30代はキャリアの節目とも言える重要な時期です。多くの方が「今の職場で本当に自分の能力を発揮できているのか」「今後のキャリアプランに合った転職は可能か」といった疑問を持ちはじめます。
この記事では30代の転職市場動向、転職した理由、賃金の変動といったデータから、現代の30代の人々がどのように行動しているのかをハイクラス転職のJAC Recruitment(以下、JAC)が解説していきます。
30代の転職活動におけるポイントや注意点、よくある質問もお伝えしています。30代で転職についてお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。
転職を検討中ですか?
今現在、
- 自分の市場価値を知りたい
- 今後のキャリアをどうするか整理したい
- 転職活動を無駄なくスムーズに進めたい
上記のようなお困りごとがございましたら、私たちJACへ相談してみませんか?
各業界に特化した専任コンサルタントが、あなたの転職をサポートします。業界における市場価値はもちろん、レジュメの効果的な書き方、面接対策、企業傾向の情報収集など、JACのコンサルタントにご相談ください。
転職活動の進め方を相談する
目次/Index
30代の転職市場動向|雇用形態、転職者の勤続年数など
まずは30代の転職市場動向について、総務省統計局および厚生労働省発表の統計をもとに解説していきます。
30代の就業状況の割合
令和4年 30歳から39歳の就業状況の割合
出典:総務省統計局. 「就業構造基本調査 / 令和4年就業構造基本調査 / 結果の要約・概要・主要統計表」. 2023年07月.
上記は30代の有業者(職に就いている人)、無業者(仕事をしていない人)の比率と、無業者の内の就業希望者の割合を表したグラフです。
30代前半と後半では比率にあまり違いはありません。有業者は約86%を占めており、大多数の方が働いていることが分かります。また、無業者も半数以上の方が就業を希望しています。
30代の雇用形態の割合
令和4年 30歳から39歳の有業者の内、雇用形態の割合
出典:総務省統計局. 「就業構造基本調査 / 令和4年就業構造基本調査 / 結果の要約・概要・主要統計表」. 2023年07月.
上記は有業者がどのような雇用形態となっているかを表したグラフです。
正社員が約70%を占めており、多いことが分かります。アルバイト、パートなどの非正規雇用の方は約20%です。
現職または前職の通算勤務期間
令和4年 30歳から39歳の転職者の直前の勤め先の勤続年数
出典:厚生労働省. 「令和2年転職者実態調査の概況」. 2021年11月.
上記は30代の前半・後半に分けて、転職をした方の前職の通算勤務期間を表したグラフです。
勤続年数「2年から5年」「5年から10年」がボリュームゾーンとなっています。この期間が特に多いといった傾向はありませんが、半年未満で転職する方は少数派であることが分かります。
30代の転職となると「どのタイミングで転職するか」は、勤続年数よりも現状や今後を考えて判断することになるのでしょう。
30代が現職で働いている理由
平成30年 30歳から34歳の働いている理由
出典:総務省統計局.「雇用の構造に関する実態調査 / 若年者雇用実態調査 / 平成30年若年者雇用実態調査 報告書 統計表 個人調査」.2020年03月.
上記は30代前半の方が現職で働いている理由について、アンケート形式で集計したものです。3つまでの複数選択自由回答となっています。
グラフの通り、「生活を維持するため」という意見が多数で、約60%の方が回答しています。ほかにも「学費や娯楽費のため」といった、金銭のために働いているという理由も多くみられます。
30代の転職活動方法|期間・退職理由など
続いて、30代の転職活動に関するデータをみていきましょう。
前職離職後に現在の職場に転職するまでの期間は2ヵ月未満が多い
平成30年 30歳から39歳の転職者の離職期間
出典:厚生労働省. 「令和2年転職者実態調査の概況」. 2021年11月.
30代で転職活動をした方で、前職を離職してから転職先へ入社するまでの期間を集計したグラフです。
30代の転職活動では離職期間を作らずにすぐに転職をする方が最も多く、3割を超えています。次に「1ヵ月未満」「1ヵ月から2ヵ月」という回答が多く、転職の際にあまりブランクは作らないようにしている方が多いようです。
前職を退職した理由
令和2年 30歳から39歳の前職の離職理由
出典:厚生労働省. 「令和2年転職者実態調査の概況」. 2021年11月.
30代で転職をした方で、前職を離職した理由について集計した結果です。3つまでの複数回答形式となっています。
離職理由としては、「労働条件(賃金以外)がよくなかったから」が最も多いという結果になりました。「賃金が低かったから」も離職理由の上位にありますが、30代になると労働時間や残業時間、福利厚生など労働環境を重視する方が多いことが分かります。
次いで「会社の将来に不安を感じたから」という結果になりました。会社の将来に対する不安は自分のキャリア形成の不安にもつながります。会社の現状や自分のスキルを勘案し、「転職すると賃金がアップするかもしれない」「もっと良い条件で働ける職場があるかもしれない」と考える人が出てくるころです。
現在の職場に転職した理由
令和2年 30歳から39歳が転職先を選んだ理由
出典:厚生労働省. 「令和2年転職者実態調査の概況」. 2021年11月.
30代で転職をした方で、現在の転職先を選んだ理由について集計したグラフです。最も近い理由を1つ選ぶかたちでの集計となっています。
離職理由と呼応するように、「労働条件(賃金以外)がよいから」が最も多い結果になりました。次いで「仕事の内容・職種に満足がいくから」「自分の技能・能力が生かせるから」を選ぶ人が多く、キャリア形成を重視していることが分かります。
一方で「賃金が高いから」を理由に挙げる人はそれほど多くありません。30代はスキルアップ・キャリアアップの時間、収入はその後から、と考えている人が多いといえるでしょう。
30代の転職活動の収入面・賃金動向|平均月収約30万円
ここでは、30代の賃金動向について紹介していきます。
年齢・学歴別の平均月収比較
令和5年 30歳から39歳の平均月収
出典:厚生労働省.「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」. 2024年03月.
上記は30代前半、後半の方の平均月収を示した表です。厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」によると、30代前半は286,000円、30代後半は314,800円となっており、30代後半になると約30,000円アップしていることが分かります。
令和5年 30歳から39歳の学歴別の平均月収
出典:厚生労働省.「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」. 2024年03月.
上記は学歴別に平均月収を示したグラフです。
大学卒、院卒の給料の高さがよく分かります。特に大学院卒は月収が40万円に届くくらいまで伸びています。
一方で、高卒と高専短大卒、専門学校卒の給料は上昇こそしているものの、20代と同様あまり差が見られませんでした。
雇用形態別の平均月収比較
令和5年 30歳から39歳の雇用形態別の平均月収
出典:厚生労働省.「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」. 2024年03月.
上記は30代の雇用形態(正社員か否か)別の平均月収を示したグラフです。正社員と非正規とでは30代前半では約7万円、30代後半ともなると約10万円の月収の差があり、雇用形態によって大きな違いがあることが分かります。
業種別の平均月収比較
令和5年 30歳から39歳の業種別の平均月収
出典:厚生労働省.「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」. 2024年03月.
上記は、30代の方で業種別の平均月収を比較したグラフです。
最も平均月収が高いのは「電気ガス水道業」の385,750円となっています。そのほか「金融業・保険業」「学術研究・専門・技術サービス業」「情報通信業」といった、よく名前が挙がる業界の月収が高くなっています。
データの引用元:
総務省統計局:就業構造基本調査
厚生労働省:令和2年転職者実態調査の概況
厚生労働省:令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況
30代の転職成功事例集2選
続いて、30代の転職活動の成功事例を紹介していきます。
30代転職成功事例1. 中堅企業から大手企業へのエンジニアの転職で年収70万円アップ
Mさん(男性/30代前半)
30代前半で転職をしたエンジニアのMさんの事例を紹介します。
Mさんは中堅ネット企業でクラウドエンジニアとして6年間勤務していました。しかし、優秀なメンバーが相次いで転職し、自分自身としても現職でのキャリアアップが望めない状況でした。また、半年前に子供が生まれたこともあり、より柔軟な働き方ができる環境での転職を決意しました。
「柔軟に働ける環境」「年収アップ」を求めた転職です。30代では生活の変化に伴い、ワークライフバランスを見直す方も多くなります。また、子供が生まれたことから経済的な観点も重視しています。DX関連のエンジニアの転職は売り手市場で、Mさんはクラウドエンジニアとして大手広告代理店子会社に転職し、年収アップも実現できました。
転職エージェントではご自身の希望条件だけでなくカルチャーやプロジェクトの現状、既に働いている方との親和性まで把握しているため、スムーズに転職活動を進めることができました。
【エンジニアの転職成功事例】柔軟に働ける環境を求めて。年収アップも実現
30代転職成功事例2. コンサルタントから事業会社への転職で年収50万円アップ
Kさん(男性/30代前半)
30代前半で転職をしたコンサルタントのKさんの事例を紹介します。
Kさんはコンサルティングファームで経験を積んできましたが、次のステップとして事業会社でのキャリアを築きたいと考えました。コンサルティング業界から事業会社に移ると年収ダウンとなるケースが多いですが、なるべく年収を維持したいと考え、給与水準が高い製薬業界、金融業界を検討しました。
Kさんはもともとヘルスケア領域に興味があったこと、英語力も生かせることから外資系製薬メーカーを優先候補として、転職エージェントに登録。求人企業の事業戦略や課題、キャリアパスなどの情報を聞き、目指す方向性と合う企業に絞り込んで7社ほどに応募、外資系製薬メーカー・A社から内定を得て入社しました。
コンサルタントとしての経験を積んだ後、ステップアップのために「事業会社での経験を築きたい」という理由での転職です。コンサルタントというポジションは他業界へ転職する際にも役に立つケースが多く、Kさんも異業種への転職に成功しています。
【製薬業界の転職成功事例】コンサルタントから製薬メーカーに転職し、年収アップ
30代が転職活動を成功させる3つのポイント
転職活動を成功させるための「30代ならではのポイント」について解説していきます。
成功のポイント1.いままで培ってきた経験・スキルを生かす
30代の転職では「即戦力」が求められます。そのため、これまでのキャリアで培った経験やスキルを最大限に生かす必要があります。自分がこれまで積み重ねてきた知識と経験をどのように次の職場で生かせるかを考え、それを明確に伝えることが重要です。
過去の職務での実績や、特に評価されたプロジェクトの内容を具体的に整理し、それを新たな職場でどのように活用できるかを考えましょう。また、これまでの経験が新しい職場でどのような価値をもたらすかを面接などで効果的にアピールすることが成功のカギを握ります。
成功のポイント2. 30代の内にキャリアの軸を定めておく
30代での転職活動においては、自分のキャリアの軸を明確に定めることが非常に重要です。何をキャリアの中心に据えるのか、どの業界でどのように働きたいかをしっかりと考え、そのうえで転職先を選ぶ必要があります。
未経験の業界や職種へのチャレンジは年齢を重ねるごとに厳しくなります。特に30代前半は「今後どうしたいか」という点をしっかりと考えて行動しましょう。
キャリアの軸となる要素には、専門性、業界の将来性、興味のある分野などが考えられます。これらを踏まえたうえで、長期的に安定して働ける職場かどうかを見極めることが求められます。自分にとっての価値観とキャリアプランが一致する場所を選ぶことで、転職後の満足度も高まります。
成功のポイント3. ワークライフバランスを考慮した仕事選びをする
転職先を選ぶ際には、残業の有無、休日の日数、フレックスタイム制度の有無など、自分のライフスタイルに合わせた条件を確認することが重要です。また、テレワークやリモートワークが可能な職場を選ぶことで、バランスの取れた生活を実現しやすくなります。
リモートワークは「福利厚生」ではなく「経営戦略」
生産性向上+SDGs目標を実現する手段
30代の転職活動で注意したほうがよい2つのポイント
注意点1. 企業側が30代の社員に求めていることを把握しておく
30代の転職市場では、企業側が求める資質や能力が20代の時とは異なることが多いです。即戦力が求められることが増え、更にはリーダーシップ能力やチームマネジメントのスキル、専門性の高さが必要とされる場合もあります。
30代のポテンシャル採用では、中長期的に会社を支える骨幹としての役割も期待されるため、自己のスキルと経験をしっかりとアピールし、それが企業のニーズとどう適合するかを明確に示すことが必要です。
また、求められる役割に対して、自己のキャリアプランがどのように貢献できるかを考え、面接で具体的なビジョンを語ることができれば、企業側にとって魅力的な候補者となります。 転職活動では「企業側の目線に立って考えてみる」ということを忘れないように、注意して進めてみてください。
注意点2. 自身の成長を怠らないようにする
30代の転職では、今後の成長の可能性も重要視しましょう。30代になるとある程度の経験・スキル・知識が伴ってくるため、現状に満足してしまう方もいます。ですが、自分自身を市場価値の高い働き手として維持するためには、継続的な学習とスキルアップが必要です。
専門性を高めるための資格取得や、新しい技術領域への挑戦、業界の最新動向を学ぶためのセミナーやワークショップへの参加などが対策として考えられます。自己投資を惜しまない姿勢が、転職市場においても自分をより魅力的な働き手として見せることができるでしょう。
30代の転職活動でよくある質問
30代の転職活動でよくある質問と回答を掲載しています。気になる点があればチェックしてみてください。
Q1. 30代からの転職で未経験は厳しいですか?
30代から未経験の分野に転職することは難しくなってきます。
もし、未経験の業界へチャレンジする場合、重要なのは「これまでの経験をどのように新しい職種に適用できるか」を考えることです。未経験領域への転職を考える場合、自分の過去のスキルや経験がどのように役立つかを明確にし、それを転職活動でアピールすることが重要です。例えば、異業種でもプロジェクト管理やチームリーダーシップ、営業などの経験は有利に働きます。
また、積極的に関連する研修や資格を取得して、未経験領域における自己の市場価値を高める努力も必要です。こうした準備をすることで、未経験からの転職でも成功の可能性を高めることができます。
Q2. 転職活動は何歳までにしておくべきですか?
転職活動に適した「最適な年齢」というものは一概には言えませんが、一般的にはキャリアの節目や、自身のスキルアップとキャリアプランに合ったタイミングで転職を考えるのが良いでしょう。
30代の場合、専門性を高め、管理職やより高いポジションを目指すなどの理由で転職を考える人が多いです。この時期は、キャリアの基盤を固め、次の段階へと進むための重要な時期です。
また、個人のライフステージによっても適した転職のタイミングは異なります。例えば、家庭を持ったり、転居したりするなど生活の変化にともない、転職を考えるケースもあります。重要なのは、自分のキャリアに対する目標と現状を常に評価し、市場の動向を見極めながら機会を捉えることです。それにより、どの年齢でも転職は有意義な選択となり得ます。
30代の転職活動についてのまとめ|今までの経験を考慮してキャリア軸を定めたい
30代はキャリア形成において「中盤」といえる時期です。ここから更に専門性を高めたり、視野を広げて異なる業界・職種へチャレンジしたり、条件の改善を求めたり、転職の選択肢はたくさんあります。
30代の転職理由を見ても「条件」以外に「自分の技能・スキルを生かせる」「仕事に満足がいくから」といった、賃金以外の理由も多いです。
「自分が何をしたいのか」「これから先どうしたいのか」をしっかりと考え、転職活動にチャレンジしてみてください。