選考に通りやすい「転職活動の軸」の考え方や伝え方

  1. 転職市場

公開日:2024/05/22 / 最終更新日: 2024/11/18

転職活動中に面接でよく聞かれる質問の一つに「企業選びの軸は何ですか?」という内容があります。この質問は企業側が転職者に対して「仕事で何を重視しているのか」を確認する意図があります。

「軸」について、もし意識せずに転職活動をしていた場合は、回答に困ってしまうかもしれません。面接の場では、その軸が明確であればあるほど、好印象を与えることができるので、準備しておきたいところです。

そこで、この記事では「転職活動の軸」の考え方や伝え方について、ハイクラス転職のJAC Recruitment(以下、JAC)が解説していきます。

転職活動中の方はぜひ参考にしてみてください。

企業が「転職活動の軸」について質問する理由


企業側が「転職活動の軸」について質問する理由は「企業との適合性を確認するため」です。

転職活動の軸とは、「仕事内容を重視」「収入を重視」「経営方針を重視」など、転職希望者が仕事探しにおいて「重視していること」や「譲れないこと」をいいます。

企業側はこの質問をすることで、候補者が何を重視して仕事選びをしているか、という点が見えてきます。軸とあわせて志望動機や自己PR、経験・スキルについて聞いていくことで、総合的に自社と適合しているか、といった判断を行います。

また、転職活動の軸を聞いておくことで、その後の話の整合性が取れているかも確認し、企業に対しての本気度を見ることもできます。

企業側としては、即戦力として活躍し、なるべく長期間会社へ貢献してくれる人物を求めています。もし軸が企業とずれていたら、採用してもすぐに辞めてしまうかもしれませんし、企業文化と合わない場合はスキルをフルに生かせないというケースも考えられます。

一度採用すると簡単に解雇はできないため、慎重に判断するために「転職活動の軸」を聞いているのです。

転職活動で考えられる「軸」一覧


こだわり条件
仕事内容スキル、経験を生かせるか、自分の社内での役割、業務内容
収入面年収、ボーナス、昇給の可能性
勤務形態フルタイム、リモートワーク、フレックス制、勤務地
ワークライフバランス有給の消化率、残業時間
経営方針会社のビジョン、経営の方向性、会社の商品やサービス
将来を見据えたキャリアキャリアアップ、自身の成長
転職活動の軸一覧

転職活動において考えられる「軸」を、例として6つ挙げました。「こだわり条件」を確認し、譲れない部分や大事にしたい部分はどこかを考えてみてください。

軸を考える際のポイントとして、まずは自分の本音に従ってみましょう。転職したいと思った動機を考えてみてください。もし給料に不満があったのであれば「収入面」が軸となりますし、残業の多さに不満があったのであれば「ワークライフバランス」が軸となります。

自分の軸にあわせて、志望動機や自己PRも考える必要があります。もし「収入面」が軸となる場合は、自身がもち合わせているスキル・経験を考慮し「本当に収入を上げることができるのか」考えてみてください。あまり現実的でない軸を据えてしまうと、転職活動が難しくなってしまいます。

そのため、「転職活動の軸」だけを考えれば良いわけではありません。「その軸を据えて本当に転職がうまくいくか」という点を、自身のこれまでの経験や所持スキル、仕事において重視したいポイントと照らし合わせて考えてみてください。総合的に考えたのちに改めて「転職活動の軸」を決定すると良いでしょう。

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自身の「転職活動の軸」の作り方4つのステップ


実際に「転職活動の軸」を決定するための手順について解説していきます。

転職軸の作り方1. 転職したい理由を書き出す

まずは転職したい理由について考えてみます。このとき、スマホやパソコンのメモ帳や、手書きで紙に書いて言語化すると考えがまとまりやすいです。

「転職したいな」と考えたということは、現職に何かしらの不満があるはずです。給料・勤務時間・勤務地・経営方針・会社の商品やサービス・自身の成長・人間関係など、思いついた理由や感じていた不満を書き出してみてください。

この工程では、自分自身の本当のニーズや願望を正直に挙げることが大切です。「転職したい理由」は転職活動の基盤となり、面接で話す際の核となるからです。自分の希望や目標を紙に書くことで、それらが明確になり、どのような職場が自分に適しているか、また何を優先すべきかが見えてきます。

転職軸の作り方2. 過去のキャリア・スキルを書き出す

転職したい理由をリストアップしたら、続いて過去のキャリア・スキルについて書き出していきます。転職活動の軸は現実的なものでないといけません。転職したい理由は自身の本音を洗い出す工程で、キャリア・スキルを書き出す作業は「現実的な軸」を見出すための工程となります。

まずは自身がこれまで行ってきた仕事内容を思い出し、キャリア・スキルについて書き出してみましょう。一旦は職務経歴をリストアップする形で問題ありません。

続いて、各職務でどのようなスキルを獲得し、どのような成長をしたか、業務でどのようなことを達成したかといった「具体例」も合わせて書き出します

例えば、マーケティングの職に就いていた場合は、「新規顧客獲得で〇%の増加を達成」「キャンペーンの企画・実施で市場シェアを〇%向上させた」など、具体的な数字や成果があれば強みとなります。また、チームリーダーとしての経験があれば、「チームの生産性向上に貢献した」「部下のスキル向上を促し、部署全体の成果を高めた」といったリーダーシップを示す事例も加えると良いでしょう。

実務での実例を合わせて書き出すことで、より明確に自分の保有しているスキルの自己評価がしやすくなりますし、面接の場でのアピールもしやすくなります。

転職軸の作り方3. こだわり条件を明確にする

転職したい理由、過去のキャリア・スキルの書き出しが完了したら、続いて「こだわり条件」を明確にしていきます。

自分が仕事をするうえで譲れないポイント、重視しているポイントを考えてみてください。下記に一例としてこだわりのポイントをリストアップしてみました。

給料面勤務時間休日日数
勤務地勤務形態福利厚生
スキルが生かせるか成長できるか業務内容
企業の商品やサービス企業の理念人間関係

自分が仕事に対して「こだわりたいこと」をいくつか考えて、例えば給料であれば「年収○○円以上」、勤務形態であれば「リモートワーク希望」など、こだわりの「ポイント」と「条件」を明確にします。

こだわりの「条件」を設定するときは、一つ前のステップで行った「過去のキャリア・スキルの書き出し」の内容を踏まえて、現実的な内容になるようにしてください。非現実的な条件にこだわってしまうと、転職活動が失敗しかねません。

転職軸の作り方4. 優先順位をつける

転職したい理由、過去のキャリア・スキルの書き出し、こだわり条件の選定が完了したら、いよいよ最後のステップです。明確にした「こだわりのポイント」と「その条件」に優先順位をつけていきます

こだわり条件一つ一つに対して「重要度」を評価していきます。5段階で重要度1~5という形で決めてみると良いでしょう。

全てのこだわり条件に合致したうえで、自分のキャリア・スキルとも合致している、という企業・職業は基本的にはないと考えてください。そのうえで、どの条件を妥協できるか、譲れないかといった点を一つ一つ考えていきます。

最も重要度が高かった「こだわり条件」が転職活動の軸となります。もし、こだわり条件の重要度の差異が低いようなら志望企業に合わせて変えてしまうのも一つの手です。志望企業に採用される、ということが転職活動の最終的な目標ですので、柔軟に考えていきましょう。

転職活動の面接で聞かれたときのための「転職活動の軸の設定」は以上で完了となります。

面接対策

選考に通りやすくなる転職活動の軸3つのポイント


※各リンクをクリックすると該当の解説までジャンプできます。

ここでは、面接で「転職活動の軸」について回答したときに、選考の通過率を上げるためのポイントを3つ解説していきます。

3つのポイントに共通していえることですが「軸」と「話している内容」の一貫性は重要となります。そのため、嘘はつかないように、本音をベースに考えていくと良いでしょう。

ポイント1. 志望動機と一貫性があるか

転職活動の軸を伝えた際、「志望動機と一貫性があるか」は重要なポイントとなります。

そもそも「一貫性」という表現が曖昧ではありますが、面接における一貫性とは“面接のはじめから終わりまで”「話している内容が矛盾していないこと」「軸がぶれていないこと」というようなイメージになります。

極端な例ではありますが、仮に「転職活動の軸は仕事内容です」と伝えたにも関わらず、志望動機が「給料が多いから、休日が多いから」といった内容になると一貫性がないと判断されてしまいます。

話に一貫性がない場合、「本当にその意思があるのか」「嘘をついているのではないか」といった疑惑をもたれかねません。

そのため、少なくとも「志望動機」と「転職活動の軸」には一貫性をもたせましょう。しっかりと自己分析を行ったうえで転職活動の軸を選定し、面接の事前準備を行っていれば自然と一貫するはずです。

ポイント2. 軸と過去のエピソードに関連性がある

転職活動の軸と過去のエピソードに関連性があれば、転職希望者の言う「軸」がただの願望ではなく、今までの経験やスキル・実績にもとづいていることが伝わります。

例えば、転職活動の軸が「仕事内容」で、技術的なスキルをアピールしたい場合は、特定の技術を用いて業務プロセスをどのように改善したか、またその改善がどのような結果をもたらしたかを伝えてみましょう。「新しい技術を導入して作業効率を30%向上させた」などの具体的な数値や結果を提示するとより効果的です。

過去のエピソードと転職活動の軸を結びつけることで、経験・スキルをより具体的にアピールすることができます。面接官側も転職希望者のもつスキル・経験が自社でどのように生かせるかをイメージしやすくなるので、好印象を残すことができるでしょう。

ポイント3. 志望先に合わせて語れるようにする

志望先の企業に合わせて語るということも重要です。志望先がどのような企業なのか、これからどのような事業を展開していくのか、といったことを事前に調査しておき、その企業のニーズへ合わせて語ることで好印象を残すことができるでしょう。

例えば、もし応募先企業が海外進出しようとしている場合、自分の国際ビジネスの経験や関連する市場での実績を前面に出すことが重要です。例として「以前、アジア市場で新しい製品ラインを立ち上げ、初年度に20%の売上増加を達成しました」というような実績を伝えることで、その企業のニーズと直接関連付けられます。

志望先に合わせて語るというのは、事前の詳細なリサーチと準備が必要不可欠です。自分の転職活動の軸を企業のビジョンとどう結びつけるのか、といったことも考える必要があります。

自分の軸によっては難しいかもしれませんが、もし軸の優先度を少し前後させても良いのであれば「企業に合わせて軸を設定する」という手法にもチャレンジしてみてください。

転職活動の軸について面接で聞かれたときに活用できる回答例文6つ


※各リンクをクリックすると該当の解説までジャンプできます。

面接で「転職活動の軸は何ですか?」と聞かれた際に役立つ、さまざまな軸に基づく回答例を紹介します。自分の転職活動の軸を伝えるための参考にしてみてください。

回答例1. 「仕事内容」が軸の例文

私の転職活動の軸は「仕事内容」です。特に挑戦的なプロジェクトに関わりたいと考えています。以前の職場では、新しい市場開拓プロジェクトをリードし、その成功に大きく貢献しました。貴社のプロジェクト管理手法にも非常に興味があり、私の経験が貴社での成功に貢献できると考えています。

仕事内容を軸として回答する場合、まずはどのような仕事内容を望んでいるのかを伝えてみてください。なぜその仕事内容に就きたいのか理由を述べ、もし前職で同じ内容の仕事をしていたのであれば、その成果をアピールすることもできます。

「仕事内容」が軸の場合、必ずしも前職と転職先が同じ仕事とは限らないでしょう。異なる仕事内容になる場合は、なぜ異なる仕事に就きたいのか、といった理由もあわせてアピールする必要があります。

回答例2. 「収入面」が軸の例文

私の転職活動の軸は「収入面」です。私は家庭をもっており、安定した収入を確保することが転職の主な目的です。そのため、貴社の堅実な財務基盤と成長性に惹かれました。前職では売り上げ向上に貢献し、収益の増加に直結するプロジェクトを成功させました。貴社でのキャリアを通じて、さらに大きな価値を創造していきたいと考えています。

私の転職活動の軸は「収入面」です。私は家庭をもっており、安定した収入を確保することが転職の主な目的です。そのため、貴社の堅実な財務基盤と成長性に惹かれました。前職では売り上げ向上に貢献し、収益の増加に直結するプロジェクトを成功させました。貴社でのキャリアを通じて、さらに大きな価値を創造していきたいと考えています。

収入面を軸として回答する場合、まずは企業側の報酬体系や財務状況、成長性について触れて企業への理解度を示しましょう。その後、自分がもっている経験・スキルがどのように生かせるかアピールすることも重要になります。

「収入面」が軸の場合、自分がその収入に見合った人物であることをしっかりと伝えないといけません。志望動機や自己PRにも力を入れ、しっかりとアピールしましょう。

回答例3. 「勤務形態」が軸の例文

私の転職活動の軸は「勤務形態」です。貴社の柔軟な勤務形態は私の生活スタイルに適しており、仕事の効率も上げることができると感じています。以前の職場では、リモートワークを活用して生産性を20%向上させることができました。この経験を生かし、貴社でも高いパフォーマンスを発揮できると考えています。

勤務形態を軸とする場合、まずはその勤務形態を希望する理由を述べ、なぜその勤務形態がパフォーマンスを向上させられるのか、を伝えます。

ただし、勤務形態を軸とする場合、企業側からはその人の魅力があまり見えてこないでしょう。今やフレックス制度やリモートワークなどはさまざまな企業が導入しているため、その企業ならではの魅力とはなりにくいです。場合によっては「この勤務形態でないとパフォーマンスを発揮できない」とみなされ、あまりプラスには働きにくい軸となってしまいます。

そのため、志望動機や自己PRでより一層のアピールをし、企業側にこの人が欲しいと思ってもらう必要があります。もしほかにも考えている転職活動の軸があるのであれば、「勤務形態」という軸は第2~3希望程度にとどめておき、話せるタイミングが来たら話す、という認識でいるのも一つの手です。

回答例4. 「ワークライフバランス」が軸の例文

私は仕事とプライベートのバランスを重視しており、貴社の労働環境がその理想に合っていると感じました。以前の職場でのワークライフバランスの取り組みが、私の生産性と満足度を大きく向上させた経験から、貴社での業務も充実させることができると考えています。

転職先の業界そのものがワークライフバランスに偏りがある場合で、企業先は偏っていない、というケースであればその企業ならではの魅力となり「他の企業でもいいのでは」となりづらいです。

ただし、業界全体でそもそもワークライフバランスが整っている会社が多い場合は、企業側からするとワークライフバランスを「軸」として挙げられても魅力は感じません

ワークライフバランスを転職活動の軸とするのはもちろん問題ありません。ですが、伝えるとなった場合、もしほかにも意識している軸があるのであれば、そちらを優先して伝えた方が面接では好印象となるでしょう。ワークライフバランスは第2~3希望程度の軸として考えておくことを推奨します。

回答例5. 「経営方針」が軸の例文

私の転職活動における軸は「会社の経営方針に共感できるか」という点です。私が貴社を志望する大きな理由の一つは、貴社の理念に深く共感したからです。特に「○○」という考え方は、私自身の価値観とも一致しており、その理念のもとで働きたいと考えています。

経営方針を軸とするのは少し難易度が高いと考えてください。もし、企業側が独特な理念や、その企業ならではの方針を掲げているのであれば、共感する想いやエピソードも伝えやすいでしょう。

しかし「人々の心豊かな暮らしを目指す」のようなよくある経営方針だった場合、魅力的な話をしづらいでしょう。企業側の経営方針をしっかりと確認し、本当に自分が心から共感できるか、といった点が重要となります。

回答例6. 「将来を見据えたキャリア形成」が軸の例文

私は「将来を見据えたキャリアアップ」を転職活動の軸としています。長期的なキャリア形成を目指しており、貴社での専門性の向上とスキルアップが可能だと感じています。過去に複数の専門的資格を取得し、それが前職での成果に直結しました。貴社でさらにその専門性を深め、価値のある成果を創出したいと考えています。

将来を見据えたキャリア形成を軸とする場合は、自分がどのように人間になりたいのか、転職先の企業でどのような成長を見据えているのかを伝えましょう。このとき、自分がやりたいことだけでなく、企業にとっても利になるよう、自分の経験・スキルをどう生かせるかアピールすることも重要です。

まとめ|転職活動の軸が見つからないときはご相談ください


この記事では「転職活動の軸」について解説してきました。

まずは自分の本心に従って「転職活動の軸」を考えてみてください。ただし、自分の経験やスキル、また面接の場で企業が魅力として感じづらい軸については、ある程度調整する必要があります。

そのため、自分が転職活動をする本音の「本心の軸」と、面接の場で伝えるための「面接用の軸」の2パターンで考えてみても良いでしょう。このとき、面接用の軸も自分が本来望んでいるものを用意してください。

「こだわり条件の設定内容が現実的かどうかの判別が難しい」というケースも考えられます。その場合は周りに相談してみたり、専門家に相談してみたりするのも一つの手です。このとき、現職の同僚や上司への相談はトラブルの要因にもなるので、なるべく避けましょう。

もし専門家に相談したい場合は、転職エージェントといった「転職活動支援サービス」の利用がおすすめです。ハイクラス転職のJACでは「軸の選定」を含めた自己分析のお手伝いから、書類の作成、面接対策、退職交渉まで転職に必要なことがらを一通りサポートしています。

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