終身雇用制が一般的だった日本においても、最近では転職をするビジネスパーソンが増えてきました。しかし、なかには「転職回数が多いのは採用において不利になるのではないか」と不安に感じている方もいるようです。
企業側としても、あまりに転職回数が多い人は、「入社してもすぐに辞めてしまうのではないか」「飽きっぽいのではないだろうか」などと採用をためらってしまう場合があることは事実です。しかし、ある条件を満たした場合には、転職回数が不利になることはほとんどありません。
今回は、実際に「転職回数が多いのは採用において不利なのか」という点を検証するとともに、転職回数が2回以上ある方に向けての内定獲得術について詳しく解説していきます。
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目次/Index
転職回数が多いと不利か否か
転職回数が多いビジネスパーソンの中には、仕事ができる・できないといった能力やスキルではなく、転職回数が原因で採用の可否が決まるのではないか、と思っている方もいることでしょう。そこで、まずは転職回数が多いと本当に採用において不利になってしまうのかどうかを、詳しく見ていきます。
結論、ある条件を満たしていれば不利ではない
転職において気にする方が多い「転職回数」ですが、結論から言えば「ある条件を満たしていれば不利ではない」ということになります。
その条件とは、
- ●キャリアに一貫性がある
- ●転職の理由や目的がポジティブ(または表現がポジティブ)
- ●専門スキルが高い
といったものが挙げられます。
では、それぞれ解説していきます。
キャリアに一貫性がある
まずは、キャリアに一貫性があるかどうかです。企業の採用担当者は、職務経歴書や履歴書を見て、転職者のキャリアがどのような変遷を辿っているのか確認しています。
そのなかで、「同じ職種で管理職として渡り歩いている」「仕事や業務で成し遂げたいビジョンが一貫している」といった転職者の場合には、転職回数が4~6回などと多くても、その職種でのスキルや管理能力が高いと判断されるケースが多いようです。
転職の理由や目的がポジティブ
転職者の転職理由や目的は、企業にとっても気になるポイントのひとつ。その理由が「人間関係が悪かったから」「仕事の内容に飽きてしまったから」といったネガティブな場合にはマイナスイメージになることも多いです。
しかし、転職の回数が多いことで得られたもの、成長できたことなど、ポジティブな意見を語ることができる方は、企業の採用担当者にも好印象を持たれやすいでしょう。
「専門スキル」が高い
企業は転職者に対して、基本的には「即戦力」を求めているケースがほとんどです。そのため、転職回数が多くても、企業が欲しいスキルをハイレベルで有している人材や希少なスキルを持っているような人材は、それだけで採用される確率が高くなります。専門スキルを持つ人材は、転職回数に関わらず引く手あまたと言っても過言ではありません。
企業側は何回を超えると気になるのか?
では、実際のところ企業は転職者の転職回数が何回を超えると気になってしまうものなのでしょうか?
3回以上の転職だと気になる
平成30年に内閣府が発表した調査「成長力強化に向けた課題と展望」によれば、就業経験のある男性の79%は、初めて就いた仕事が正規雇用であり、過半数以上の男性の転職回数は、多い方でも「1回」との結果になっています。
一方の女性は、就業経験がある者のうち76%は初めて就いた仕事が正規雇用であり、そのうち終身雇用を選んだ者の割合は、50代で7%ほどしかいません。つまり女性の場合には、転職をするというよりは、この年齢に達するまでに労働市場から退出した割合が高いということが分かります。
この結果からすると、1~2回程度の転職回数であれば「平均的な回数」だと判断されますが、3回以上の転職になると「多い」「気になる」と感じる企業の採用担当者もいるようです。
回数よりも在籍期間を気にする企業も
転職者の中には、転職回数ばかりを気にする方も多いですが、企業によっては回数より在籍期間を重視する場合もあります。一般的に、転職回数が多い人は経験してきた一つひとつの仕事が短期間であることがほとんど。そのため、経験が不足している、業務への習熟や理解が足りないと思われることも少なくありません。
企業は長く勤めてくれる人材を欲していますから、各企業における在籍期間が極端に短い場合には「また今回もすぐに辞めてしまうのではないか」「飽きっぽいのではないか」と思われる可能性もあります。
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転職回数が多い場合、職務経歴書でどう書けば良いか?
では転職回数が多い場合、職務経歴書にはどのように書けばよいのでしょうか?
ここからは、転職回数が2回以上ある方向けに、内定を勝ち取るための書類攻略法を解説していきます。
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年代別でなく業務内容別に記載
履歴書は年代順に書く必要がありますが、職務経歴書は「どこにフォーカスするか」によって、書類の書き方・フォーマットが大きく異なります。たとえば、転職回数が多い方の場合、在籍した会社を一つずつ丁寧に記載してしまうと、職務経歴書の枚数が増えるばかりか、転職回数が強調されてしまいます。さらに、活かせるスキルや経験、強みなどのポイントが分かりづらく、うまくアピールできない可能性があります。
そのため、転職回数が多いことが気になる方は、職務経歴書は年代別に書くのではなく、業務内容別に記載するのがおすすめです。「営業」「企画」「マーケティング」といったように、業務内容ごとに項目をまとめ、それに沿って職歴を書くと転職の回数が目立ちません。また、その職務についた際に身に付けたスキルや知識がなどを分かりやすくまとめることができるため、企業の採用担当者へアピールもしやすくなります。
経験を通じて一貫している経験やスキルをしっかり記載
もし職歴に一貫性がないという場合には、さまざまな経験を通じて一貫している経験やスキルを記載するのもひとつの手です。具体的には、コミュニケーション能力や対応力、企画力などが挙げられます。それらを使って、どのように仕事の課題を解決してきたのか、仕事に対する姿勢や能力を中心にアピールするのも効果的です。
ただし、いろいろな仕事を経験してきたがゆえに、「一貫する能力やスキルをすぐに見つけ出せない」「何が自分の強みなのかよく分からない」という方もいることでしょう。その際には、いきなり職務経歴書を書くのではなく、自分の職歴やスキル、経験を棚卸しする作業から始めてみると、その後の書類作成がスムーズになります。
職務経歴書の書き方例(1):スキルごとにまとめた場合
●提案力
私の強みの一つに提案力があります。これまでの仕事においては商品の提案資料を作成しなければならない場面が多数ありましたが、「読みやすさ」や「見やすさ」など常に相手の立場に立って考えることで、商品の採用率が格段にアップしました。仕事をしながらセールスライティングやマーケティングについても学びを深めてきたため、「相手の心に響く」提案資料作成には自信を持っています。
●コミュニケーション力
私は、商品販売においては商品の良さやサービス内容といった自分の伝えたいことを前面に押し出すのではなく、まずは相手の話にしっかりと耳を傾けることを心掛けています。その上で、相手のニーズや深層心理を読み解くことはもちろんですが、相手にとって必要なことは遠慮せずにはっきりと意見を述べることも大切にしてきました。たとえば、顧客の欲しいと思う商品が生活スタイルに合っていない場合にはしっかりとその旨を理由とともに伝え、お客様に相応しい商品を改めてご提案したり、アドバイスしたりするように努めました。
職務経歴書の書き方例(2):経歴ごとにまとめた場合
●営業職 ~広告代理店の広告営業、生命保険の外交員~
私は、営業職に携わるにあたって、常に顧客との信頼関係を築くことを大切にしてきました。お客様の視点に立った提案を日々心掛けることで、担当するお客様からの契約率がアップしただけでなく、紹介による新規顧客数も増加しました。広告営業や保険の営業はそれぞれ異なる仕事のように見えるかもしれませんが、お客様ファーストを重視することで、いずれの会社の売り上げに貢献することができました。保険の営業では、エリア営業でトップ成績になり、社長賞を受賞したこともあります。
●接客・販売業~ビジネススーツ・アパレル販売~
営業職の経験を活かして、ビジネススーツを販売する接客・販売業に転職しました。もともとビジネススーツしか取り扱っていない店舗でしたが、「スーツに合う靴やネクタイも一緒に購入したい」というお客様のニーズがあることに気付き、ビジネスグッズ(ネクタイ・靴・鞄・カフス・ハンカチなど)も取り扱うようにエリアマネージャーに進言。幸い快く提案を受け入れてもらうことができ、商品のセレクトから陳列まで積極的に携わりました。その結果、店舗の売り上げを前年比120%に導きました。この経験をもとに、ビジネススーツからメンズカジュアルファッションまでを広く扱うアパレル会社へ転職することを決めました。転職先のアパレル会社では、お客様一人ひとりにあったコーディネート提案をすることで、ここでも前年比115%の売り上げを記録しました。
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転職回数が多い場合、面接ではどう伝えれば良いか?
転職回数が多い場合には、当然面接官からも「なぜ転職をされたのですか?」「○○と○○といった会社へ転職したのには何か意図があったのですか?」といった質問がされることでしょう。その際に、しっかりと意思を持って答えられるかどうかが、転職成功のカギを握ることは言うまでもありません。
転職回数が多い方の面接でのポイントは主に2つです。
- ●転職に一貫性があることを主張すること
- ●前向きに意欲がある旨をアピールすること
それぞれ詳しくチェックしていきましょう。
転職に一貫性があることを主張
面接においては、まず転職に一貫性があることをしっかりと主張するようにするのがポイントです。なぜ多くの転職をしたのか、共通の項目(ポジティブな理由)を見つけて、それぞれが意味のある転職だったことを印象付けることが重要になります。
たとえば、「人とのコミュニケーションが重視される仕事」「チームワークでできる仕事」「○○に関係がある仕事」といったように、共通する魅力を付けて「○○の仕事に一貫して携わってきました」と言い切ってしまっても良いでしょう。共通点があることで、面接官にも納得感を与えやすくなります。
前向きで意欲がある旨をアピール
転職時の面接では、必ずと言っていいほど「なぜ転職を考えているのか」聞かれることでしょう。なかには、転職回数が多い理由をストレートに質問されることもあります。
すべての転職がポジティブな転職ではない場合もあるかもしれませんが、面接の場でネガティブな話題を持ち出すことはやめておいたほうが無難。それぞれの企業を選んだ理由を述べる場合には、前向きかつ意欲がある旨を伝えることが大切です。
回答例
私は、長年メーカーで家電の営業に携わってきましたが、「もっと顧客のニーズに合わせて家電を提案したい」と思い、代理店の営業職へ転職しました。しかし、会社の方針により提案する商品が店頭販売からECサイト販売へと舵を切ったため、店頭販売を極めるために3社目への転職を決意しました。
転職回数が多い場合のタブーとは?
転職活動において、転職回数が多いことを気にするビジネスパーソンは少なくありませんが、絶対にしてはいけないタブーがあります。それが「経歴の省略」と「転職回数を偽ること」の2つです。なるべく転職回数を少なく見せたいという気持ちは分からないでもありませんが、経歴を詐称することは会社を裏切り、自身の信頼を落とす行為にもなります。また、虚偽の記載をした書類で採用されて入社した場合には、民法上の不法行為に該当したり、解雇事由になったりすることもありますので注意が必要です。
先述した通り、転職回数が多いだけで落とされる、ということはありません。むしろ転職回数が多いことが、「相応しいスキルが身に付いている」「さまざまな経験やノウハウを持っている」とプラスに受け止められる場合もありますので、不採用を恐れて独りよがりな判断をしないように気を付けましょう。
まとめ:転職回数が多い方は転職エージェントに相談してみよう
今回の記事では、転職回数が多いのは採用において不利なのかを検証するとともに、転職回数が2回以上ある方に向けての内定獲得術について詳しく解説していきました。
過去のデータでは、3回以上の転職について「気になる」と回答する企業もありましたが、多くのケースでは、転職回数が多いことが不採用に直結するわけではありません。むしろプラスに働く場合もありますので、それほど転職回数が多いことを気にする必要はないでしょう。
しかし、「やはり転職回数が多いことが気になる…」「どうやって一貫性があること伝えればよいのか分からない」と思う方もいることでしょう。そんな時には「JAC Recruitment」のコンサルタントに相談してみるのも一つの方法です。
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