50代の転職活動における同年代の動向・成功させるコツを解説

公開日:2024/07/16 / 最終更新日: 2024/10/16

50代の転職は、一般的に年齢がネックになり厳しい傾向があるといわれています。しかし、50代の転職もしっかりとした下準備をして臨めば内定を得ることは可能です。そのためには、50代の転職市場の現状を知り、対策することが大切です。

この記事では、50代の転職市場動向を公的機関のデータをもとにまとめています。

また、50代が転職を成功させるポイント、注意点、50代の方の成功事例をハイクラス転職のJAC Recruitment (以下、JAC)が解説します。

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ここでは50代の転職動向についてみていきます。総務省統計局および厚生労働省発表の統計をもとに解説していきます。

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出典:総務省統計局. 「就業構造基本調査 / 令和4年就業構造基本調査 / 結果の要約・概要・主要統計表」. 2023年07月.

50代は全体としては、正規雇用で働く方が40代よりも少なくなり、非正規雇用が他の世代に比べて多くなっているのが特徴です。また、50代は会社役員として働く方が他の世代と比較して最も多くなっています。

出典:厚生労働省. 「令和2年転職者実態調査の概況」. 2021年11月.

こちらでは、直近の勤務先をどのくらい働いてから転職しているのかを見てみます。

50代は、「5年から10年」「10年以上」働いている人を合計すると4割近くになるため、やはり長く働いて転職を考える方が一番多いようです。

ただ、「2年以上5年未満」が約2割であるだけでなく2年未満働いていて転職した方の割合が他の世代に比べて高めなので、転職を重ねて、再度転職という方も少なくはないといえるでしょう。

出典:内閣府. 「国民生活に関する世論調査(令和4年10月調査)」. 2023年01月.

50代が現職で働いている理由についてみてみましょう。

働く目的は、全世代でお金を得るためが最も多いですが、50代は「社会の一員として務めを果たすため」という目的をもった方の割合が他の世代と比べて高くなっています。

50代になると、自身のキャリアや経験も集大成になってきます。また、子どもが独立したり、親に介護が必要になったりするなど、自分に近い人間関係にも変化が生じます。家族や社会に対する貢献や支援の必要性を感じたことが、転職に反映されるのかもしれません。


こちらでは、50代の転職活動方法の統計をみていきます。

出典:厚生労働省. 「令和2年転職者実態調査の概況」. 2021年11月.

50代の、直前の勤め先を離職してから現在の勤め先に就職するまでの期間を見てみましょう。「離職期間なし」「1ヵ月未満」を合計すると約4割になりますが、合計が過半数を占めていた他の世代と比較するとぐっと少なくなります。

一方で「10ヵ月以上」が50代前半・後半ともに5%以上と他の世代に比べて多くなり、離職理由はさておき「離職はしたが転職先が決まらない」といった状態が増えてきていることを示しています。

出典:厚生労働省. 「令和2年転職者実態調査の概況」. 2021年11月.

50代前半の前職を退職した離職理由をみてみると、「人間関係がうまくいかなかったから」という理由が他の世代よりも増えてくるのが特徴です。「安全や衛生等の職場環境がよくなかったから」も増加し、働くための環境に対する不満が増えてきたものといえます。

また、「介護・看護のため」「病気・怪我のため」という理由が他の世代よりも増加します。

出典:厚生労働省. 「令和2年転職者実態調査の概況」. 2021年11月.

50代後半になると、「満足のいく仕事出なかったから」「賃金が低かったから」など、業務そのものに対する不満がまた離職理由の上位に戻ります。

55歳から59歳では、会社の都合による離職の割合が多くなってきています。倒産・整理解雇・人員整理による勧奨退職、出向がきっかけになっての退職のほか、55歳から59歳では早期優遇退職制度による退職の割合が増えてきます。

これらのことから、50代は自分の技能・能力を生かせるかどうかで転職先を選ぶ傾向が高い世代といえそうです。

出典:厚生労働省. 「令和2年転職者実態調査の概況」. 2021年11月.

50代が転職した際に、現在の勤め先を選んだ理由についてみてみます。

「仕事の内容・職種に満足がいくから」「自分の技能・能力が生かせるから」という理由がそれぞれ4割を超えます。これらのことから、50代は自分の技能・能力を生かせるかどうかで転職先を選ぶ傾向が高い世代といえそうです。


ここでは、50代の賃金動向について紹介していきます。

出典:厚生労働省.「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」. 2024年03月.

上記は50代前半、後半の方の平均月収を示した表です。厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」によると、50代前半は371,100円、50代後半は376,400円となっており、50代後半になるとほぼ横ばいになったことが分かります。

出典:厚生労働省.「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」. 2024年03月.

上記は学歴別に平均月収を示したグラフです。

大学卒、院卒の給料の高さがよく分かりますが、大学院卒で50代後半の平均月収は約53万円と、40代と比較してもかなり伸びました。また、高卒、高専短大卒、専門学校卒の給料はそれぞれ有意な差がついてきました。

出典:厚生労働省.「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」. 2024年03月.

上記は、50代の方で業種別の平均月収を比較したグラフです。

最も平均月収が高いのは「電気ガス水道業」の520,950円となり、各業種の中で唯一50万円を突破しています。続いて、「学術研究・専門・技術サービス業」や「情報通信業」などが続き、「建設業」までの企業が40万円超えとなりました。


こちらでは、50代で転職に成功された方の事例を2つご紹介します。

Sさん(男性/50代前半)

業 種
中堅サービス企業
大手メーカー

職 種
アーキテクト
データエンジニア

年 収
850万円
1,000万円

SさんはこれまでSIerや事業会社など5社以上を経験していますが、一貫してデータベース関連業務に勤務していました。会社がIT投資を縮小し業務が減少したことを機に、転職を決意。コンサルタントから条件に合う求人20~30社を得ましたが、思いがけない選択肢として大手メーカーのA社がありました。Sさん自身A社の製品を愛用しており思い入れがあるため、挑戦。専門スキル・マネジメント経験がある点、技術を高めていきたいという志向性がA社の求める人物像に合っていたためA社に転職が決まりました。年収も150万円アップになり、蓄積したデータベーススキルで貢献できています。

【データエンジニアの転職事例】50代で大手メーカーの新規部門に転職し年収150万円アップ

Yさん(女性/50代前半)

業 種
大手メーカー
大手メーカー

職 種
管理部門の課長職
管理部門の部長職

年 収
1,100万円
1,500万円

Yさんは大手メーカーの管理系部門で課長職であり、会社に不満はありませんでした。しかし、50代を迎えこの先に行き詰まりを感じ、新しいチャレンジのため転職を決意。現職とは異なる業種の大手メーカーB社をコンサルタントから紹介されました。B社は、女性活躍を推進するロールモデルとなる女性幹部の登用を考えており、Yさんの「英語力」「グローバルでの経験」「経営トップに近い立場での経験」がB社の要件とマッチしていたため採用に。年収は400万の大幅アップを獲得することができました。また、B社にはYさん以降も女性管理職を積極的に登用する風土が醸成されました。

女性管理職の転職成功事例|男性社会の企業へ女性活躍のロールモデルとして転職

事例のように、50代が転職活動を成功させるためにはどのようにすればよいのでしょうか。5つのポイントをご紹介します。

50代は求人数がぐっと限られてきます。そのため、自分の転職人材としての市場価値をしっかり把握しましょう。

企業が50代の転職希望者に求めるのは、長年培った豊富な経験、実務スキル、高いコミュニケーション能力、マネジメント能力などです。

若手と差別化できる自分の強み・専門性・アピールポイントはなんなのか、自分自身がしっかりまとめておきます。

また、50代は求人数が少なくなってくるので、自分の強み・スキルや専門知識が即戦力として生かせる業種・職種を選ぶことが転職に成功しやすくなるポイントです。

50代で転職する場合は、現在応募する企業を退職したあとの長期的なキャリアについて考えつつ、転職先を選ぶことが大切です。

企業が定める定年年齢は60代前半ですが、その前に役職定年があって給与が下がることもあります。応募する企業でどのくらい働く予定なのか、正規雇用で働くのか、もしくは再雇用制度で働くのか、定年で辞めてそのまま働かないのかなども考えておきましょう。そのためには、応募企業先の定年制度、再雇用制度、勤務延長などを前もって調べておくことが望ましいです。

また、60歳の定年までに倒産してしまわないよう、企業の財務状況もしっかりみておきましょう。

50代で転職をする際は、選べる求人数が多くはないため、転職の希望条件には優先順位をつけることが大切です。年収・やりがい・待遇などの検討項目の中で優先すべき価値観はどれか自分の中で明確にし、優先順位の高い要素を満たす企業を探します。

ただし、年収・役職にこだわりすぎないことも大切です。

50代は豊富な経験があるため、他の年代より年収やポジションが高いことが多いでしょう。しかし、企業によって役職の定義や裁量権の範囲が違いますし、企業側から見れば、50代は勤務期間が短いため、年収・ポジションにこだわると転職の難易度が上がります。

そのため、50代の転職では、年収・役職よりも、自分の経験・スキル・強みが最大限に生かせる仕事に就くことのほうが満足度高く働ける可能性も高いです。

50代の転職者が企業から高く評価されるスキルは、マネジメント力やリーダーシップ力です。少子高齢化の影響で、社内に管理層の人材が不足しているケースも少なくなく、組織を管理する能力、部門やチームのトップとして実績を積んだ経験が重宝されます。

また、比較的新しい企業や経営幹部が若手である会社は、ベテランである転職者に「若年層を次世代のマネージャーとして育成してほしい」「スキルを伝承してほしい」といった希望をもっています。

そのため、マネジメント、リーダーシップの経験やスキルがある50代は、転職先もスムーズに決められることも多いです。その経験があれば、ぜひ生かせる転職先を探し、積極的にアピールするとよいでしょう。

50代ハイクラス転職の実情ー成功のポイントや年収傾向などを解説

転職活動を成功させるためには、転職エージェントなどの専門家の助力を借りることが有効です。

転職エージェントでは、50代の各業界での転職動向、企業の詳細なニーズを熟知し、また多くの50代の方の転職もサポートしてきています。そのため、第三者の視点からの的確なアドバイスをもらえ、自分のライフプランにあった求人紹介、また、非公開求人も紹介してもらえます。

また、職務経歴書の添削、企業との日程調整、面接対策も含めた転職活動全般のサポートがあるため、時間短縮もでき、転職活動に集中できます。

特に、管理職や技術職、専門職といったより高度な転職を実現させたいケースでは、それらの分野に特化した転職エージェントにサポートしてもらうのが成功への近道となるでしょう。

転職エージェント

こちらでは、50代が転職活動で注意したほうがよい2つのポイントをご紹介します。

50代の方は、過去の経歴や実績が豊富であることが多いです。しかし、過去の経歴・実績はアピールには使いますが、固執するのは避けるのがよいでしょう。

過去を基準にしてしまうと、転職求人をみても、無意識に仕事内容や業界を選別してしまいます。また、過去の固定観念に捉われてしまうと、面接においても「自社になじめないのではないか」という印象をもたれやすいですし、柔軟性がないと新しい環境の変化に対応していくことが難しくなります。

転職は新しいスタートになります。新しい変化に柔軟に対応できることが、50代には特に求められています。柔軟性をもって対応していきましょう。

50代の場合は、会社を辞めてから転職活動を行うのはリスクが高いので、在職中に行うようにしましょう。収入が途絶えてしまうと余裕がなくなり、焦って転職先を選んで失敗してしまう恐れがあるからです。

働きながらの転職活動は思うように時間がとれないという面もあるかもしれませんが、現職があれば「転職しない」という選択肢ももつことができます。そのため、在職中のまま転職活動を行うようにしましょう。

仕事をしながら1人で転職活動ができるか不安といった場合は、転職エージェントの助けを借りるとよいです。

転職準備

50代で転職活動を行う上で大切なことは、自分の市場価値を知り、自分の能力やスキルを生かせる転職先を長期視点も考慮したうえで選択することです。

しかし、転職活動を進める中で、「自分のやり方が正しいだろうか」「もっと効率的に進められるのではないか」と思うこともあるでしょう。そのようなときは、50代やエグゼクティブの転職サポート実績が多数ある私たちJAC Recruitment にご相談ください。

レジュメ作成・面接対策といった転職活動のサポートはもちろんのこと、長期的なキャリアプランを的確にコンサルティングいたします。

この記事の筆者

株式会社JAC Recruitment

 編集部 


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