ESGとは?ESGに取り組む企業事例や転職市場の動向を解説

公開日:2025/01/15 / 最終更新日: 2025/02/07

「『ESG』に興味がある、取り組みたい」という方もいるのではないでしょうか。
本記事では、ESGの意義・定義やESGの転職市場動向を、わかりやすく解説します。

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本章では、ESGの概念とESGを構成する「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の3つの要素について解説するとともに、ESG経営やESG投資の意味についても併せてお伝えします。

ESGとは、「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の頭文字を組み合わせた造語であり、企業が持続可能な事業成長を実現する際の指標のことを指します。企業活動が環境に与える影響や社会との関わり、内部統治の質に注目し、これらを評価・改善することで長期的な価値創出を目指します。

Environment(環境)とは、企業が地球環境に与える影響や環境保護に向けた取り組みを指し、気候変動への対応や温室効果ガスの排出削減、再生可能エネルギーの利用、資源の有効活用などが、一例として挙げられます。
持続可能な事業活動を実現する上で環境問題は避けては通れない課題です。特にサステナビリティへの注目が高まる昨今においては、企業は事業活動を通じて環境負荷を低減し、持続可能な社会実現に貢献していく姿勢が求められています。

Social(社会)とは、企業が社会とどのように関わり、貢献しているかを示す指標です。労働環境の改善や人権の尊重、地域社会への貢献、消費者保護などが例として挙げられます。
企業は、単に自社の利益や株主への還元だけに注力するのではなく、社会的責任を果たすことも重要視されつつあります。あらゆる活動を通じて社会における企業の存在意義を示すことで、企業は実質的な事業成長を実現できるでしょう。

Governance(企業統治)は、企業が内部統治をどのように行い、経営の透明性や倫理性を確保しているかを示す仕組みや取り組みを指します。例えば、社外取締役の設置や内部監査体制の強化、積極的な情報開示、経営の透明性を高める施策の実行や内部不正を防止するための制度策定などが活動に含まれます。
健全な企業統治体制を構築することで、ステークホルダーからの信頼の獲得につながり、結果的に中長期を見据えた事業運営が可能になります。

ESG経営とは、持続可能な成長を目指し、事業戦略にESGの観点を組み込む経営手法のことを指します。短期的な利益を追求するのではなく、ESGに含まれる非財務的な要素も考慮することで、持続可能な成長の実現を目指します。一方、ESG投資は、投資判断でESG要素を考慮する投資手法です。企業の財務状況だけでなく、ESGへの取り組みから企業価値を判断します。
ESGとは企業が持続可能な成長を遂げるために必要視されている概念の1つであり、ESG経営はその概念を企業経営に落とし込んだ事業活動、ESG投資はその活動に着目した投資手法といえるでしょう。


本章では、ESGと混同されることの多い、下記3つの言葉との概念や定義の違いについて解説します。

・ SDGs(持続可能な開発目標)
・ サステナビリティ
・ CSR

SDGsは、2015年に国際連合で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に掲げられた、2030年までに達成すべき17の目標と169のターゲットから構成される国際目標です。一方ESGは、企業が持続的に成長するために考慮すべき3つの指針(環境・社会・ガバナンス)のことを指します。
SDGsは世界規模の社会課題解決を目指すガイドラインであるのに対して、ESGは企業規模における持続可能な社会実現への貢献を目指す指針です。

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サステナビリティとは、「持続可能性」を意味し、環境・社会・経済の3つの領域において、次の世代が豊かに生きられる基盤を構築することを目指す概念です。一方で、ESGは、サステナビリティを実現するための具体的な評価軸として機能します。
例えば、サステナビリティでは、温室効果ガスの削減や地域社会との共生といった社会全体の幅広い活動を指すケースが一般的ですが、ESGはサステナビリティに配慮した活動が企業価値にどのように影響するかを評価する基準を指します。

CSRは、企業が社会に対して負う責任全般を意味します。企業が自主的に行う社会貢献活動を意味する側面を持ち、企業の倫理観や社会貢献意識に基づいて行われる活動を指す場合もあります。
一方ESGは、CSRよりも広範な概念であり、特に投資家視点における企業評価指標を指す点が特徴です。
CSRは企業の社会的責任を果たすことを主眼に置いているのに対して、ESGは企業の持続可能性と長期的な企業価値向上を目的に据えている点が異なります。
ESGはCSRを発展させた概念であり、企業が持続的に発展するためには、ESG視点を取り入れた経営が不可欠になりつつあります。


ESGが注目されるようになった背景には環境経営に対する社会意識の変化やESGが企業価値に与える影響への認識が深まったことなどが要因として挙げられます。また、社会的価値観の変化にともない、投資の方向性が大きく転換したことも、ESGが注目される一因になったと考えられます。

ESGは、2006年に国際連合が「責任投資原則(PRI)」を提唱したことをきっかけに注目が高まったといわれています。PRIでは、投資活動において環境・社会・企業統治の3つの要素を考慮することを推奨しており、これによりESG投資が急速に拡大しました。特に、欧州や北欧では、気候変動や社会的不平等など世界規模の課題に対する意識が高まっており、ESG経営を実行していない場合、投資を受けられないケースが散見されるほど、ESGが投資判断の基準として根付いています。

ESGが浸透しつつある昨今においては、ESGは企業の慈善活動やCSRの一環としてではなく、長期的な企業価値を高めるための経営戦略と捉える企業も増えつつあります。日本でも経済産業省が2019年に「SDGs経営ガイド」を公表したことにより、ESGやSDGsを経営の軸に据える動きが加速しています。
このようにESGが単なる社会貢献ではなく、企業の競争力の源泉となり得る認識が広まっていることから、日本でもESGへの注目が高まったと推察されます。

出典:「SDGs経営ガイド(2019年5月)」(経済産業省)


本章では、ESG投資に用いられる次の7つの手法について解説します。

・ ネガティブ・スクリーニング
・ ポジティブ・スクリーニング
・ 国際規範スクリーニング
・ ESGインテグレーション
・ サステナビリティ・テーマ投資
・ インパクト・コミュニティ投資
・ エンゲージメント・議決権行使

ネガティブ・スクリーニングとは、投資先を選定する際に、倫理または環境の観点から基準に満たないと判断される企業を投資対象から除外する手法です。
ネガティブ・スクリーニングは、古くから用いられているESG投資手法の1つであり、多くの場合、投資家の倫理観や価値観に基づいて投資先が選定されます。

ポジティブ・スクリーニングとは、優れたESGを実行している、積極的にESGに取り組んでいるなどの企業を積極的に投資対象として選定する手法のことを指します。
例えば、再生可能エネルギーの利用に積極的な企業や従業員の労働環境に配慮している企業、コーポレートガバナンスが確立されている企業などを投資先として選ぶケースが挙げられます。

国際規範スクリーニングとは、国連グローバル・コンパクトやOECDガイドラインなど、国際的なガイドラインや規範に準拠している企業を選定する手法です。
グローバルに事業を展開する企業に対して、国際的な責任を果たすことを求める投資家に用いられている手法であり、グローバルな基準に基づいて企業の適切性を正当に評価します。

ESGインテグレーションとは、投資分析にESG要素を組み込む手法のことを指します。企業の財務状況だけでなく、ESGへの取り組みが企業の長期的な成長に与える影響を評価し、投資判断に反映させます。
例えば、気候変動リスクへの対応が遅れている企業は、将来的に業績が悪化する可能性があると判断し、投資を控えるなどの投資判断が一例として挙げられます。
ESG要素が企業価値に与える影響を考慮している点が特徴であり、多くの投資家に広く用いられている手法の1つです。

サステナビリティ・テーマ投資とは、気候変動や資源管理、ヘルスケア、教育など、特定のサステナビリティ関連のテーマに焦点を当て投資する手法です。投資対象を特定のサステナビリティ・テーマに限定することで、投資対象のテーマにポジティブな影響を与えつつも収益を期待できる点が特徴です。
主に社会課題の解決に貢献することを目的とした投資手法であり、テーマ型投資と呼称されることもあります。

インパクト・コミュニティ投資は、社会や環境にポジティブな影響を与えることを目的とした投資手法です。
単に金銭的リターンだけではなく、社会的なインパクト創出を目的とした投資である点が大きな特徴です。
開発途上国における教育プログラムの実施や貧困軽減に寄与する活動、クリーンエネルギー開発への取り組みなどに資金提供を行い、社会課題の改善に努めます。

エンゲージメント・議決権行使では、株主としての立場を活用し、取締役会での議決権を行使したり、経営陣と直接対話を行ったりすることで、企業の行動変容を促します。
投資家が企業の行動を変革することで、より持続可能な社会を実現したり、企業のESGパフォーマンスの向上を促したりすることが期待できます。


本章では、JACが実施しているインタビュー中で、ESGへの取り組みに触れている次の5社のインタビューをご紹介します。

・ EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社
・ PwCコンサルティング合同会社
・ デルタ電子株式会社
・ Ridgelinez株式会社
・ 株式会社フジタ

EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社(以下、EYSC)には、ITを駆使して企業のSXを支援するテクノロジーコンサルティングユニットTechnology Strategy & Transformationチームが設置されており、エネルギー産業に対する深い知見と技術力を兼ねそろえたコンサルタントが集結しています。

社会変化や消費者の動向変化にともない、エネルギー産業は転換期を迎えています。転換の最中において、エネルギー業界は、サステナビリティが重要視されるようになり、ESG経営に取り組まない企業に対しては、取引縮小や取引の打ち切りが散見されるなど、ESG経営への対応が迫られるようになりました。
このような業界変革にともない、EYSCでは2023年10月からESGデジタルプラットフォームの提供を開始しました。ソリューションを活用しながら、エネルギー業界の包括的なSX支援を提供し、多くの顧客の持続可能な事業成長に貢献しています。

>>「真のDXとはSX」エネルギー業界のサステナビリティ経営を、高い熱量で支えるEYSC

PwCコンサルティング合同会社では、社会課題の解決とともに企業のサステナビリティ経営を支援する部門横断型組織「ソーシャル・インパクト・イニシアチブ(以下、SII)」を2019年に立ち上げ、ESG投資やサステナビリティ経営を支援する事業を展開しています。
中でも「コレクティブ・インパクトの創出」に強みを持つ点が特徴であり、事業会社をはじめ官公庁や地方自治、金融機関などあらゆるステークホルダーを巻き込みながら、持続可能な社会に向けてインパクトを創出する活動を後押ししています。

>>高度な社会課題解決をビジネスとして成立させる――サステナブルな社会の構築にボトムアップ組織で取り組む

デルタ電子株式会社は、積極的にESG経営に取り組んでいる企業の1つであり、2030年にはデルタグループ単体でRE100(※)達成を見込んでいます。
一方で「取引先の大手企業からESGへの対応を求める圧力が強まっている」という悩みを抱えたクライアント企業からの相談が増加傾向にあり、日本政府が掲げる2050年のカーボンニュートラル達成を懸念していました。
そのような背景もあり、同社ではカーボンニュートラルに向けたコンサルティングとソリューションサービスの提供を日本国内で開始しました。今では、国内大手自動車メーカーのサプライヤーからの受注が確定しており、自社の技術をもって日本のESGに貢献する体制と自社の事業成長の両立を確立しつつあります。

>>パワーエレクトロニクスでトップシェアのデルタ電子――カーボンニュートラル社会を見据えた新事業戦略と組織文化とは

(※)RE100…企業活動に必要な電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目標に掲げる企業連合。2023年現在、400社以上の企業がグローバルで参加している。

Ridgelinez株式会社は、2020年に富士通100%出資により、総合プロフェッショナルファームとして設立した企業です。ベンチャー企業としての柔軟性と富士通グループの強固な基盤という二面性を生かし、戦略からテクノロジーの実装までEnd-to-Endのコンサルティングを手掛けています。
Ridgelinezには、複数のPracticeが設置されていますが、中でも、Enabling & Integration Practiceでは、DXやITに関わるガバナンス・コンプライアンス支援を中心にクライアント企業の事業支援に取り組んでいます。

ESGに関する案件では、サステナビリティ経営の実現に向けて、非財務情報と財務情報の関連分析やESG情報を可視化できるシステムの構築を通じて経営陣の判断を支援しています。縦割り社会が根付く日本企業では、ESGを主導するメンバーが定まらないケースも珍しくありません。そのような企業課題に対しても、Ridgelinezは組織の枠を越えてESGの取り組みリードし、ESG推進に貢献しています。

>>アジャイル手法を駆使した「実践性」「スモールスタート・クイックウィン」でDXを支援するRidgelinez株式会社

株式会社フジタでは、2025年度に1兆円の売上高を目標に据え、次の重点方針を3つ掲げました。

・ 持続成長を支える柱
・ 建設業を極め、新たな領域へ
・ ESGを意識した経営の推進

中でも、「ESGを意識した経営の推進」においては、国内外の事業における環境対策、働き方改革などを通じて社会的課題にも積極的に取り組み、ガバナンス強化を図る方針です。
先を見越して仕事をする、という姿勢が企業風土にも根付いており、社員は2年後や3年後に芽が出る仕事にも積極的に取り組んでいます。営業や管理職の評価には、将来に対してどれくらいの種をまけているかも評価対象になっているそうです。
失敗を恐れず未来を見据えてチャレンジするカルチャーが根付く同社では、数年後には今とは違う会社像を見せてくれるでしょう。

>>オリンピック後のゼネコンの未来像を見据えて


ESG経営やESG投資への注目が高まる中、転職市場でも「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」に紐づく採用ニーズが高まりつつあります。

本章では、ESGを構成する下記3つ要素において、それぞれの要素で求められる人物像の傾向を解説します。

・ Environment(環境)
・ Social(社会)
・ Governance(企業統治)

Environment(環境)の部分で求められる傾向としては、カーボンニュートラルの実現や持続に加え、新規事業の創出を両輪で進められる経営者および幹部層のニーズが高まりつつあります。
中でも過去にデジタル技術を用いて業務効率化に寄与した経験を持つ方、業務の自動化や効率化を実現した方は、転職市場において高く評価されるでしょう。

Social(社会)の部分では、女性の幹部登用や拡大に取り組む風潮が高まりつつあります。
今までの女性幹部登用の流れは、広報や人事などコーポレートに携わる部署や責任者が主流でした。しかし、今のトレンドは、マーケティングやセールスなど、技術事業の中心となる領域においての女性幹部登用が活発化しています。

Governance(企業統治)の側面においては、社外取締役のニーズ拡大が顕著化しています。
社外取締役のニーズ高まる背景には、2022年4月に東京証券取引所の市場区分がプライム・スタンダード・グロースの3種に再編されたことが大きく影響していると考えられます。
特にプライムにおいては、全取締役のうち1/3以上の社外取締役の選任が求められるようになったことから、多くの企業で社外取締役として活躍できる働き手の確保が急務となっています。

求められる人物像においては、上場企業で企業経営に携わっていた方や士業職種に就いていた専門知識を有する方、経営経験や士業職経験のある女性への需要が高まりつつあります。


本章では、ESGに関する最新転職・求人情報を紹介します。

ESGを取り入れた経営が重視される中、ESGに関する業務は多岐に渡るようになり、サステナビリティ戦略の策定やESGマネジメントの推進、社会的インパクトの創出など、多様な業務の推進が求められるようになりました。
ESGの推進を担う担当者は、各ESGに関する業務を適切に遂行することで、ステークホルダーからの信頼獲得に寄与し、結果的に持続可能な事業成長を実現できるでしょう。

なお、本章で紹介するESGに関する求人はJACが取り扱う求人の一部です。JACでは非公開求人も豊富に取り扱っているため、求人の詳細を知りたい方やほかのESGに関する求人の紹介を希望する方は、ぜひJACにご登録ください。

大手日系シンクタンク:サステナビリティESG/SDGs戦略
監査法人アドバイザリー事業本部:サステナビリティ・ESGコンサルタント
大手監査法人:サステナビリティ・ESGコンサルタント/ESG保証業務従事者
サステナビリティ・ESGコンサルタント(CCaSS/サステナビリティ):サステナビリティ・ESGコンサルタント(CCaSS/サステナビリティ)
大手監査法人:気候変動/ESGに関わるアドバイザリー業務
ESG系スタートアップ:ESGコンサルタント
非公開:資産運用部 ESG推進課 議決権行使 エンゲージメント担当
ESG系スタートアップ:ESGコンサルティング部門責任者
大手監査法人:サステナビリティ・ESGコンサルタント
株式会社格付投資情報センター:ESGアナリスト
大手監査法人:金融業界向け サステナビリティ・ESGコンサルタント
株式会社本田技術研究所:Hondaにおけるライフサイクルアセスメント(LCA)・ESG戦略企画
スズキ株式会社:地域別・事業別の成長戦略と連携した、グループ全体のSDGs/ESG/サステナビリティに関する戦略立案と推進

※求人の募集が終了している場合もございます。ご了承ください。(2024年12月最新)

この記事の筆者

株式会社JAC Recruitment

 編集部 


当サイトを運営する、JACの編集部です。 日々、採用企業とコミュニケーションを取っているJACのコンサルタントや、最新の転職市場を分析しているJACのアナリストなどにインタビューし、皆様がキャリアを描く際に、また転職の際に役立つ情報をお届けしています。