福岡エリアでは自治体が起業支援に力を入れており、2010年代半ば頃から数多くのスタートアップが生まれています。一方で、福岡には理系・情報系の大学が多いことから比較的歴史あるIT企業も多く存在し、幅広い業種・規模の会社にエンジニアの活躍の場があります。そんな福岡エリアの最新の求人動向や、Uターン・Iターン・Jターン転職をする人にとっての福岡エリアの魅力を紹介します。
目次/Index
福岡エリア全体の求人動向について
2020年からのCOVID‑19により、福岡エリアもいったん求人数は減少しました。しかしすでに回復しており、福岡エリア全体として求人は非常に増えている状況です。その中でも特に、半導体、食品メーカー、IT・Webの3つの業界が活況で、採用意欲が高まっています。
福岡エリアの半導体業界の求人動向
もともと福岡エリアを中心に九州では多く求人がありましたが、近年の半導体不足の影響から新たな製造拠点の立ち上げのための求人が上乗せされている形です。
福岡エリアの食品メーカーの求人動向
健康意識の高まりや、いわゆる“巣ごもり消費”の増加の影響が大きいようです。実店舗や通信販売からインターネットを通じた販売形態にシフトする中で、デジタルマーケティング人材を中心とした採用ニーズが新たに生まれています。
福岡エリアのIT・Web業界の求人動向
2015年前後から求人数は右肩上がりでしたが、近年は大手Webプラットフォーマーが、採用競争が激化した首都圏や近畿圏を敬遠して福岡エリアの中途採用市場に着目し始めたことなどから、求人が増加しています。
福岡エリアのIT・Webエンジニア転職事情
福岡エリアにおけるIT・Web業界の求人は、主なものとして福岡を本拠地とするSaaS系企業における開発エンジニアの求人と、事業会社の社内SEの求人の割合が大きいです。加えてここ1〜2年は、大手Webプラットフォーマーの求人、コンサルティングファーム系の求人が目立つようになりました。
福岡・北九州に本社を置く企業は、地図データベースで知られるゼンリンのような老舗企業から、2000年前後に創業してECを中心に成長してきたベガコーポレーションのような企業、それからここ数年の間に起業したSaaSを展開するスタートアップまで幅広く存在します。
地場系SaaS企業
福岡発のSaaS企業には、地元で長い歴史のある鉄鋼業・建設業に向けたプロダクトを開発する企業や、AI・機械学習、量子コンピューティングなど先端的な技術をクラウドで提供する企業など、特色ある企業が増えています。
求人の傾向としては、大手からベンチャーまで、また新旧を問わず、30代から40代半ばくらいまでを採用ターゲットとしたWebエンジニア、またはSEのスタッフクラスのポジションがボリュームゾーンを占めています。ただ、ベンチャーに関してはCTOやVPoEといったマネジメントクラスの求人も見受けられます。
近年、働き方を見直す気運が高まり、Uターン・Iターン・Jターン転職を考える転職希望者の方が増えています。福岡エリアにおいてその受け皿となっている企業の多くは、地場系のSaaS企業です。
大手Webプラットフォーマー/コンサルティングファーム
LINE、PayPay、楽天グループ、SmartHRなどが福岡に拠点を設けており、そこでのエンジニア求人があります。これら企業が求めているのは、20代〜30代前半くらいまでのWebエンジニアが中心です。
またここ数年で大手コンサルティングファームが福岡に研究開発施設やデジタルハブを立ち上げる動きが相次いでおり、そこでも40代後半〜50代の経験豊富なエンジニアをターゲットとする求人が出ています。
これら企業の求人が福岡で増えてきた背景には、首都圏・近畿圏など大都市圏でのWeb/IT系のエンジニアの採用競争が激しくなったことと、老舗のIT企業、理系・情報系の大学が多く優秀なエンジニアが多く福岡で働いているという見立てがあるようです。
企業の数は限られていますが、1社当たりの求人数が多いため、福岡エリアのIT・Web業界の採用トレンドを形成していると言えるでしょう。
事業会社での社内SE
社内SEは地場の事業会社のニーズが中心です。売り上げ300億くらいまでの中堅規模の会社、もしくはベンチャー企業で、業界問わず求人があります。
中堅企業の場合、20年近く前に構築した基幹システムを使い続けているケースが多く、DXに伴うデジタル活用の必要性から、システムの統合やリプレースを考える時期に来ています。そのため、そうしたプロジェクトをマネジメントできるPM/PL経験者が求められています。IT企業のエンジニアだった人が、40代半ば〜50代で働き方を見直し、社内SEにキャリアチェンジする事例が増えてきています。
ベンチャー企業では、IPO(新規上場)を視野に入れたガバナンス強化、セキュリティ強化のために社内SEを採用しようとする動きが出てきています。この場合、Uターン・Iターン・Jターンで、首都圏の大手Webプラットフォーマー経験者や上場(準備)経験者が求められる傾向にあります。
福岡エリアのIT・Webエンジニアのモデル年収
Webエンジニアなど開発者の場合、30代でスタッフクラスの年収は500万〜600万円くらいが相場です。30代後半で大手Webプラットフォーマーの場合は700万円くらいになることもあります。
マネジメントクラスになると、企業規模にもよりますが概ね800万円以上となり、ベンチャーの一部は1000万円を超えるポジションもあります。またコンサルティングファームでは1200万円くらいまでと幅があります。
地場企業の社内SEについては、開発者の年収水準から100万〜150万円程度低くなるイメージで、40代のプロジェクトマネジメント経験者で600万〜700万円が標準的な水準となります。
エンジニア人材に求められるもの
地場のSaaS企業から大手Webプラットフォーマーまで、基本的に求められるものは共通しています。30代半ば以上のエンジニアの場合は、開発者として手を動かすというよりもプロジェクトのマネジメント能力が求められる傾向にあります。
そのため職務経歴書や面接では、過去にどのくらいの規模・期間のプロジェクトをマネジメントしたか、何人くらいのチームで行ったかなどをアピールするとよいでしょう。
Uターン・Iターン・Jターンから見た福岡の魅力
福岡エリアの特徴として、地理的にアジア圏に近いことが挙げられます。そのため、中国や東南アジアなど海外と関わるビジネスを展開する企業が比較的多くあります。これはIT系・非IT系にかかわらずの傾向です。
日本だけをマーケットと捉えずに海外にも向けたプロダクトやサービスに携わりたい人にとって、福岡でキャリアアップのためのフィールドが見つかる可能性はあるでしょう。
福岡市・北九州市は国家戦略特区に指定されており、「グローバル創業・雇用創出特区」として起業支援と雇用創出に力を入れています。福岡市には外国人の創業を支援するスタートアップビザ制度もあり、グローバルな環境で働けるチャンスもあります。
スタートアップに向いている土壌
起業支援は外国人向けのものだけではありません。自治体が福岡での起業を支援する各種制度やインキュベーション施設があり、地元系のベンチャキャピタルがあり、スタートアップを生むエコシステムが形成されています。そこから生まれたスタートアップの中に、IT・Webエンジニアの活躍の場があるかもしれません。
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