DE&Iとは?推進のメリットや導入事例・転職情報を解説

公開日:2025/01/15 / 最終更新日: 2025/01/27

『「DE&I」に興味がある、取り組みたい』という方もいるのではないでしょうか。
本記事では、DE&Iの意義・定義やDE&Iの推進に必要な要素を、わかりやすく解説します。

エグゼクティブ転職を検討中ですか?

今現在、

  • 非公開求人を知りたい
  • 自身が影響力を発揮しやすい規模の企業で働きたい
  • 企業経営をリードするポジションに就きたい

上記のようなお困りごとがございましたら、私たちJACへ相談してみませんか?

登録してプロの転職支援を受ける

エグゼクティブ転職を検討中ですか?

今現在、

  • 非公開求人を知りたい
  • 自身が影響力を発揮しやすい規模の企業で働きたい
  • 企業経営をリードするポジションに就きたい

上記のようなお困りごとがございましたら、私たちJACへ相談してみませんか?

登録してプロの転職支援を受ける


本章では、DE&Iの概念とその構成要素である「Diversity」「Equity」「Inclusion」について解説します。

DE&Iとは、「Diversity(多様性)」「Equity(公平性)」「Inclusion(包括性)」の3つの英単語の頭文字を組み合わせた造語であり、企業や組織運営において誰もが公平な機会を与えられ、個々の能力を最大限に発揮できる組織構築を目指す考え方のことを指します。

ダイバーシティとは、多様性を指し、性別や人種、国籍、年齢、障がいの有無、性的指向、宗教、文化的背景など、個々のさまざまな違いを受け入れることを意味します。
企業におけるダイバーシティの推進は、多様なバックグラウンドを持つ社員が集まることで、組織内に新たな価値観や考えをもたらし、イノベーションの創出や問題解決力の向上に寄与するといわれています。単に人員を多様化するだけでなく、多様な意見や視点を尊重し、活用できる文化を育むことが大切です。

Equity(エクイティ)は、公平性を意味し、個人が置かれている状況に応じて平等な機会を提供することを指します。
全員に同じ条件を提供する「Equality(平等)」とは異なり、個々のニーズやハンディキャップを考慮して、状況に適した支援や調整を行う点が特徴です。具体的には、障がいを持つ社員に必要な設備を用意する、育児中の社員に向けてフレックスタイム制度を導入するなど、全員が公平に能力を発揮できる環境の構築に努めることが企業内のEquityの実現につながるでしょう。
企業がEquityを重視することで、社員一人ひとりが能力を最大限に発揮できる土壌が整い、結果として組織全体の成果向上にも寄与することが期待できます。

Inclusion(インクルージョン)は、包括性を指し、多様な背景や特性を持つ全ての人々が、組織内で受け入れられ、一体感を持って活動できる状態を意味します。単に組織に属しているだけでなく、社員一人ひとりの個性や能力が尊重され、貢献できると実感できる組織環境のことを指します。
会議の場で特定の意見や人物に偏ることなく全員が発言しやすい空気を作ることや、異なる文化的背景を持つ社員が馴染めるように環境整備に努めることが、インクルージョンを実現する具体例として挙げられます。


本章では、D&I の言葉の意味とD&IからDE&Iへのシフトした背景について解説します。

D&Iは「Diversity & Inclusion(ダイバーシティ&インクルージョン)」の略称であり、組織や社会における多様性の受容と、誰もが排除されずに事業活動に参画できる環境づくりを目指す概念です。人種や性別、年齢、障がいの有無などの違いを認識するだけでなく、個性や価値観、経験などの多様性を受け入れて尊重し、それらを組織や社会の中で生かすことを目指します。日本では「男女共同参画社会基本法」が制定された2000年代ごろから浸透し始めたといわれています。

D&Iにおける「Diversity」は、多様性を指し、性別や年齢、人種、国籍、宗教・文化、価値観などの違いを受け入れることを意味します。Diversityを推進することで、多様な社員が集まりこれまでにはなかった異なる視点やアイデアが生まれ、創造性が促進されることが期待できます。また、「Inclusion」は、包括性を指し、組織において多様な人々が公平に受け入れられ、社員一人ひとりが貢献しやすい環境を整えることを意味します。多様性があるだけでは、個々の能力が十分に発揮されない恐れがあるため、DiversityとInclusionは両輪で推進していくことが大切です。

>>エグゼクティブ採用増加の背景にあるD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)とは?

近年、多くの企業で「D&I」という言葉に代わり「DE&I」という言葉が使われるようになりました。
日本においては、2020年ごろからDE&Iへのシフトが始まり、2022年から2023年にかけては多くの企業でD&IからDE&Iへの移行がみられました。

D&Iでは、表面的な多様性の確保にとどまる企業も多く、「多様な働き手を集めたものの、その多様性を生かしきれていない」という課題が浮き彫りになりました。このような実態に対して、新たにEquity(公平性)が加わったDE&Iという考え方が浸透し始めました。Equality(平等)は全ての人に同じ機会や資源を与えることを意味しますが、Equity(公平性)は個々の状況やニーズに応じて必要な支援や機会を提供することを意味します。

D&IからDE&Iへのシフトは、単なる概念の追加ではなく、組織がより実質的で持続可能な成長を目指すための変化と考えられるでしょう。

出典:「高度外国人材の活躍に必要なDE&I(2024年1月)」(経済産業省 高度外国人材研究会)


本章では、企業がDE&Iに取り組むことで得られる、主なメリットについて解説します。

・ 組織のパフォーマンス向上
・ イノベーションの創出
・ 企業のブランドイメージ向上
・ 自社のDE&Iの取り組みに共感する魅力的な社員の確保

DE&Iへの取り組みは、組織のパフォーマンス向上に直結します。
これは、多様な背景を持つ社員が集まることで、より多角的な視点から課題解決やアイデアの発案に取り組める環境が生まれるためです。従来の画一的な組織では見過ごされていた課題や斬新なアイデアも、多様な社員の参画によって発見・創出されるようになるかもしれません。また、一人ひとりが平等に評価され、誰もが自身の役割に自信を持てる環境下においては、社員のエンゲージメントが高まり、結果的に業績の向上につながることも期待できます。さらに、離職率の低下や社員の定着率向上といった副次的な効果を得られることもあるでしょう。

異なる視点や考え方を持つメンバーが集まることにより、独創的なアイデアが生まれる土壌が整い、イノベーションの創出がより促進されることも期待できます。また、異なる文化や価値観を持つ社員の意見を集約することで、新たな市場に適応した戦略を立案でき、革新的な製品やビジネスモデルの開発も可能になるかもしれません。

DE&Iへの取り組みは、企業のブランドイメージの向上に寄与することもあります。
近年、社会全体で多様性や公平性への意識が高まりつつあり、DE&Iを推進する企業は、社会的責任を果たす組織として高く評価されることがあります。
企業の採用ページやWebサイトなどを活用しDE&Iへの取り組みを積極的に発信することで、さまざまなステークホルダーからの信頼を獲得しやすくなり、企業イメージが向上することもあるでしょう。また、企業のブランドイメージが向上することで、新たなビジネスチャンスの創出やパートナーシップの拡大につながる可能性も期待できます。

企業の掲げる理念や考え方、価値観に共感する魅力的な社員の採用に寄与する点も、DE&Iに取り組むメリットといえるでしょう。
働き方や仕事への価値観の多様化が進む昨今においては、給与や福利厚生といった待遇面だけに限らず、企業の価値観や取り組みを重視する傾向が強まりつつあります。求職者は、DE&Iに取り組む企業に対して、「働きやすい環境整備に注力している」と好感を持ち、興味を抱くケースも少なくありません。採用市場においては、採用競合と差別化を図れる要素にもなり得るでしょう。


本章では、企業がDE&Iに取り組む上で特に意識したい4つの重要なポイントを解説します。

・ DE&Iを目的化せずあくまでも手段として推進する
・ 経営主導で現場のステークホルダーを巻き込む
・ アンコンシャス・バイアスに対処する
・ 職場環境を整え組織の心理的安全性を高める

DE&Iは、取り組み始めることが目的ではなく、あくまでも事業・組織の問題解決や意思決定、イノベーション創出、企業価値向上などに役立てるための手段の一つであることを理解しておきましょう。
DE&Iを目的化してしまうと、多様性を確保すること自体に焦点が当たり、本来の目的を見失う恐れがあります。例えば、「女性管理職比率を〇%にする」といった数値目標だけを追い求めるのではなく、女性が管理職として活躍できる環境を整備することで、結果的に数値目標が達成されるという考え方を持つことが大切です。
DE&Iを手段として捉えることで、企業が掲げる戦略と整合性の取れた取り組みを実現できるでしょう。

DE&Iを効果的に推進するためには、現場社員の積極的な参加が不可欠です。その理由として、経営層の意向だけが先行し現場の状況やニーズが反映されない場合、施策は形骸化し実効性を欠く懸念があるからです。

現場のステークホルダーを巻き込むにあたっては、ERG(Employee Resource Group)のようなボトムアップ型のチームを形成するのも有効です。タレントマネジメントのサイクルの中で、将来の経営者候補として育成したい現場管理者をERGのリーダーに任命し、そのERGのリーダーの現場管理者が、経営層と現場の間に存在する認識のギャップを埋める橋渡し役になることもあるでしょう。また、ERGのメンバーを挙手制にすることで、メンバーは主体的に活動へ取り組むようになるかもしれません。
このように、現場社員を巻き込む仕組みがあれば、DE&Iは組織全体に浸透し、より効果的な推進が可能となるでしょう。

DE&Iを推進するにあたっては、アンコンシャス・バイアスへの対処も不可欠です。アンコンシャス・バイアスとは、個人が気づかないうちに持っている偏見や先入観のことを指し、経験や文化などから無意識に形成され、判断や行動に影響を与えることがあります。

アンコンシャス・バイアスは、多様性を尊重する文化の浸透を阻害する懸念もあるため、アンコンシャス・バイアスに対応できる仕組みを作ったり、教育によって正しい理解を促したりすることが大切です。具体的には、採用や昇進に対して担当者の主観によらない公正な評価が行われるよう評価基準を用いる、研修などを通じて社員の意識改革を促す、などの取り組みが挙げられます。

社員全員が自由に意見を述べることができ、リスクを恐れず挑戦できる心理的安全性が担保された職場環境を整えることも、DE&Iに取り組む上で重要なポイントです。
心理的安全性とは、意見や考えを率直に発言しても拒否されたり、罰せられたりする心配がない環境のことを指します。会議で自由に意見を述べられる雰囲気を作ったり、失敗を許容する文化を醸成したりすることで、心理的安全性を高められるでしょう。また、社員同士の信頼関係を築くために、チームビルディングの機会を設けたり、メンター制度を導入したりすることも組織の心理的安全性を高める1つの方法です。
DE&Iに取り組むことで、誰もが安心して意見を述べ、能力を発揮できる土壌が形成されるでしょう。


本章では、DE&Iに取り組む企業の事例として、JAC主催のJAC Women’s Empowerment Salon「DE&I先進企業に聞くジェンダーダイバーシティーの取り組みとDE&Iに向けた考え方」に登壇した次の2社の取り組みを紹介します。

・ アフラック生命保険株式会社
・ サノフィ株式会社

アフラック生命保険株式会社は、イノベーション企業文化の醸成を目的に女性活躍推進領域において、「2020年に指導的立場に占める女性社員の割合を30%とする」「2025年にライン長ポストに占める女性の割合を30%とする」という2つのKPIを掲げ、下記6つの施策に着手しています。

・ 経営トップのコミットメント
・ 管理職のアカウンタビリティ
・ 推進体制の強化
・ 多様な働き方の促進
・ 女性のキャリア開発・育成・登用
・ 業務プロセス・評価プロセスの見える化

例として、経営トップのコミットメントにおいては、社長が委員会を務め、男性6名・女性5名の役員を委員とするD&I推進委員会を設置し、各案件を議論・審議する場を設けています。また、管理職のアカウンタビリティに関する取り組みでは、毎年e-learningを実施するとともに管理職が部下の育成に強く関与する仕組みづくりの構築に注力しています。ほかにも男性育児参画の推進にも取り組んでおり、2016年時点の男性育休取得率1.6%から2019年においては100%を実現し、以後5年連続で100%を達成しているそうです。
なお、指導的立場に占める女性社員割合の向上は2019年に前倒しで達成しており、ライン長ポストに占める女性社員割合の向上においては、2023年時点で27.0%を達成し、定めたKPIに順調に近づいている様子がうかがえます。

また同社ではダイバーシティの推進と同時に2015年から「Work SMART」と呼称される働き方改革を実施しており、仕事の進め方を抜本的に見直す活動を推進しています。「Work SMART」では、「時間」や「場所」に捉われない働き方を実現するための環境を整備に着手しており、人財エンゲージメントの向上にも寄与しています。

製薬事業を主軸とするサノフィ株式会社では、世の中にまだ登場していない薬を1から作り上げる社会的役割を担っている背景もあり、多様な顧客ニーズに応えられる組織作りが必要視されていました。
そのような背景もあり、同社では、「DE&I=経営戦略」と位置づけ活動を推進しています。また、サノフィはグローバル企業ということもあり、日本でもグローバル戦略を基盤に、“all in(全員参加)”をスローガンに掲げ次の3つの柱を軸にDE&Iに取り組んでいます。

・ Reflect:多様性を反映したリーダーシップを確立する
・ Unleash:誰もがベストパフォーマンスを発揮できる職場環境を構築する
・ Transform:多様なコミュニティとの協働

サノフィでは、2025年までに具体的な成果創出を目指していますが、2019年と比較して2024年時点では女性管理職全体の割合が8%増加しました。また、現場社員一人ひとりが個性やパフォーマンスを最大限に発揮できる職場環境の構築を目指し、自らアイデアを出し合うなどDE&Iを推進する風土が醸成されてきているそうです。

>> DE&I先進企業に聞く“経営陣が率先して関わるDE&I推進”とは


本章では、DE&Iに関する最新転職・求人情報を紹介します。

DE&Iの推進担当者の主な役割は、組織全体にDE&Iを浸透させ、多様な社員が活躍できる環境を構築することです。具体的には、女性活躍や男性育休促進のための施策の企画・実行、アンコンシャス・バイアスに関する社員への研修、多様な社員が参加するイベントの企画など、最適な施策を導入し、社員の意識改革を促します。

なお、本章でご紹介するDE&Iに関する求人はJACが取り扱う求人の一部です。JACでは非公開求人も取り扱っているため、詳細を知りたい方やほかのDE&Iに関する求人の紹介を希望する方は、ぜひJACにご登録ください。

ヤマハ発動機株式会社:【グローバル人事】ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン(DE&I)の推進
東証プライム上場メーカー:ダイバーシティ推進
非公開:【部長候補】人事総務部 ※海外売上比率高のグローバルカンパニー※
大手化学メーカー:グローバル人事 D&Iリーダー

※求人の募集が終了している場合もございます。ご了承ください。(2024年12月最新)

この記事の筆者

株式会社JAC Recruitment

 編集部 


当サイトを運営する、JACの編集部です。 日々、採用企業とコミュニケーションを取っているJACのコンサルタントや、最新の転職市場を分析しているJACのアナリストなどにインタビューし、皆様がキャリアを描く際に、また転職の際に役立つ情報をお届けしています。