55歳で転職は厳しい?|同年代の転職動向と成功事例を解説

公開日:2024/12/20 / 最終更新日: 2024/12/20

転職活動では、自分の年齢において求められる能力や経験を踏まえたうえで、的確にアピールすることが成功の鍵となります。特にキャリアの終盤に差し掛かっている55歳の方の場合は、20代や30代の方と求められる要素が異なるため、具体的にそれらの要素を把握しておく必要があります。

そこで今回は、55歳の転職動向や、転職を成功させるためのポイントをハイクラス転職のJAC Recruitment(以下、JAC)が紹介します。

成功事例も3つ紹介しているので、転職活動を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

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・55歳の転職は一般的には難しいと考えられる
・60歳以降はより厳しくなるため転職のラストチャンスと捉える

結論として、55歳での転職は簡単なものではありません。スキルや経歴に対するハードルが高く、管理職や取締役といった役職以外は、55歳以上の方を対象とした求人があまり多くないためです。

しかし、55歳以上だからといって「絶対に転職は不可能」というわけではありません。以下の2点を理解したうえで、適切な対策を行い、理想の転職をかなえましょう。

55歳での転職は企業が求めるスキルや経験のハードルが非常に高くなるため、一般的には難しいと考えられます。管理職や取締役、CFOといった役職の求人が多く、これらのポジションには相応の経歴やスキルが求められます。
これまでのキャリアでマネジメント経験や高度な専門知識を積み重ねてきた人であれば、経験を生かして転職することは可能ですが、そうでない場合は厳しい現実が待っています。企業としても、55歳の人物には即戦力としての高い期待を持っているため、経験やスキルの面で若手に劣る場合は、内定を勝ち取ることが難しいです。

企業側の立場になって考えてみると「同じスキルセットであれば、若くて柔軟性があり、将来性のある人物を選ぶ方が合理的」と判断されることが理解できます。
従って、55歳の方が転職を成功させるためには、自分のスキルと経験を生かせる企業を選び、即戦力として活躍できることを明確に示す必要があります。

55歳前後での転職は、60歳以降に向けた最後のチャンスと捉えるべきです。60歳を超えると年収が大幅に下がる可能性が高く、年齢を理由に選考から外されるケースも増えていきます

そのため、55歳での転職は「キャリアや収入を安定させるためのラストチャンス」と位置付けられます。「なぜ転職したいのか」「その転職は現実的か」を冷静に見つめ直しましょう。

また、転職活動は、現職を続けながら行うことを推奨します。もしも転職がうまくいかなかった場合でも、職を失うリスクを回避できるからです。現職にコミットしながら転職活動をするのは大変ですが、転職の成功率を鑑みると「退職して、転職活動に専念する」という選択肢は危険といえるでしょう。


・【55~59歳】勤務している人のうち、転職者の割合は男性5.7% 女性7.3%
・【55~59歳】転職による賃金変化の動向
・【55~59歳】転職した理由
・【55~59歳】前職の勤続年数

続いて、55歳の方の転職動向を厚生労働省のデータをもとに解説していきます。

多くの方が興味を持つ「賃金がどのように変化するのか」をはじめ、転職した理由や前職の勤続年数などについても解説していくため、ぜひ参考にしてみてください。

転職者の割合50~54歳55~59歳60~64歳
男性(総合)5.1%5.7%11.4%
男性(一般労働者)4.5%5.0%8.9%
男性(パート)16.7%18.4%25.6%
女性(総合)9.6%7.3%9.4%
女性(一般労働者)8.2%6.1%8.1%
女性(パート)11.4%8.5%10.3%

出典:厚生労働省「令和4年雇用動向調査結果の概況」3転職入職者の状況(1)年齢階級別転職入職率 を参考に作成

上記は、厚生労働省が集計した「転職入職率」の表です。この表における転職入職率とは「従業員全体の内、令和4年に採用した転職者の割合」となります。

55~59歳の勤務者のうち、転職者の割合は男性で5.7%、女性で7.3%となっています。例えば従業員が100人いる会社の場合、男性は5~6人、女性は7~8人が転職で入社している、ということになります。また、パートとして入社した人は男性が18.4%、女性が8.5%となっており、55歳前後からは雇用形態にこだわらずに仕事を選ぶ人も増えていることが伺えます。

賃金の変動50~54歳55~59歳60~64歳
増加24.9%29.1%16.2%
減少36.1%39.9%63.7%
変わらない37.4%28.4%19.6%

出典:厚生労働省「令和4年雇用動向調査結果の概況」3転職入職者の状況(3)転職入職者の賃金変動状況 表6 転職入職者の賃金変動状況別割合 を参考に作成

上記は厚生労働省が集計した、転職前後による賃金変動のデータとなります。
55~59歳では、転職後に賃金が減少する割合が多くなっており、「増加」が29.1%、「減少」が39.9%と、収入が減少する人が比較的多いことがわかります。60歳以降ではその傾向がさらに顕著となり、賃金低下の割合が63.7%と大きく変動します。これは、60歳を過ぎると定年退職や再雇用制度による影響で、給与が大幅に引き下げられるケースが多く、収入の維持が非常に難しくなるためです

以上のことから、55歳前後での転職が最後の収入UPの機会となることが多く、転職を考える際には、より慎重な判断が求められるといえます。

転職した理由男性女性
仕事の内容に興味を
持てなかった
4.7%8.4%
能力・個性・資格を
生かせなかった
3.4%3.9%
職場の人間関係が
好ましくなかった
4.8%12.1%
会社の将来が
不安だった
5.3%4.6%
収入が少なかった12.1%5.7%
労働時間、休日等の
労働条件が悪かった
3.5%7.4%
結婚0.0%
出産・育児
介護・看護0.6%2.2%
その他個人的理由16.3%23.3%
定年・契約
期間の満了
8.3%9.6%
会社都合11.2%10.7%
その他理由
(出向等を含む)
26.9%10.3%

出典:厚生労働省「令和4年雇用動向調査結果の概況」3転職入職者の状況(2)転職入職者が前職を辞めた理由 表5 転職入職者が前職を辞めた理由別割合 を参考に作成

上記は、55~59歳の「転職した理由」を厚生労働省が集計したデータとなります。男性は「収入が少なかった」が12.1%、女性は「職場の人間関係が好ましくなかった」が12.1%と、目立って高い数値になっています。

そのほかにも「仕事の内容に興味を持てなかった」が男性で4.7%、女性も8.4%と高いことから、やりがいを求めて転職する人が比較的多いことが伺えます。

前職の勤続年数50~54歳55~59歳60~64歳
6ヵ月未満14.7%9.8%6.0%
6~12ヵ月10.6%9.4%3.1%
1~2年13.1%17.3%7.4%
2~5年19.9%18.1%12.1%
5~10年14.0%8.3%14.4%
10年以上27.4%36.6%56.7%

出典:厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」〔個人調査〕1 直前の勤め先及び現在の勤め先の状況 (2)直前の勤め先の通算勤務期間 表12 性・年齢階級・現在の勤め先の通算勤務期間階級別転職者割合 を参考に作成

上記は転職した人を対象に集計した「前職の勤続年数」のデータです。55~59歳では「10年以上」が36.6%と多数を占めるなど、「長期にわたって同じ企業で働いてきた人が多い」ことがわかります。
しかし、一方で「6ヵ月未満」が9.8%、「6~12ヵ月」が9.4%、「1~2年」が17.3%と、短期間で再転職を目指す人も少なくありません。

このことから、55~59歳の方が転職を目指す際は、前職での勤続年数が短くとも大きな問題ではなく、スキルや経験を重視される傾向にあると考えられます。


1. 55歳の転職者に対して求められる要素を理解する
2. 条件にこだわりすぎない
3. 転職エージェントを利用する

55歳での転職を成功させるためには、同年代の転職者に対して企業が求める要素を把握しておく必要があります。

55歳となると、年齢的に100%自分の思いどおりの条件の求人に応募できるとは限らないため、ときには条件を妥協しなければならないこともあるでしょう。
また、55歳の方を対象とした求人は、取締役や管理職など重役関係が多くなることから、求人が非公開である確率も高まります。そのため、スムーズに転職活動を進めるためには、転職エージェントの利用を検討することが大切です。

それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。

55歳での転職を成功させるためには、企業が自分に何を求めているのかを理解することが不可欠です。
一般的に55歳の転職者には管理職や経営に近いポジション、つまり取締役、CFO、マネージャーなどの役職が期待されます。こうした役職には、相応の高い年収を支払う必要があるため、その年収に見合う人物かどうかを入念に確認されます。そのため、それなりの準備が必要です。

これまでの業績や実績を、具体的なデータやエピソードを用いて説明し、どのように企業に貢献できるかを明確にアピールしなければなりません。

条件にこだわりすぎると、転職がスムーズに進まないでしょう。
55歳の転職となると、前述したような取締役、CFO、マネージャーなどの役割が考えられますが、自分の経歴やスキルがその職種に求められる水準に達していない場合は、年収が下がることを許容する必要があります

収入の向上だけでなく、職場環境の改善や新しいチャレンジを求めている方の場合、状況によっては非正規雇用や契約社員といった選択肢も視野に入れることで、自分のスキルを生かせる環境を見つけやすくなるでしょう。
55歳の転職では自分の経歴やスキルを冷静に見直し、それに見合った現実的な条件を設定することが必要です。条件にこだわりすぎると、選択肢を狭めてしまいます

これまでの経験やスキルを整理し、現実的な視点で条件を調整していくことが成功の秘訣になります。

55歳での転職では取締役、CFO、マネージャーなどの役割を目指す方が多いですが、これらの経営に近いポジションは公開求人では募集されていないことが多いです。従って、場合によっては転職エージェントの利用も検討しましょう。

転職エージェントは非公開求人を保有していることが多く、さらに企業の採用担当者と直接つながっていることも多いため、思わぬ好条件の求人を紹介してもらえることもあります。また、企業の採用担当者と関わりがあるエージェントは、担当者に直接アプローチしてくれるため、選考において有利になる可能性もあります。

年齢が上がると、経験の積み重ねとスキルの習熟により経営に近いポジションを狙えるようになる一方で、応募できる公開求人は基本的に減っていくものです。従って「年齢層が高くなるにつれて、転職エージェントの重要性が増す」と覚えておきましょう。


1. 自らの強みを的確に理解し、生かせる人
2. 柔軟な姿勢を持ち、学習意欲がある人
3. 人間関係を大切にし、幅広い人脈を築いている人

55歳での転職を成功させやすい人の特徴は大きく分けて3つ存在します。

自らの強みを的確に理解し、それを最大限に生かせる人は、55歳でも転職を成功させやすいです。転職を成功させるためには、長年のキャリアの中で培ったスキルや経験はもちろんのこと、自分の得意分野や実績を明確に把握していなければなりません
自己理解が深いと、管理職としてのリーダーシップやマネジメント能力、専門知識に基づいた業務遂行力、あるいは危機管理能力など、自分が企業にどのような価値を提供できるかを具体的に示せます

また、自分の強みを理解することで、転職先の企業文化やニーズとの適合性も的確に判断できるため、自分に合っていない企業を選んでしまうリスクも低減できるでしょう。

柔軟な姿勢を持ち、学習意欲があることは55歳の方が転職を成功させるために必須であるといえます。技術の進化が速い現代社会においては、転職後、これまでのスキルが全て通用するわけではありません

従って、最新の知識や技術を習得する姿勢が求められます。また、55歳の方はこれまでさまざまな経験を積み、スキルも豊富である一方、自分の考えに固執してしまうこともあり、採用担当者もその点を懸念しています。

たとえ自分より若く、経験が少ない人の意見でも、柔軟な姿勢を持ち、積極的に耳を傾けることができる人物は高く評価されるでしょう。よって、自己PRや志望動機において「成長意欲」と「柔軟な姿勢」を示すことが、55歳の転職では重要です。

人間関係を大切にし、幅広い人脈を築いていることは転職活動において有利です。人間関係が良好であるということは、人柄が良く、柔軟な姿勢を持ち、さまざまな考え方を受け入れられると推察できるからです。

また、幅広い人脈があると入社後、企業が取引を行う際に、人脈を活用できることもあります

特に、中小企業やベンチャー企業など、まだ規模が小さく成長を目指している企業や、取引先の顧客を増やしていこうとしている企業の興味を引けることでしょう。


1. 55歳で新たな挑戦、コンサルタントへ転身|男性/50代半ば
2. 地方のスタートアップITベンチャーへ|男性/50代前半
3. 上場企業のCFOへ転職|男性/50代前半

55歳前後の方で転職を成功させた事例を3つ紹介します。

どのような理由で転職したのか、どのような目標を持っていたのか、そして転職活動において何を意識し、何をアピールポイントとしたのか、参考にしてみてください。

55歳で中小製造業の工場管理職から製造業コンサルティング会社のコンサルタントに転職を果たしたK.Mさんの事例を紹介します。

K.Mさんは大手メーカーで経験を積んだ後、中堅メーカーに転職し、生産拠点の管理職として勤務していました。経営と現場改善にも参画していましたが、これらの経験を製造現場の改善に役立てたいと思い、転職を検討。55歳という年齢を考え、転職活動は難航すると考えられました。しかし、コンサルタントが「求人をK.Mさんに紹介する」方法ではなく「企業の課題解決のために最適な人物としてK.Mさんを企業に紹介する」という手法を取ったことで、転職は着実に進むことに。
面接本番もコンサルタントが同席し、第三者的な目線でアドバイスを受けた結果、スムーズに意思決定ができ、迷いなく転職先を決めることができました。

55歳という年齢になると、ただ現場で働くだけでなく、マネージャーなどの管理職としてチームをまとめるほか、経営に関して適切なアドバイスを提供できる人物が評価されます。
また、特にコンサルタントという職種においては、課題を改善することが求められるため、よりいっそう「企業の課題を解決できる」という観点からのアピールをすると良いでしょう。

>>50代の転職成功事例|55歳で新たな挑戦、工場管理職からコンサルタントに転身

50代前半で、日系製造業の取締役CFOから、ITのスタートアップベンチャー企業の取締役へと転職を果たしたSさんの事例を紹介します。

前職では、地方の大手製造業にて20年近く勤めていたSさん。最後は役員まで担当し、上場にも寄与したため、「やりきった」という達成感がありました。しかし「もう一度小さな組織からチャレンジしたい」という気持ちが出てきたことで、転職活動を開始しました。
IT業界の経験はなかったものの、上場しようとしている企業で自分の経験が生かせること、社長を含めて全役員と対面で会うことができたことから、社員の人柄や考え方、社風に強く共感するに至りました。その結果、「この会社で自身のスキルを生かしたい」と思い、中国地方のスタートアップベンチャーでの役員というオファーを承諾しました。

Sさんは、「叩き上げで取締役にまで上り詰めた」という素晴らしい実績をお持ちの方であるため、やりがいを重視した転職例といえます。50代となると、役員クラスの経験を持っている場合があり、それが転職先の企業で生かせると判断された場合は、業界未経験でも転職可能なケースが存在します
これは、役員が担当する業務は必ずしも「専門的なスキルが必要」というわけではなく、どちらかというと、別の企業での役員経験の方が重視される傾向にあるためです。

従って、上記は「50代の転職で未経験業界は厳しい」という一般論に当てはまらないケースであるといえるでしょう。

>>管理職の転職成功事例|もう一度小さな組織から、地方のスタートアップITベンチャーへ

50代前半で上場企業のCFOから別の上場企業のCFOへの転職を果たしたSさんの事例を紹介します。

Sさんは銀行、ベンチャーキャピタルを経験後、上場ベンチャー企業のCFOを経験し、ポートフォリオの多様化を課題としてM&Aを策定、実行してきました。買収がひと段落つき、次のキャリアの選択肢を探るために転職活動を開始。前職においては「業績悪化を食い止める役割」を担いましたが、「次の会社では成長フェーズを支えたい」と考え、企業向けサービスを手掛けるX社に興味を持ちました。

X社はプライム市場への上場を果たしているものの、成長過程にある会社でした。次の成長に向けて加速するためにM&AやCVCなどを検討しているとのことで、経験者であるSさんには最適な求人といえました。その後Sさんは、経営状態や今後の計画についてIR資料の確認や、転職エージェントの担当者から、直接社長の情報を伺うなどの情報収集を行い、最終的に面談を経て入社を決意しました。

上記は、CFOとして企業上場の経験をした方が、M&AやCVCを検討している企業への転職を果たした一例です。このように、役員クラスの方が転職を目指すとなると、「ともに会社を引っ張っていく、社長のような役員クラスの考え方や、人となり」が重視されます。

豊富な実績がある方は、「選ばれる」立場であると同時に「選ぶ」立場でもあります。転職エージェントのコンサルタントなど、社長と実際に関わりがある人から話を伺い、「考え方が近いかどうか」「お互いに尊敬できる相手かどうか」を事前に確認することを推奨します。

>>50代の転職成功事例|企業の成長フェーズを支えたい、上場企業のCFOに転職


本記事では、転職を目指す55歳の方向けに、転職で必要とされる要素や同年代の方の転職における傾向を解説し、転職の成功事例も紹介しました。

55歳の方が転職を成功させるためには、自身の経験を生かせるポジションを探す必要があります。ときには、転職サービスを利用して非公開求人も含めつつ探すことが肝要です。

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55歳での転職でお悩みの方は、ぜひ一度、JACのコンサルタントにご相談ください。

この記事の筆者

株式会社JAC Recruitment

 編集部 


当サイトを運営する、JACの編集部です。 日々、採用企業とコミュニケーションを取っているJACのコンサルタントや、最新の転職市場を分析しているJACのアナリストなどにインタビューし、皆様がキャリアを描く際に、また転職の際に役立つ情報をお届けしています。