M&A業界 PEファンド・事業会社の転職市場動向

  1. M&A×転職市場動向

公開日:2022/10/06 / 最終更新日: 2024/11/25

PEファンド(プライベートエクイティファンド)は、機関投資家から集めた資金を基に、投資とハンズオン支援を通じて企業の再生フェーズを担います。ファンドのビジネスモデルは事業再生後のIPOやM&Aによる売却によって収益を得る構造です。企業の事業承継や事業再編需要と潤沢な投資環境を追い風に、積極採用を進めている企業が多く、JAC Recruitment(以下、JAC)でお預かりしている求人数も、増加傾向にあります。

中途採用における主なポジションは投資担当と、投資した企業を支援するバリューアップ担当に別れますが、いずれも高い金融知識と課題解決能力を求められます。そのため、M&A業界の中でも最も転職が難しい職種とも言われています。

狭き門を通過し、ファンドでのキャリアをスタートさせるには、事前の情報収集と入念な準備が欠かせません。当記事ではPEファンドの転職市場動向について、同業界の転職のプロフェッショナルであるJACのコンサルタントが解説します。また、後半ではM&Aの主体となる事業会社サイドのM&A担当(経営企画・財務)の転職動向についても紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

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M&A業界全体の市場動向


企業が抱える課題が多様化し、投資環境が好調であることからM&A業界は安定的に成長を続ける一方で慢性的な人材不足の傾向にあります。近年、PEファンドが担う投資のテーマとしては以下に大別されます。

・事業承継に悩む企業のM&A

・不採算事業や非主流部門の売却(カーブアウト)

・MBO(マネージメントバイアウト)

・事業再生

日本企業の後継者不在率は2020年時点で65.1%(帝国データバンク「全国企業『後継者不在率』動向調査」2020年11月発表)と非常に高水準な状況が続いており、後継者不在による事業承継問題はこれまで以上に顕在化しています。

こうした企業の課題に対して投資を通じて解決するPEファンドは近年堅調に成長しています。日本のプライベートエクイティ(PE)市場における年間案件総額は約1.3兆円に上り、大規模案件の増加と共に長期的な成長傾向にある一方で、欧米などの先進国市場と比較すると規模は小さく、今後も成長に大きな伸びしろがある状況です。

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PEファンドの転職市場動向


PEファンド業界の職種のうち、中途採用の主要なポジションとしては投資担当と投資した企業のバリューアップ担当に分かれます。

投資担当は財務モデリングやデューデリジェンス、投資実行する際の契約業務を担います。一方のバリューアップ担当はファンド内部で支援するケースもあれば、業務の一部をコンサルティングファームに外注して共同で取り組むケースもあります。いずれのポジションも要求される経験・スキルは非常に高く、広範囲に渡ります。それが採用を狭き門にしている要因とも言われています。

投資担当であればコンサルティングファームでのFAS(ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス)の経験や、商社や事業会社での投資業務の経験は必須です。投資銀行や金融機関でのM&Aエグゼキューション業務の経験も歓迎されます。

また、バリューアップ担当においては、事業会社でのPMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)業務や、コンサルティングファームでの事業再生やM&A関連業務の経験が必須となり、いずれにおいても3〜5年程度の経験が求められます。

企業側の採用に対する目線は非常に高い一方で、転職市場の中でも企業が要求するスキル・経験を持ち合わせた方は非常に少ないため、一社あたりの年間の採用人数は決して多くありません。

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PEファンドのキャリアパスと年収


PEファンドへ未経験で入社した場合にはアソシエイトからのスタートになります。その後、VP(ヴァイスプレジデント)、SVP(シニアヴァイスプレジデント)と昇格します。

役職ごとの年収は以下のとおりです。

アソシエイト       1000万円前後

VP                       1100〜1400万円

SVP                     1400〜1600万円

※いずれも賞与を含む年収

年収はファンドの規模によっても左右されます。また、インセンティブとしてキャリードインタレスト(運用報酬)を支給するケースもあります。

また、PEファンドからの転職としては同業他社のファンドへ移るケースと事業会社へ転職されるケースがあります。前者の場合にはより運用規模の大きなファンドやキャリードインタレストによる報酬が高いファンドなど、個々の志向に合致したPEファンドを選ばれる傾向にあります。後者の場合には投資先の事業会社でマネージャー以上の役職に就く方も少なくありませんし、後述する事業会社の経営企画へ転職される方もいらっしゃいます。


M&A業界に特化した専任コンサルタントが、あなたの転職をサポートします。
業界における市場価値はもちろん、レジュメの効果的な書き方、面接対策、企業傾向の情報収集など、
JACのコンサルタントにご相談ください。


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PEファンドへの転職に必要な準備と対策


先に述べたようにファンドへの転職は非常に難易度が高く、事前の情報収集と準備の質と量が成功を左右します。

応募先のファンドの投資先や運用実績、投資傾向などは最低でも調べる必要があります。加えて、これまでの投資傾向を踏まえた上で、ご自身ならどのような企業に投資・支援をしたいのかを面接で自分事のように語ることが重要です。

ファンドの多くは運用状況や投資先を公開していないため、M&A業界に強い転職エージェントの利用は不可欠です。ファンドの上層部とのコネクションがある転職エージェントから非公開の情報や採用の背景などをヒアリングし、面接対策を進めましょう。

またスキル面ではM&A関連業務におけるファイナンス面の知見と事業開発・再生の経験を細かく確認されます。ポテンシャルでの採用は厳しいと考えて差し支えないでしょう。求人の大半は非公開であり、転職エージェントのみに公開されています。ファンドへの転職を検討する際にはM&A業界に強く、転職成功実績が豊富な転職エージェントに登録しましょう。

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事業会社への最新転職動向


ここからは事業会社のM&A関連業務ポジションの転職動向について、ご紹介します。主にコンサルティングファームや金融機関などでM&A業務やFASの経験を積んだ方を対象に、企業の選び方や年収動向、転職活動のポイントについて解説します。

事業会社M&A部門への転職動向


事業会社の場合には業界もさることながら、企業の規模も大手グローバル企業から中堅企業、スタートアップに至るまで幅広く、企業の採用要件とご自身のキャリアとの親和性がポイントとなります。しかし、いずれの規模においてもファイナンスのプロとしての経験は必要不可欠です。

業界最大手企業では外部のコンサルティングファームにアウトソースを内製化する流れもあり、FASの経験をお持ちの方であれば即戦力として採用されるでしょう。配属先としては経営企画とM&A関連部門に大別されます。採用企業側がメイン事業の抜本的見直しや、社会的要因による業績回復を目指す場合には、経営企画での採用が主になります。一方で直近の業績が安定しており、買収による成長を目指している場合には、M&A関連部門での採用になる傾向にあります。

一方でスタートアップの場合には企業のイグジット戦略によってミッションと求める人材が変わります。IPOを目指す場合には上場準備の経験ではなく、上場後の資本政策や経営戦略に長けた人材が求められます。一方でM&Aによるイグジットを狙う場合には、コンサルティングファームやPEファンドでのM&A関連業務がダイレクトに活かせるでしょう。

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事業会社でのキャリアパスと年収


事業会社でのキャリアパスとしては経営企画や財務部門に配属された後、管理職を経て、役員・CxOとキャリアアップしていくことが王道のパターンです。外部に転職する場合には同業他社へ転職するパターンが大半です。

経営の意思決定に関与するポジションを求めて、大企業からスタートアップ企業に転職するケースもあります。

年収は業界によって千差万別ですが、大企業であれば役職や年令に応じた給与水準となります。その際、コンサルティングファームや投資銀行からの転職となると、年収が大幅にダウンする可能性があります。ただし、大企業であっても外資やメガベンチャーの場合には高年収でのオファーも期待できます。

スタートアップの場合には前職での年収をベースとして年収が決まる傾向ですが、ストックオプションが付与されるケースもあります。

事業会社への転職に必要な準備と対策


事業会社の経営企画・M&A担当の採用では、入社後に手掛けたいことのプレゼンテーションを求めるケースが多々あります。IR情報など企業の公開している情報では、十分に準備できない可能性もあります。その際は転職エージェントのコンサルタントを通じて、情報収集し入念な準備を進めましょう。

また、同じポジションでも各社の状況によってミッションと求めるスキルは変わります。M&Aまでをカバーする経営企画もあれば、PMIまでを担当する財務など対応範囲も異なります。応募先企業の職務・要件と、ご自身のスキル・経験がマッチしているか事前に確認するようにしましょう。

難易度の高いポジションへの転職はJAC Recruitmentで


PEファンドや事業会社のM&A担当など、ハイクラスの求人は転職エージェントだけが扱っていることが大半です。

転職エージェントを選ぶ際には、業界に精通したコンサルタントに相談できる転職エージェントを利用しましょう。

JAC RecruitmentではM&A業界に特化した専任チームを東京・大阪に配置し、全国区の求人をカバーしています。ファンドの転職では企業の傾向や特性を踏まえた面接対策が必要不可欠です。優秀な方であっても面接で十分にアピールできなければ不採用になることは珍しくありません。当社では書類選考後の面接対策の徹底的にサポートすることで、数多くの方を内定に導いた実績があります。

また、事業会社においてはM&A担当の潜在的な採用ニーズをキャッチアップし、求人が出る前の段階からご登録者様を推薦することも可能です。こうした提案ができるのは実績と企業からの信頼を得ている転職エージェントだけです。

いずれのポジションにおいても情報収集の段階からお問い合わせいただいても問題ありません。ご希望の業界・ポジションに関する最新動向をお伝えした上で、転職活動を開始する際には圧倒的な情報量と質で内定までコンサルタントが伴走します。

この記事の筆者

株式会社JAC Recruitment

 編集部 


当サイトを運営する、JACの編集部です。 日々、採用企業とコミュニケーションを取っているJACのコンサルタントや、最新の転職市場を分析しているJACのアナリストなどにインタビューし、皆様がキャリアを描く際に、また転職の際に役立つ情報をお届けしています。