休職中に転職活動を行う場合のリスク・注意点

公開日:2024/05/29 / 最終更新日: 2024/07/03

休職中に新しい仕事を探すことを考える方は少なくありません。このような状況で、多くの方が「休職中の転職活動は違法ではないのか?」や「会社にばれることはないか?」といった不安を感じることでしょう。

実際には、休職中であっても転職活動を行うこと自体に法的な問題はありません。ただし、注意すべきポイントがいくつか存在します。そこで今回は、休職中に転職活動を行う際のリスクや注意点についてハイクラス転職のJAC Recruitment(以下、JAC)が解説していきます。

この記事を通じて、休職中でも安心して転職活動を進める方法や、気を付けるべき点をお伝えします。さっそく、休職中に転職活動をする際の法的な側面についてみていきましょう。

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休職中に転職活動するのは違法ではない

休職中に転職活動を行うことは、法的に禁止されているわけではありません。そのため、休職中に転職活動を行うことは問題ありません。

しかし、企業によっては就業規則で休職中の行動や転職に関する規定が設けられているケースがあります。違反した場合は在職中に何らかのペナルティが発生する可能性もあるため、就業規則には法的な効力はないものの、なるべく守るようにしましょう。

また、休職とは本来、労働者が自己の都合で会社を休むことに対して会社から許可を得て、労働を免除してもらう制度です。たとえば病気療養による休職なら、健康回復に専念するべき時期です。転職活動によって回復が遅れるリスクもあることを認識しておくことが大切です。まずは休養に専念し、回復に向かった場合に転職活動の検討もしてみてください。

休職中に転職活動をすると現職や応募先に発覚するリスク3つ

休職中の転職活動が周囲に知られてしまう可能性は、しばしば心配の種となります。特に以下の3つのリスクは、慎重に扱う必要があります。

転職先に発覚するリスク1. 源泉徴収票・住民税の納税額

源泉徴収票、住民税の納税額より、休職中に転職していたことが明るみに出るケースがあります。これは転職後に書類を受け渡しした際に生じ得るリスクです。

源泉徴収票には「1年間の収入」と「納付した所得税」が記載されています。休職中の間は給料が発生しないため、収入が低くなっていることが分かります。月収は記載されていないため、見てすぐに分かるものではないですが、もし会計担当と面接官が連携していた場合に「面接時に聞いていた現職の年収と違う」という形で発覚する場合があります。

また、住民税の納税額は年収をもとに算出されるため、こちらでも発覚する場合があります。

源泉徴収票、住民税の納税額ともに、基本的に転職先の会社側が把握できる数字になるため、担当者がしっかりと見ていれば「年収が少ないことが分かる」と覚えておきましょう。

転職先に発覚するリスク2. 傷病手当金

傷病手当金を受け取ることで、支払う税金の額が少なくなることがあり、これが原因となって発覚するケースがあります。

傷病手当金を受給している間は基本的に休職している状態です。その間、働いていないため給料は発生しませんが、傷病手当金をもらうことでお金を得てはいます。

ですが、傷病手当金は非課税なため、収入に含まれません。源泉徴収で毎月給料から差し引きされている金額は、1年間の所得見込みに応じて算出されています。そのため、働いていない期間(=給料が発生していない期間)があると、収入が減り、払う必要のある税金も少なくなります。

つまり、「傷病手当金をもらっているから発覚する」というよりは、「もらっている期間の収入が発生しない=年末調整で差額が発生するから明るみに出る」という形になります。

細かい数字なので発覚しづらいと考えられますが、源泉徴収票と同様に「実際の年収などの数字は転職先にしっかりと伝わってしまう」ということを覚えておきましょう。

現職で発覚するリスク:同僚への相談・SNS投稿など

休職中に転職活動を行っていることが、現職に知られることはあまりありません。転職先が決定して実際に事務手続きを行うまでは、知られようがないからです。

ただし「自分から転職していることを漏らしてしまった」というケースはよくあります。休職中に現職の同僚へ相談したり、SNSへ投稿したり、といった行動で現職へ発覚する可能性はあります。

現職へ発覚すると、現職の人間関係や職位、給与面へ悪影響を及ぼす可能性もあります。SNSへの投稿は控え、相談する場合は相手をしっかりと見定めるようにしたいところです。

休職中の転職活動であることを応募先に伝えたほうがよいケース

  1. 面接で聞かれた場合
  2. リファレンスチェックがある
  3. 長期間、休職している

休職中に転職活動を行っていることは、必ずしも伝えなければならない訳ではありません。ですが、伝えたうえで活動を進めた方が後々スムーズだったり、トラブルを未然に防いだりすることができる場合もあります。

ここでは、休職中であることを伝えるべき3つのケースを紹介していきます。

伝えたほうがよいケース1. 面接で聞かれた場合

面接で休職について聞かれた際には、正直に答えるようにしましょう。隠したり、嘘をついたりして話を進めてしまうと、後に信用問題を引き起こすリスクがあります。隠した場合に整合性を取るのは難しいですし、入社関連書類でばれる可能性も高いです。

特に希望年収を聞かれた際に、現職の年収をベースに話を進めていた場合は入社後の書類周りで差額が発覚してしまいます。嘘の年収を申告していたと捉えかねられないので、面接で現職の年収に関する話をした場合は休職中であることを伝えるべきです。

伝えたほうがよいケース2. リファレンスチェックがある

リファレンスチェックとは、現職や過去の職場の上司など応募者のことを知る第三者に対して、経歴や人となりを確認することをいいます。実施する場合、現職の上司などへ確認されるため「休職中に転職活動をしていた」ということが現職、転職希望先の企業の双方にばれることになります。

リファレンスチェックは応募者と企業側の同意が必要です。そのため、リファレンスチェックが行われる場合は面接の場、もしくは事前に確認が取られます。実施される場合は事前に伝えておき、不信感を抱かれないようにしておきましょう。

伝えたほうがよいケース3. 長期間、休職している

長期間休職している場合も休職していた事実を伝えるべきです。

休職期間が長いほど、応募先にとっては潜在的なリスクと見なされることが多いため、休職中の活動や学習、体調管理などを具体的に説明し、職務に復帰するための意欲と準備ができていることを伝えることが大切です。

また、長期間の休職は源泉徴収票などの書類を確認した際に、休職していたことが分かりやすくなるため、後々隠していたと思われないよう自分から伝えておきましょう。

休職中に転職活動を行う場合の注意点2つ

  1. 現職の就業規則に違反していないか確認する
  2. 応募先には休職中であることを隠さない

休職中に転職活動を行う際は「現職の就業規則に違反していないか確認する」「応募先には休職中であることを隠さない」という2点が重要となります。その理由をそれぞれ紹介していきます。

注意点1. 現職の就業規則に違反していないか確認する

休職中に転職活動を行う前に、まずは自分が所属する企業の就業規則を確認することが不可欠です。就業規則には、休職中の行動に関する規定や競業避止義務など、転職活動に直接影響を及ぼす可能性がある条文が含まれていることがあります。

例えば、一部の企業では休職中に他の就業を禁じる規則を設けている場合がありますし、特定の業界への転職が制限されていることもあります。これらの規則を無視して転職活動を進めると、解雇や損害賠償請求、退職金の返還請求といったリスクに直面する可能性があるため、慎重に規則をチェックしながら転職活動を進めてください。

注意点2. 応募先企業には休職中であることを隠さない

応募先企業には休職中であることを隠さず、正直に伝えるようにしましょう。

「嘘をついていた」「隠していた」といった信用面で悪影響を及ぼす可能性が高まってしまいます。「休職していた」ことそのものが問題となるわけではありません。

最終的には、休職中であることを隠すよりも正直に事情を説明し、そのうえで企業が受け入れてくれるかどうかを見極めることが成功への道を開くことにつながるでしょう。

休職中の転職活動であることを応募先に伝えるときのポイント

  1. 問題なく働けることを伝える
  2. 休職理由は正直に伝える
  3. 休職理由はなるべくポジティブに伝える

この記事では、休職中であることを隠さない方がよいと紹介しましたが、「伝え方」も重要です。

休職とは本来、労働者の個人的な事情により会社の許可を得て、労働を免除されている期間のことです。その期間を使って他社へ転職活動をしている、ということは本来の理由から外れています。そのため、休職中に転職している事情についてしっかりと話しておくことが重要です。

伝えるときのポイントを3つ挙げましたので、それぞれ紹介していきます。

ポイント1. 問題なく働けることを伝える

休職中であるということは、仕事をしばらくしていない状況ということになります。この場合、企業側は「業務能力が落ちていないか」「仕事をできる状態なのか」といった点が気になることでしょう。

そのため、面接で休職を伝える際には「問題なく働けること」を伝える必要があります。

もし健康問題で休職していた場合、その問題が解決されたのか、現在は健康管理がされている状態であることを具体的に伝えることで、企業側も採用に対しての不安を和らげることができるでしょう。病院に通院していたのであれば、仕事をしても問題ないという診断書をもらうのも一つの手です。

また、休職期間中に新たに学んだスキルや取得した資格があれば提示することで、自身の成長と職務への準備が整っていることをアピールできます。

ポイント2. 休職理由は正直に伝える

ポイント1と似た内容になりますが、「休職理由」も正直に伝えるようにしましょう。問題なく働けることをアピールする際には休職していた理由も合わせて提示することになります。

例えば、休職が健康問題によるものであれば、その具体的な状況とそれが現在の職務遂行能力に影響しないか明確にすることが重要です。健康以外の理由による場合でも、その背景を正直に説明するようにしましょう。

ポイント3. 休職理由はポジティブに伝える

休職理由を伝える際には、可能な限りポジティブに伝えましょう。これは休職の背景にある事情を正直に伝えつつも、その理由が将来の雇用主に対して潜在的な不安を与えないようにするためです。

例えば、過労や職場でのストレスが休職の理由であった場合、単に「ストレスで休職しました」と伝えるのではなく、「新しいチャレンジとバランスを求めて一時的に休職を選び、この期間を利用してストレス管理のスキルを身につけ、より効率的な働き方を学びました」と伝える、といった方法があります。

休職が自己改善の一環であったというポジティブな側面をアピールできるでしょう。

休職中の転職活動についてよくある質問

Q1. うつ病を患い休職中だが、転職活動を行ってもよいか?

Q2. 休職中に転職活動を行い、内定をもらった。内定取り消しになることはある?

休職中の転職活動について、よくある質問にお答えしていきます。

Q1. うつ病を患い休職中だが、転職活動を行ってもよいか?

うつ病の症状がまだ完全には回復していない場合でも、転職活動を行うこと自体は不可能ではありません。しかし、この段階での転職は症状を悪化させるリスクもともなうため、基本的には就業が可能な状態であるか見極めたうえで活動を始めるべきです。通院しているのであれば、担当医師に相談しながら進めてください。

ただし、経済的な事情などで働かざるを得ないケースもあるでしょう。その場合は自身の健康状態と向き合い、無理のない範囲で計画を立てることが重要です。例えば、フルタイムではなく、柔軟な勤務条件を提供する職場や、テレワークが可能な職場を探すなど、健康を維持しながら働ける環境を選ぶことが望ましいです。

最終的には、転職活動を始めるかどうかはあなた自身の健康状態と、今後のキャリアに対する見通しを総合的に考慮して決定するべきです。医師やカウンセラー・転職支援の専門家などと相談しながら、最適なタイミングと方法を考えてみてください。

Q2. 休職中に転職活動を行い、内定をもらった。内定取り消しになることはある?

休職中に転職活動を行った際に内定が取り消される可能性について、いくつかの要因が考えられます。内定取り消しは一般的には珍しいケースではありますが、下記の要因には注意してください。

  • 休職の事実が後から明らかになった場合
  • 健康状態がいまだに不安定だと判明した場合
  • 就業規則違反がある場合

休職中であることを応募先に隠していた場合、その事実が後になって明らかになったときに信頼を失う要因となり、最悪の場合内定が取り消される可能性があります。特に、休職理由が業務能力に直接関連している場合、雇用主はその事情を隠していたことに対して問題視することがあります。

また、現職の就業規則で休職中の転職活動が禁止されている場合、現職(転職する前の会社)より法的な措置を取られる可能性も考えられます。訴訟までいくケースは稀ではありますが、法的措置を取られた場合には転職先も問題視して内定を取り消す可能性が高まってしまうでしょう。

これらのリスクを抑えるためにも、現職の就業規則をしっかりと確認したうえで、休職していることは少なくとも応募先には正直に話しつつ転職活動を進めてみてください。

まとめ|休職中の転職活動は控えて次のステップに備えよう

休職中の転職活動は慎重に検討する必要があります。休職の理由が健康問題などの場合、最優先事項は自身の回復と健康の維持です。転職活動は精神的、ときには肉体的なストレスもともなうため、不調な状態での転職活動は失敗してしまう可能性も高くなるため推奨できません。

休職中にどうしても転職を考える場合は、現在の健康状態が許す範囲内で行うべきです。また、転職活動を進める際は、休職の理由を含めすべての事実を応募先に正直に伝えることが重要です。これにより、将来的な職場での信頼関係の基礎を築くことができます。

また、休職期間を利用して自己啓発やスキルアップを行うことも一つの手です。オンラインコースや資格取得、専門書の学習などを通じて、職務復帰後や新たな職場で即戦力となれるよう準備を整えることにより、転職市場での競争力を高めるだけでなく、個人の自信にもつながります。

無理をせず、自分のペースで次のキャリアステップに向けての計画を立て、健康を最優先に考えることが長期的な成功につながるでしょう。