異業界から不動産金融業界へ。仕事内容や必要な資格を解説

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公開日:2024/05/20 / 最終更新日: 2024/08/15

不動産金融は、株式や債券といった伝統的資産とは異なる特性を持つオルタナティブ投資を運用する業界として、注目を集めています。近年は新たなアセット需要も生まれており、多くの企業が不動産業界や金融業界から積極的に中途採用を進めています。

今後、中長期的な成長が見込まれる不動産金融業界の転職動向について、JAC Recruitment(以下、JAC)のコンサルタントが解説します。

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不動産金融業界への転職は未経験でも可能か?


不動産金融業界は中途採用が中心で、転職者の3〜4割は異業界出身者ですので、未経験でも転職可能です。

アクイジションやアセットマネージャーなどのフロントであれば、不動産業界での不動産開発、プロパティマネジメント、売買仲介、用地仕入れの経験が生かせます。また金融機関での投資・ファイナンス業務、信託受益権関連業務、不動産管理業務も有効です。

財務・IR/経理であれば、異業界での同じ職種の経験や会計事務所・監査法人での不動産SPC会計・管理業務と親和性があります。

不動産金融は不動産の複合競技とも言えるビジネスです。そのため、フロントであっても不動産、金融、会計、法務のいずれかに強みを持ちつつ、他の領域も可能な限りキャッチアップすることが重要であり、ゼネラリストとしてのスキルを高いレベルで求められます。


不動産金融業界とは

不動産金融業界とは、不動産と金融を掛け合わせた金融商品を扱う業界です。土地や建物などの証券化、インカムゲインやキャピタルゲインを狙う不動産投資、不動産から生まれた収益を返済原資とするノンリコースローンなどが挙げられます。

JACがご紹介する不動産金融業界の求人は、不動産ファンドやREIT(不動産投資信託)が中心ですが、証券会社や金融機関などの投資家サイドに関連する求人もあります。

不動産金融業界全体の動向と、現在のトレンド

投資目的での不動産の運用・保全を行う不動産アセットマネジメント(不動産AM)企業には上場REIT、私募REIT、私募ファンドの3種類があり、近年は事業会社が私募REITに続々と参入しています。その内訳としてはエネルギー、鉄道、飲料メーカーなど事業の特性上、広大な不動産を所有している企業が目立ちます。多種多様な企業が参入する背景には資産から不動産を外すことによる貸借対照表(BS/バランスシート)の適正化や、新規事業として新たな収益を見込むケースなどが挙げられます。

2024年4月時点で上場REITは58銘柄あります。一方で、私募REITは54銘柄あり、その内10銘柄が2023年に組成されています。このことからも私募REITの注目度の高さが伺えます。日本では2000年の投信法改正によって、投資信託の運用対象に不動産が加わり、翌年に東京証券取引所にJリート市場が誕生しました。業界自体の歴史は比較的浅く成長性も見込めることから、今後も不動産金融に参入する企業は増えるでしょう。

一方で新たな金融商品として注目を集めているのがデジタル証券です。セキュリティトークンを使って証券を小口化したもので、個人投資家でも少額で投資でき、美術品や航空機、船舶などあらゆる資産を証券化できる点にメリットがあります。 不動産投資は運用額の規模から一部の富裕層や機関投資家に限定されていましたが、デジタル証券の仕組みを活用することで少額投資が可能になりました。既存の大手証券会社もデジタル証券の取り扱い、デジタル証券専業の企業も設立されるなど「貯蓄から投資」を促す起爆剤として期待が集まっています。

不動産金融業界の将来性

デジタル証券の登場によって不動産投資の間口が広がっただけでなく、今後は投資対象となる不動産の多様化が見込まれています。

オーソドックスな投資対象としてはオフィスビルやレジデンス、大型商業施設、ホテル、物流施設等が挙げられるほか、昨今はIoTやAIの台頭によるクラウドインフラの需要拡大からデータセンターを投資対象に組み入れるファンドも増えています。また、ホスピスや大規模な医療機関、老人ホームといった社会的な需要が高まる施設にも注目が集まっています。

一方で既存の投資対象も建物自体のバリューアップを行うことで、資産価値を高める取り組みが進んでいます。例えば、物流施設内にカフェやアミューズメントを併設することで、不動産価値を高めるケースなどが挙げられます。

不動産金融業界は社会の需要の変化を機敏に捉えながら、新たなテクノロジーを取り込むことで成長し続けており、この流れは今後も続いていくことが予測されます。

不動産金融業界における日系と外資の違い

日系企業のREITはインカムゲインを前提としたコア投資がメインで、安定的な利回りを重視しリスクを避ける傾向があります。運用期間も10〜20年単位の長いスパンで安定的な成長を目指します。一方で外資系企業はコア投資だけなく、割安に物件を調達して付加価値をつけ、数年後に購入時よりも高価格で売却する「オポチュニスティック型投資」も行います。

一般的に、働く環境としては日系企業が安定して長く働きたい方向けで、外資系企業は好待遇を得たい方や専門性を身につけたい方に向いています。

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不動産金融業界に多い求人と仕事内容、求められるスキル経験について


不動産金融業界は不動産業界出身者と金融業界出身者を中心に構成されます。業界全体として社員数が比較的少なく、最も多いのは30〜50人規模。10人以下という企業も珍しくありません。最大手でも150人程度と比較的小所帯です。また、大半の企業が新卒採用を行っていないため、業界全体の平均年齢が高く、どの企業も若返りを目指して若手層の採用を強化しています。

外資系企業に転職する際にはTOEIC800点以上相当のビジネス英語スキル、Excel/モデリングスキルが求められます。

求人が多い職種について仕事内容と求められるスキル・経験をご紹介します。

アクイジション

投資対象となる不動産物件取得に関するポジションがアクイジションです。

未経験での中途採用の場合、不動産売買仲介や用地仕入れの経験をお持ちの方が有利です。また不動産鑑定士の資格をお持ちの方も歓迎されます。主に3つの業務を担当します。

ソーシング

物件の情報収集を担当。仲介会社や不動産を所有する事業会社に営業活動を行い、投資対象となる物件をリサーチします。

デューデリジェンス(アンダーライティング)

投資対象不動産の評価(バリュエーション)、投資分析(アンダーライティング)、遵法・土壌汚染調査などを行います。商業施設やホテルであれば近隣の競合施設も含めたマーケット分析を行うこともあります。

クロージング

多くの関係者との利害調整及び合意形成を結ぶための契約書の作成・締結業務、関連書類の受け渡し、資金決済、登記手続などを行います。

アクイジションは3つ全てを担当する場合もあれば、個々の業務に特化する場合もあります。

アセットマネージャー(アセットマネジメント)

取得した不動産物件の運営戦略策定・実行、プロパティマネジメント(PM)会社の管理や修繕計画・バリューアップ施策の立案など物件の運営を担うポジションです。また投資家や金融機関との交渉や運用状況報告なども担当します。

未経験からの転職の場合には不動産プロパティマネジメント業務経験、金融機関・デベロッパーでの業務経験をお持ちの方が有利です。なかでもJ-REITや私募ファンドの対象物件のPM業務に就いた方は選考でも高く評価されます。

アクイジションとアセットマネージャーは業界内でも求人が比較的多いのが特徴です。

機関投資家/投融資担当

主に金融機関でのポジションになります。不動産投資に関する融資や投資を担当します。
30代から40代の即戦力が主な採用対象となりますが、未経験からの転職では金融+αの経験を持った若手層の方にも可能性があります。特にアセットファイナンスや法人営業のポジションで財務諸表も読める方が有利です。日系であっても海外に投資している企業が多いことから、英語力のある方は日系・外資問わず優遇されます。

財務・IR/経理

財務はアセットマネジメント会社で銀行からの融資、投資家からの出資による資金調達を担うポジションです。IRは投資家とのコミュニケーションや、機関投資家向けのレポート、書類作成が主な業務です。

同業界からの経験者採用が中心ですが、30代前半での金融機関出身でファイナンス業務や法人営業の経験に就いた経験をお持ちの方であれば、未経験でも採用の可能性があります。

経理は資産運用会社と投資法人の求人が中心です。前者は一般の事業会社の経理職と職務は同じですが、後者は証券化した不動産が対象となり、有価証券報告書等開示書類や計算書類の作成などの業務が加わります。

中途採用の場合には会計・経理業務の経験者であれば、異業界でも問題ありません。証券や銀行業界から転職する方も多く、会計士や税理士などの資格があれば非常に有利です。

ポジションごとの職務は企業によってさまざまで、アクイジションであってもアセットマネージャーを兼務する場合もあれば、アクイジションのデューデリジェンスのみのポジションもあります。応募の際は職務内容を細かく確認しましょう。

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不動産金融業界への転職で有利な資格


ここでは不動産金融業界への転職で有利な資格を紹介します。

宅地建物取引士

業界でも資格保有者が多く、入社後は持っていて当然と見なされることもありますので、転職活動前に取得することをお勧めします。合格率は20%未満と難しい資格ですが、それだけに不動産金融業界が求める要件は高いとも言えます。

不動産証券化協会認定マスター

不動産証券化ビジネスに関する会計・法務の知識を証明する資格です。宅建を取得した上で100〜200時間相当の学習時間を確保する必要があり、合格へのハードルが高い資格ではありますが、それだけに転職活動時には強力なアピール材料になります。入社後に取得を推奨する企業もあり、どのポジションであっても取得するべき資格と言えます。

日商簿記検定

会計・経理・財務の実践的なスキルを証明する資格です。転職に当たっては2級以上の取得を目指しましょう。アセットマネージャーを目指す方にはお勧めの資格です。

証券アナリスト

証券分析業務で3年以上の経験を持つ方を対象とした民間資格です。外資系企業や銀行・証券会社で投資サイドのポジションやアレンジャーに就きたい場合には有利な資格です。

不動産鑑定士

フロントのアンダーライティングやデューデリジェンス、クロージング業務で生かせる資格です。転職でもアクイジションのポジションで歓迎条件に記載されることが多々あります。

この他、フロント向けの資格としてはビル経営管理士や不動産コンサルティング技能士も挙げられます。

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不動産金融業界の転職で多い質問と回答


Q.業界のワークライフバランスについて教えてください。

A. 平均残業時間は概ね20〜30時間/月程度が目安です。一部40〜50時間という企業もありますが、80時間を超える企業は殆どないように見受けます。また、JREITは年2回の決算がありますので繁忙・閑散時期にて残業時間に波も生じます。リモートワークは週1~2日程度で、出社勤務がメインな傾向にあります。一方で外資系企業は投資家の要望に合わせて会議や対応が発生する場合もあります。
業界全体の離職率は年間平均で5~10%程度、業界内転職が多いこともあり、比較的流動性のあるマーケットと言えます。


JACでは不動産金融領域でのご支援を2010年頃よりスタートし、業界内にて多くの企業様とのお取引があります。この業界は求人票には記載されない要素の情報収集が難しく、企業に入り込んでいる転職エージェントも限られているため、ミスマッチな転職が起きやすい傾向があります。

しかし、JACでは業界専任コンサルタントが各社の役員・部門ヘッドと面談し、チーム間で情報共有することで、他社には無い情報量と質を活かしたキャリアパスのご提案が可能です。

コンサルタントは証券、信託銀行、会計事務所出身者等で構成され、外資系企業やエグゼクティブクラスの転職にも強みがあります。また、証券化事業へ参入したい事業会社から早期に中途採用のご相談をお受けすることも多く、業界内の求人をいち早くご紹介できます。

更に当社の海外拠点や、不動産金融業界と親和性の高い銀行、証券、アセットマネジメント、デベロッパーチーム等とも連携し、あなたの可能性を最大限に活かせる転職が可能です。

不動産金融業界への転職をご検討の方は、JACまでお気軽にご相談ください。

■不動産金融業界の求人傾向・年収についてはこちらの記事をご覧ください。

不動産金融業界の年収、求人傾向、キャリアパスを解説

■銀行・保険・証券・アセットマネジメント・カード・Fintechなど金融業界の転職動向については下記をご覧ください。

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この記事を監修した転職コンサルタント

佐藤

佐藤

金融ディビジョン リーダー

2019年に入社して以来、一貫して不動産金融領域を担当。現在はリーダーとなり、日系・外資AM会社、金融機関不動産部門をメインに担当し、新規事業参入の役員・CxO等のご転職ご支援も行っています。どのようなキャリア可能性があるのか、具体的な求人詳細、潜在的な採用ニーズなど、タイムリーな情報をお伝えいたします。


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