関東全域では、電機系や半導体系の産業が栄えています。また北関東に絞ってみると、特に自動車産業が盛んです。埼玉県の和光市には本田技術研究所(ホンダ)の本社、埼玉県太田市にはスバルが本社を構えます。栃木県や茨城県にも、ホンダやスバルを中心とした大手自動車メーカーや、そこに紐づくティア1サプライヤーの拠点が点在しています。また、そこへ半導体や電子部品、機構部品、製造設備などを納めるティア2以下の金属加工業や装置メーカーが数多くあります。
JACでは、群馬、栃木、茨城の北関東3県に埼玉県も加えて、北関東支店がカバーしています。本記事ではこの4県を北関東と定義し、各エリアにおける製造業の求人動向について解説します。
目次/Index
北関東の製造業の動向
関東全域の製造業では、DX(デジタルトランスフォーメーション)が加速しており、自動車関連企業においても自動車の電動化にシフトしてきていることから、半導体需要が高まっています。そうした背景より、半導体関連の電子部品や素材の製造、半導体製造装置を製作する企業が活況です。
強いていえば、群馬県は自動車系、栃木県から茨城県にかけては医療系や半導体系の企業が多めです。経済状況については、群馬県は自動車業界の影響を受けて少々の不況感が否めない一方、栃木と茨城は安定傾向かつ好調です。求人の母数自体も栃木・茨城エリアの方が多めです。
企業規模による違い
従業員数200~1000人程度の中小企業の比率が多いことから、DXの取り組みに関しては「まだまだこれから」という段階で、求人企業各社からもまだその言葉があまり聞こえてきません。ただし北関東の企業は、東京圏の大手企業の後ろをついていくような形で技術トレンドが盛り上がっていくことが多いため、DXについても今後、確実に加速してくると考えられます。
中小企業においては、企業規模と景気の良さがあまり連動していない傾向で、例えば20人規模の会社の羽振りがよく、500人規模の会社においては業績がよくないといったこともあります。業績が優れた会社は、「業界の変化に柔軟に対応したり、業界のトレンドにうまく乗っかったりして、ビジネスをしている」印象です。また北関東では、他の多くの地方と同様に事業の後継者確保に頭を悩ます中小企業が多いことから、第三者に事業継承する、つまり「中小企業が中小企業をM&Aを行う」ケースが増加しています。
北関東エリアにおける製造業で求められる方
以降では、上記の動向を踏まえて、北関東エリアにおける製造業の求人動向について解説します。
上記の動向で述べたように、北関東でも、多くの地方地域の中小企業が抱えるような、後継者問題や人手不足といった典型的な課題を慢性的に抱えています。
40代以降を中心に、年齢の上限を気にすることなく、実務経験や能力重視で採用するといった求人がよく見られます。そのため、65歳以上のシニア世代の採用にも前向きです。また、中小企業の経営者・経営層候補を募る求人もよく見られます。
また北関東エリアは、学歴や前職企業の知名度、過去の転職回数など、書類上の経歴をあまり重視しない企業が多いです。高卒、専門学校卒であっても採用のチャンスが多くあり、昇進昇格も通常通り対象となるので、北関東の企業で活躍の場を見いだしてうまく定着していくケースもよくあります。
北関東エリアの求人職種
非常にバラエティに富むことが特長です。あえて求人傾向について取り上げるなら、継続的にニーズがあるのが、生産技術と品質保証です。また景気が落ち込んだタイミングで増えてくるのは、開発職や事業企画系のポジションです。
また、製造業全般で抱えるサプライチェーンの課題を受け、購買関係の求人が増えています。また、業績好調な企業では新規分野の開拓に意欲的であることから、営業部門を新設するにあたっての求人が目立っています。
北関東エリアにおける製造業のモデル年収
<中小企業、生産技術> | ||
埼玉県内 | 40代 | 600万円~750万円 |
群馬県内 | 40代 | 400万円~600万円 |
栃木・茨城県内 | 40代 | 500万円~650万円 |
当然ながら企業や個人によって異なりますので、あくまで目安としてください。
大手企業の求人では、上記の+200万円程度の相場になりますが、件数は少ないです。全体的に平均年収が高いとはいえませんが、その代わり、仕事のやりがい、自分が心から望む業務やポスト、良好な人間関係などが対価になってくるといえそうです。
なお経営者候補や、新規事業立ち上げ関係などでは、中小企業でも1000万超の求人が、たまに出る場合があります。
北関東エリアにおける製造業で求められるもの
北関東エリアの企業は、求人票の内容と一致しなくても、そこには書かれてない企業のニーズや意向と一致さえすれば採用される傾向が顕著です。そういった意味では、まず「人柄重視」である側面が強く、企業や採用担当者との相性も影響するでしょう。好奇心が強い人、主体的に動ける人が好まれる傾向です。
採用面接でアピールしたいポイント
生産技術や調達など特定部門の業務に特化していることよりは、さまざまな部門をまたいで業務をこなした経験や実績(何をしてきて、何ができるか)、現場で実際に手を動かした経験などが評価されます。逆に、これまでの自分自身の経験や取り組みや強みを具体的に説明できない人は好まれません。
北関東エリアは、Tier 2以下の中小企業が多いことから、都内の大手企業で生産技術や品質保証を経験し、大手企業のものづくりを一通り知っている方、ISOの推進や標準化に取り組んだ経験のある方なども求められています。
また都内勤務だと、レベルが高いとは評価してもらえないような、ごく一般的なシステム系業務の経験が、北関東エリアでは高度なスキルであると評価されることもよくあります。
経営者や経営層候補に求められる要件
各企業に共通した傾向があるわけではなく、「経理や金融関係に強い方」「ある技術に特化して強い方」「営業が強い方」など、企業や求人タイミングによってさまざまです。また、経営経験についてもあまり問われず、100人規模のチームをまとめた部長職の経験があれば、相応の経験があると判断されることもあります。
総じて、北関東エリアでの転職を狙う場合は、最新技術にむやみにチャレンジするよりは、自分自身の足元がために堅実に取り組むことが大事になるといえます。また、面接時には、なるべくありのままをさらけ出し、自分が苦手とすること、できないこともあえて正直に説明しておいた方が、よい結果や今後へつながることが多いです。
北関東のUターン・Iターン・Jターン転職の実態
UIJターン(U・I・Jターン)転職の件数について、北関東エリアが突出して多いわけではありませんが、「群馬県に居住する人に働いてもらいたい」という意向を示す企業が多く、UIJターンの方々の受け入れ率自体は高くなります。
埼玉県内は勤務地付近に住みやすい住宅街が多い一方、それ以外の群馬や栃木、茨城では企業が広大な工業地域にあることが多く勤務地付近に住宅街が少ないため、通勤時間が長引く傾向になります。そのため、後者ではUIJターンでの求職者のニーズとマッチしないことが現実には目立ちます。よって、ずっと北関東エリアに居住している人や、家族の実家がそこにある人などには向いているかもしれません。
一方、北関東エリアは、他県からくる人たちを快く受け入れてくれる懐の深い県民性があることから、移住者の定着率がよいともいわれます。併せて、先ほど説明したように、過去の経歴や求人票の内容にとらわれない形で仕事に縁があります。そのため、これまでとは違う土地で、人生リセットしたい人、新しいことにチャレンジしたい人、経営で手腕を発揮したい人などに、特におすすめのエリアではないでしょうか。
JAC北関東支店を利用するメリット
JAC北関東支店では、求人企業の経営者や社員と親密なやり取りをするコンサルタントが多く、各企業の現場情報をリアルタイムに把握しています。さらに、そこから得られる情報は、担当同士で共有し、日々アップデートしています。
また面接における細やかなアドバイスの他、内定後や入社後の悩みまで、ざっくばらんに打ち明けてもらえる体制を整えていることが特色です。内定後の辞退の相談も受け入れながら、求職者本人が一番よいと考える道について、一緒に悩み、最適解を導く支援をしています。
内定後や転職後のことまでしっかりサポートしているエージェントは、われわれJAC北関東支店以外には、なかなかいないのではないかと自負しています。