事業の立て直しや出口戦略としてM&Aを検討する企業が増加しており、特に中小企業はその流れが顕著になっています。そのような背景から、M&Aコンサルタントの需要も高まっています。
財務の視点からコンサルティングを行うFAS(ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス)に特化した中堅コンサルティングファームは、財務諸表から中小企業の課題を分析し、将来の見通しを立ててM&Aをはじめとする経営戦略を提案します。
そこで、今回はFAS領域の中堅ファームにおけるM&Aコンサルタントの転職事情について、JAC Recruitmentのコンサルタントが詳しく解説します。
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M&A業界全体の動向
M&A業界は好調な業績を追い風に採用が活況を呈しており、未経験者でも採用される確率が高まっています。
特に、中堅コンサルティングファームのクライアント層である年商10億~1000億円の事業会社は事業再生や事業承継などの課題を抱えていることが多く、コンサルティングを依頼する企業が増えているのです。
実際、日本国内に約250万社ある株式会社のうち、約60万社は後継者不足となっています。中小企業は景気や社会問題などの影響を受けやすいため、事業再生や事業承継などの課題は今後ますます顕著になり、コンサルティングの需要も高まるでしょう。
また、IPO(新規上場)目前の企業が新たな経営戦略としてM&Aに踏み切るケースも珍しくありません。近年はスタートアップやベンチャー企業の数が増加しているため、数年後にはIPOを目指す企業数が増加し、比例してM&Aコンサルティングのニーズも高まると予想されます。
業界から見た中堅ファームの採用動向
M&A領域のコンサルティングファームの中でも、中堅ファームは未経験者を積極的に採用しています。そして、特に20代から30代半ばの若手層のニーズが高い傾向です。中堅ファームは管理者やマネージャークラスが40歳前後のため、そのキャリアにたどり着くまでの経験年数を逆算して、20代後半~30代の年齢層の需要が高いと言えます。
また、M&A領域コンサルタントは「財務諸表を分析して融資を決める」といったゴールが見える仕事ではなく、見えない未来を提案する仕事となります。したがって未経験者がコンサルティングスキルを身につけるには一定の時間がかかるため、情報のキャッチアップやインプットが柔軟な若手層を育成したいと考えている会社が多いのです。
企業側が高く評価するスキル・経験
未経験からの採用意欲が旺盛な一方で、採用時の必須要件のレベルは非常に高い傾向にあります。
中堅ファームが転職者に求めているスキル・経験は多岐にわたりますが、その中でも特に「経営視点」と「財務諸表(決算書)を分析する能力」が重要視されています。
M&Aコンサルタントは、クライアントの現状を把握した上で未来の予測を立てなければいけないため、経営的な視点が必要です。もちろん、経営者とやり取りする場面が多いため、経営層を納得させる提案をするためにも経営視点が求められるという理由もあります。
また、企業の現状を財務諸表から読み解かなければいけないので、簿記資格や金融業界での経験が求められます。
「事業会社の経理部や財務部に在籍していて、自社の課題解決に携わった」「銀行で営業職をしており、顧客にM&Aの提案をしたことがある」などの経験は有利になるでしょう。
さらに、業界ごとに部門を編成し専門的なコンサルティングをしている中堅ファームや人事や事業再生など特定のフェーズに強いファーム、更には特定の業界に特化したブティック型ファームも存在します。応募の際には各社のクライアント業界での業務経験が豊富にあると非常に有利です。
もちろん、コミュニケーション力、論理的思考力、課題解決力など基本的なビジネススキルも重要視されます。これらのスキルを裏付けできる経験や実績があると良いでしょう。
他業界からの転職は可能か
先述の通り、中堅ファームは未経験でも転職しやすいため、他業界からの転職も多く見受けられます。
特に多いのは金融機関や事業会社の経理部門・財務部門からの異業種転職で、当社でも多くの転職支援実績があります。
金融機関や事業会社は企業の課題をファイナンスの面からしか解決できませんが、M&Aコンサルタントはファイナンスに限らず多面的にアプローチできるという特徴があります。M&A業界ならではの幅広い業務領域や知識の幅に魅力を感じて転職される方が多いようです。
ただし前にも述べたように、財務諸表を読み解く力が必要とされるので、業務遂行に必要な経験やスキルがなければ転職が難しい点には注意しましょう。
M&A業界でのキャリアパス
中堅ファームに入社後は、管理職に向けてキャリアアップしていくのが一般的です。パートナー、マネージング、ディレクターといった職種を目指してキャリアアップしていきます。
また、中堅ファームでは新規クライアントを獲得したり、営業活動を行うのは管理職以上の役職者と定める企業が多く、受注後にコンサルタントやシニアコンサルタントをアサインして案件を進めていくというプロセスです。そのため、営業活動や新規開拓までカバーしたい場合には、管理職以上のポジションに昇進する必要があります。
中堅ファームで経験を積んだ後のキャリアパスは、それぞれ以下の通りです。
〇他の中堅ファームに転職する
〇大手ファームに転職する
〇さまざまな企業を見てきた経験を活かして、事業会社の経営企画や経理などに転職する
「大手ファームで働きたい」という場合、未経験者の採用が難しいため、まずは中堅ファームで経験を積んでから大手へと進むケースが少なくありません。ファームの平均在籍年数は5年程度と言われています。入社後も次の選択肢を頭の隅に置きながら、どのような経験を積むべきかを考えて業務に取り組むことをおすすめします。
モデル年収
未経験から中堅ファームへ転職する場合、最初は年収が1割ダウンもしくはスライドの場合が多くあります。なぜなら業界未経験のためどのくらい貢献してくれるか判断しにくく、最初の段階から高給は難しいためです。
しかし、他の業界に比べて昇給のスピードが早いのが特徴です。
最初は年収600~700万円だった方が、3年後には年収800~900万円、数年後にシニアマネージャーやパートナークラスになり年収1500万円前後になったケースもあります。
頑張りが反映されやすい業界のため、やりがいを感じられるでしょう。
M&A業界に特化した専任コンサルタントが、あなたの転職をサポートします。
業界における市場価値はもちろん、レジュメの効果的な書き方、面接対策、企業傾向の情報収集など、
JACのコンサルタントにご相談ください。
中堅ファームへの転職を成功させるには
M&Aコンサルタントへの転職を成功させるためには、何度も述べた通り財務諸表を読み解くスキルが求められます。簿記二級以上の資格があるとなお良いですが、経験や実績を中心に評価するので、資格がないからといって諦める必要はありません。但し、入社前後で必要な資格取得を求められる場合もありますので、求人票は必ず確認しましょう。
また、自分の思考を整理し、想いを相手に伝える力も面接では見られています。M&Aコンサルタントは、クライアントに対してなぜ提案するのか、その根拠は何なのか、を説明する場面が多い職種です。思考を整理して伝えなければ成り立たない仕事です。だからこそ、面接では「自分がなぜ中小企業を支援したいのか」「なぜM&Aに携わりたいのか」といった内容を言語化しておく必要があります。
中堅ファームの中途採用では「この人は成長の伸びしろがある」という基準よりも「この人の強みや経験は自社にとって必要だ」という基準で判断されます。つまり、自分の強みや今までの経験を言語化し、それらをどう活かすか伝えることがポイントです。
当社でも、転職者さまの強みや経歴などを棚卸ししたり、なぜ転職したいのかという思考を整理したりするサポートに力を入れています。
M&A業界での転職はJAC Recruitmentへ
JAC Recruitmentは、M&A業界への転職支援を得意としている転職エージェントです。
中堅ファームだけでなく、M&A仲介会社、大手ファーム、ファンドなどの求人も扱っているので、目の前の転職のみに限らない長期的なキャリア支援が可能です。たとえば「中堅ファームで経験を積んでから、大手へ転職したい」といった場合、中堅ファームへ転職をされてから数年後に大手ファームを紹介するなど、ご登録者様のニーズとキャリアプランに合った提案ができます。
また、東京と大阪にM&A業界のキャリアコンサルタントが在籍しており、それぞれがご登録者様だけでなく募集している企業ともやり取りしています。そのため、求人の背景や各社の強みや入社後のキャリアパスなど、求人票だけではわからない企業の現状や職場環境などを加味して最適な転職先をご提案できます。キャリアコンサルタント一人あたり10社以上の企業を担当しているので、取り扱う情報量の多さにも自信があります。
日本の中小企業の後継者不在は大きな社会問題であり、今後ますます深刻化するでしょう。その社会問題をM&Aという方法で解決できるM&Aコンサルタントは、社会貢献度が高くやりがいのある仕事です。
日本企業の成長や社会問題の解決をサポートするM&Aコンサルタントへの転職は、業界についての専門性と情報量をもつJAC Recruitmentにお任せください。