流れなってきています。
ソフトウェア系もこれに連動する形で、通常であれば組み込み開発や生産管理と表示などを扱うエンジニアが中心だったところから、データベースを扱えるような人材が求められています。
生産技術も時代の流れとともに、職種の軸が広がってきているのが、昨今の傾向です。
生産技術職における課題と転職市場動向
やはり製造ラインのDXということが、多くの企業で課題として挙げられています。
- ●デジタル化でどう効率化するのか
- ●これまで長年、日本の製造業を支えてきた職人と言われる方々のノウハウを、いかにデジタル化して継承していくのか
製造業として大事な部分になっています。
課題への取り組みにも、2つのアプローチがあるようです。DX対応の一部をSIerへの業務委託とする場合と、社内への蓄積を重視し、製造現場に近いところに社内SE的な動きをするエンジニアを増やそうという場合です。具体的には、社内のデータをどう扱うのか、クラウドで行くのかオンプレで行くのか、全体を見たうえで最適な方策を考えられるエンジニアの方が求められています。
各工場でこうしたエンジニアを採用したり、各工場でデータサイエンティストを育てようとしたりと、ITに精通した人材をいろいろなレイヤーで育てようという動きが見られます。企業のトップが思い描いているスマートファクトリー化を進めるには、まったく人が足りないという状態です。
そのため、転職市場としては、まさにこれらの人材が必要になっている状況です。
生産技術職が多くの企業に求められる理由
ここでは生産技術が採用ニーズが高い理由について解説します。主な理由は以下の4つです。
・汎用性が高い職種である
・異業種への転職でも製品知識が問われない
・生産技術が不足している
・自動化やIoTを推進する企業が多い
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
1.汎用性が高い職種である
生産技術の領域は、非常に広範囲にわたる知識と経験が要求されます。これは、生産技術が製品の設計から生産、流通までの全体的なプロセスを担当しているためです。
このような幅広い知識は、ほかの分野や業界に比べても高い汎用性を持つといえます。そのため、生産技術者は転職市場での選択肢が広がり、多方面からのニーズがあると考えられます。
2.異業種への転職でも製品知識が問われない
生産技術者としての能力は、製品知識だけではなく、その先にある技術力やプロセスを最適化する能力が求められています。
そのため、異なる製品や業種への移行に関しても、製品自体の知識より生産技術としての総合的なスキルが評価されることが多いです。
実際に異業種へ転職している生産技術者は数多く存在します。この特性は、生産技術者にとって、さまざまな転職先を視野に検討できる強みといえます。
3.生産技術が不足している
製造業界は日本の主要産業の1つであり、その人手不足は深刻な問題として取り上げられています。最新の調査によれば、日本の製造業者のほぼ全てが人材確保に課題を感じています。
これは、生産技術者が転職市場で有利な状況にあることを示しており、その専門知識と経験に最大限の価値があるといえます。
4.自動化やIoTを推進する企業が多い
企業の多くはDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、自動化やIoTを取り入れることで業績の向上を目指しています。この動きの背景には、省人化、コスト削減、故障の予防や安全・品質の問題、そして人的な作業の最小化といった多岐にわたる目的があります。
具体的には、ロボット技術やデータ解析によって効率的な生産活動を推進することが、現代の生産技術の主要な特徴です。
求人市場もこのトレンドを反映しており、自動化やDXの推進を目的とした採用が増えています。近い未来において、自動化やIoT、DXの導入ニーズはさらに高まることが予測されます。
この変革の波に乗るためには、自動化やDXの推進経験を持つことが非常に有利になります。また、製造業の世界では、ハード面での専門知識を持つ機械系の人材が多いため、ソフトウェア面に精通している人材は非常に価値があり、多くの企業から求められています。
生産技術職の将来性は?これからはスマートファクトリーによる付加価値が重要
製造業の生産ラインや生産関連装置からは、無限ともいえるビッグデータが取得できる可能性があります。これを活用して、例えば画像認識を使って製品の高精度な品質管理を行うとか、センサーデータを使って製造装置の故障予知を行うとか、スマートファクトリーで何を行うのか、どうするべきなのかを考える時期に来ていると言えるでしょう。
ただし、多くの企業でこの領域を第一人者として遂行できる人材が、極端に不足しているという現状があります。つまり、今後データを使いこなす方向へ自己のキャリアを伸ばしていきたい方にとっては、非常に魅力のある領域だと思います。
IoTやAI技術といった先端技術を使った生産性の改善という、これまでの生産技術が取り組んできたところに、さらに新しい付加価値を生まれています。製造業大手であれば、この領域に対する投資も大きくなるため、将来性もあり、そうした環境でチャレンジできるというのも魅力的ではないでしょうか。
生産技術職の転職に求められている経験やスキルは?
日系の製造業では、なかなか人材を育成する時間がとれないという部分もあります。即戦力を重視して外部からIoTの知見を持った方を採用するという軸と、一方で従来型の生産技術の方もキャッチアップしないと時代に取り残されてしまいますから、そうした層の教育も含めて育成するという2つの軸で運用している現場が多いようです。
「モノづくりが好き」は大前提
製造業を考えるのであれば、やはりモノづくりが好き、モノづくりに興味がある、というところは大前提になるでしょう。私たちの身の回りにあるものは、基本的に全て製造業が作っていますし、会社として大きく、社内にはいろいろなレイヤーの方がいます。周囲を巻き込み、協議しながら進めることが、本人のスキルアップにもなりますし、これも製造業の面白さです。
生産技術のエンジニアがキャリアをキープして他社に転職するという場合
これまでのキャリアをどう生かして何をするのかが、重要です。意識すべきポイントは、現職でできないことは何か、何を延ばしていきたいのか。例えばDXに取り組むのであれば、会社の中計にきちんと織り込まれていて、組織としてやっていくという号令がかかっているかどうかです。
他の業界や職種から生産技術職に転職するという場合
例えばITエンジニアの方が生産技職に転職するという場合、それまで製造現場ではないフロント寄りでITを触ってきた方が多いでしょうから、現場は怖いのではと感じることもあるようです。
自分が本当に製造現場のITに触れるのか、まずそのマインドを俯瞰的に考えてみましょう。ご自身としてモノづくりの楽しさを感じられるのか、スマートファクトリーを作り上げるところ、製造業のIoT化という革新に貢献できるところに「やりがい」を感じられるのか、ITの技術を使って製造業にチャレンジしたい。これらの中のひとつでも、YESであれば、生産技術職として活躍できるでしょう。
いずれにせよ、自分が何に貢献したいのかというマインドを整えた上でご転職いただければ、十分に能力を発揮してご活躍できる職種です。
生産技術職の転職活動において、効果的な自己PRのコツ
転職活動をスムーズに進めるには、自分のこれまでの経験やスキルをアピールしなければなりません。
生産技術職から転職する際、効果的な自己PRのコツについて以下の3つに分けて解説します。
1.これまでの実績をアピールする
2.培った知識・スキルを伝える
3.経験期間は必ず記載する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.これまでの実績をアピールする
さまざまな製造工程に携わる生産技術職から転職する際、以下のような実績がアピールポイントとなります。
・どのような業務経験があるのか
・どのような製品を扱ったのか
たとえば、具体的な管理実績について伝えることができれば、能力の証明につながるでしょう。
転職希望先の企業や職責に合った実績をアピールできれば、採用へと近づけます。
2.培った知識・スキルを伝える
生産技術職に欠かせないCADやCAE、PDMなどのツールはあらゆる職種で使用されています。
これらのツールを扱えるスキルがある人材を求めている企業はたくさんあり、積極的にアピールすることで採用に近付けるでしょう。
ほかにも、ステップアップを目指す転職においては、マネジメント経験は高い評価を受ける傾向にあります。
3.経験期間は必ず記載する
実務経験に就いた期間は、知識・実績の深さや豊富さを証明することにつながるため、しっかりとアピールしましょう。
企業としては、すぐに転職を考える人よりも長期間勤めてくれる人材を探しており、経験期間の長さは高評価を受ける傾向にあります。
もしも、経験期間が短い場合は転職希望先にマッチした経験やスキルを中心にしてアピールすることがおすすめです。
生産技術職の自己PRで注意したいポイント
自己分析や企業研究をするほど、伝えたい内容が多くなります。しかし、アピールする内容が増えすぎると、内容にまとまりがなく、浅いことしか伝えられなくなるでしょう。
そのため、アピールする項目は2つに絞っておくことをおすすめします。
自己PRに適切な文字数は、300~400字程度といわれており、具体的な内容を盛り込みましょう。
もしも、自己PRの作成が上手くいかない・どのように書けば効果的に伝わるのかわからないのように不安がある場合は、コンサルタントへご相談ください。
生産技術職の主な3つのキャリアパス
現在、生産技術職に就いている人の主なキャリアパスは以下の3つが挙げられます。
1.別企業の生産技術
2.設計エンジニア
3.製造業コンサルタント
ここではそれぞれの選択肢ごとの特徴や働き方について、それぞれに分けて解説します。
1.別企業の生産技術
生産技術の職種は変えないまま、別企業に転職するのはもっとも多いキャリアパスのひとつです。
生産技術職として、現在よりも待遇のよい企業へ移る・将来性が高い業界業種へ転職するケースがよく見られます。
職種を変えなければ、これまで培ったスキルをそのまま活用できるため、転職先でも即戦力として活躍することが可能です。
これまで未経験の職種へチャレンジするよりも精神的な負担が少なく、働く環境も変えられるため、ほかにやりたい職種がない場合は、働く企業を変えながら生産技術職を続けるのは手堅い選択だといえます。
2.設計エンジニア
設計エンジニアは、機械やメカニズムを設計する仕事です。生産技術では商品の製造にあらゆる設備を使用します。この使用経験を活かして、設備を制作する立ち位置を選ぶ人も多いです。
設備を使う側だった現場経験を設計に活かせれば、現場から求められる機能や仕様を反映した機械を制作できます。また、上流工程に移行することによって生産の根幹に携われますし、年収アップが期待できることもメリットです。生産技術職での経験を活用してキャリアアップを目指す方におすすめします。
3.製造業コンサルタント
製造業コンサルタントは、生産技術のマネジメント経験を活かせる職業です。生産技術職は現場の立ち位置から製造に携わります。しかし、コンサルタントはより俯瞰的なポジションから製造現場の環境を整えることが仕事です。
また、コンサルタントは、一方的なトップダウン環境の脱却を期待でき、現場の意見を反映させられるボトムアップ環境の実現も可能です。さらに、現場経験が豊富かつ知識がある人材がコンサルタントに就くことを歓迎する職場は多いといえます。
生産技術職におけるハイクラス転職のポイント
ハイクラスの方であれば、生産技術として何を目指すのか、何をキャリアとして積んでいくのか。大会社であれば生産部門の部門長、中小であれば工場長を目指していくということになるかと思います。
長年、生産技術職として尽力してきた方にとっては、今の生産技術は流れがとても早くなっていると感じているでしょう。かつては部品を発注して組み立てて、そのうえで試作の装置を動かしてみてきちんとアウトプットができているかなどを、かなりの時間を使って確認していました。しかし最近ではデジタルツインという形で、シミュレーションの中で装置をほとんど作り上げた状態で組み立てて、アウトプットを検証するような時代になってきています。
これから生産技術のマネジメント層を目指そうという方は、ITやIoTという技術からは逃れられません。そちらに向いたアンテナをきちんと張っていれば、いろいろな発想のもとで技術の改善だったり、新しいプロセスの構築だったり、というところを推進しながらご活躍いただけます。
生産技術職の転職を有利に進めるうえでのアドバイス
大切なことですが、今までやってきた仕事を、まずはきちんと棚卸ししましょう。ご自身が参加したプロジェクト、プロジェクトでの役割、主体的に行った経験、どんな成果を出したのか、といった具体的なエピソードを準備して、職務経歴書に落としてください。
また、面接でよくある質問で「製造業をどう思うか?」と聞かれることがあります。漠とした質問ですが、前述のとおり質問の意図するところは、「製造業にはいろいろなレイヤーの人がいて、人とのコミュニケーションがとても大切。そして周囲の方を尊重しながら業務を進められるのか」を見極めているのです。
面接ではそれを意識しながら受け答えるよう心掛けると良いのではないでしょうか。
JAC Recruitmentでは、このようなキャリアの棚卸しから職務経歴書の書き方のチェック、面接の練習まで、コンサルタントが一緒に行います。また、企業様と転職ご希望者様の間に入って、「この方のこのスキルは、御社が求めるポジションのこういう業務で役立つのでは」と通訳のような役割をするのも、コンサルタントの重要な務めです。
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