40代の転職は、20代や30代に比べると厳しいと言われますが、実はしっかりとした下準備をして臨めば希望に近い転職にすることも大いに可能です。そのためには、転職市場の現状を知り、対策することが大切です。
こちらの記事では、40代の転職市場動向を公的機関のデータをもとにまとめています。
また、40代が転職を成功させるポイント、注意点、40代の方の成功事例をハイクラス転職のJAC Recruitment (以下、JAC)が解説します。
転職を検討中ですか?
今現在、
- 自分の市場価値を知りたい
- 今後のキャリアをどうするか整理したい
- 転職活動を無駄なくスムーズに進めたい
上記のようなお困りごとがございましたら、私たちJACへ相談してみませんか?
各業界に特化した専任コンサルタントが、あなたの転職をサポートします。業界における市場価値はもちろん、レジュメの効果的な書き方、面接対策、企業傾向の情報収集など、JACのコンサルタントにご相談ください。
転職活動の進め方を相談する
目次/Index
40代の転職市場動向|雇用形態、転職者の勤続年数など
こちらでは40代の転職動向についてみていきます。総務省統計局および厚生労働省発表の統計をもとに解説していきます。
40代の雇用形態の割合
令和4年 40歳から49歳の有業者の内、雇用形態の割合
出典:総務省統計局. 「就業構造基本調査 / 令和4年就業構造基本調査 / 結果の要約・概要・主要統計表」. 2023年07月.
40代は、有業者(収入を得ることを目的として仕事をしている人)が多い世代です。特に男性はどの世代よりも有業率が高く、働き盛りといえます。
40代は全体としては、正規雇用で働く方が最も多く、非正規雇用も他の世代に比べて多いのが特徴です。また、会社役員として働く方が増えるのも40代ならではです。
現職または前職の通算勤務期間
令和4年 40歳から49歳の転職者の直前の勤め先の勤続年数
出典:厚生労働省. 「令和2年転職者実態調査の概況」. 2021年11月.
こちらでは、直近の勤務先をどのくらい働いてから転職しているのかを見てみます。
40代は、「5年から10年」「10年以上」と5年以上働いた人の合計が全体の約4割を占めます。一方、「2年から5年」の割合が最も多くなっています。これは、「前回転職をしたうえで、再度転職した」という例で、約3割となっています。
40代が現職で働いている理由
平成30年 40歳から49歳の働いている理由
出典:内閣府. 「国民生活に関する世論調査(令和4年10月調査)」. 2023年01月.
働く目的は、全世代で「お金を得るため」が最も多いですが、40代は「生きがいをみつけるため」という目的をもった方の割合が他の世代と比べて高くなっています。
厚生労働省の「簡易生命表(令和4年)」によると、2022(令和4)年の日本人の平均寿命は男性が81.05歳、女性が87.09歳です。
平均寿命が80歳以上となった現代では、40代は折り返し地点にあたります。一方で、定年退職を60歳とすると、それまでには10年以上あります。 そのため、「もっとやりがいがある仕事があるのではないか」と考え、やってみたい仕事や新しい仕事に挑戦しようという意欲が高くなりやすいのかもしれません。
40代の転職活動方法|期間・退職理由など
前職離職後に現在の職場に転職するまでの期間:離職期間なし・1ヵ月未満が多い
平成30年 40歳から49歳の転職者の離職期間
出典:厚生労働省. 「令和2年転職者実態調査の概況」. 2021年11月.
40代の、直前の勤め先を離職してから現在の勤め先に就職するまでの期間を見てみると、「離職期間なし」「1ヵ月未満」がそれぞれ3割以上です。40代は結婚や子育てが忙しい時期でもあり、収入が途絶えてしまうことをできるかぎり限り避ける傾向にあるようです。
また、「1ヵ月以上2ヵ月未満」「2ヵ月以上4ヵ月未満」の割合も高いことから、じっくり時間をかけて転職活動をしている可能性があります。
前職を退職した理由
令和2年 40歳から44歳の前職の離職理由
出典:厚生労働省. 「令和2年転職者実態調査の概況」. 2021年11月.
40代前半の前職の離職理由みてみると、「労働条件(賃金以外)がよくなかったから」と「満足のいく仕事内容でなかったから」が同率でもっとも多くなっており、仕事の内容と労働条件のバランスを考えていることが分かります。
続いて「会社の将来に不安を感じたから」といった現状への不満や不安、「人間関係がうまくいかなかったから」という職場環境への不満があり、それらが転職を検討するきっかけになっていると読み取れます。
令和2年 45歳から49歳の前職の離職理由
出典:厚生労働省. 「令和2年転職者実態調査の概況」. 2021年11月.
40代後半の前職の離職理由をみてみると、1番目の「労働条件(賃金以外)がよくなかったから」は40代前半と変わりませんが、「賃金が低かったから」「能力・実績が正当に評価されないから」が上位に来ています。これは業務への不満というより自分自身のキャリアに対する評価がきっかけとなって転職を検討したと読み取れます。
また、40代後半となると倒産・整理解雇・人員整理による勧奨退職、子会社・関連会社への転籍を要請されることも増加し、それをきっかけに転職活動を始める人もいることでしょう。
現在の職場に転職した理由
令和2年 40歳から49歳が転職先を選んだ理由
出典:厚生労働省. 「令和2年転職者実態調査の概況」. 2021年11月.
40代が転職した際に、現在の勤め先を選んだ理由についてみてみます。
「自分の技能・能力が生かせるから」「仕事の内容・職種に満足がいくから」という理由が高くなっており、合計で全体の7割以上を占めます。
これらは、40代は転職によって「自分の能力を使い、さらに伸ばすことができる」「自分がやりたい仕事、興味がある仕事をやりたい」という欲求が他の世代よりも高く、さらなるスキルアップ、キャリアアップを求めているといえるでしょう。
40代の転職活動の収入面・賃金動向|平均月収約34万円
ここでは、40代の賃金動向について紹介していきます。
年齢・学歴別の平均月収比較
令和5年 40歳から49歳の平均月収
出典:厚生労働省.「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」. 2024年03月.
上記は40代前半、後半の方の平均月収を示した表です。厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」によると、40代前半は338,800円、40代後半は355,700円となっており、40代後半になると約20,000円アップしていることが分かります。
令和5年 40歳から49歳の学歴別の平均月収
出典:厚生労働省.「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」. 2024年03月.
上記は学歴別に平均月収を示したグラフです。
大学卒、院卒の給料の高さがよく分かります。特に大学院卒で40代後半の平均月収は約44万円と、高学歴ほど加齢による月収の伸びが良いことも分かります。
また、高卒と高専短大卒、専門学校卒の給料はあまり差が見られませんでした。
業種別の平均月収比較
令和5年 40歳から49歳の業種別の平均月収
出典:厚生労働省.「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」. 2024年03月.
上記は、40代の方で業種別の平均月収を比較したグラフです。
最も平均月収が高いのは「電気ガス水道業」の461,850円となっていますが、「金融業・保険業」がそれにほぼ並びました。そのほか「学術研究・専門・技術サービス業」「情報通信業」といった業界の月収が高くなる傾向は変わりません。
データの引用元:
総務省統計局:就業構造基本調査
厚生労働省:令和2年転職者実態調査の概況
厚生労働省:令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況
40代の転職成功事例集2選
続いて、40代の転職活動の成功事例を紹介していきます。
40代転職成功事例1.製薬業界(MR→マーケへ転向)で年収200万円アップ
Sさん(男性/40代前半)
Sさんは会社で早期退職者募集があったことがきっかけで転職活動を開始しました。コンサルタントの助言もあり、同じMR職でなく、強みである「現場での実践経験」と「キードクター開拓スキル」を生かせるマーケティング職への転職を目指すことに。その結果、これらの強みを生かせる外資系製薬メーカーA社に転職が決まりました。A社は、MR経験に加え、戦略策定経験とキードクター開拓スキルの全てを兼ね備えた人材を求めており、Sさんのキャリアに見事に合致。希望通りの年収で、この先のキャリアプランも描ける環境を手に入れました。
【製薬業界の転職成功事例】40代でMRからエリアマーケティングに転職
40代転職成功事例2.ネット銀行→フィンテック業界メガベンチャーで年収アップ
Mさん(女性/40代)
ネット銀行でデジタルマーケティングに従事していたMさんは、予算縮小のために仕事にやりがいを感じられなくなり、転職活動を開始。当初は大手金融機関を検討していましたが、コンサルタントの提案で、まったく視野にいれていなかったフィンテック業界の有力ベンチャー企業が浮上。同社のパッションあふれる経営姿勢と風通しのよい社風、多様なワークスタイルの魅力に惹かれ入社を決意。転職時は年収30万アップでしたが、3年で部長に昇進したことで当初の1.5倍以上の年収となり、やりがいを持って働けるようになりました。
このように、転職に迷った時に思い切って行動することで、やりがい・年収と両面で満足いく転職をすることも可能です。
【フィンテック業界の転職成功事例】ネームバリューより価値観の一致、メガベンチャーへ転職
40代が転職活動を成功させる5つのポイント
転職活動を成功させるための「40代ならではのポイント」について解説していきます。
成功のポイント1.自分の市場価値を把握し、視野を広げて転職市場を見る
年収アップの転職で成功させたい場合は、同業界異職種、異業界同職種と、視野を広げて転職市場をみることが大切です。
40代の転職でおきやすいミスは、今までのキャリアを生かしたいという思いから、現在と同業界同職種での転職のみにこだわってしまうことです。業界も変えず職種も変えない場合は、変化が少ないため適応はしやすいですが、年収も仕事内容もあまり変わらないことが多いです。
そのため、業界・職種問わず、視野を広げて転職市場をみてみましょう。
転職市場の視野を広げる際には、自分の「市場価値」を把握しておくことが大切です。市場価値とは、自分にある専門性・スキル・経験・実績・マネジメントスキルなどのことです。自分のキャリアの棚卸し、自己分析・他己分析を行うことで、自分の市場価値が把握がしやすくなります。 自分の市場価値を知ったうえで、さまざまな業界・職種に広げて仕事を探すことで、給与体系の違い・職場環境の違いなどにも気がつき、選ぶ選択肢が大きく広がります。
成功のポイント2. 転職に対する希望条件に優先順位をつける
40代で転職をする際は、求人数も限られてくるため、転職の希望条件には優先順位をつけることが大切です。年収・やりがい・待遇・通勤の条件など、全ての条件を満たす求人は残念ながらなかなかありません。
そのため、希望条件を全て叶える募集を探すのではなく、希望条件の優先順位の高い条件を満たす企業から探していくようにすると満足度も高くなります。
これは「なんのための転職なのか?」といった部分と関わってきます。
40代であれば、「子供の教育費がまだかかるから金銭面が重要」「新しい仕事に挑戦したい」「介護の関係で通勤条件は譲れない」など、それぞれの事情があるでしょう。
人によって転職の成功ポイントは違います。家族がいる方は、家族にも転職したい旨を前もって相談しておくことが大切です。「給与は上がったけれど、働く時間が長くなりワークバランスが壊れ、また転職することになった」などの失敗を避けるためにも、しっかり優先順位を決めておきましょう。
成功のポイント3. マネジメント経験を生かせる企業を探す
マネジメントスキルは40代でも注目される傾向にあるスキルです。
そのため、マネジメント経験がある場合は、経験してきたマネジメントの規模・内容・スタイルなどを整理し、そのマネジメント経験が生かせる企業を探すのもよいでしょう。
管理職でなくても、プロジェクトのリーダーとして社内外のメンバーの取りまとめながら業務を遂行したような経験、「プロダクトマネージャー」「プロデューサー」的な役割は企業ニーズが高いです。また、プレイングマネージャーとしての役割を求められるケースも多くなっています。
マネジメントスキルは、業界が異なっても、手法が共通している場合は受け入れられやすい40代ならではのスキルです。経験があるようなら、マネジメント経験が生かせる企業という視点で企業を探すのもよいでしょう。
成功のポイント4. 企業についての情報収集は人間関係まで徹底的に行う
転職活動では、応募先企業についての情報収集が欠かせませんが、求人情報、企業サイト、有価証券報告書、転職サイトの口コミなど幅広い媒体から徹底的に行いましょう。
また、企業の業績や福利厚生、評判といった表面的な情報だけでなく、社風や風土、働く人々の雰囲気など、人間関係に関する情報も重要です。理由は、40代では、能力が高く、仕事内容が合致しても、人間関係がうまくいかないという理由で離職する場合も多いためです。
40代の場合は、この先何度も転職するわけではありません。今回の転職で、将来的に上司や部下、同僚とよい関係が築けそうかどうかを見極めましょう。
そのためには、社内のコミュニケーションやチームワークが自身の価値観や働き方に合致しているか、面接や説明会などで直接現場の雰囲気を感じるチャンスをうまく活用するとよいでしょう。
転職の情報収集はどのようなやり方が良い?必要な情報の種類も解説
成功のポイント5. 転職エージェントなど専門家を活用する
転職活動を成功させるためには、転職エージェントなどの専門家の助力を借りることが有効です。
転職エージェントでは、40代の各業界での転職動向、企業の詳細なニーズを熟知しているため、より自分にあった求人紹介、また、非公開求人も紹介してもらえます。
そのほか、第三者の視点からの的確なアドバイスも得られるため、自分のキャリア整理も進みやすく、かつ自分では思ってもみなかった職種・業界に出会えるチャンスも広がります。
また、職務経歴書の添削、企業との日程調整、面接対策も含めた転職活動全般のサポートがあるため、時間短縮もでき、転職活動に集中できます。特に、管理職や技術職、専門職といったより高度な転職を実現させたいケースでは、それらの分野に特化した転職エージェントにサポートしてもらうのが成功への近道となるでしょう。
40代の転職活動で注意したほうがよい2つのポイント
注意点1. 過去の経歴や実績にこだわりすぎてしまう
40代の方は過去に素晴らしい経歴や実績があるケースも多いですが、転職の際には、過去の実績に誇りをもちつつも柔軟性をもって活動を進めることが大切です。
会社が変われば環境も違う、ミッションも違います。そのため、転職に際しては、新たに一からスタートするくらいの気持ちをもつほうがうまくいきやすいです。
注意点2. 転職の準備活動をおろそかにしてしまう
転職は準備で9割が決まります。仕事には仕事のスキルがあるように、転職にもスキルがあります。
40代は仕事での自信があることも多いため、仕事の延長線上で転職活動を進めてしまう場合がありますが、転職にもマナーがあり、準備のない転職活動は失敗しかねません。
自分を書類上でプレゼンして伝える能力、面接官とコミュニケーションを取り自分の良さをアピールする能力などは、転職ならではのスキルです。
履歴書に誤字脱字がある、職務経歴書に長々と経歴を書き連ねてしまう、面接では面接官に失礼に受け取られる言い回しをしてしまうなどは、意識することで回避できます。そのため、転職活動をはじめたら、分からないことは謙虚に学びつつ、準備をおろそかにせず進めていきましょう。
40代の転職活動についてのまとめ|自分の市場価値を知り視野を広げて活動する
40代で転職活動を行ううえで大切なことは、自分についてのキャリアの棚卸しをしっかり行い、転職市場での自分の市場価値を知り、視野を広げて活動することです。
自分のやり方でうまくいくだろうか、もっと効率的に進められないだろうかと思うこともあるでしょう。
そのようなときは、40代の転職サポート実績が多数ある私たちJAC Recruitment にご相談ください。
レジュメ作成・面接対策といった転職活動のサポートはもちろんのこと、長期的なキャリアプランをプロとして的確にコンサルティングいたします。