PEファンドとは? 転職の年収や業界動向を解説

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公開日:2024/05/08 / 最終更新日: 2024/11/12

PEファンドは、業界再編や事業承継などニーズも多様化し、業界全体が大きく成長。グローバルでのPEファンドが保有する企業数は約2万8000社、企業価値の合計は3兆ドルともいわれ、その存在感は年々高まっています。

投資と経営の経験を積めることに加え、高額な報酬が見込めることから、転職先としてもPEファンドは注目を集めています。

PEファンドの転職における年収相場、求人傾向、求められるスキルについて、JAC Recruitment(以下、JAC)のコンサルタントが解説します。

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PEファンドとは?


PE(プライベート・エクイティ)ファンドとは、機関投資家(一部個人投資家)からの資金を未上場企業(上場企業のケースもあり)に投資し、経営支援を通じて投資先の企業価値を高め、IPOや売却によって利益を得ることを目的としています。

日本にPEファンドが誕生したのは90年代後半とされます。バブル崩壊による金融危機で企業の経営が破綻するなか、企業を再生させ経済を活性化する役割として、PEファンドが注目されるようになりました。

日系と外資で見たPEファンドの違い

日系のPEファンドは企業の持つ優位性を見抜き、経営者ときめ細やかな対話を重ねながら、次の戦略を打つといった、地に足の着いた戦略を得意とします。取り扱う案件の規模も比較的小規模から中規模に集中する傾向があります。

一方で外資のPEファンドは大型案件が中心です。グローバルで保有するネットワークを活用し、バリューアップできる投資対象かを基準に企業を買収検討します。

PEファンドの今後について

GDP比で見た際のPEファンドの市場規模は米国や欧州が2〜3%台であるのに対し、日本は1%未満に留まっています。しかし、国内のPEファンドによる投資案件と金額は2016年以降、順調に成長しており、500億円を超える大型案件が市場の成長を牽引しています。

歴史的な円安の影響もあり、海外のPEファンドにとって日本は非常に魅力的な市場です。当面は日系だけでなく外資のPEファンドによる日本企業の買収案件も増加することが予測されます。実際に海外のPEファンドの経営層も首相官邸を訪問するなど、積極的な姿勢を見せています。


PEファンドの平均年収を日系大手、日系中堅、外資の役職ごとに分類すると、以下の通りになります。

役職 給与 日系大手企業 日系中堅企業 外資系企業
Director Annual Base 2000万円~ 2000万円~
Bonus
Carried Interest
VP Annual Base 1500~2000万円 1400~2000万円
Bonus
Carried Interest
Senior
Associate
Annual Base 1200~1500万円 1100~1400万円 1500~2000万円
Bonus 90-100% of Base
Carried Interest
Associate Annual Base 1000~1200万円 900~1100万円 1000~1500万円
Bonus 90-100% of Base
Carried Interest (〇)
Analyst Annual Base 700~1000万円 900~1100万円
Bonus 30-50%
Carried Interest

※年収相場表はJACがお預かりしている求人・業界動向をもとに作成

キャリードインタレスト(キャリー)

PEファンドではベース給与とボーナスとは別に、ファンドの投資成績に応じたボーナスをキャリードインタレスト(成功報酬)として支給されることがあります。 支給額は貢献度や役職、在籍年数によって企業ごとに規定が異なります。アソシエイトで数十万円、ディレクタークラスになると1億円以上のキャリーを受け取る場合もあります。

PEファンドの転職市場動向


ここでは、PEファンド業界全体の市場動向について解説します。

PEファンドの将来性

GDP比で見た際のPEファンドの市場規模は米国や欧州が2〜3%台であるのに対し、日本は1%未満に留まっています。しかし、国内のPEファンドによる投資案件と金額は2016年以降、順調に成長しており、500億円を超える大型案件が市場の成長を牽引しています。

歴史的な円安の影響もあり、海外PEファンドにとって日本は非常に魅力的な市場です。 当面は日系だけでなく外資のPEファンドによる日本企業の買収案件も増加することが予測されます。実際に海外のPEファンドの経営層も首相官邸を訪問するなど、積極的な姿勢を見せています。

PEファンドの最新トレンドとキーワード

近年のPEファンドのトレンドキーワードとして、下記の3つが挙げられます。

事業承継

PEファンドによる日本国内のM&A件数は年々増加しており、企業課題を解決するソリューションの一つとして認識されつつあります。PEファンドが大きく関与する社会課題の一つが事業承継問題です。

事業再編

コロナ禍やインフレなどのあおりを受けノンコア事業からの撤退や、事業構造の改革など事業再編を目的にPEファンドの支援を受ける企業も増加しています。同業界の複数の企業をPEファンドが買収し、一つの企業に再編するというケースもあります。PEファンドの投資は比較的中長期の経営へのコミットを伴うことから、5年~10年単位での戦略を構築できる点や、ファンドが保有する経営資源を生かしたガバナンス強化ができるメリットがあります。

市場区分再編(東証再編)

2022年4月の東京証券取引所の市場区分再編を機に、流通株式時価総額や流通株式比率、2年間の売上・利益・時価総額などの基準が市場毎に設けられました。これによって企業への負担が増したことで、非上場化するケースも出てきております。PEファンド主導の元で株式を非公開化し、外部の経営リソースを活用することで再成長を目指す流れは今後も続くでしょう。

※出典:2023年中小企業白書

PEファンド転職の求人傾向


近年のPEファンドに多い求人は下記の3つです。それぞれの仕事内容についても解説します。

投資担当

投資候補の案件のソーシングやデューデリジェンス、投資スキームの検討やファイナンスのアレンジ、エグゼキュージョンまでを担当します。また、投資した企業を他社へ売却したり、株式公開したりすることで投資資金を回収するイグジット業務も担当します。

バリューアップ担当

買収・出資した企業の価値向上を図るための施策立案や支援を担当します。企業によっては投資担当と兼務でバリューアップも担当するケースがあります。営業・マーケティング戦略のみならず人事や経営にも関与することで、売上高拡大やコスト削減を通じて企業価値の向上に努めます。

IR担当

投資家対応を担当するポジションです。投資家向け説明会やミーティングのアレンジから運営、運用報告書の作成などを行います。ファンドの立ち上げ時は投資担当部門のトップやパートナー、マネージングディレクタークラスの方が主に投資家対応を担うことが多いですが、会社によっては、メンバークラスでもファンドレイズのミッションを担うことがあります。

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PEファンド転職の選考プロセスの特徴

PEファンドの採用選考ではスキルテストと面接を実施するケースが大半です。

面接回数は比較的多く、5回以上実施する企業もあり、パートナーとマネージングディレクター全員と面接することで、カルチャー面でギャップがないか入念に確認する傾向があります。

面接ではファンドを通じて出資したい企業と理由や、ファンドに応募した動機などが問われます。応募先のファンドの投資先や運用実績、投資傾向などは最低でも調べておきましょう。

加えて、これまでの投資傾向を踏まえたうえで、ご自身ならどのような企業に投資・支援をしたいのかを自分事のように語ることが重要です。

また、スキルチェックではLBOテストやフェルミ推定を用いたケース面接が実施されます。投資銀行出身者の場合、LBOモデルは業務の中で日常的に作成していますが、投資銀行の共通の考え方やフォーマットが応募先のPEファンドと合致せずに、不採用となるケースもありますので入念に準備することをお勧めします。

PEファンドへの転職は未経験でも可能?


これまでのキャリアと親和性があれば未経験でも転職は可能です。

PEファンドは各ポジションとも専門性が高いことから、同業他社からの転職であれば50代以降でも採用される一方で、業界未経験からの転職する際には組織構成上の問題や、その後のキャリアパスとの兼ね合いから30代前半までが目安となります。

異業界からの採用の場合にはアナリストからアソシエイトクラスでのスタートが中心になります。各社とも年間1〜2名のペースで中途採用を行っていますが、ファンドのサイズに比例して採用人数が増える傾向があり、M&A業務の経験者は特に歓迎されます。

また、業界未経験の若手層を育てる方針のファンドもあれば、経験者やIBD出身の即戦力人材を採用するファンドなど、採用したい人材像も企業によって多種多様です。

JACでは転職ご希望者の経験や志向に合わせたPEファンドの求人をご提案していますので、お気軽にご相談ください。

PEファンドへの転職で有利な資格


PEファンド業界は経験やスキルを重視する傾向があり、必ずしも資格が必須となることはありませんが、客観的にご自身のスキルをアピールする材料として転職時に有利になります。

MBA(経営学修士)

MBAは経営学の大学院修士課程を修了すると授与される学位であり資格とは異なりますが、PEファンドの業務との親和性が高いことから転職時に有利に働きます。

ファイナンスはソーシングやエグゼキューション、マーケティングはバリューアップなど、学んだことをそのまま活かせる場面が多々あります。MBAに加えて、IBDやFAS、戦略系コンサルティングファームの経験を保有されていると、企業からの評価も高くなります。

公認会計士

会計基準に精通し、会計的な視点で分析できる能力があることをアピールできます。 公認会計士は監査法人出身者に多く、大企業を顧客としながら、財務デューデリジェンスにも関わるなど、PEファンドでも即戦力として期待できる経験を持っていることから即戦力として評価されます。

英語力(TOEIC850点以上)

外資系PEファンドに転職する際は、全てのポジションにおいてビジネスレベルの英語力は欠かせません。クライアントとのディスカッションや経営会議など、さまざまな業務を英語でこなす必要があり、単に話すだけでなく、相手から信頼されるコミュニケーション能力を兼ね揃えた会話能力が要求されます。

PEファンドにおけるキャリアパス


PEファンドのキャリアパスとして下記の4つが挙げられます。

同業他社への転職

日系から外資のTier2、外資のTier2からTier1へと転職することで、報酬を着実にアップしつつキャリア形成できる利点があります。

1社目でアナリストかアソシエイトとして入社し実務経験を積んだ後に、投資実績やバリューアップさせた実績をアピールして2社目へ転職。その後も投資・バリューアップ体制やキャリーの配分など、キャリアに対する優先順位に応じて同業界内で転職するシナリオが一般的です。

スタートアップのCxO、大手事業会社の経営企画

投資業務を凝縮して経験できるPEファンド業界での経験を生かし、スタートアップを中からバリューアップさせたり、事業会社の経営企画としてM&A案件に携わるキャリアパスがあります。特に近年はPEファンドからスタートアップのCFOとして入社し、大型の資金調達やIPOを実現させる方が増えています

報酬面でもスタートアップとPEファンドの差は埋まりつつあり、ストックオプションも付与されるため、待遇面でも遜色なく、実績を活かせるキャリアパスと言えます。

スモールビジネスオーナー

PEファンド業界で培った人脈や経験、キャリーで得た資本を活かして、個人で出資したり企業を買収してオーナーになる方も増えています。PEファンドでキャリアを積むと、いい意味でサラリーマン志向がなくなり、「社会にインパクトを残すためには」「株式で大きな収益を得るには」といった志向が自然に備わります。

自らPEファンドを設立

PEファンドの黎明期から活躍された方が独立するケースが相次いでいます。主に40代後半から50代の方が中心ですが、30代後半~40代で独立するケースもあります。また、当初PEファンドを立ち上げる目的で独立したものの、コンサルティングやM&Aアドバイザリーとして個人で活動されている方もいらっしゃいます。


JACを通じてPEファンド転職に成功した方の事例をご紹介します。転職のきっかけ・応募した企業・採用に至った決め手など、実例を元にお伝えします。

コンサルティングファームから念願のPEファンド業界へ

Iさん(20代後半)は監査法人系のコンサルティングファームでコンサルタントとして勤務していました。学生時代にVCでのインターン経験が忘れられず、いつかはPEファンドで働きたいと思い、転職に向けた情報収集の一環としてJACに登録されました。

Iさん自身まだ十分に経験が足りないと思われていましたが、現職での事業承継案件の経験はPEファンドでも十分に生かせるとコンサルタントは判断し、いくつかの求人をご紹介しました。その結果、日系大手PEファンドで内定を獲得。今後の活躍の可能性を期待され採用となりました。これまでの経歴と企業が求める人物像に加え、未経験から入社できるベストなタイミングということもあり、憧れの業界への転職を果たしました。

転職成功の詳細は下記にてご確認いただけます。

【PEファンドの転職事例】入念な準備とストーリー構築であこがれの業界へ転職成功


Q. ワークライフバランスについて気になっています。

A. PEファンドは「企業を買収する」という重大な決断を伴う仕事ですので、投資判断の最終局面では昼夜問わず働く期間もあります。投資後も進捗によって、拘束時間は大きく変動しますので、残業時間が気になる方には向いていない業界かもしれません。 投資家という強い立場に甘んじること無く、大義を重視して動ける方を業界は求めています。

Q. キャリーの報酬設計について教えてください。

A. キャリーについては企業ごとに計算方式が異なります。役職によっても変わりますので、求人とあわせてご案内しています。

PEファンド転職はJACへご相談ください


JACではPEファンド専任の転職コンサルタントが各ファンド責任者から直接採用のご依頼を受けています。

各社の特徴やポートフォリオだけでなく、求めている人物像や各チームで活躍する社員のキャリアや得意領域、カルチャーに至るまでリアルな情報をお届けしています。

また、PEファンドの投資先企業の採用支援を行っていることもあり、各ファンドに関する情報は質・量共に他の転職エージェントとは一線を画します。

私たちは経歴だけで判断するのではなく、転職ご希望者の思いや実現したいキャリアに寄り添った支援を提供しています。PEファンド業界への転職を検討している方は、ぜひJACまでご相談ください。

銀行・保険・証券・PEファンド・カード・Fintechなど金融業界の転職動向については下記をご覧ください。

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この記事を監修した転職コンサルタント

齋藤

齋藤

金融ディビジョン マネージャー

大学卒業後、地方銀行に入行。大企業向け法人RMを経験後、JAC Recruitmentに入社。アセットマネジメントを軸に、プライベートエクイティファンド、ベンチャーキャピタル、不動産ファンド等、投資全般の求人を多く取り扱ってきました。ご志向にあった現実的に可能性の高い求人、もしくは、可能性を広げられる求人をご紹介差し上げます。まずはお気軽にご相談ください。


関根

関根

金融ディビジョン シニアコンサルタント

大学卒業後、新卒でメガバンクに入社し、中小企業から上場企業までの法人営業に従事。資金調達や事業戦略提案を中心に、MBOや事業再生など幅広い業務を経験し、金融業界でのキャリアアップ支援を目指し、JAC Recruitmentに入社。現在は、PEファンド、M&Aアドバイザリーやコンサルティング領域の専任コンサルタントとして従事しております。


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