エンジニアリングマネージャー(EM)は、エンジニアの人材マネージメントを通じて、開発部門のアウトプットを最大化するための支援を担う職業です。エンジニア組織の巨大化・多様化が進むなか、プロジェクト全体の管理を担うPM(プロジェクトマネージャー)や、製品開発の管理を担うPdM(プロダクトマネージャー)とは別に、エンジニア組織の管理・調整に特化したEMのニーズが高まっています。
EMに求められるスキルや経験、年収相場について、JACのコンサルタントが解説します。
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エンジニアリングマネージャー(EM)とは
エンジニアリングマネージャーとは、エンジニアの管理や育成など、マネージメント業務に重点を置いた管理職を指します。エンジニアの採用、育成や評価から、自社の製品やサービスの課題解決や技術面の計画立案まで対応します。テックリード(リードエンジニア)が技術分野を担うのに対し、EMはエンジニアにおける組織課題の解決やキャリアを支援し、事業面からエンジニアをマネージメントするのが特徴です。
エンジニア職の社員が10名以上になったタイミングの前後で、CTOが担当していた業務の一部を切り出す形でEMを置くケースが一般的です。それ以降は、組織の規模や製品の機能拡張、新規製品の追加に応じてEMを配置します。
EMに求められるエンジニアとしての経験年数は最低でも5年以上で、マネージメント業務の経験もしくは志向性も必要です。
エンジニアリングマネージャー(EM)の転職市場動向
近年、SaaSを中心としたスタートアップ企業の急成長に伴い、EMを採用する企業は増加しています。加えて、大手ITプラットフォーマーやメガベンチャーもEMの採用を強化する傾向にあります。
いずれの企業でもEMを中途採用する際は経験者を優遇しますが、エンジニア市場全体でEM経験者が非常に少ないことから、企業が求める要件に近いエンジニアをEM候補として採用するケースもあります。その場合、現場でのエンジニア業務に半年から1年程度従事させることで組織との相性やマネージメントの素質を確認します。
最近はエンジニアのキャリアパスも多様化し、ITアーキテクトやテックリード、IC(インディビジュアル・コントリビューター)など技術面を追求する職種が増えたことで、マネージメントに進むことだけがキャリアプランではなくなりました。だからこそマネージメントに対する強い目標意識がEMには求められます。
EMはマネージャーであると同時にエンジニアとしての知識や経験も問われるため、マネージメント能力と技術力の双方が欠かせません。マネージメント能力に長けていても技術面での経験が浅いと、チームのエンジニアからの支持が得られず、コミュニケーション不全に陥ることもあります。また、前職では有効だったマネージメント手法が転職先では機能しないというケースもあります。
企業選びの段階では、ご自身と企業の間でスキルや志向性が合致するか入念に確認する必要があります。そのため、転職エージェントの活用は非常に有効です。
JACでEMに関する求人をご紹介する際は、コンサルタントは求人募集の背景にある企業側の課題と、候補者のEMとしての強みが合致しているかを確認しています。「EMの採用」といっても、EMが組織に不足しているのか、現在のEMが技術かマネージメントのどちらかに弱点があって補完する目的で採用するのかなど、企業のニーズによって貢献できる人材の条件も異なります。
転職活動をする際には、企業の課題や募集背景まで理解している転職エージェントを活用するようにしましょう。
エンジニアリングマネージャー(EM)の業務内容
EMは技術やプロダクトのあるべき姿を模索すると同時に、チームのスキルを底上げするミッションを担います。具体的な業務内容について紹介します。
メンバーの評価や目標の管理
チームのエンジニアを適切に評価し、目標達成に向けてサポートすることはEMにとって最も重要なタスクの一つです。
EMのミッションは日々の業務の進捗管理だけではありません。個々のエンジニアが目指すキャリアパスや成長曲線が計画通りに進んでいるかにも気を配る必要があります。
EMの業務は、コロナ禍以降のデジタル化したワークスタイルによって、対面以外でのコミュニケーションが増えたことも影響しています。チャットツール上でのコミュニケーションで発言が少ないエンジニアに声をかけたり、フレックスやフルリモートで働くエンジニアのケアをしたり、働く環境に合わせたマネージメント能力が求められます。
また、日系グローバル企業では海外拠点のエンジニアがサポート対象となる場合もあり、時差を考慮するなどマネージメントも工夫する必要があります。環境の多様化に応じて、開発チームの組織力を底上げすることもEMのミッションです。
エンジニアの採用業務
どの企業でもエンジニアが不足しているなかで、採用業務はEMにとって最も優先度の高い仕事の一つです。
社内のエンジニアのスキルや年代、得意・不得意などを俯瞰して把握し、「どのようなエンジニアを加えれば、最小限の採用人数でパフォーマンスを最大化できるか」という視点を常に持ち続けることが重要です。
その上で、人事部門や転職エージェントなど採用に関わる社内外のパートナーに、必要とするエンジニアの要件を的確に伝える能力が欠かせません。とりわけ、求めるエンジニアに必須のスキルや妥協できるポイントを明確にし、状況に応じて見極める能力は大事です。
最近は、転職サイトや自身のキャリアを登録できるSNS上で、EMが直接スカウトメッセージを送るケースも増えています。EMの採用活動への貢献は今後さらに高まっていくでしょう。
円滑なプロジェクト進行を目的としたマネージメント業務
プロジェクトの管理やアサインはPM(プロジェクトマネージャー)やスクラムマスターが担当する一方で、EMは組織内の人員配置や工数の平準化を担当します。開発現場で起きている課題と、事業面で要求される品質やスケジュールをすり合わせながら業務の優先順位を決めます。突発的な仕様変更やトラブル、メンバーからの相談にも対応できるよう、常にアンテナを張っておくようにしましょう。
技術的負債の抽出と解消
納期やリリース日を優先して開発を進めた結果、メンテナンス性の低いプログラムや、改善の余地が大きい機能が積み上がるケースがあります。常に新しい機能に注目しがちな組織において、こうした「技術的負債」を発見・抽出し、解消させることもEMの役割です。
技術的負債の解消は障害やトラブルの防止にも繋がります。日々のエンジニアとのコミュニケーションから、技術的負債に関する情報を吸い上げ、潜在的なリスク要因を洗い出し、解消に向けて調整を行います。新規機能開発やビジネス上優先度の高いプロジェクトばかりを優先するのではなく、技術的負債に対する意識をチームで共有し、解消に向けたアクションを講じることが必要です。
キャリアアップに向けた労働環境の整備
エンジニアにとって働きやすい職場環境の整備は、個々のキャリアを伸ばす上でも重要な取り組みです。メンバーからの要望や意見をすくいあげ、必要なツールや備品の導入を提案することでパフォーマンスの最大化を目指します。
職場環境が整っていないことで離職者が増えるケースも多く、市場の採用ニーズが高いエンジニアを組織に抱えるEMにとって必要な業務となります。
また、社内勉強会の実施など、個人の中長期的な成長に貢献することも重要です。技術ロードマップをCTOやVPoEが策定する際には、自らの知見を提供するだけなく、現場のエンジニアの意見をすくいあげて反映させるなどのサポートも担います。
エンジニアリングマネージャー(EM)に求められるスキルや経験
EMとして活躍するには、マネージメントスキルと経営的な視点、エンジニアとしての実績と知見の3点が欠かせません。それぞれのポイントについて紹介します。
マネージメントスキル
EMは人、技術、プロジェクト、プロダクトの4つの領域にまたがるマネージメントスキルを求められます。
これらのマネージメントを有機的につなぎ、円滑に進めるためにはマネージメントの対象となるエンジニアに徹底して向き合う必要があります。エンジニアのキャリアパスや課題にぶつかった際の対処法に精通するのとともに、悩みや不満を上手く引き出す能力も欠かせません。
また、エンジニア個人だけでなく組織全体の技術面の課題にも向き合う必要があります。成長過程にある企業では、さまざまな課題に対して迅速な対応が求められます。一方で成熟期にある企業では、レガシーコードの改善などの課題も存在します。転職活動を始める際には、これまでの経験を棚卸しし、どのような課題に対処してきたかを説明できるようにしましょう。
経営的な視点
EMは社内のエンジニアだけでなく、PM(プロジェクトマネージャー)やPdM(プロダクトマネージャー)、スクラムマスターなどの開発部門や、営業部門、経営層に加え、協力会社や転職エージェントなどの外部パートナーなど、幅広い相手と仕事をします。
そのため、プロダクトの品質や納期だけでなく、売上やコストなどの経営的な視点も欠かせません。企業によってはエンジニアが強い組織もあれば営業が強い組織もあるため、双方の摩擦を解消することもEMの重要な仕事です。例えば、納期や仕様変更をそのまま受け入れると開発部門が疲弊する場合には、開発と営業の両方の観点をもとに、最適な着地点を見出して関係部門と調整することもあるでしょう。その際、売上と組織という広い視野に立つことが、EMには求められます。
このような視点はCTOやVPoEにも求められますが、EMもまた経営的視点からエンジニアをマネージメントするミッションを担います。
エンジニアとしての実績と知見
エンジニアの採用や評価、トラブル時の相談に対応するという立場から、EMには開発・運用に関する実績と、技術に対する知見が求められます。新しいエンジニアが入社した際のオンボーディングでは先輩エンジニアがサポートすることが一般的ですが、EMは先輩エンジニアと新入社員の双方とコミュニケーションを図りながら、早期の戦力強化を目指します。
EMの業務ではコードを書くことや技術的な意思決定を担うことはありませんが、トラブルが起きた際はPMやテックリードと技術的な会話を進めながら、迅速に解決に導く必要があります。また、技術ロードマップから見て、誤った方向に意思決定が進んでいないか、常に開発部門のトップと意思疎通をはかることも欠かせません。
エンジニアリングマネージャー(EM)の年収相場
EMの年収相場は700万〜1,500万円で、求人として最も多いのは1,000万円前後になります。
当社がご紹介する求人で最も多い年収帯は900万円〜1,200万円です。
エンジニアリングマネージャー(EM)として転職するなら、JAC Recruitmentへ
JACではCTOやVPoEなど開発部門のトップから中途採用のご依頼を受けています。当社の転職コンサルタントが直接ヒアリングした組織の課題や組織カルチャーを、ダイレクトにご登録者様にお伝えすることで、ミスマッチのない転職を心がけています。
EMとして転職する際は、企業がどのような人材を求めているのか、どのような経験を持つEMが社内に不足しているのかをリサーチすることが重要です。JACではエンジニアの採用に特化したコンサルタントが、日々の情報収集を通じて、あなたにふさわしい求人のみをご紹介しています。転職をご検討の際には、ぜひJACにご相談ください。