転職エージェントに休職していることや過去の休職歴を伝えるべきなのか。その際に、休職理由はどのように伝えると良いか。伝えたら転職エージェントの対応や選考へ何か影響はあるのか、などをJAC Recruitment(以下、JAC)が解説します。
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転職エージェントに休職していること、休職歴は原則伝えるべき
転職エージェントには、休職していることや休職歴は原則伝えるべきです。本章では、その理由を下記3つの視点から解説します。
・そもそも休職中に転職エージェントを利用することは問題ないため
・応募書類への記載を求める転職エージェントが多いため
・休職していることを転職エージェントに隠しても、転職先企業にいずれ知られてしまう可能性が高く内定取り消しなどにつながるリスクがあるため
理由1:そもそも休職中に転職エージェントを利用することは問題ないため
休職中に転職エージェントを利用すること自体、問題になる行為ではありません。そのため、転職エージェントに休職中の旨を伝えたからと言って大きな問題になることはないでしょう。
ただし、中には就業規則に休職中の行為・行動に関する規定を定めている企業もあります。就業規則に違反した場合、処分を受けたり解雇になったりする可能性があるため注意しましょう。
休職中の転職活動については、下記記事でも紹介しています。ぜひ、参考にしてみてください。
理由2:応募書類への記載を求める転職エージェントが多いため
転職エージェントに休職していることや休職歴を伝えるべき理由として、応募書類への記載を求める転職エージェントが多いことが挙げられます。
もし、応募書類に休職中の旨を記載せずに転職活動を進めた場合、後から休職している旨が応募先企業の採用担当者に伝わると信用を失ってしまうリスクがあります。内定が取り消しになることもあるかもしれません。転職エージェントから現状や要望に合った適切な転職支援を受けるためにも、休職していることや休職歴は事前に共有しておくほうが得策です。
JACでも、適合する求人の紹介や信頼関係に基づく転職支援を提供するために、利用規約第10条(ご登録者の遵守事項)に以下のとおり定めています。
「履歴書、職務経歴書は休職期間・離職期間等も含め正確に作成いただくこと。」
引用:JAC Recruitment 利用規約 第10条(ご登録者の遵守事項)
理由3:休職していることを転職エージェントに隠しても、転職先企業にいずれ知られてしまう可能性が高く内定取り消しなどにつながるリスクがあるため
休職していることを転職エージェントに隠しても転職先企業には知られてしまう可能性が高く、その点も「事前に休職していることや休職歴を転職エージェントに伝えておくべき」と言われる理由です。
休職中もしくは休職歴がある旨は、下記事由によって発覚することがあります。
・源泉徴収票・住民税の納税額
・傷病手当金
・同僚への相談・SNS投稿
源泉徴収票の内容や住民税の納税額から、休職していたことが発覚するケースがあります。
一般的に休職中は給料が発生しません。そのため、源泉徴収票の金額が面接時に確認した内容と違う、住民税の額が年収に見合わないなどの理由で、転職先企業から休職していた可能性を指摘されることがあります。
また、休職中に傷病手当金を受給していた場合、支払う税金の額が少なくなることがあり、これが原因となって休職していた事実が発覚するケースも可能性もあります。
いずれも転職先企業が気付いて発覚する事案であり、内定が取り消しになる懸念もあります。
さらに、同僚への相談やSNSへの投稿が起因して転職エージェントに知られてしまう場合もあります。現職の上司などにも休職中に転職活動に取り組んでいたことが伝わってしまい、大きなトラブルに発展してしまうことも少なくありません。
SNSなど不特定多数の人が閲覧する媒体への投稿は避けるとともに、適切な相談相手を選ぶことが大切です。転職エージェントの担当者であれば、秘密を保持することはもちろん、状況を踏まえた適切なアドバイスを期待できるでしょう。
転職エージェントに休職していること、休職歴を伝える際の4つのポイント
本章では、転職エージェントに休職していることや休職歴を伝える際に意識したい下記4つのポイントについて解説します。
・過去の休職理由を必ずしも細かく伝える必要はない
・休職理由が怪我や病気の場合は現在の状態や業務で支障になりそうなことを伝える
・休職理由が出産・育児・介護の場合は現在の状態や業務時間の希望などを伝える
・休職理由が資格取得や留学の場合は今後のキャリアパスをセットで伝える
ポイント1:過去の休職理由を必ずしも細かく伝える必要はない
多くの転職エージェントでは、休職期間があった旨を応募書類に記載することが求められますが、必ずしも休職理由を細かく伝える必要はありません。また、理由の開示は、転職希望者の判断に委ねられます。転職エージェントから理由の供述を強要されることはないため、休職理由を問われるか心配な方は、ご安心ください。
なお、休職の事実に関しても、既に過去の事象になっており、現時点において問題なく業務に取り組めている場合は、あえて伝える必要はありません。
ただし、現在休職中の場合は、休職中の旨を伝えなかったことでトラブルを招くリスクがあります。不要なトラブルを防ぐためにも、転職エージェントに対しては休職中である旨を極力伝えることを推奨します。
ポイント2:休職理由が怪我や病気の場合は現在の状態や業務で支障になりそうなことを伝える
休職理由が怪我や病気によるものであれば、現在の状態や業務で支障になりそうなことを伝えておきましょう。
経過観察のために定期的な通院が必要な場合は、具体的にどれくらいの周期・期間で通院しなければならないのか共有しておくと、入社後に無理をしてしまう事態を防げます。また「中腰になる作業が続くと業務に支障が出る」「通院期間中は業務時間を6時間にとどめたい」など、業務上留意すべきことや要望も一緒に伝えておきましょう。事前に詳細を伝えておくことで、応募先企業から配慮ある対応を受けられたり、転職エージェントからも現在の状態を加味した求人を勧めてもらえたりするでしょう。
なお、既に怪我や病気が回復しており、業務に支障がない状態になっている場合は、その旨を伝えておくと、応募先企業の採用担当者も採用を前向きに考えてくれるでしょう。
ポイント3:休職理由が出産・育児・介護の場合は現在の状態や業務時間の希望などを伝える
休職理由が出産・育児・介護いずれかの場合は、現在の状態や業務時間の希望などを伝えることが大切です。
出産による休職の場合は、産後の育児期間を見据えた上で、適切な時期に求人を紹介してもらえるでしょう。また育児・介護が理由で休職している場合は、現在の状態や業務時間の希望を伝えることで、育児・介護と仕事を両立できる企業を探してくれるでしょう。
育児に関しては、子どもの年齢や保育園・幼稚園の送迎時間、行事参加による休み希望が発生する頻度などを伝えておきましょう。また介護に関しては、介護の負担具合や休暇希望が発生するタイミングなどを伝えておくとよいでしょう。
ただし、自分本位な希望ばかりになってしまうと、応募先企業の採用担当者に「入社後さまざまなシーンで業務への支障が発生する」と思われてしまい、採用を見送られてしまう可能性があります。 前向きに家庭と仕事の両立を図ろうとしている意思を伝えるためにも、家族から協力してもらえる体制を整えておく、いざという時に子育てや介護の支援を受けられるサービスの利用を検討しておく、などの対策も並行して取り組んでおきましょう。
ポイント4:休職理由が資格取得や留学の場合は今後のキャリアパスをセットで伝える
資格取得や留学による休職の場合、今後のキャリアパスをセットで伝えるようにしましょう。転職エージェントが、希望するキャリアパスを踏まえた求人を選定してくれるでしょう。また、資格取得や留学による休職の場合、休職してまで資格取得や留学する背景も併せて伝えることがポイントです。
休職をブランクと捉える企業も少なからずあり、採用担当者としても「わざわざ休職する理由」を知りたいと思うケースが大半です。思い描くキャリアパスにつながる事由であれば、「ブランクがある」よりも「ポテンシャルが高い」と、ポジティブな印象を与えられることもあります。
もし言語化が難しいようであれば、転職エージェントの担当者に相談してみるのも1つの手です。転職支援豊富な担当者であれば、過去に同じ事例を扱ったことがあるかもしれません。また、納得感を与えられる理由を考える上で、これまでの支援経験を踏まえた有益なアドバイスを受けられることもあるでしょう。
転職エージェントに休職していること、休職歴を伝えたらどうなる?
ここでは、転職エージェントに休職していることや休職歴を伝えた後の転職エージェントの振る舞いや選考への影響について、下記5つの観点から解説します。
・病気が休職理由の場合、転職エージェントから応募先企業に対して無断で伝えることはない
・休職理由を明記することで書類選考では不利に働く可能性がある
・応募先企業へ休職を伝えるタイミングやどの範囲まで伝えるかを相談できる
・転職活動を今開始すべきか休養に専念すべきか相談できる
・休職理由を考慮した転職支援サービスを受けられる
病気が休職理由の場合、転職エージェントから応募先企業に対して無断で伝えることはない
病気によって休職している場合、転職エージェントから応募先企業に対して無断で情報が伝えられるようなことはありません。
病気は個人的な事柄であり、プライバシーにも配慮が求められます。また、ちょっとした認識や伝え方の違いで、受け取り側が大きな誤解や認識違いをしてしまうことも考えられます。転職希望者本人が応募先企業に伝えることが推奨されるため、面接の時などに現在の状態や配慮が必要な事柄について伝えるようにしましょう。
休職理由を明記することで書類選考では不利に働く可能性がある
休職した事実や理由を応募書類に明記することで、書類選考が不利になる可能性も考えられます。
企業が転職エージェントを利用する目的として、即戦力として力を発揮してくれることはもちろん、長期にわたり活躍してくれる人材を求めている背景があります。休職中もしくは休職歴がある場合、「早期離職するのではないか」「自社に入社した後も休職するのではないか」「ブランクがあり、即戦力としての活躍は難しいのではないか」など、さまざまな不安を抱き、採用を見送る可能性はゼロではありません。
しかし、休職の事実を伝えずに内定や入社まで進んだ場合、その事実が後になって明らかになった時に信頼を失ってしまいます。たとえ入社できたとしても人間関係に影響を与えてしまう懸念もあります。場合によっては、内定を取り消されてしまう可能性もあるでしょう。
応募書類に休職した事実や理由を記載しておけば、配慮ある対応を受けられることもあります。不要なリスクを抱えるよりも、理解を示してくれる企業からの内定を勝ち取ることに注力しましょう。
応募先企業へ休職を伝えるタイミングやどの範囲まで伝えるかを相談できる
転職エージェントに休職中である旨や休職歴がある旨を伝えることで、応募先企業へ状況を知らせるタイミングや、どの範囲まで伝えるかを相談できるようになります。
転職エージェントでは、これまでにも休職中の方に転職サポートを提供してきた経験やノウハウがあります。転職活動が不利にならない伝え方やタイミングをアドバイスしてくれるでしょう。
転職活動を今開始すべきか休養に専念すべきか相談できる
転職活動を今開始すべきか休養に専念すべきか迷った場合も、転職エージェントであれば現状を加味した適切なアドバイスを期待できるでしょう。
病気やケガなどを理由に休職している場合であっても、転職エージェントを利用できます。しかし、転職活動によっては病状やケガの具合を進行・悪化させてしまう恐れもあります。 転職エージェントに相談することで、健康状態と目指すキャリアの双方を踏まえた俯瞰的な助言を受けられるでしょう。休養する場合でも、事前に相談しておけば、いざ転職活動を再開する際にすぐ支援を受けられます。
休職理由を考慮した転職支援サービスを受けられる
事前に休職中であることを伝えておけば、休職理由を考慮した転職支援サービスを受けられます。
ケガや病気を理由に休職しているものの、経済的な理由で働かざる得ない場合もあるでしょう。このようなケースでは、リモートワーク可能な求人や稼働時間・日数が少ない求人など、体調に合わせて勤務できる求人を選定してくれるでしょう。
また、留学や資格取得を理由に休職した場合は、留学経験や取得した資格を生かせる求人、出産や育児で休職した場合は、フレキシブルな働き方が可能な職場や子育てに理解ある職場を探してくれるでしょう。
他にも家庭の事情や体調に配慮し、転職活動のペースを調整してくれたりもするため、転職活動が大きな負担に感じられてしまう事態も避けられるでしょう。